著者
長 篤志 原田 哲也 木下 武志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.255-266, 2005-01-15
参考文献数
13
被引用文献数
1

本論文では,3 次元コンピュータ・グラフィックスにおける逆遠近法を提案する.逆遠近法とは絵画における描画法の1 つであり,通常の透視投影法とは逆に遠くよりも近くの物体の方が画面上で小さく描かれることをいう.提案手法では,移動する視点から見た投影像をまとめることによって3 次元コンピュータ・グラフィックスにおける逆遠近法を実現している.また,逆遠近法で描かれた絵画によく見られるように,画面内に異なる投影法によって描かれた物体が混在する場合を想定している.そのため通常の透視投影法によって描画された画面内において,一部の物体のみを逆遠近法によって投影できる.しかも,対象物体に反射,透過・屈折による質感表現と影付けが可能であるという特徴を持つ.また,逆遠近法によって線遠近法による奥行き手がかりが崩れたとしても,投影像において有効な奥行き手がかりである物体の重なり,位置関係,大きさに関して,透視投影時の投影像の状態をほぼ保持することが可能である.We propose an algorithm of inverted perspective for 3-dimensional computer graphics. The inverted perspective is a technique for drawings and pictures. Objects near a viewpoint are drawn smaller than far objects. This characteristic is opposite to the ordinary perspective. The proposed algorithm draws 3-dimensional computer graphics using the inverted perspective by patching projected images from multi-viewpoints. The algorithm considers mixture of projective methods in an image plane. The mixture of projective methods is a popular usage of the inverted perspective on ordinary drawings and pictures. Therefore, the algorithm can draw only part of objects by the inverted perspective in an image projected by the ordinary perspective. Moreover, reflection, refraction for material representation, and shadowing can be used. In the inveted perspective, the liner perspective is broken, but the proposed algorithm can maintain three depth cues that are oclusions, positions, and size of objects in an image plane.
著者
鷲谷 徹 藤本 武 木下 武男 FUJIMOTO Takeshi
出版者
(財)労働科学研究所
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

初年度においては、労働=勤務時間と生活時間の内的連関構造を明らかにすることを目的として、電機産業の既婚男子労働者を対象とした生活時間調査データの解析を行ない、そこから、1.職業関連行動時間(勤務時間、通勤時間等)の延長が他の諸生活行動時間をいかに圧迫しているかを構造的に分析し、能動的「余暇」活動を行なうためには、まとまったある程度長い時間(「最小必要連続時間」)が必要であり、長時間労働による生活時間の圧迫は量的のみならず、生活の質に大きな影響を及ぼすこと、2.家庭生活の「良好度」、労働者の健康状態等の指標を労働=生活時間の状態と関連づけて分析すると、帰宅時刻との強い連関が認められ、帰宅時刻が21時を超えると、家族関係や労働者自身の健康状態に様々な障害が発生する可能性があることを明らかにした。さらに、第2年度には、異なる2種類の生活時間調査データの分析を行い、初年度の分析結果との比較検討を行なった。そこでは、3.地域や勤務先業種、職種等の違いにも拘らず、帰宅時刻をひとつの基準として、家庭生活の良好さを確保するという視点からの、労働時間の上限の一般的目安を見いだし得ることが明らかとなり、また、4.労働時間短縮の実現に関わる労使関係上の問題解明のための実態調査結果の分析を通じて、所定外労働を行なう理由として、労働者自身は「自己の仕事を消化するため」を挙げるものがとくに多く、見かけ上は、「自発的に」時間外労働を行なっていること。この限りで、時間外労働の削減の方向は、いったん、労働時間制度の枠組みを外部化し、それ自体の遵守を労使関係の基盤と化すべく論理の倒置が要求されていることが明らかとなった。
著者
木下 武徳
出版者
北星学園大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度は、3年計画の本研究の3年目であった。昨年度にアメリカの福祉改革の全体像とその民間化の状況、ウィスコンシン州における民間化の特質などについては、まとめた。そのため、本年度は、ロサンゼルスとニューヨークの調査研究とそのまとめを行う予定であった。それを踏まえて、研究業績の概要を述べると、次のようである。第一に、ロサンゼルスには9月3日から12日まで行き、民間化された福祉事務所や管轄しているロサンゼルス・カウンティの社会福祉部の本庁などに訪問調査を行うことができた。そのなかで、インタビュー調査や公開されていない資料等を入手することができた。第二に、それらロサンゼルスでの現地調査を踏まえて、『社会科学研究』(東京大学)に、「ロサンゼルスの福祉改革における民間化の特質-GAINケースマネジメントを中心に」の論文を掲載することができた。これは、民間化された福祉事務所の委託契約の流れとそのインセンティブ収入や成果目標などをどのように設定し、福祉事務所運営を任された企業をいかに行政コントロールしているのかを明らかにした。第三に、これらのアメリカの福祉改革の権限委譲(地方分権、民間化)の枠組みを援用しながら、日本の社会福祉制度をどのように見ることができるのかを『北星論集』(北星学園大学)にて、共著であるが、研究成果を公表した。第三に、ニューヨークの福祉改革における民間化の動向については、昨年度現地に訪問することができなかったため、詳細のつめがまだ不十分であり、これまでの研究を踏まえて2008年度以降に研究成果を公表できるようにしたい。以上
著者
木下 武志 三池 秀敏 一川 誠 長 篤志
出版者
山口大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

本研究は,ベーシックデザイン教育(基礎デザイン教育)の分野横断的内容と参加型表現(造形)学習であることに着目した.理数系科目と連係させた実習課題を児童生徒に制作することによって理科や算数(数学)に関する興味・関心を高めることの可能性について,課題の考案や学習効果の定量的に評価することを目的とした.具体的な研究内容としては,同研究テーマの平成14年度からの研究成果を継続し,次の事項を行なった.1)つの実習課題を考案.2)小学生対象の実験授業の実施,及びインタビュー調査とその結果の統計分析による学習効果の明確化.3)画像処理計測による課題作品の定量的評価方法の検討.4)授業支援用Webサイトの制作.5)課題考案のための海外調査.6)研究成果の国内での発表,学術論文の投稿.研究成果として,a)実習課題については幾何学的形態の作図を行ない,それを実際に手でちぎって自由に2分割した形態をさまざまに組み合わせながら構成を考えさせた.その組み合わせをアイデアスケッチとして12個作図させ,その中から2個の形態を選択し,彩色する課題内容を考案した.また,ピクセルで描かれたキャラクターを四分木により符号化し,その符号から元のキャラクターを描く課題を考案した.b)考案課題の学習効果を調べるために小学生(山口県美東町立綾木小学校と同町立鳳鳴小学校の4年生〜6年生の12名)を対象としたに実験授業を4日間実施した.c)視覚心理に関係する講義の授業を1回実施した.d)インタビュー結果の統計分析は途中段階であるが,理数系科目への目的意識の変容と発想力,作画的造形力と興味と理数系科目への興味・関心との関連性が示された.e)評価項目の各色画に対する面積,明度,色相の「ばらつき」,構成エレメント間の「まとまり」,視覚的重心位置について課題作品を画像計測し,教育者の評価と相関関係の高い結果が得られた.f)実験授業の内容を小学校で実践することを目的とした教諭対象の授業支援用Webサイトの制作とユーザビリティテストを行なった.g)ベーシックデザインの教育者であったパウル・クレーに関する調査を行なった(スイス,ベルン).