著者
藤田 智也 北田 修一 原田 靖子 石田 ゆきの 佐野 祥子 大場 沙織 菅谷 琢磨 浜崎 活幸 岸野 洋久
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.163-173, 2017 (Released:2017-03-29)
参考文献数
40
被引用文献数
3 4

北海道から東北太平洋沿岸の産卵場9か所において2003年から2014年に採取したニシン16標本618個体についてmtDNA調節領域の塩基配列549 bpを決定した。FSTのNJ樹は,北海道,尾駮沼,宮古湾・松島湾のクラスターを描き,本州より北海道で遺伝的多様性が高かった。東日本大震災後の宮古湾ではハプロタイプ頻度が震災前と大きく異なり,尾駮沼に酷似した。北海道では約60万年前から集団が拡大,本州では20万年程度安定していたが,最終氷期後の温暖化と一致して2万年ほど前から急減していると推測された。
著者
新開 淑子 小口 徹 岸野 洋久
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.467-478, 1998-12-31

質問紙法心理テストとして国際的に高く評価されていたMMPI-1が,1989年に大幅に改訂されMMPI-2が誕生した。MMPI-1より引き継がれた基礎尺度に関して,MMPI-2の評価を行うために,311名の女子学生にMMPI-1,あるいはMMPI-2を約1か月間隔で2回施行した。MMPI-1を2回施行した第1グループ,MMPI-2を2回施行した第2グループ,MMPI-1とMMPI-2を施行した第3グループの比較結果から,次のような結論を得た。1)第1,第2グループのtest-retest相関係数比較結果から,高い尺度scoreの再現性が認められ,測定値の安定性という意味において,MMPI-2はMMPI-1と同程度の信頼性があることがわかった。2)第3グループのtest-retest相関係数比較結果と,第1,第2グループの第1回目施行における各尺度の平均値の差の検定結果より,MMPI-1を基準テストと考えた場合,MMPI-2はMMPI-1と同一概念を保持し,妥当性があることがわかった。3)因子分析の結果,MMPI-1とMMPI-2の因子構造はほぼ同一であった。4)各尺度の同じraw scoreをlinear T-score,あるいはuniform T-scoreに変換した場合,MMPI-1とMMPI-2のプロフィール形態はMf尺度を除き,類似していた。MMPI-2における変化はこれまでMMPI-1で保証されていた心理学的測定道具としての特性を変えるものではなく,基礎尺度に関しては実質的に同一のものであると考えられた。
著者
岸野 洋久
出版者
日本生態学会暫定事務局
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.187-196, 2015

集団や群集の構造を調べるとき、まずは平均的な特徴や平均的な関係に光が投げかけられる。そこからのかい離は誤差項で、推定の際には最小化すべき厄介な存在として位置づけられる。ここでは集団や群集を構成する個体の間の多様性に等量の光を投げかけ、関係式のモデリングと誤差のモデリングを不可分のものとして位置づける。最尤法はデータの生成メカニズムを尤度の形でモデリングするため、自然に2つのモデリングを融合させることができる。尤度の対数をとった対数尤度は、統計モデルの真の生成メカニズムへの近さの度合いを、相対量の形で表現している。ただし、統計モデルをデータに当てはめて得られた最大対数尤度は、近さの度合いを過大評価している。これを補正して得られた不偏推定量である情報量規準AICは、種々の異質な統計モデルを比較することを可能にする。本論文は、殺虫剤の効用試験、苗木の成長試験の2つの古典的データを見つめなおし、実例を通して最尤法とAICによる統計的モデル分析の有効性を示すことを目的とする。前者はタバコスズメガ幼虫(<i>Phlegethontius quinquemaculata</i>)のカウントデータであるが、各処理でポアソン分布から期待される分散を超える過分散があること、さらにこの過分散がブロック間の不均質性で説明され、ブロック内は環境を均質に保たれていたことを見る。後者はベイトウヒ(Sitka spruce, <i>Picea sitchensis</i>)のサイズを継時的に測定したデータで、オゾンへの曝露の影響を調べたものである。初夏から秋にかけてのある年の成長をロジスティックモデル、およびパラメータに分布を導入した変量ロジスティックモデルで記述する。モデルを通して、成長開始前のサイズとその年の成長幅には大きな個体差があること、6月末が成長の最盛期であること、成長期間にはほとんど個体差はなく、2か月半であることを見る。モデル選択を通して分析対象とデータの持つ情報の量と質に関して理解を深めさせることが、AICのもたらす最大の効用であることを、これらの解析は示している。
著者
高橋 正樹 岸野 洋久
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.47-60, 2001-03-31 (Released:2016-09-30)
参考文献数
13

