- 著者
-
水内 英充
工藤 隆一
田村 元
熊井 健得
塚原 国比古
佐藤 賢一郎
橋本 正淑
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
- 雑誌
- 日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, no.4, pp.690-696, 1986 (Released:2011-11-08)
- 参考文献数
- 16
酵素抗体法の走査電顕への応用を試みるべく, 酵素抗体法を行った遊離細胞を光顕で観察した後さらに同一細胞を走査電顕で観察するための試料作製法について検討した.(1) 材料はリンパ節のインプリントスメアから得られたリンパ球を用い, リンパ球表面マーカーである抗Leu1, 2a, 3a抗体を使用した酵素抗体法を行った.(2) 固定液は0.25%グルタールアルデハイド, PLP単独, 0.025%グルタールアルデハイド加2%パラホルムアルデヒド, 95%エタノール, メタノール, 95%エタノール・エーテル混合液の各種について検討した.走査電顕観察には0.25%グルタールアルデハイドが最も良い保存状態を示した.また, 酵素抗体反応も0.25%グルタールアルデハイドで満足すべき結果が得られた.(3) メチルグリーン核染色の影響は表面構造上認められなかった.(4) 内因性ペルオキシダーゼ反応のブロック法であるStreefkerkの方法, Isobeらの方法は表面構造へ影響を与えなかった.(5) DAB反応の沈着物はmicrovilliなどの微細構造の観察に影響を与えなかった.(6) 以上, 目的とする抗原により固定液はその都度選択しなければならないが, 遊離細胞または培養細胞に対し酵素抗体反応を施行後, 反応陽性細胞の表面微細構造を走査電顕で観察することが可能となり, 本法は酵素抗体法の走査電顕への応用法の1つとなりうると思われた.