著者
家森 俊彦 MORI James Jiro 大志方 直人 神田 径
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

下層大気の気圧変動が重力音波モートで上空に伝搬し、電離層高度で反射され発生する約3分-4分周期の共鳴振動の存在が推測されている。当研究では、日食時の総合的観測から、重力音波共鳴の特性とそれが電離層や固体地球におよぼす効果を定量的に解明することを目的とした。微気圧観測システムをトカラ列島(諏訪瀬島、中之島)、桜島、および屋久島の京都大学防災研究所の関係施設4ケ所、沖縄・琉球大学瀬底実験所、および奄美大島北高等学校、上海近郊2ケ所の計8ケ所に皆既日食前に設置、観測を開始した。諏訪瀬島、中之島、および沖縄にはフラックスゲート磁力計、諏訪瀬島および中之島にはGPS受信機も設置した。また、沖縄および阿蘇火山研究センターにはHFドップラー観測用アンテナおよび受信装置を設置した。上海近郊で得られた微気圧観測データおよびHF-Doppler観測データには、明瞭な音波共鳴周期に対応するスヘクトルビークが検出された。また、上海近郊の地磁気観測所で得られた磁場観測データにも音波共鳴に対応する周期にピークが見られた。ただし、地上の微気圧データに見られたピークは基本共鳴周期(fundamental made=約265秒)であるのに対し、電離層高度の震動を見ていると考えられるHF-Doppler観測データや地磁気観測データには、第一高調波(first overtone=約225秒)にピークが現れた。これは、微気圧震動が、電離層高度での電磁気的震動と比較して、局在化しているためか、あるいは振幅の高度変化と電離周電気伝導度の高度変化との位置関係によるものではないかと推測される。トカラ諸島や沖縄、屋久島等で行った観測では、上記共鳴周期付近にスヘクトルピークが現れる傾向が見られたが、必ずしも明瞭ではなかった。また、広帯域地震計のデータには、皆既口食に対応すると考えられる振動は検出できなかった。
著者
亀井 豊永 家森 俊彦 能勢 正仁 竹田 雅彦 MCCREADIE Heather
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

平成17年度は非常に残念ながら研究代表者の病状悪化のため年度の延期を打診したが、だめだった。このため、1つの試作機を完成するのではなく、いろいろな部分性能評価を重視することとした。平成16年度で作成した、非磁性セオドライトの回転部分は磁場測定は1分1回転で予定通り1/30秒毎のAD測定に耐える、また、星座からの角度確定では、広角で角度1度以内から10分程度でに決められるがその磁場測定とのタイミングあわせは非常に難しい。望遠鏡を使用した侠角1分精度で星座を探すためには非常に高速のCPUが必要となり回転が安定しないと仮定した地上装置とノートPCではやはり無理がある。そのため、2つの予定外の方法を試すことにした。1つは値下がりした民生用ハイビジョンカメラと非常に高速のCPUと2GB高速大メモリーを備えたデスクトップPCを試した、しかしこれは非圧縮DVカメラ(3色約15MHz固定)と違い画像が25MHzMPEG圧縮のため画像が非常に荒く、しかも時間遅れが不安定で0,3-0.7秒遅れでPCに送り込まれるためHDV信号や圧縮デジタル機能を使用するのはこの角度測定用途にむかず、単純にHDVのアナログD3信号を直接ベースバンド(3色約150MHz)で映像取り込みして処理する必要がある。もう1つの方法は、余り早く回転させるとどのような狭角測定法でも無理がでるので、回転軸方向に侠角は星座判定をする方法にすることである。このためには望遠鏡方向に邪魔がないようにセオドライトの幾何学的配置を見直しセオドライトの支柱が望遠鏡とカメラを避けるように設計を工失する。なお、十分テストは出来ていないが、回転上の複数の星が明らかになった状態で複数の視野に連続に入ってくる明るい星や昼間の太陽タイミングを狙う場合にはやはり圧縮HDV信号は無理でD3信号を基準にHDVのベースバンドの信号を使用して角度の秒単位での角度測定は実用になると考える。このほかの、セオドライトの180度自動回転や気象条件や耐久性を試すテストは更に後ほど行うことになる。
著者
矢嶋 聰 東岩井 久 佐藤 章 渡辺 正昭 森 俊彦 星 和彦 米本 行範 鈴木 雅洲
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.30, no.12, pp.1657-1663, 1978-12-01
被引用文献数
1

(1) 宮城県の子宮頚癌住民検診は,昭和50年末までに,のべ受診者数が553,954人に達した.この間に発見された浸潤癌および上皮内癌患者数はそれぞれ707人,および701人であつた. (2) 昭和50年の年令階層別受診者は,40才台が最も高く対象婦人の27.4%であつた.高年令層は頚癌のhigh risk groupであるにもかゝわらず受診率はきわめて低い. (3) 頚癌の継続検診を行なうと,上皮内癌,浸潤癌の発見率は年度の推移にしたがつて減少するが,高度異型上皮の発見率はほゞ一定である. (4) 昭和40年,45年および50年のCytology Activity indexは,それぞれ60.0, 116.7および193.2であつた. (5) 検診車法による受診者の上皮内癌および浸潤癌のprevalence rateは,昭和45年および50年でそれぞれ192.8, 99.9,および102.3, 71.5であり,両者とも検診の継続により減少した. (6) 宮城日母登録方式による上皮内癌prevalence rateは,昭和45年,50年でそれぞれ213.3および205.1であり年度の推移による変化はほとんど認められなかつた.この方式による浸潤癌のprevalence rateはそれぞれ769.2および636.0であつた. (7) 昭和44年〜47年における宮城県の子宮頚浸潤癌incidence rate(年間)は32.9であつた. (8) 県下の子宮癌死亡率は5.0(10万人当り)から4.0程度であり,速度はおとろえたとはいえ,減少を続けているのが近年の傾向である.