著者
小杉 正昭 桧垣 博章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.102, pp.67-72, 2009-06-18

アドホックネットワークでは、次ホップ無線ノードへのデータメッセージ転送に無線通信リンクを用いるが、一般に有線通信リンクよりも低信頼であると言われている。高信頼無線通信手法には、Ackメッセージの返信とデータメッセージの再送信によるBEC手法と、同一データメッセージを一定回数繰り返し送信するFEC手法がある。本論文では、同一のデータメッセージ転送成功率を得ることを前提として、隣接無線ノードのデータメッセージ受信機会の減少量を指標として、各中継無線ノードがBECとFECを選択的に使い分ける手法を提案する。ここでは、メッセージ紛失率、データメッセージ転送に対する要求成功率、送信無線ノードと受信無線ノードの隣接無線ノード数によって無線通信手法の選択を行なう。シミュレーション実験により、提案する選択手法がBEC固定手法およびFEC固定手法に対して6.20%および6.66%スループットを改善することを確かめた。
著者
岡 啓明己 桧垣 博章
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.54, pp.57-62, 2008-06-12

車載移動コンピュータにおけるデータメッセージの無線マルチホップ配送では、その分布が疎である領域では、コンピュータがデータメッセージを保持して移動することによってメッセージの到達率を向上させることが可能である。本論文では、車載移動コンピュータと交差点の位置を道路、と基準点からの道のりの対で表現し、これを用いてカーナビゲーションで検出した経路に沿ってデータメッセージを配送する手法を提案する。ここでは、経路探索に制御メッセージの交換を必要とせず、車載移動コンピュータの高移動頻度と高移動速度および低分布密度に対して耐性のあるデータメッセージ配送を実現する。In wireless multihop data message transmission by multiple mobile computers in ITS systems, even though in an area with sparsely distributed mobile computers, mobility of a computer with transmitting data messages helps to achieve high data message transmission ratio. This paper proposes data message transmission along a sequence of roads detected by a GPS satellite navigation system. Due to combination of dynamic determination of intermediate mobile computers and a store-carry-forward approach, higher transmission ratio and shorter end-to-end delay are achieved even with high mobility and sparse distribution.
著者
桧垣 博章 新地 公二郎 滝沢 誠
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.55, pp.25-30, 1998-06-03
参考文献数
22
被引用文献数
3

移動端末と固定端末がネットワークによって相互接続されて構成される移動体システム環境が一般的になりつつあり、このような環境でアプリケーションが高信頼に実行される要求が高まっている。これまで、固定端末のみからなるネットワーク環境を対象に、チェックポイント・リスタートによってこれを実現する手法が提案されてきた。ところが、チェックポイントデータを格納するための安定記憶を十分に持つことができない、通信チャネルが切断されることがある、といった移動端末の特性のために、これらの手法を適用することは困難であった。我々はこれまでに、固定端末は同期式チェックポイントプロトコル、移動端末は非同期式チェックポイントプロトコルをそれぞれ用いる複合チェックポイントプロトコルを提案している。本論文では、この複合チェックポイントプロトコルにおいて、それぞれの移動端末が、固定端末が設定したチェックポイントと一貫性のある状態を獲得するために、1)必要なメッセージを通信ログに記録する方法、2)リカバリが要求されたときに、複数の固定端末に分散記録されたメッセージを集約する方法、3)記録されたメッセージを正しい順番に再実行する方法、を提案する。Information systems consist of multiple mobile stations and fixed stations communicating with each other. Mission critical applications are required to be executed fault-tolerantly in these systems. However, mobile stations support neither enough volume of storage and processing power nor enough capacity of battery to do reliable communication for a long period. Moreover, wireless communication channels are less reliable. Hence, the communication channels with the mobile stations are often disconnected. Therefore, it is difficult for multiple mobile stations to take checkpoints synchronously since the communication channels with the mobile stations may be disconnected even during taking the checkpoints. We have proposed hybrid checkpointing where checkpoints are taken asynchronously by the mobile stations and synchronously by the fixed stations. In addition, the mobile stations record messages for getting local states consistent with the checkpoints taken by the fixed stations. In this paper, we popose the method how the mobile stations record the messages, gather the messages stored in the stable storages distributed in multiple mobile stations, and recompute the messages in the consistent order.
著者
松本和也 桧垣博章
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.521-522, 2012-03-06

