著者
杉山 大樹 圓尾 拓也 信田 卓男 石川 剛司 金久保 佳代 斑目 広郎 茅沼 秀樹 菅沼 常徳
出版者
一般社団法人日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.8-13, 2010 (Released:2010-02-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

肺指症候群と考えられた猫5例の臨床所見について検討を行った。肺原発巣に伴う呼吸器徴候は5例中1例のみで見られ、ほかの4例では呼吸器症状は全くみられなかった。播種転移部位は、主に、指、体表部筋肉、皮膚であった。5例の中央生存期間は60日(12~125)であり、呼吸器徴候を伴い死亡したものは1例のみであった。これらの臨床所見から、本病態における治療として、肺葉切除は意義が低いことが示唆された。また、転移病変は全身に存在することから、断指をはじめとする外科的治療は残存する指や肢の負重増加により動物の生活の質をさらに低下させる可能性が示唆された。
著者
伊藤 哲郎 茅沼 秀樹 斑目 広郎
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.e14-e17, 2022 (Released:2022-01-15)
参考文献数
7

16歳齢,去勢雄の雑種猫が食欲不振,体重減少を主訴として来院し,頸部腹側に2cm大の皮下腫瘤が触知された.血液検査において総カルシウム及びイオン化カルシウムの高値を認めた.症例のintact上皮小体ホルモン(parathyroid hormone:PTH)は基準範囲内であったが,実験的に高カルシウム血症を誘発した健常猫において報告されたintact PTHと比較すると高い値であり,血清イオン化カルシウム濃度に対応したPTH抑制調節の破綻が推測された.画像検査により頸部腫瘤は腫大した上皮小体であることが疑われた.外科切除した腫瘤は病理組織検査において上皮小体腺腫と診断された.術後に総カルシウム値及びイオン化カルシウム値は速やかに正常化し,2年間の観察期間に再発は認められなかった.
著者
横山 大希 川原井 晋平 榎本 力弥 菅原 優子 安齋 眞一 斑目 広郎 茅沼 秀樹
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.149-152, 2019 (Released:2019-09-20)
参考文献数
10

11歳齢,未去勢雄のミニチュア・ダックスフンドが右膁部の限局性脱毛を主訴に来院した。皮膚科検査にて休止期脱毛を認めたために画像検査を行い,皮下陰睾,前立腺肥大,腹腔内腫瘤を認めた。血清エストラジオール(E2)の高値とテストステロン/E2比の低値を示したため分泌性精巣腫瘍を疑った。腹腔内陰睾を外科摘出後,病理組織学的検査にてセルトリ細胞腫とセミノーマの混合腫瘍,皮膚生検にて皮膚萎縮と休止期毛包と診断した。術後に血清E2の低下と発毛があり,E2分泌性セルトリ細胞腫による性ホルモン性脱毛と診断した。
著者
斑目 広郎 広瀬 学 広瀬 みさき 佐藤 加奈子 森 恵 山田 一孝
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.e183-e186, 2023 (Released:2023-08-05)
参考文献数
9

16歳齢,避妊雌猫が肛門左側にできた潰瘍化した皮膚腫瘤を主訴に個人動物病院に来院した.切除腫瘤の病理組織学的検査を実施し,肛門囊腺癌と診断後,第82病日に死亡した.死後CT後に病理解剖を実施し,局所再発と全身多発転移を伴う両側性肛門囊腺癌と診断した.
著者
多々良 成紀 杉山 広 熊沢 秀雄 斑目 広郎
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.45-47, 2010-03
参考文献数
15

高知県の動物園で飼育されていたミーアキャット(Suricata suricatta)の1例について,左肺の虫嚢から2隻の吸虫が認められ,その虫体と卵の形態学的特徴およびDNA分析から宮崎肺吸虫(Paragonimus miyazakii)と同定された。ミーアキャットの飼育区画に侵入した野生サワガニ(Geothelphusa dehaani)を摂食し感染したと考えられた。本例は,輸入動物であるミーアキャットが動物園飼育下で宮崎肺吸虫に自然感染した初めての報告である。
著者
信田 卓男 圓尾 拓也 岩崎 孝子 川村 裕子 武田 晴央 斑目 広郎 茅沼 秀樹 菅沼 常徳
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.57-60, 2009-01-20
参考文献数
22
被引用文献数
1

