著者
松村 健太 李 知炯 山越 健弘
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.120-128, 2016-06-10 (Released:2016-11-23)
参考文献数
43
被引用文献数
2

The advent of the smartphone, a compact but powerful and multifunctional computing device, permits the measurements of various physiological indices using a commercially available device alone. This is achieved by using built-in flash LED as a light source and built-in CMOS camera as a photo detector, and is called smartphone photoplethysmography (PPG). Although smartphone PPG is so easy that even a non-specialist can operate by oneself in daily life, it should be used with sufficient knowledge of its effectiveness and limitation. Otherwise, users may encounter unpredictable pitfalls. In this review article, we describe the basics of smartphone PPG in terms of the general background of PPG, restrictions especially for smartphone PPG, and caution during measurement, which are essential information for effective daily life measurement.
著者
山越 健弘 李 知炯 松村 健太
出版者
福岡工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

諸外国では飲酒運転防止装置の実用化が進み,呼気ガス式手法が一般的になってきたが,様々な問題点がある.そこで,光電容積脈波を利用し,血中成分の吸光特性から指尖部の入射光に対して散乱された光を検出する方法に着目した.しかし,アルコール固有の吸収帯域は水への吸収度が高い近赤外長波長帯域の905 nm,1185 nm,および1690 nmに存在し,人間の身体のほとんどが水分であり,検出される光が極めて微弱で,動作や外部環境に敏感でノイズが多く,これを如何に低減できるかの実験検討をまず行い,次いで人を対象とした飲酒負荷実験を行った結果,光電容積脈波にて血中アルコール濃度が予測可能であることが示唆された。
著者
松村 健太 細川 愛美 伊藤 大輔 茅野 順子 杉田 祐司
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.457-461, 2020-08-20 (Released:2020-09-20)
参考文献数
19

血尿,元気消失を主訴に来院した犬の左側近位尿管内に占拠性病変と同側の水腎症を認めた.腎盂内減圧処置の後,開腹下で腎臓経由の生検を実施したが確定診断は得られず,病理診断は「移行上皮由来の腫瘍の可能性」であった.減容積により罹患側尿管の疎通は認められ,ピロキシカムを659病日まで投与継続したが,大きな変化がないため投薬を中断した.965病日に症例は元気消失,血尿を主訴に再度来院し,左側尿管の再閉塞を認めた.経過から良性挙動の病変の可能性が高いと判断し,尿管切開により姑息的に腫瘤を除去したところ,病理検査結果は移行上皮乳頭腫であった.術後1年経った現在,再発徴候はなく症例は良好な一般状態を保っている.犬の尿管腫瘤は良性病変についても複数報告されていることから,罹患側の腎臓尿管摘出だけでなく,診断を兼ねた減容積手術も診断・治療選択になる可能性がある.
著者
喜馬 佳也乃 猪股 泰広 曽 斌丹 岡田 浩平 加藤 ゆかり 松村 健太郎 山本 純 劉 博文
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

本研究で対象とする筑波山は,茨城県つくば市と桜川市との市境に位置する山であり,日本百名山の一つに選定されている.筑波山は二つの嶺を有し,西側の標高871mの嶺が男体山,東側の標高877mの嶺が女体山と称される.南の山麓には男体山と女体山とをご神体とする筑波山神社が鎮座し,門前町が形成されている.本研究では筑波山における来訪者の特性や交通媒体の変化に伴う筑波山門前町の観光空間としての性格の変容とその過程を明らかにした.<br> 筑波山は古代から文献に登場しており,万葉集には歌垣の地として紹介されている.古くから人々に親しまれる筑波山には筑波山神社が古代,知足院中禅寺が781年には建立された.しかし,中世には神仏習合が進んだ.江戸時代には,都の鬼門を守護する山として幕府の保護を受け,中禅寺の南方に門前町が整備された.それによって旅籠や遊女屋,茶屋や土産物屋が集積し,現在まで続く門前町が形成されることとなる.明治時代に入ると,廃仏毀釈によって中禅寺が取り壊され,中禅寺本堂跡地に現在の筑波山神社拝殿が造営された.これにより中禅寺の門前町であった地域が筑波山神社の門前町となった.<br> 門前町は明治時代に一時衰退するも,東京と水戸や土浦とを結ぶ鉄道が整備される中で,再び賑いをみせた.1925年にはケーブルカー,1966年にはロープウェイが設置され容易に登頂できるようになった.また1914年から1987年まで運営していた土浦と筑波山を結ぶ筑波鉄道,1965年に完成した筑波スカイライン,2005年に開通したつくばエクスプレスのように道路や鉄道の整備が行われ筑波山域内および筑波山への交通の利便性が向上した.<br> 筑波山は都心から70 kmという立地もあり,戦前は宿泊を伴う参拝客や,講組織のような団体客が多かった.それが戦後になると,道路交通網の発達や自動車の普及により,バスを利用した団体ツアー客や自家用車による個人客が増加した.しかし,この頃には日光を代表とする関東圏の他の観光目的地へのマスツーリズム形態が進展したことにより,筑波山の観光地域としての相対的地位が低下した.モータリゼーションの進展は,旅館から土産物屋に転向する店舗をもたらしたとともに,筑波鉄道などの公共交通の衰退に繋がり,筑波山門前町の観光地域としての地位をさらに低下させた.<br> 観光地として低迷していた筑波山門前町に新風をもたらしたのが2005年のつくばエクスプレス開通と近年の登山ブームの到来である.2001年に開湯した筑波山温泉も,多くの登山者に利用されている.しかし,登山ブームによって創出された来訪者は交通の結節点となる門前町に食事等で滞在することが少なく,観光地内での門前町の実質的な中心性はそれほど上昇していない.<br> このように門前町では登山ブームにより創出された来訪者を十分に取り込めていない.その背景には,門前町の観光関連施設経営者の高齢化といった地域内部の課題も少なからず関係している.しかし,門前町の活性化には筑波山神社を主目的とする来訪者の存在も必要であり,その意味では御朱印帳などの新たな取り組みは注目される.<br>
著者
松村 健太郎
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.179, 2022 (Released:2022-10-22)
参考文献数
35
被引用文献数
1

