著者
木下 修一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.543-555, 2011-12-10 (Released:2011-12-13)
参考文献数
31

構造色は自然界に広く分布していて,進化の過程で獲得したさまざまな微細構造は,フォトニクス技術の先取りとして強い関心を持たれている.構造色は,光のエネルギーをまったく失うことなく発色するので,最高にエネルギー効率の良い発色法であり,また,重金属を用いないことから環境にもやさしい発色法として注目されている.ここでは,構造色に関連したさまざまな光学現象,すなわち,薄膜干渉,多層膜干渉,フォトニック結晶,回折格子,光散乱について概説し,特に,発色機構との関連について述べていく.また,自然界での構造色の一般的な法則を明らかにし,生物における構造の多機能性についても述べる.
著者
木下 修一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.15-21, 2009-01-15

多様な昆虫の世界で色情報がどのように生成され,利用されているか概説する.ここでは特に,微細構造が関係した発色現象に着目した.微細構造が生み出す「構造色」の例として,タマムシ,コガネムシ,モルフォチョウなどの多層膜構造,マエモンジャコウアゲハなどのフォトニック結晶,さらに,イトトンボに見られる乱雑な構造がつくる色について詳述する.また,色素による発色も単に色素だけではなく,ミクロな構造が深く関係していることをモンシロチョウの白,キチョウの黄色,アゲハチョウの黒などの例をあげて説明する.これらの色情報は,メスやオスに対するアピールであったり,捕食者に対する警戒や隠ぺいなどさまざまに利用されている.
著者
吉岡 伸也 木下 修一
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.619-623, 2009-08-05

タマムシを始めとして,昆虫や鳥など多くの生物が輝きのある鮮やかな色を持っている.これらの色は構造色と呼ばれ,自然界のフォトニック材料とでも呼ぶべき微細な構造体にその起源がある.近年のフォトニクス研究の高まりに呼応するように,生物の構造色は再び注目を集め,微細構造が示す光学特性はもちろんのこと,波長よりもはるかに大きい構造や視覚との対応をも利用した,総合的な発色の仕組みが明らかになりつつある.
著者
木下 修一 吉岡 伸也 藤井 康裕
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.10, pp.493-499, 2002-10-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2
著者
平位 和也 花田 啓明 木下 修一
出版者
社団法人 日本分光学会
雑誌
分光研究 = Journal of the spectroscopical research of Japan (ISSN:00387002)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.157-165, 2003-06-15
参考文献数
15

A new fluorescence-rejected Raman spectroscopy using frequency-domain four-wave-mixing is demonstrated. This method utilizes a broadband light pulse created by continuum generation as one of two pump pulses and a quasi-CW pulse with narrow bandwidth as a probe pulse. The resulting signal is spectrally analyzed by a monochromator-CCD detector combination. Owing to nonlinear character of this method with spatial discrimination of Raman signal from fluorescence, it is possible to measure Raman signal under fluorescent contamination, the limiting concentration of which is about 1, 000 times higher than that obtained by ordinary Raman spectroscopy.
著者
木下 修一 吉岡 伸也
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

構造色は、自然界の巧みなナノ構造と光との複雑な相互作用の結果生じる発色現象である。これまで、モルフォチョウをはじめとした多くの生物の構造色が調べられてきたが、この現象を物理学的な見地から検討することは稀であった。今回は、電子顕微鏡を用いた構造決定、光学特性の測定、物理モデルの構築、電磁場シミュレーションの方法を行い、光とナノ構造間のフォトニクス相互作用、発色と視覚・認知との関係の一端を明らかにすることができた。