犬の皮膚肥満細胞腫58例に対して,プレドニゾロンを1日1回投与して1~4週間後に腫瘍の縮小効果を判定した. プレドニゾロン投与量の中央値は21.5mg/m<sup>2</sup>であった. プレドニゾロンによる肥満細胞腫の縮小は35例で認められ,反応率は60.4%であった. また,完全寛解(CR),部分寛解(PR)が得られるまでの期間の中央値はそれぞれ14日,10.5日であった. 反応群35例(CR7例,PR28例)と非反応群23例(無変化(SD)18例,増大(PD) 5例)では初回の腫瘍体積に有意差が認められ(p<0.001),反応群の体積中央値は2.69cm<sup>3</sup>,非反応群は18.85cm<sup>3</sup>であった. プレドニゾロンは犬の皮膚肥満細胞腫の治療に重要であることが再確認され,腫瘍体積の小さいものほど有効であることが明らかとなった.
著者
信田 卓男 福岡 里江子 圓尾 拓也 伊藤 哲郎 川村 裕子 武田 晴央 杉山 大樹 石川 剛司 山田 徹 斑目 広郎 茅沼 秀樹 菅沼 常徳
出版者
一般社団法人日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.58-63, 2010 (Released:2010-12-15)
参考文献数
25

犬のリンパ腫107例に対して、L-アスパラギナーゼとプレドニゾロンにより初期導入を行い、その反応を分析した。評価可能であった104例のうち、寛解率は92.3%(完全寛解27.9%、部分寛解64.4%)であった。皮膚型リンパ腫より多中心型リンパ腫の方が、有意に寛解率が高かったものの(p=0.045)、ステージ、サブステージ、ステロイド投与歴による差は認められなかった。臨床的に有意なアナフィラキシー反応や膵炎は認められなかった。以上のことから、L-アスパラギナーゼとプレドニゾロンによるダウンステージを目的とした導入は、有効であると考えられた。
著者
佐藤 敏彦 信田 卓男 圓尾 拓也 川村 裕子 山田 徹 伊藤 哲郎 武田 晴央 杉山 大樹 石川 剛司 斑目 広郎 茅沼 秀樹 菅沼 常徳
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.20-24, 2012-12-19 (Released:2012-12-19)
参考文献数
17

人の肺癌では、腫瘍随伴症候群として好中球増加症や単球増加症を伴う白血球増加症が報告されている。しかしながら、犬では腫瘍随伴性白血球増加症の報告は少ない。今回、初診時の血液検査にて好中球を主体とした白血球増加症を示した犬に対し、種々の検査を行った結果、巨大肺腫瘤を認め、肺腫瘤の摘出術を行った。術後の病理組織学的検査にて肺腺癌と診断されたが、腫瘍の摘出とともに劇的な好中球数の回復がみられ、肺癌による腫瘍随伴性白血球増加症と診断した。
著者
髙平 篤志 信田 卓男 圓尾 拓也 斑目 広郎
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.9-12, 2012-11-28 (Released:2012-11-28)
参考文献数
11
被引用文献数
2

雑種猫、避妊雌、15歳齢が低血糖性痙攣で来院した。インスリノーマが疑われ、試験開腹を行った。膵左葉に2か所の腫瘍が確認され、膵左葉部分切除を行った。病理にてインスリノーマと診断した。術後2年以上、無治療にて経過は良好であったが、術後30カ月目に低血糖性痙攣を再び発症した。試験開腹にて膵臓や他の腹腔臓器に多数の白色結節が認められたが、病理にて過形成と診断された。その3日後に痙攣が再発したため、安楽死処置となった。インスリノーマの転移が疑われた。