著者
工藤 倫子 小林 久美子 内藤 健太郎
出版者
ファンクショナルフード学会
雑誌
Functional Food Research (ISSN:24323357)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.34-41, 2019 (Released:2020-01-01)
参考文献数
19

生薬の一種であるオウゴンは,主に炎症の軽減やウイルス感染の治療のための漢方薬として伝統的に用いられている.近年の研究により,メラニン色素の産生を抑制する効果を持つことが新たに示され,色素沈着を改善する美白剤としても期待されている.しかしながら,それらの生理活性成分についての検証や作用メカニズムについての詳細な研究はあまりなされていない.本研究では,初めに137種類の植物抽出物中において,オウゴン抽出物がメラニン産生を最も強力に抑制する効果を持つことを示し,次いでメラニン産生抑制効果を示す生理活性成分がwogoninであること,その作用機序がメラニン産生に対し律速的に働く転写因子であるmicrophthalmia-associated transcription factor (MITF)の発現抑制であることを示す.また,これに加え,wogoninはメラノソーム輸送に対する阻害効果も併せ持つ二機能を有する成分であることを偶発的に見いだした.この効果はオウゴンの主成分であるbaicaleinなど他のフラボノイドでは見られないほか,メラノソーム輸送関連タンパク質であるmelanophilin (MLPH)を特異的に減少させるメカニズムによって生じていることを発見した.われわれの知見はオウゴン抽出物の美容分野における有益性を示唆するものであり,新しい色素沈着改善剤の開発の可能性が期待できるものである
著者
坂元 章 箕浦 康子 菅原 ますみ 鈴木 佳苗 内藤 まゆみ 小林 久美子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、テレビ番組の暴力描写、向社会的行為描写の内容分析、これらの描写の視聴が攻撃性、向社会性に及ぼす影響を検討する縦断調査を行い、テレビ番組の暴力描写に対する評価システムを提案することであった。平成15年度には、暴力の文脈的特徴を詳細に検討した米国テレビ暴力研究のコードブックを翻訳し、平成17年度までは身体的攻撃について、平成18年度には、言語的攻撃、間接的攻撃を加えて分析を行った。その結果、フィクション番組では、視聴者の暴力の学習、恐怖世界観、脱感作を高める要素は全般的に少なかったが、暴力行為後の被害・苦痛や罰の描写が少ない、多量の暴力が多い、現実性が高いなどの特徴が見られた。言語的攻撃、間接的攻撃の描写は多くはなかったが、身体的攻撃と共通する特徴が多く見られた。向社会的行為描写については、行為の成功描写は多かったが、報酬の描写は少なく、学習を促進する要素はあまり含まれていなかった。報道番組の暴力描写では、視聴者の恐怖世界観を高める要素である正当化されない暴力や被害結果の描写がある程度見られた。CMの暴力描写では、被害・苦痛描写が少ない、現実性が高いといった暴力の学習、恐怖世界観を促進する特徴が見られた。また、報道番組、CMの向社会的行為描写では、行為の成功や魅力的な行為者が多く描かれており、学習を促進する要素がある程度見られた。縦断調査では、平成16〜17年度の2回の調査への協力を得た首都圏、地方の小学校13校、中学校15校のデータを分析した。攻撃性への影響については、小学生では身体的手段による暴力や魅力的な行為者による暴力の描写が間接的攻撃性を高めること、中学生では間接的攻撃の描写が攻撃性全体を高めることなどが示された。最後に、以上の内容分析、縦断調査の結果に基づいて、暴力描写の出現頻度、影響の強さを組み合わせた暴力描写の評価システムを提案した。