メッセージの宛先を特定の位置に存在するノード群としたアプリケーション(AP)への期待が高まっている。一方で、AP開発のためのネットワークプラットフォームが確立されていないため、開発の難易度が高くなっている。そこで、メッセージの宛先を位置としたAPのためのネットワークプラットフォームを提案する。提案するネットワークプラットフォームでは、位置情報をアドレスとすることで指定した位置に存在するノードに対してメッセージを送信することを実現する。さらに、位置を宛先としたAP特有の通信である、リクエストメッセージを送信していないノードであっても返信先位置に含まれていることでリプライメッセージを受信することを実現可能にする。
著者
立川 敬行 桧垣 博章 滝沢 誠
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.311-312, 1996-09-04

Distributed systems are composed of multiple computers connected by communication networks. In distributed applications like teleconferences and teleclassrooms, a group of multiple objects have to be cooperated. The group communication protocol is required to coordinate the cooperation of the objects in the group. In the group communication, the following services have to be supported : (G1) A message sent by the member object is received by one or multiple destination members in the group. (G2) A member object in the group receives messages in the causal order. In the teleconferences, some new member joins the conference and a member leaves the conference. Furthermore, some object may be faulty. If the member-ship of the group is changed, every member object has to reach agreement on the membership. By the group membership protocol, only and all the member objects make agreement on the membership of the group. Reiter [2] discusses a centralized membership protocol where one coordinator object coordinates the cooperation among the objects and the data transmission is stopped during the execution of the membership protocol. In this paper, we would like to discuss how to support the services (G1) and (G2) without stopping the data transmission in the presence of the membership change.
著者
金持 徹也 桧垣 博章
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.3, pp.1-6, 2013-10-10

無線マルチホップネットワークにおいて,データメッセージ群を複数の異なる経路を用いて配送する秘密分散通信を行なうための隣接独立ルーティング手法を提案する.ここで,盗聴無線ノードを含むすべての無線ノードが高々単一経路を配送されるデータメッセージ群のみを取得し,複数経路を配送されるデータメッセージを取得しないことを実現するために,異なる経路に含まれる中継無線ノードの無線信号到達範囲の共通領域に無線ノードが含まれることを回避する.ただし,送信元無線ノードと送信先無線ノードの近隣では複数配送経路が近接することから,これらの無線ノードの近隣は盗聴無線ノードが存在しない安全領域であることを適用条件とする.また,簡易実験結果により,提案するルーティングプロトコルに従った制御メッセージ送信を行なわない盗聴無線ノードが複数経路を配送されるデータメッセージ群を取得できる領域は 1% 未満であり,これを可能とする経路が検出される可能性を考慮すれば,実際にデータメッセージ群を取得できることはほとんど考えられないことを示す.This paper proposes a novel routing protocol called neighbor-disjoint routing protocol in wireless multihop networks for secret sharing communication where data messages are transmitted along multiple wireless multihop transmission routes. Here, all wireless nodes including wiretapping wireless nodes receive data messages transmitted along at most one transmission route, i.e., they never receive data messages transmitted along multiple transmission routes. This is realized by the proposed protocol which ensures that there are no or less wireless nodes whose locations are included in wireless transmission ranges of intermediate wireless nodes included in different wireless multihop transmisison routes. In order to assure this security property, it is assumed that there are no wiretapping wireless nodes around the source and the destination wireless nodes since multiple wireless transmission routes are neighboring. A result of naive experiments show that an area where wiretapping wireless nodes are included in wireless signal transmission ranges of intermediate wireless nodes in different wireless transmission routes is less than 1% under our neighbor-disjoint routing environments.
著者
阿部 恵介 桧垣 博章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.244, pp.31-36, 2013-10-17