移動は雄の繁殖に多大な影響を与える。移動活性の高い雄は多くの雌と遭遇することが可能であるため、交尾成功度が増加すると予想される。その一方で、移動活性の低い雄は雌との遭遇頻度が低い分、交尾後の受精成功度の増加のための投資量が多いと予想される。昆虫において、脚は移動のみならず、交尾の際にも使用される重要な付属肢としての役割も持ち、様々な種で脚の形態に性的二型が見られる。雄の脚において、移動に有利な形態は、交尾時の雌の把握では不利になる可能性もあり、雄の脚は様々な選択圧のバランスによって形作られていることが推測される。受精成功度への投資量が多い移動活性が低い雄は、移動活性の高い雄とは異なる形態の脚を持つことが予想される。本研究では、コクヌストモドキTribolium castaneum Herbstを対象として、歩行活性に対する人為選抜への繁殖形質や脚の形態の反応について調査を行った。その結果、移動活性の低い方向へ選抜された系統の雄は、移動活性の高い系統の雄よりも脚が有意に長いことが明らかとなった。長い脚を持つ雄は、交尾時の雌からの抵抗に耐えることを可能とし、交尾時間の延長による受精成功度の増加において有利であることが示唆された。筆者らによる研究の結果から、脚の性的サイズ二型の進化やその度合いに種間変異が見られる現象についても議論したい。
著者
坂本 優紀 猪股 泰広 岡田 浩平 松村 健太郎 呉羽 正昭 堤 純
出版者
地理空間学会
雑誌
地理空間 (ISSN:18829872)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.97-110, 2017 (Released:2018-04-12)
被引用文献数
1

本稿は,オーストリア・チロル州において実施された筑波大学の学部生向け巡検の事例報告である。海外巡検においては,言語環境や渡航手続きなど,日本国内での巡検と比較して困難が多い。しかし,景観観察や土地利用調査などのような言語能力をそれほど要さない調査手法を用いることで,その障壁を取り払うことができる。また,渡航地の地域事情を熟知した教員による事前・事後指導を必要十分に行うことで,現地でのトラブルのリスク軽減や教育効果の向上も期待できる。今回の巡検では,学生の調査成果を,TAの準備にもとづきながらGISを用いてまとめ,考察するようなレポートを課したことで,学生にとって既習の技能の確認の機会も得られた。以上のような工夫をすることで,大学教育における海外巡検を可能にし,国内巡検では得られない地理教育的効果を学生に与えるものと考えられる。
著者
山越 健弘 山越 康弘 松村 健太 廣瀬 元
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.154-165, 2009-04-10 (Released:2009-09-09)
参考文献数
37

Physiological monitoring was carried out during the motor sport of Racing Kart driving. In addition to highlighting the importance of physiological measurement during motor sports, this study may have social relevance through its potential to contribute to decreasing automobile accidents in overload situations by using appropriate biosignals. The measurement quantities collected in this study were instantaneous heart rate, HR, vector magnitude of acceleration, G, blood pressure, BP, and core body temperature, Teardrum. After giving informed consent 11 healthy male subjects (34.4 ± 7.7 S.D. yrs) were tested in the racing circuit. We successfully monitored the physiological variables during karting, finding a statistically significant decrease in BP (p < 0.01) and a rise in Teardrum (p < 0.01) immediately after the driving period. In addition, we have confirmed that HR was maintained at approximately 150bpm, which, by means of time-frequency analysis, could be explained by sympathetic acceleration. Furthermore, it is strongly suggested that the rise in HR could be closely related to the G forces to which the drivers were subjected. These results clearly disclose to us one aspect of the possible physiological responses and the importance of physiological monitoring during motor sports.
著者
山越 健弘 小川 充洋 松村 健太 板坂 優希 宮崎 慎平 山越 康弘 ROLFE Peter 廣瀬 元 山越 憲一
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.237-247, 2012-04-10 (Released:2012-07-13)
参考文献数
40
被引用文献数
1

