著者
東 淳樹 時田 賢一 武内 和彦 恒川 篤史
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画論文集 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.253-258, 1999-11-20
被引用文献数
5 10

サシバの繁殖期間中である1998年5月から6月にかけて千葉県北西部の手賀沼流域の22カ所の谷津環境において、サシバの生息分布調査を行ないサシバの生息地の土地環境条件について考察した。その結果、サシバの生息確認地点は、谷津田の面積、斜面林の面積、稲作面積、谷津田に接する斜面林の面積のそれぞれの値が、非生息確認地点よりも有意に大きかった。サシバの保全を意図した谷津環境のあり方として、水田耕作された谷津田面積が十分確保され、谷津田が斜面林に覆われ、その面積が広いことが重要であることが示された。これらは、サシバの採食地点とパーチング・ポイントの確保の面から説明されることが考察された。
著者
藤田 剛 東 淳樹 片山 直樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では、里山の生物多様性を広域にわたり保全する方策として、里山の象徴種猛禽サシバの生息地保全に農地の栽培体系がどう貢献しているか、気候帯の違う複数地域での解明を目的とした。その結果、サシバ分布北限にあたる北東北では、田植え時期は温暖な関東よりわずかに遅い程度で、サシバはため池の多い農地で繁殖していること、カエル類はため池周辺で高密度に分布していることが明らかになった。サシバ分布南西部にあたる九州中北部では二毛作が盛んで田植え時期が関東より1か月遅く、主な餌生物のカエル類がほとんど生息していなかった。そして、バッタ類の生息する草地がサシバの重要な生息地として機能していることが明らかになった。
著者
東 淳樹 武内 和彦
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.573-576, 1999-03-30
被引用文献数
21 31

千葉県印旛沼流域の谷津環境に生息するカエル類について,種および個体数と生息地の環境要因の関係について調べた。調査は,1997,98年5月から7月にかけて行なった。畦の上を歩き,目撃したカエルの数と,歩いた畦の距離,周辺の環境要素などを同時に記録した。目撃種ごとの個体密度と環境要因との関係について分析した結果,個体密度に影響を与えた要因として,水田の暗渠排水施設の整備,斜面の土地利用,用水の取水方法,水路の配置などがあげられた。ニホンアカガエル・トウキョウダルマガエルの生息は圃場整備による乾田化によって負の影響を受けやすいが,ニホンアマガエルは乾田化の影響を受けにくいことが明らかとなった。
著者
東 淳樹 武内 和彦
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.573-576, 1999

The research on the relationship between the environmental conditions of the habitat and the speci.es and the individual number was made in respect to the frogs which inhabiting in the Kashima and Tegri River, watershed of Inba Marsh, Chiba Prefecture. The field-survey was carried out from May to July in 1997 and 1998. Walking on the paddy field ridge, the number of the frogs, the walking distance and the environmental factors of the surrounding area were recorded. Then the relationship between the individual density of each species and the environmental conditions was analyzed by means of Hayashi's quantification theory I. As a result, the major factors which would affect the individual density were clarified: The underdrainage of the paddy field, the landuse of the slope, the irrigation system and the arrangements of the canal. Another fact was also revealed that the reformation into well-drained paddy field which is promoted by the farmland consolidatuin tends to have the negative impact on the inhabiting of the Japanese brown frog while it does not have much affect on that of the Japanese tree frog.
著者
東 淳樹 長井 和哉
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

ミサゴは、ダム湖という人工的な環境で人為的に移植放流された外来魚に依存して生息分布を拡大している可能性があり、看過できない事態と言える。本研究では、本種の従来の生息地である沿岸部と比べて、ダム湖のほうが本種の繁殖成績がよいとの仮説をたて、その検証を試みる。巣内カメラによる給餌生態、巣立ち雛数や栄養状態、直接観察による採餌生態と採餌環境、GPS送信機による環境利用、移動分散、渡り、遺伝的多様性と遺伝的構造の解析、腸内細菌叢の遺伝子解析による個体の健康状態等について調査を行う。それらの知見を得ること、そしてそれをもとに健全な水域生態系を取り戻すための指針を打ち出すことを目的とする。
著者
藤田 紀之 東 淳樹 服部 俊宏
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.403-410, 2013-10-25 (Released:2014-10-25)
参考文献数
20

