著者
新地 辰朗 西村 治彦 北添徹郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.1592-1600, 2001-06-15
被引用文献数
5

鳥,魚,バクテリアなどにみられるように,動物の群行動には全体の動きを統率する特別な個体が存在しなくても,全体に自律的な挙動が創発されるものがある.本研究では,生態観測結果に基づく魚の行動モデルに従う魚群行動をコンピュータ上に再現し,そこでの広い範囲に及ぶ群行動の特徴を分析する.各尾の位置座標を成分とする時系列データに対してフラクタル解析を適用した結果,軌跡の粗視化パターンの形状比較から視覚的にとらえられる挙動性質をフラクタル次元として定量的に評価することができた.このことは,実際の観測実験においても長時間にわたる観測データが必要であり,その全体の評価を通して動物行動の理解が進むことを示唆している.Some of animals such as birds, fish, bacteria and so on show aggregate movements.These animals' behaviors are autonomous and they will be emerged in spite of the absence of a consistent leader for the entire system. In this study, we simulate fish school movements based on the observation data of real fish movements and try to analyze the characteristics of the autonomous behaviors. With the fractal analyses to the time series of the fish school coordinates, we could quantitatively evaluate the complexity, shown in the visual comparison of trail patterns, as the fractal dimensions. This study suggests the necessity of analyses with the long time observation data to understand further real animals' movements.
著者
矢野 陽子 新地 辰朗 荒木 賢二 河南 洋
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.3-13, 2008-01-21 (Released:2017-04-18)
参考文献数
21

本研究では,ユビキタス社会の授業を想定して,インターネットと校内LANを用いて学生と教師がそれぞれのPC (=Personal Computer)を双方向に使用する教室での授業を試みたものである.ユビキタス社会ではメディアはシンプル化し,形状も縮小化してくる.学生の学習と教授方法には主にネットワークが用いられる事が予測される.そうした社会により近い環境を設定し,ペーパーレスで授業の完全ICT (=Information and Communication Technology)化の検証を大学の情報教育の授業で行った.本検証によりユビキタス社会の授業での問題点と効果及び課題について研究した.また,ユビキタス社会へ向けて授業のICT化が効果的に実施されるためには,学生側より教師側のメディアリテラシーの習得環境を整備する必要性が示唆された.
著者
中山 迅 小牧 啓介 野添 生 安影 亜紀 徳永 悟 新地 辰朗
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S43041, (Released:2019-11-25)
参考文献数
3

改訂後の小学校学習指導要領で求められているプログラミング体験について,理科の教育目標や内容と整合しない学習活動に陥る危険性に着目し,その解決策について授業実践を通して事例的に検討した.小学校第4学年理科の「電気の働き」単元において,児童が作成・実行したプログラムについて,科学の言葉を用いた説明を行う活動を取り入れたところ,プログラムによって制御されたモーターで動く車の動作について,「電流」という言葉を用いて行う科学的な説明に向上が見られた.このことから,小学校理科の問題解決的な学習にプログラミング体験を日常生活と関連した文脈における「ものづくり」の活動として組み込むことで,プログラミング体験と理科の教育目標にそった問題解決の学習を整合的に実施できることが事例的に確認できた.
著者
西村 治彦 新地 辰朗
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.787-796, 1995-04-15
参考文献数
25
被引用文献数
9

力学系アトラクタとの対応により、セルオートマトンの多様な挙動パターンがWolframによって4つのクラスに分類されて以来、クラス4は秩序的なクラス1,2と無秩序(カオス)的なクラス3の境界に位置する特異な存在として、様々な視点から注目されてきた。本論文では、このクラス4とクラス3の違いを定量化する新たな試みとして、1次元2状態セルオートマトンに時系列フラクタノレ解析の手法を適用する。セノレ配列全体を時系列ベクトルデータとすることにより、挙動の大域的性質が精確に捉えられる。その結果、3近傍と5近傍ルールの具体的評価を通して、クラス4はフラクタノレ次元が大きく異なる粗視化時間構造の重ね合せ状態であることが明らかとなった。従って、ここでの解析法は、セルオートマトンのクラス分類を定量化する指標として十分有効であると言える。
著者
安影 亜紀 新地 辰朗
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.43-46, 2018-12-01 (Released:2018-11-28)
参考文献数
6

本研究は,小学校プログラミング教育の授業実施と校内研修・人材育成の方向性を探ることを目的としている.教育研修センター等が主催するプログラミング教育に関する研修内容に対する調査から,講義・演習・協議が実施されていることが確認された.それらの要素を含む教員研修を実施し,研修前後で質問紙調査を行い,内容を分析した結果,プログラミング教育の授業実践だけでなく,同僚の実践への改善案の提案など,プログラミング教育の促進に関する自信も高まったということが分かった.