著者
森 一夫
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.p17-25, 1976-03
被引用文献数
1

物質観の発達をとらえるにあたって,まず幼児の物質観は素朴実在論的物質観であると措定する。これは外界に実在する物質を知覚されるとおりのままの固まり(mass)としてみて,物質の内的構造の把握にまでは至らないから,(1)物質の表面的属性だけで判断するために重さの概念は見かけの大きさに従属していて,したがって重量と体積とは概念的に未分化である。(2)自らの意識に反映されたとおりのままの物質としてとらえているため,欲求の度合に応じて物質の大きさの知覚に差異が生じる。このような基本的仮説に基づいて実験を行ったところ,次のような知見が得られた。1.3才児と4才児では大きい球を重いと判断する傾向が認められる。つまり幼児に関する限り,視覚が介在すると反Charpentier効率ともいうべき傾向が認あられる。これは幼児の場合,重量が見かけの体積と依存しているため,Charpentier効果に優先してこれと逆の結果が現われたものであろうと考えられる。
著者
森 一夫 出野 務
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究. 第II期 (ISSN:00227692)
巻号頁・発行日
vol.15, no.120, pp.196-199, 1977-01-31

周知のようにニュートンは『自然哲学の数学的諸原理』(以下,『プリンキIピア』と略記する)の冒頭に 定義I 物質量とは,物質の密度と大きさ(マーグニトウードー)(体積)とをかけて得られる,物質の測度である. と質量を定義している.一見循環論法とも思えるこの不自然な定義をめぐり,E.Machを初めとして今日までさまざまな解釈が行われ,議論されてきた.わが国でも『科学史研究』誌上で,渡辺正雄・板倉聖宣両氏の論争が行われたことは記憶に新しい.両者の論争によって新しい視点が提供されたのは注目すべきであるが,なおも問題点は解決されないまま残されているので,筆者はあえて別の視点からニュートンの質量の定義に関して新しい解釈を試みようとした.筆者の見解を述べる前に,その素材を提供したともいうべき両氏の論争を最初に紹介しよう.
著者
森 一夫
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.17-25, 1976-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
7

物質観の発達をとらえるにあたって, まず幼児の物質観は素朴実在論的物質観であると措定する。これは, 外界に実在する物質を知覚されるとおりのままの固まり (mass) としてみて, 物質の内的構造の把握にまでは至らないから,(1) 物質の表面的属性だけで判断するために重さの概念は見かけの大きさに従属していて, したがって重量と体積とは概念的に未分化である。(2) 自らの意識に反映されたとおりのままの物質としてとらえているため, 欲求の度合に応じて物質の大きさの知覚に差異が生じる。このような基本的仮説に基づいて実験を行ったところ, 次のような知見が得られた。1. 3才児と4才児では大きい球を重いと判断する傾向が認められる。つまり幼児に関する限り, 視覚が介在すると反Charpentier効果ともいうべき傾向が認められる。これは幼児の場合, 重量が見かけの体積に依存しそいるため, Charpentier効果に優先してこれと逆の結果が現われたものであろうと考えられる。2. 4・5才児にpositiveな価値をもつ刺激としてビスケットと,偽ビスケットの2次元的形態の大きさを評価させたところ, 後者よりも前者の方を大きく知覚している。また4・5才児ともビスケットを過大視している。さらに4・5才児に同一標本を, 一方ではpositiveな刺激として「チョコレート」と教示し, 他方のグループではnegativeな刺激として「苦い薬」と教示して3次元的形態の大きさを評価させたところ, 前者の方が後者の場合よりも大きく知覚している。また, 前者の場合には刺激体を過大視しているが, 5才児では後者の場合を実物よりも過小視している。3. 「大きい物体は重く, 小さい物体は軽い」と判断している4才児が, 体積と重量との量的矛盾関係, すなわち「大きいが軽く, 小さいが重い」ことを知覚的体験して, 「大きい」「小さい」「重い」「軽い」という言語でこれを表現できた場合, もはや見かけの体積 (かさ) に惑わされずにかなり正確に重さの弁別が可能になる。そして, このとき重さの弁別に際してCharpentier効果が認められる。
著者
佐々木 光明 桑原 雅夫 小野 晋太郎 浦山 利博 松本 学 森 一夫 池内 克史 大口 敬 大石 岳史 尾崎 朋子
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.113-117, 2015-03-01 (Released:2015-03-30)
参考文献数
4

交通事故発生箇所の多くは,道路形状から交差点と単路部に分類される.本研究は,その中でも交差点について着目し,これまで定性的であった交差点の見通しをMMS (Mobile Mapping System) を利用し数値化して定量的に解析する.その解析結果から,見通しが交通事故に影響する要因について考察する.