車輛の動線が交差する交差点では, 交通信号機によって片方の動線の交通流を一時停止することによって車輛の衝突を回避する. しかし, 物理的な信号機は, 設置, 維持, 管理のコストが大きく, 自然災害等による破損の影響が大きい. 本論文では, 車載コンピュータ間の車車間通信によって, 車輛の走行状態に基づいて協調的に生成された赤信号情報の集合である仮想信号機による車輛衝突回避手法を提案する. ここでは, 衝突回避を可能とするための車載コンピュータ間通信距離を導出し, 赤信号情報生成プロトコルを構成する. ここでは, 各車輛の走行状態によって赤信号を生成することで, 衝突回避を前提として赤信号時間を短縮することを可能とする. また, 互いに整合しない複数の信号が一時的に生成される場合でもこれを検出し, これらを生成した車載コンピュータ間の協調によって調整可能であることを示す.
著者
千明 陽 岩井 正敏 桧垣 博章
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.1-8, 2011-11-17

移動無線ノードの低密度分布環境において,無線マルチホップ配送とノード移動の組み合わせによってデータメッセージの高い到達性を実現する耐遅延ネットワーク (Delay-Tolerant Network) におけるルーティング手法を提案する.データメッセージの複製を行なわないルーティング手法では,次ホップノードの選択基準が配送性能に大きな影響を与える.本論文では,各ノードが自身の保持する複数ノードの移動計画を隣接ノードに伝達し,各ノードが保持する複数ノードの移動計画に基づいて複数ホップのデータメッセージ転送を予測計算し,より適切な次ホップノードを選択してデータメッセージを転送することで,より到達性の高いメッセージ配送を実現する.In an environment with sparse distribution of mobile wireless nodes, conventional wireless multihop ad-hoc routing protocols are inefficient due to less available neighbor nodes for detection of next-hop nodes. Thus, DTN (Delay-Tolerant Network) routing is required, which supports combination of wireless multihop transmissions and a store-carry-forward method. This paper proposes a localized advertisement method of mobility plans where each node advertises all the achieved mobility plans to its neighbor node and a routing method for data message transmissions where each node determines its next-hop node based on the achieved mobility plans. The methods are expected to realize higher reachability of data messages with lower communication and computation overheads.
著者
兼子 佑樹 桧垣 博章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.191, pp.73-78, 2010-08-26

中継センサノード列による無線マルチホップ通信によってセンサデータをシンクノードへと配送するセンサネットワークでは、バースト的に発生するセンサデータを紛失することなく低遅延で配送することが求められる。しかし、シンクノードに近い中継センサノードでは、多数のセンサノードから配送されるセンサデータが集中するため、次ホップセンサノードへの転送を待つセンサデータが増加し、中継センサノードの通信バッファがオーバフローする。また、シンクノードから遠い中継センサノードにおいても、前ホップセンサノードが自身の晒し端末、自身が次ホップセンサノードの晒し端末になることに加え、自身と前々ホップセンサノードおよび次々ホップセンサノードが互いに隠れ端末になることから、無線LANプロトコルの衝突回避機能によって送信機会が減少し、バースト的に発生するセンサデータ配送が中継センサノードの通信バッファバッファオーバフローの原因となる。これらの問題を解決するために、本論文では、前ホップセンサノードからのセンサデータ転送要求に対して空き通信バッファが無いことを通知する機構と、次ホップセンサノードから空き通信バッファが無いことを通知されたセンサノードが無線マルチホップ配送経路に含まれないシンクノードにより近い隣接センサノードへとセンサデータを転送する機構を備えることで、センサデータの紛失と配送遅延の拡大を防止する手法を提案する。
著者
桧垣 博章
出版者
東京電機大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