岩手県盛岡市において,ハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)およびハシボソガラス(C. corone)の生息分布と土地利用に対する選好性を明らかにするために生息確認地点を記録し,生息分布図の作成および生息確認地点と土地利用との関係を解析した.繁殖期,非繁殖期においてハシブトガラスは市街地や緑の多い住宅地を採食・休息環境として選好していたこと,ハシボソガラスは,水田を採食環境,市街地や緑の多い住宅地を休息環境として選好していたことを定量的に明らかにした.また,両種の生ゴミに対する依存度の違いが採食環境の違いに現れていることを考察した.市街地や農耕地の混在した地域では,両種の選好する採食環境が混在するため,両種が同所的に生息できるのではないかと考えられる.
著者
東 淳樹 武内 和彦
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.573-576, 1998-05-25 (Released:2011-07-19)
参考文献数
15
被引用文献数
27 31

千葉県印旛沼流域の谷津環境に生息するカエル類について, 種および個体数と生息地の環境要因の関係について調べた。調査は, 1997, 98年5月から7月にかけて行なった。畦の上を歩き, 目撃したカエルの数と, 歩いた畦の距離, 周辺の環境要素などを同時に記録した。目撃種ごとの個体密度と環境要因との関係について分析した結果, 個体密度に影響を与えた要因として, 水田の暗渠排水施設の整備斜面の土地利用, 用水の取水方法, 水路の配置などがあげられた。ニホンアカガエル・トウキョウダルマガエルの生息は圃場整備による乾田化によって負の影響を受けやすいが, ニホンアマガエルは乾田化の影響を受けにくいことが明らかとなった。
著者
東 淳樹
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.477-481, 2017
被引用文献数
1
著者
日鷹 一雅 嶺田 拓也 渡邊 修 本林 隆 東 淳樹 大澤 啓志
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

まずはカメ類、両生類、畔畔の高等植物、昆虫等について現状の生息状況を在地の多様な研究者と検討した。その結果から、トノサマガエル、イシガメ、チガヤ、ススキ、ヒメゲンゴロウなどの水生昆虫などの水田普通種が地域的に減少傾向であった。これらの普通種減少について、激減仮説(新農薬・侵入生物・栽培環境・圃場整備など)のそれぞれが減少要因に関与していた。減少傾向の種のうち、とくに減少傾向の顕著な種群に悪影響を及ぼす要因について影響評価実験を行った。メソコズムとマイクロコズムを考案し、半致死濃度を求め、ある殺虫剤の悪影響をつきとめた。昆虫種の中には地域個体群の激減に一部の普及農薬の化学成分が影響していた。減少種とその要因の関係性は多様であり、在地の研究者の役割は大きい。
著者
東 淳樹 武内 和彦 恒川 篤史
出版者
社団法人環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学. 別冊, 環境情報科学論文集 = Environmental information science. Extra, Papers on environmental information science (ISSN:03896633)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.239-244, 1998-11-16
被引用文献数
17

千葉県印譜沼流域鹿島川水系において,サシバの分布および生息環境について調べた・まず,サシバの繁殖期間中にあたる1997年4月下旬から6月初旬にかけて,生息分布を調査した・また,同年5月下旬から7月下旬にかけて,ラジオ・テレメトリ法により繁殖期間中の繁殖雄4羽の行動追跡を行なった・その結果,サシバは,谷津環境に生息し,生息分布は,谷津田の幅の広さと関連があった・サシバは斜面林を移動しながら採食し, 6月初旬までは谷津田を採食場所として利用したが,それ以降は林縁部,林冠部へと採食場所を移行させた.これらのことから,サシバは採食効率の面から谷津環境を営巣および採食場所として利用していると推察された.We studied the distribution and habitat use of the Gray-faced Buzzard Eagle, Butastur indicus, along the Kashima river, watershed of lnba Marsh, Chiba Prefecture. Eagles were censused on maps from late in April to early in June, 1997. Four male eagles were radio-tracked from late May to late July inthe same year. The eagles occurred at Yatsu-environment, which is composed of Yatsuda (small paddy held) and forests on terrace scarp, and they preferred narrow Yatsuda. The eagles perched in trees on terrace scarp through the breeding season, and foraged in Yatsuda until early June. But, in June and August, the foraging site shifted from Yatsuda to forest edge and canopy. These results suggest that the eagles selected Yatsu-environment as nesting and foraging habitat to increase their foraging efficiency through seasons.