In this preliminary study, we examined in human volunteers the performance of the developed prototype device for non-invasive quantification of blood alcohol concentration (BAC) by near-infrared light which is highly transparent to the body. We aimed at applying the results to the final goal of developing a novel alcohol-based vehicle ignition-interlock device. Accumulating evidence shows that one of the ethyl alcohol absorption peaks in the near-infrared region is present at 1,185 nm. We combined this with our recent development of a non-invasive optical method for blood glucose measurement, which we call pulse glucometry, using blood volume pulsations in a finger within a cardiac cycle. Thus, we developed a novel method, pulse alcometry, for non-invasive measurement of BAC. We calculated second derivative values of optical density (ODλ”) to remove baseline over a band including three wavelengths, 1,150 nm, 1,185 nm, and 1,220 nm. Then, a simple linear regression analysis was performed with the measured ODλ” to predict BAC levels. In 3 healthy male volunteers, during alcohol intake and washout, periodic optical measurements using the present device were made simultaneously with collection of blood samples for in vitro BAC analysis. In leave-one-out cross validations within an individual, the measured BAC and the predicted BAC correlated well (r = 0.773∼0.846, mean absolute error = 0.134∼0.333mg/ml). We conclude that, from the results of this preliminary study, the new method appears to be able to estimate BAC levels non-invasively. However, further investigations in a larger group of subjects will be needed in order to determine fully the operational performance of this new measurement system.
著者
開田 翔一 松村 健太 加藤 祐次 清水 孝一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.514, pp.29-33, 2015-03-16

手指や手のひらの血管像による個人認証はすでに一般的に行われているが,手首血管の光透視像による個人認証を実現した例は知られていない.手首は,近年出現している腕時計タイプのウェアラブル機器の装着が容易であり,これに認証機能を付加できれば有用と考えられる.そこで我々の開発してきた光透視像技術を応用し,腕時計型デバイスで手首血管透視像による個人認証を行うことを考えた.成人手首部で得られた血管透視像に対して,ウェアラブルデバイスでも実装可能な簡易なアルゴリズムで画像処理を施し,画像相関による個人認証を行った.その結果,腕時計型デバイスでも,有効な個人認証が行える可能性を実証した.
著者
山越 健弘 山越 憲一 松村 健太
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

光電容積信号を用いた容積振動法に基づき,血圧,脈圧,心拍数,血管緊張度,および血管弾性度の5生理指標を,指一本から同時かつ簡便に取得可能なプロトタイプを開発した。そしてこの動作性能評価を行い,次いで上記5指標から体調の善し悪しを判別可能かどうかのパイロット・スタディを行った。また,飲酒運転防止を目的とし,光電容積信号を利用した血中アルコール濃度計測の可能性をin vitro(アルコール吸光特性試験)及びin vivo(飲酒負荷試験)下で予備検討した。
著者
山越 健弘 田中 直登 山越 康弘 松村 健太 ROLFE Peter 廣瀬 元 高橋 規一
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.494-504, 2010-10-10 (Released:2011-05-27)
参考文献数
19
被引用文献数
1

Motor racing athletes in the closed-cockpit category are always facing life-threatening situations caused by heat stroke, especially in hot weather. We report here the development of a novel infrared-radiation-type eardrum thermometer, with a built-in earphone, which can be used for continuous measurement in GT car racing. We examined the accuracy of the system for core body temperature monitoring in 10 healthy volunteers (21.8 ± 1.0 (S.D.) yrs) using a temperature controlled water bath. In addition, we assessed the usefulness of the system under real racing conditions with 2 professional drivers in the practice session of 2010 SUPER GT International Series Round 4 MALAYSIA being held at the Sepang International Circuit. To examine accuracy two thermistor probes, one inserted into the ear canal and the other beneath the tongue, were used for measurements of eardrum and sublingual temperatures respectively. An infrared eardrum thermometer was inserted into the contra-lateral ear canal. The measured temperatures were recorded at 30-s intervals. The results showed good correlation between the infrared eardrum temperature and both the direct eardrumtem temperature (r = 0.994, n = 1119, p < 0.001) and the sublingual temperature (r = 0.972, n = 1119, p < 0.001). The mean difference between these temperatures was + 0.09 °C, - 0.08 °C, and 1.96 S.D. was 0.21 °C, 0.44 °C, respectively. As for the field test, the system functioned satisfactorily during real racing conditions performed on the racing circuit. These results suggest that our new system can be used in a race setting as a reliable core temperature monitor and could help to improve safety of motor sports.