人生の各段階で私たちはさまざまな出来事(ライフイベント)に遭遇する。困難な状況下における人の意識や行動(対処)の様式は、イベントの有無や置かれた環境のみならず、幼児期から現在にいたる個人の人生経験にも大きく影響される。そして、この対処が続く人生の行動様式を形作って行く。こうした人生の長期にわたる履歴をはかる手法として、詳細な口述記録に基づくライフヒストリー研究や人生のある側面を投射した記録を繋ぎ合わせて行くライフコース研究がある。本稿では、集団解析を通じて、記憶化された人生の出来事の持続時間と他の出来事による置き換わりの過程を定量化することを試みる。目黒区住民を対象とした質問紙調査から、結婚や親の死、子の誕生などが強い出来事として記憶化される、という全体の傾向を明らかにした。ライフコースに添った思い出の置き換わりが見られるが、女性に比べ男性の方が置き換わりの程度が大きいこと、置き換わりは職業上の出来事の記憶化によって促進されること、通常の人生軌道では予期されていないような出来事は長期にわたり記憶化される傾向があることなどが明らかになった。また、集団の探索的解析により「戦争体験」といった同時代経験の重みを量的に位置づけることができた。人生の実証分析というテーマの中に、質的アプローチと量的アプローチの統合への可能性を読み取ることが期待される。
著者
談 小健 高野 泰 岸野 洋久
出版者
日本計量生物学会
雑誌
計量生物学 (ISSN:09184430)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.167-179, 2000-03-30 (Released:2012-02-27)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

Paired comparison is popular in preference trials. The estimated Scores have high accuracy, even if the data include measurement errors. However, incomplete comparison becomes inevitable, especially when the number of objects to be scored is large. In such cases, high precision by paired comparison is not guaranteed. In this paper, we propose a maximum likelihood estimation of scores, based on four-fold choice data. An empirical study of flower preference showed that the method of four-fold choice takes about the same time as a paired comparison, and the estimated scores were almost the same for the two procedures. It was clearly shown, by numerical simulation, that the precision of the estimated score of the most preferred object does not decrease with an increased number of objects to be compared in the method of four-fold choice. This is in great contrast to the paired comparison method. The estimated scores of less preferred objects have larger variances in the method of four-fold choice, whereas those from paired comparisons have similar variances for all objects. Thus, the four-fold choice method is effective when the scores of Most preferred objects are matters of concern.
著者
北田 修一 岸野 洋久 浜崎 活幸 北門 利英
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

養殖や種苗放流が天然集団に及ぼす遺伝的影響を評価した。有明海では、外来種の中国アサリが在来アサリと交雑し、その遺伝子が約半分を占めた。サワラ放流魚の遺伝的多様性は低く、放流量が餌の供給量を超えた場合には、天然魚を置き換えた。養殖マダイは長年の選抜育種のため遺伝的多様性が低く、形態も変化していた。スチールヘッドの相対繁殖成功度は、交配や環境の影響を受けて変動が大きい。適応度低下の分子メカニズムを明らかにするため、遺伝子発現と形質のグラフィカルモデルを開発した。