著者
阿波 邦彦 堀江 淳 長江 真弥 村田 伸 林 真一郎 今泉 裕次郎 市丸 勝昭 直塚 博行 白仁田 秀一 江越 正次朗 堀川 悦夫
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Db1202-Db1202, 2012

【はじめに、目的】 COPDの骨格筋筋力低下は、全身持久力、ADL、健康関連QOLの低下、予後にも影響している。今回、外出に制限が生じ始める6分間歩行距離400mをもとに、大腿四頭筋筋力を体重で除した体重支持力指数(WBI)のカットオフ値を求めた。そして、そのカットオフ値でCOPD患者を2群に分け、身体機能、身体能力、ADL、健康関連QOLの比較をすることでWBIのカットオフ値の有用性を検討した。【方法】 対象は、研究の参加に同意が得られた男性COPD患者116名であった。平均年齢は74.4±8.7歳、BMIは20.6±3.8、%FEV<sub>1.0</sub>は50.8±23.6%であった。なお、対象の選定は、歩行に支障をきたすような骨関節疾患、脳血管障害や重篤な内科的合併症の有する者、理解力が不良な者、測定への同意が得られなかった者は対象から除外した。主要測定項目はWBIとした。副次測定項目はmMRC息切れスケール、呼吸筋力検査(PImax、PEmax)、握力、片足立脚時間、5m最速歩行時間、Timed Up and Go Test(TUG)、30秒椅子立ち上がりテスト(CS-30)、6分間歩行距離(6MWD)、漸増シャトルウォーキングテスト(ISWT)、長崎大学呼吸ADL質問票(NRADL)、健康関連QOLはSt George's Respiratory Questionnaire(SGRQ)とした。予後指標はupdated BODE indexとした。統計学的解析は、外出に制限が生じ始めるWBIのカットオフ値を6MWD-400m以上群と未満群に分け、ROC曲線にて分析した。また、分析されたWBIのカットオフ値でWBI高値群と低値群に分け、2群間にて副次測定項目の比較をStudents' t-testで分析した。なお、帰無仮説の棄却域は有意水準5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は、佐賀大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施し、ヘルシンキ宣言に沿った研究とした。なお、対象には研究の主旨、方法、同意の撤回などについて文書を用いて口頭にて説明したうえで同意を得て実施した。【結果】 外出に制限が生じ始めるWBIのカットオフ値は54.7であった。なお、ROC曲線下面積は0.798、感度は0.735、1-特異度は0.348であった。WBI高値群とWBI低値群における副次測定項目の比較は、mMRC息切れスケール(1.8±1.0vs2.3±1.0、p=0.008)、PImax(85.1±35.3vs56.0±28.8cmH<sub>2</sub>0、p<0.001)、PEmax(82.4±37.5vs54.4±32.1cmH<sub>2</sub>0、p=0.001)、握力(33.5±7.2vs 25.5±7.8kg、p<0.001)、片足立脚時間(67.0±42.0vs 22.7±30.2秒、p<0.001)、5m最速歩行時間(2.9±0.9vs3.9±1.5秒、p=0.001)、TUG(6.0±1.8vs9.1±4.6秒、p<0.001)、CS-30(18.3±4.5vs13.4±5.0回、p<0.001)、6MWD(416.7±110.6vs281.0±139.4m、p<0.001)、ISWT(411.9±170.4vs247.3±149.5m、p<0.001)、NRADL(78.7±20.3vs63.9±26.7点、p=0.001)、updated BODE index(3.7±3.0vs7.4±4.8、p<0.001)に有意差が認められた。しかし、SGRQ(39.3±17.5vs45.9±18.1、p=0.06)には有意差は認められなかった。【考察】 COPD患者における外出に制限が生じ始めるWBIは中等度の予測能を認めた。WBI低値群は、WBI高値群よりも各身体機能、身体能力、ADL、予後指標において有意に低値を認めた。これは先行研究と同様の結果であった。しかし、健康関連QOLに有意差は認められなかった。その原因として、健康関連QOLには筋力などの身体機能以外にも不安や抑うつなどの精神的症状も関与しているためと考えられる。今回の研究では、外出制限を6MWDの測定値で検討しているため、想像の域を脱していないことである。そのため、今後の課題は外出制限の具体的な設定や患者背景を検討してゆく必要がある。【理学療法学研究としての意義】 本研究は、外出に制限を生じ始めるWBIのカットオフ値を推定する一つの指標となりうる可能性が示唆された。しかし本研究では検討課題も多く残された。そのため今後も研究を重ねていき臨床の場面にて活用できるような指標に展開したいと考える。
著者
中村 朋健 上土井 陽子 若林 真一 吉田 典可
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.468, pp.31-37, 2003-11-18

