- 著者
-
木下 武志
三池 秀敏
一川 誠
長 篤志
- 出版者
- 山口大学
- 雑誌
- 特定領域研究
- 巻号頁・発行日
- 2005
本研究は,ベーシックデザイン教育(基礎デザイン教育)の分野横断的内容と参加型表現(造形)学習であることに着目した.理数系科目と連係させた実習課題を児童生徒に制作することによって理科や算数(数学)に関する興味・関心を高めることの可能性について,課題の考案や学習効果の定量的に評価することを目的とした.具体的な研究内容としては,同研究テーマの平成14年度からの研究成果を継続し,次の事項を行なった.1)つの実習課題を考案.2)小学生対象の実験授業の実施,及びインタビュー調査とその結果の統計分析による学習効果の明確化.3)画像処理計測による課題作品の定量的評価方法の検討.4)授業支援用Webサイトの制作.5)課題考案のための海外調査.6)研究成果の国内での発表,学術論文の投稿.研究成果として,a)実習課題については幾何学的形態の作図を行ない,それを実際に手でちぎって自由に2分割した形態をさまざまに組み合わせながら構成を考えさせた.その組み合わせをアイデアスケッチとして12個作図させ,その中から2個の形態を選択し,彩色する課題内容を考案した.また,ピクセルで描かれたキャラクターを四分木により符号化し,その符号から元のキャラクターを描く課題を考案した.b)考案課題の学習効果を調べるために小学生(山口県美東町立綾木小学校と同町立鳳鳴小学校の4年生〜6年生の12名)を対象としたに実験授業を4日間実施した.c)視覚心理に関係する講義の授業を1回実施した.d)インタビュー結果の統計分析は途中段階であるが,理数系科目への目的意識の変容と発想力,作画的造形力と興味と理数系科目への興味・関心との関連性が示された.e)評価項目の各色画に対する面積,明度,色相の「ばらつき」,構成エレメント間の「まとまり」,視覚的重心位置について課題作品を画像計測し,教育者の評価と相関関係の高い結果が得られた.f)実験授業の内容を小学校で実践することを目的とした教諭対象の授業支援用Webサイトの制作とユーザビリティテストを行なった.g)ベーシックデザインの教育者であったパウル・クレーに関する調査を行なった(スイス,ベルン).