著者
川井 清司
出版者
日本結晶成長学会
雑誌
日本結晶成長学会誌 (ISSN:03856275)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.185-193, 2015 (Released:2017-05-31)

Crystallization and glass transition behaviors of carbohydrate materials were reviewed. Firstly, effects of water content, molecular weight, and types of monomer and chemical bond on the glass transition temperature, effect of aging treatment on the glassy properties, and crystallization behavior of low molecular carbohydrate materials such as sucrose and trehalose were explained. Secondary, gelatinization and/or melting, recrystallization (retrogradation), and glass transition properties of starch were explained. Finally, cookie was employed as a typical carbohydrate enriched food, and practical significance of the physical control was exhibited.
著者
井口 亮 川井 清司 羽倉 義雄
出版者
一般社団法人 日本食品工学会
雑誌
日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.13-20, 2012-03-15 (Released:2015-06-18)
参考文献数
18
被引用文献数
1

誘電特性は試料の構造,組成,相,温度などの物理的な要因と関連がある.そのため,これらの物性を利用した測定法は試料の構造を把握する有効な手段となる.また,この測定法では非破壊測定が可能である.この研究において,我々はヨーグルト中の気泡が誘電特性(複素静電容量)に及ぼす影響を調べた.ベースヨーグルトに気泡を分散させることにより試料を準備し,ヨーグルト内の気泡量や気泡サイズが誘電特性に及ぼす影響を検討した.その結果,ヨーグルト内の気泡量の増加に伴って静電容量は増加した.さらに,ヨーグルト内の気泡径の減少に伴って静電容量は増加した.これは,気-液界面における界面動電現象が静電容量の増加に寄与していると考えられる.一方,50 Hz-1 MHz範囲でベースヨーグルトと気泡含有ヨーグルトの複素静電容量の測定を行い,これらの測定値を基にCole-Coleプロットを描いたところ,両サンプルの円弧の大きさに明瞭な違いが見られた.Cole-Coleプロットの円弧部分の周波数範囲内では,空気含有ヨーグルトの静電容量は,常にベースヨーグルトよりも大きかった.以上の結果から,誘電特性の測定によりヨーグルト内の気泡を定量化できる可能性を示すことができた.
著者
金森 一紀 魚谷 浩平 高倉 文嗣 西岡 真二 越野 健 藤村 政樹 中積 泰人 岡藤 和博 松田 保 上尾 友美恵 柴山 正美 川井 清
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.970-976, 1986-09-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
24

健常者および非発作期の気管支喘息患者を対象に深吸気の影響を検討した. Maximum expiratory flow-volume curve のV25をMEF25, これと同一肺気量における partial expiratory flow-volume curve のVをPEF25とし, Deep Inspimtion (DI) Index=(PEF25-MEF25)/PEF25を求めた. 健常者では若年者の DI Index は負となり深呼吸による気道拡張効果が認められたが, この効果は加齢とともに減弱し, 50歳以上では DI Index は正の値になった. 抗コリン剤吸入後には DI Index は有意に増加して正の値となり年齢差は認められなくなったことから, 若年者では迷走神経の緊張が強く気道の resting tone が収縮性に保たれていることが推測された. 気管支喘息のうち40歳未満で%FEV1.0≧70%の患者では DI Index は負となり, 抗コリン剤吸入後には有意に増加して年の値となったことから, 気管支喘息でも深呼吸の気道拡張効果は存在し迷走神経が関与していると考えられた.
著者
草壁 雄太 川井 清司 羽倉 義雄
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.323-331, 2013-07-15 (Released:2013-08-31)
参考文献数
24

本研究では,連続相に高粘度のヒドロゾル,分散相に揮発性のある精油のD-リモネンを用いて,蒸気吹き込み法によりO/Wエマルションを調製した.本研究では,[1]蒸気吹き込み法によりO/Wエマルションが調製されるメカニズム,[2]蒸気吹き込み法により調製したO/Wエマルションが安定化する条件,[3]蒸気吹き込み法の技術的可能性,以上の3項目について検討を行った.その結果,以下の事項が明らかとなった.(1) 図3に示すメカニズムで蒸気吹き込み法によりO/Wエマルションが調製される. (2) 連続相の降伏応力と生成直後の分散粒子の投影面積当たりの浮力との圧力差ΔPが十分に大きい場合,生成直後の分散粒子が浮上することなく連続相中にトラップされ,エマルションの生成・安定化が可能になる.(3) ΔPは連続相の増粘剤濃度および温度に強く依存する.(4) 乳化条件の一つである蒸気吹き込み時間は,連続相温度や連続相の降伏応力に大きな影響を及ぼす可能性があり,蒸気吹き込み法によるO/Wエマルションの調製には,蒸気吹き込み時間の管理や連続相の十分な冷却が必要である.(5) 蒸気吹き込み法により分散粒子が微細かつ一峰性の粒子径分布を有するO/Wエマルションの調製が可能である.(6) 連続相の増粘剤濃度を適切に設定することにより,蒸気吹き込み法を用いてエマルションの分散粒子の粒子径および粒子径分布幅を制御できる可能性がある.(7) 連続相に超高粘度液体を用いた場合にも容易にエマルションの調製が可能であり,処理物(「油水混合物」又は「連続相と分散相」) の粘度上限は従来の一般的な乳化装置の1000倍以上である.
著者
真嶋 哲朗 藤塚 守 川井 清彦 遠藤 政幸
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2005

様々な光機能性クロモフォアを修飾したDNAを用いて、DNA内の光電荷分離、電荷移動機構を明らかにし、高効率・長寿命電荷分離を実現した。さらに、光機能性DNA分子ワイヤー、光エネルギー変換などの光電変換デバイスや、高効率DNA損傷法への展開を行い、DNA光ナノサイエンスの創製を試みた。