近年,巨大なデータベースが世界中の至るところで作成され,そこから役立つ情報を抽出するデータマイニング技術が実用に供されるようになった.規則性の見え難いデータベースからデータベースの性質を見つけ出す場合に,類似したデータ要素を集めるクラスタリングは有効である.特に,大規模な高次元データベースからの知識抽出において,実時間性や即時応答性が要求される分野ではメモリ使用量が少なく高速なクラスタリングが要求される.本稿では,実社会データを想定した高次元かつ疎なデータ空間を対象に,処理時間とデータ要素数が線形関係であるクラスタリング手法を提案する.また,数次元の入力データに対して提案手法を適用し,与えた評価基準により提案手法を評価する.提案手法では入力のデータ空間を階層的に不均一なサイズのセルに区切り,パラメータにより密と判断された隣接したセルを結合させることで,類似したデータ要素を集めるアルゴリズムである.
著者
小出 哲士 北川 章夫 若林 真一
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究では,ディープサブミクロンVLSIチップのレイアウト自動設計に注目し,ディープサブミクロンVLSIチップの実用化と共に顕著になってきた回路のパフォーマンスの考慮,ハード・ソフトマクロブロックの考慮,及び設計時間の短縮,等の問題を解決するための以下の新しいレイアウト設計手法を開発した.1.パフォーマンスを考慮した回路分割手法の開発回路のパフォーマンスを最適化するために,論理合成後に行われる回路分割において,回路のパス遅延を陽に考慮した回路分割手法を開発した.2.パフォーマンスを考慮したフロアプランニング手法の開発ハード・ソフトマクロを取り扱うフロアプランニングにおいて,バッファ挿入と配線幅調整を考慮した概略配線とフロアプランニングを実用的な計算時間で同時に求める手法を開発した.3.パフォーマンスを考慮した配置手法の開発タイミングを考慮したクラスタリングと新しい配置モデル(アメーバモデル)に基づくタイミングドリブン配置手法を開発した.4.パフォーマンスを考慮した配線手法の開発6層以上の配線層に対して,配線幅とバッファ挿入を考慮したスタイナ木生成アルゴリズムを用いて,与えられたタイミング制約を満たす概略配線経路を階層的に求める手法を提案した.5.パフォーマンスを考慮した階層的バッファブロックプランニング手法の開発チップ領域をグローバルビンに分割し,タイミングを考慮したバッファブロックプランニングを階層的に行う手法を提案した.6.パフォーマンスドリブンレイアトに対する適応的遺伝的アルゴリズムの適用エリート度に基づく適応的遺伝的アルゴリズムを提案し,レイアウト設計手法に適用した.また,高速化のためのLSI化を行い,パフォーマンスドリブンレイアウト手法の数10倍の高速実行の見通しを得た.
著者
細谷 好志 若林 真一 小出 哲士 吉田 典可
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.89-90, 1993-09-27

ネットワーク管理における重要な問題の1つに最短経路木更新問題がある.特に各通信リンクの負荷晴報をコストと考えた場合に最短経路木更新問題を解くことは,メッセージを送る経路を決定する際に混雑した経路を避けるという意味で有用である.オンラインシステムではネットワークのトポロジが頻繁に変化するため,その都度最短経跨を更新する必要がある.動的ネットワークにおける最短経路木更新問題はこれまでにも多くの研究がなされてきた.特に,アルゴリズムの実行中でもトポロジの変化を許す場合,いつかはネットワークのトポロジ変化が安定するという仮定のもとでいくつかのアルゴリズムが提案されている.一般にメッセージ複雑度と空間計算量はトレードオフの関係にあり,さらにメッセージに持たせる情報を少なくすれば,一時的に経路木中にサイクルが生じるなどして各プロセスが正しい情報を保持するまでに時間がかかったり,ネットワークが非連結になった場合に正しい更新が保証されない.文献では,静的ネットワークのアルゴリズムを動的ネットワークに適用する手法として,トポロジの変化ごとにアルゴリズムをリセットして再起動させているが,その手法だとそれまでに集められた情報が無駄になってしまう.本稿では,少ない局所情報及びメッセージ情報によって,分散最短経路木更新問題を効率良く解くイベントドリプンアルゴリズムを提案する.
著者
若林 真一 小泉 慎哉 小出 哲士 井村 紀道 藤原 一成
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.340-343, 2003-02-15

本論文では,遺伝的アルゴリズム(GA)の実行における計算時間の短縮を目的として,任意のGAを高速に実行可能なRISCプロセッサDLX-GAを提案する.提案プロセッサDLX-GAはDLXアーキテクチャをベースとしたRISCプロセッサであり,GAの実行において多用されるビット演算命令や乱数発生命令,SIMD型命令等をサポートし,これらを6段のパイプラインで処理することによりGA実行の高速化を実現する.提案RISCプロセッサをHDL設計し,CMOS 0.35umスタンダードセルテクノロジを用いて4.93mm角のLSIチップとして実現し,評価ボード上で性能評価を行った.その結果,開発したプロセッサチップが仕様どおりに動作することを確認した.This paper proposes a new RISC processor for high speed execution of genetic algorithms (GAs).The proposed RISC processor was designed based on the DLX architecture,and a new instruction set,which was effective for high-speed execution of GAs, was implemented.The proposed RISC processor was designed with the hardware description language,and it was fabricated as an LSI chip with the CMOS 0.35um standard cell technology.From the evaluation of the fabricated LSI chip using the evaluation board,we have shown that all the functions specified by the specifications of the chip were correctly realized.