移動無線ノードが疎に分布する無線ネットワークでは, エンドエンドの接続を維持した無線マルチホップ通信を行なうことは困難である. しかし, 車載コンピュータを無線ノードとする ITS ネットワーク等の多くのアプリケーション環境では, ノード密度が必ずしも高くないこと, ノード分布が経時変化する場合には偏在することがしばしばであることから, 耐遅延ネットワーク(DTN)通信手法の導入が必要となる. しかし, 各中継移動無線ノードが隣接ノードを持つ機会が少ないために全域的な状況把握は困難であり, 適切なルーティングの実現が求められる. 本研究課題では, 各無線ノードの変更可能な移動計画を隣接無線ノード間で局所的に交換することによる広告手法の導入による高性能 DTN 通信を実現した. また, これを活用した ITS 支援, 広域被災地における安否情報交換, 快適な歩行支援といったアプリケーションへの応用を行なった.
著者
高橋 秀彰 桧垣 博章
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.14, pp.363-368, 2006-02-17

モバイルアドホックネットワークにおけるオンデマンドルーティングプロトコルでは、送信元移動コンピュータから送信先移動コンピュータまで経路探索要求メッセージRreqを配送することが必要である。多くのルーティングプロトコルにおいて、フラッディングによる実現がなされている。これに対して、各移動コンピュータが隣接移動コンピュータの位置情報を用いることによってRreqのコピーを必要としないFACEプロトコルが提案されているが、検出される経路のホップ数が大きくなる問題がある。本論文では、FACEプロトコルを拡張し、各部分平面の辺に沿ってRreqのコピーを時計回り、反時計回りに配送することにより、より短時間に経路を検出し、Rreq配送経路に含まれる移動コンピュータのみで構成される最小ホップ数の経路を計算する拡張FACEプロトコルを提案する。評価実験の結果、FACEプロトコルに対して、Rreqの配送時間を約46%に短縮し、検出経路長を約29%に縮小することが明らかになった。拡張FACEプロトコルは、Rreqの配送にFACEプロトコルの約2倍の制御メッセージ数を要するものの、フラッディングと比較して十分に少ないメッセージ数で経路検出が可能である。In an on-demand routing protocol for mobile ad-hoc networks(MANETs), it is required for a route request message Rreq to transmit from a source mobile computer to a destination one. Here, flooding is widely used. In FACE protocol, no flooding is used and each mobile computer depends on location infomation of neighbour mobile computers to determine a mobile computer to which it forwards an Rreq.However, a hop count achieved by FACE protocol is much larger. In order to solve this problem, the authors propose an extended FACE protocol where copies of an Rreq are transmitted in clockwise and counterclockwise around each devided surface and a shorter transmission route is detected.In our simulation results, the proposed protocol detects 46% shorter routewith twice messaages of FACE protocol, however, the required messages are much less than flooding.
著者
小崎 吉隆 卯木 宏幸 高橋 将 梅島 慎吾 桧垣 博章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.493, pp.65-70, 2003-12-05

モバイルアドホックネットフークにおけるオンデマンドルーティングプロトコルでは、送信元移動コンピュータから送信先移動コンピュータまで経路探索要求メッセージRreqを配送することが必要である。多くのルーティングプロトコルにおいて、フラッディングによる実現がなされている。これに対して、各移動コンピュータが隣接移動コンピュータの位置情報を用いることによってRreqのコピーを必要としないFACEプロトコルが提案されているが、検出される経路のホップ数が大きくなる問題がある。本論文では、FACEプロトコルを拡張し、各部分平面の辺を時計回り、反時計回りに配送されるRreqのコピーを用いることにより、より短時間により短い経路を検出する。評価実験の結果、FACEプロトコルで検出される経路の約50%の長さの経路を検出できる。また、FACEプロトコルの約2倍のメッセージ数を要するものの、フラッディングと比較して十分に少ないメッセージ数で経路検出できることが明らかとなった。