著者
松田 陽介 清水 瞳子 森 万菜実 伊藤 進一郎
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集 日本菌学会第53回大会
巻号頁・発行日
pp.32, 2009 (Released:2009-10-30)

イチヤクソウ属植物は根に菌との共生体であるアーブトイド菌根を形成し,自らの光合成生産物に加え,根系に定着する菌根菌を通じて周囲の樹木から光合成産物を獲得すると示唆されている.イチヤクソウは日本の様々な森林生態系の林床に生育する常緑多年生草本であるが,上記のような栄養獲得様式に関する知見はない.そこで本研究では,イチヤクソウの栄養獲得様式を明らかにするための端緒として,異なる光環境下で生育する個体の菌根形成とその形成率の季節変化,定着する菌類を調べた.調査は,三重県津市のコナラ・クヌギ二次林で行った.2007年1月から11月にかけて,合計6回,イチヤクソウ3個体ずつを明所,暗所から採取した.採取個体の光環境は,各個体と林外の被陰されない場所における照度の比較にもとづき相対照度として算出した.各個体の根系は,基部,中央部,先端部の3つの部位に大別し,各部位から10~30枚の切片を作成してから,光学顕微鏡観察を行った.根の表皮細胞に貫入する菌根菌菌糸の侵入形態にもとづき6タイプ(コイル初期,コイル,分解初期,分解,コイルなし,デンプン)に大別し,その割合を測定した.上記調査のために採取した個体,さらにDNA解析用に採取した個体の菌根からDNA抽出をしてからITS領域のシークエンス解析を行った.得られたDNA塩基配列はBlast解析を行った.採取した全ての根で菌糸コイルが確認されたことから,イチヤクソウにおいてアーブトイド菌根の形成を明示した.明所,暗所における菌糸コイルの形成率は,それぞれ16.8%から46.2%,14.1%から58.1%と季節によって異なり,上層木により林冠が被覆される5月,7月の夏期において高くなる傾向を示した.菌糸コイルの形成割合は根の部位により異なり,根の先端部から基部にかけて減少する傾向にあった.根に定着する菌種として,現在までに,主としてベニタケ科が推定されている.以上より,イチヤクソウは林床の光環境が悪くなる条件下で菌根形成を,特に根の先端部で高頻度に行なうと考えられた.さらに,イチヤクソウに定着する菌根菌種はいずれも外生菌根菌種と分類学的に同一であるため,上層木のコナラ,クヌギに外生菌根を形成する菌と菌糸を介して繋がっている可能性がある.
著者
松田 陽子 野津 隆志 久保田 真弓 乾 美紀 落合 知子 杉野 竜美 北山 夏季
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

外国人児童の母語教育の現場での課題を、教師の考えや教育実践、家庭の両親の意識などを中心に調査し、日本・オーストラリア・カナダ・タイでの取り組みの調査結果をもとに、 「言語資源」の認知、学校と家庭の連携、自尊意識を高める方策の重要性を考察した。母語・バイリンガル教育についての知見や教授法のアイデアの紹介も含め、母語学習支援のための情報ネットワーク形成のプラットフォームとなる国内初の実践的な母語学習支援専門のウェブサイトを立ち上げた。
著者
青木 芳隆 横山 修 日下 幸則 松田 陽介 土山 克樹 松本 智恵子
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

福井県住民健康診査受診者のうち、65歳以下のMetSではない5,234人を対象に、夜間頻尿とメタボリック症候群(MetS)の発症について縦断的調査を行った。平均年齢は55.6歳で、4年間でMetSは4%に新規発症していた。年齢および性別補正後、MetS発症の危険度は、夜間頻尿を有すると有意に高くなることがわかった。その危険度は、2.3倍(ときどき夜間頻尿あり)から2.9倍(いつも夜間頻尿あり)であった(それぞれp<0.05)。この結果から、夜間頻尿は将来のMetS発症の予測因子になりうると考えられた。
著者
真下 節 柴田 政彦 井上 隆弥 阪上 学 中江 文 松田 陽一 住谷 昌彦 喜多 伸一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

神経障害性疼痛モデルマウスでは疼痛出現後しばらくしてうつなどの情動異常が発症するが、うつ行動の発現にはα2Aアドレノ受容体が深く関与していることを明らかにした。さらに、モルヒネ耐性マウスではデクスメデトミジンの鎮痛効果が増強し、後根神経節のα2A、α2Cアドレノ受容体mRNAの発現増加がみられた。また、神経障害性疼痛モデルラットでは、セロトニン2C受容体のRNA編集が起こり、受容体作動薬の疼痛軽減効果が増強された
著者
[タカ]林 久顯 柴原 敏夫 松田 陽介 福井 浩一 筈井 真哉 松村 康司 近藤 悟
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EE, 電子通信エネルギー技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.545, pp.31-36, 2001-01-09
被引用文献数
3

昼間の電力のピークカットや負荷平準化に使用するため、夜間の安い余剰電力を蓄電するサイクル長寿命の電力貯蔵用制御弁式据置鉛蓄電池を開発した。サイクル寿命性能の向上は、正極に耐腐食性格子合金と高密度活物質の採用、負極に充電性能を向上させる添加剤の採用、電池の横置き(極板水平方向)設置、新規リテーナの採用、充電条件の最適化等の新しい仕様を組み合わせることで達成した。開発した電池はサイクル寿命が2000サイクル以上(放電量70%、10HR、25℃)、充放電電力効率が87%という従来にない優れた特性を有している。今回開発した電池と双方向コンバータシステムを組合わせた電池電力貯蔵システムを開発し、モデルプラントとして100Kw及び400kWのシステムを弊社工場に設置した。現在、実証試験を行っている。今後さらに再生可能エネルギーの独立電源(風力発電・太陽光発電等)への適用を進めていく予定である。