- 著者
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吉川 夏樹
有田 博之
三沢 眞一
宮津 進
- 出版者
- THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
- 雑誌
- 水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.5, pp.271-279, 2011-09-05 (Released:2012-07-06)
- 参考文献数
- 19
- 被引用文献数
-
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田んぼダムは,水田耕区の排水孔を装置化して落水量を安定的に抑制することによって,豪雨時における水田地帯からの流出量のピークを平滑化し,下流域の洪水を緩和するものである.田んぼダムの効果発現の特徴は,以下の5点に整理できる.①洪水調節量の操作可能性,②地区環境によって変化する効果,③効果の自律的発現,④発生しない生産効果,⑤制限される農家の危険回避行動.本稿では,新潟県村上市神林地区の取組事例をもとに,田んぼダムの公益的機能の評価を試みるとともに,技術上の特性と可能性を検討し,技術展開の方向性について提案した.神林地区の事例における評価額は,代替法を用いた試算では 39,000円/10 a/年であった.これは,水稲10 a当たり農家所得(24,000円/10 a/年)を大きく上回る.田んぼダムを適切に活用することによって多くの地域の洪水緩和に効果を発揮することが期待されるが,計画論的観点から戦略的な整備のあり方について提言した.