著者
佐藤 章
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アフリカレポート (ISSN:09115552)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.1-13, 2017-01-25 (Released:2020-03-12)
参考文献数
25

この十数年あまり西アフリカでは、イスラーム・マグレブのアル=カーイダ(Al-Qaida in the Islamic Maghreb: AQIM)をはじめとするイスラーム主義武装勢力の活発な活動が見られる。これらの組織の活動は、サハラ・サヘル地帯における治安・安全保障上の問題を提起するにとどまらない。そこでは、イスラーム主義武装勢力が、現代西アフリカの政治的・社会的変動に照らしていかなる意味を持つのかという問題も提起されているのである。そこで本稿は、こういった歴史的評価に関わる問題を掘り下げるための基礎的作業として、AQIMとその系列組織に焦点を合わせ、西アフリカへの進出の経緯、マリ北部への定着の様子、マリ北部紛争への関与、その後の動向を検討したい。その際、「グローバルなテロ組織」といった観点からの研究が陥りがちな視点の偏りを避けるため、これらのイスラーム主義武装勢力が社会とどのような関係を取り結んでいたかにとくに注目し、検討を行う。
著者
佐藤 章太
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部言語学研究室
雑誌
東京大学言語学論集 (ISSN:13458663)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.255-270, 2015-09-30

研究ノート Source Materials and Remarksベトナムは歴史的には漢字文化圏に属し、豊富な漢語由来語彙を持つが、現在は漢字表記を行わず、表音文字のアルファベットで表記している。筆者は、ベトナム語母語話者が、漢語由来語彙である漢越語と固有語である純ベトナム語をどのように区別するのかについて調査した。その結果、使用頻度の高い純ベトナム語が含まれている複合語や、ベトナム語の統語構造でも理解できる漢越語、ベトナム語の統語構造に合わせて語順が入れ替わった漢越語については、純ベトナム語と判断する傾向が見られた。また、日本語や中国語学習を通して漢字を十分に習得している話者については、日本語や中国語で対応する漢字語の知識を用いて判断している可能性も指摘した。As Vietnamese belongs to the Hanzi cultural sphere historically, it has a great number of Sino-Vietnamese words, but as of present, Vietnamese writing system is based on alphabets. The author investigated the ability of Vietnamese speakers to distinguish between Sino-Vietnamese and Vietnamese native words. The results are as follows: the compound words which include a Vietnamese native word of high frequency, the Sino-Vietnamese words compatible with Vietnamese syntactic construction, and the Sino-Vietnamese words whose constituent order is changed to Vietnamese syntactic construction are liable to be considered as Vietnamese native words. Furthermore, the Vietnamese speakers who have obtained enough knowledge of Hanzi (Chinese characters) through the study of Japanese or Chinese are likely to identify the origin of Vietnamese words more correctly than those without such knowledge.
著者
田中 真奈実 入江 勇治 安羅岡 一男 佐藤 章仁 松本 繁 白田 保夫 中村 尚志 河合 美枝子 海老原 誠
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.156-163, 1988

関東地方利根川流域で感染した慢性日本住血吸虫症について, 茨城県内診断例12例を中心に, その診断法・病態・治療適応について検討した. 患者は, すべて海外渡航歴・利根川以外の本症流行地への旅行歴はなく, 取手市戸頭, 稲敷郡河内村, 筑波郡谷和原村等かつて本症の流行が報じられた地域の在住者である. 血中抗住血吸虫抗体及び糞便中の虫卵は検査したすべての症例で陰性であった. 8例の患者の確定診断は, 本症とは異なる基礎疾患で摘出された臓器 (胃・十二指腸等上部消化管及び肝・胆道系) 中の日本住血吸虫虫卵の病理学的検索によってなされた. しかし, 茨城県取手市戸頭の3症例と筑波郡伊奈町の1症例は, 人間ドックで画像診断学的に診断されており, 流行地における本症患者のスクリーニングには, 肝エコーにおける魚鱗状パターン, 肝CT像における被膜石灰化像・隔壁様石灰化像等特徴的所見も有用であることが示された. また, その病態は, 基礎疾患によって異なっており, 胃癌・肝癌等悪性腫瘍との合併例は4例であった. プラジカンテルによる治療適応の判定には, 虫卵排出の有無及び虫卵の孵化能の検索が必要であるが, 疑わしい症例には生検材料による孵化試験をすることが必要である. 病理組織学的検索だけでは, 感染時期及び孵化能の判定は困難である.
著者
佐藤 章夫 金子 誉 王 培玉 上島 弘嗣 多和田 真人 岡山 明
出版者
山梨医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

まず、平成11年に遊牧民地区を調査した。モンゴル遊牧民の血圧水準は非常に高く、収縮期血圧が男性で141±23、女性で136±27と高く、さらに年齢階級別に示すと加齢に伴う収縮期血圧の上昇が日本に比べ男女とも大きいことが判明した。拡張期血圧も同様の傾向を示した。これらの遊牧民の血圧値は、脳卒中の多かった1965-1970年前後の秋田県住民の水準とほぼ同様の値を示すという結果となった。また、高血圧者の頻度も、現在の日本と性・年齢階級別に比較しても約2-10倍程度高いことが判明した。血圧を上昇させる要因の一つとして、塩分摂取量が多いことがあげられる。尿中ナトリウム排泄量から推定される遊牧民の塩分摂取量は男性で約17g/日、女性は約15g/日と非常に高いものであり、かつての秋田と同等の水準であることがわかる。また、遊牧民における糖尿病の調査結果は、304名中に、5名が糖尿病型、7名が境界型。年齢調節した遊牧民糖尿病の割合(2.1%)は、同じ自治区の都会住民のそれ(3.8%)に比べて低かった。次は、平成12年の同じ自治区のモンゴル族農民の調査を行った。モンゴル族農民の血圧水準は収縮期血圧が男性で125±15、女性で126±20;拡張期血圧が男性で80±10、女性で81±13、男女とも遊牧民の血圧水準より有意に低かった。農民の塩分摂取量は男女とも13g/日で、遊牧民のそれに比べて低い水準であった。また、農民における糖尿病の調査結果は、340名中に、8名が糖尿病型、18名が境界型であった。年齢調節した農民の糖尿病の割合(2.2%)は遊牧民と比ぺて差がなく、境界型の割合(4.7%)は遊牧民のそれ(2.1%)より高かった。平成13年に、栄養調査のデータを解析した。三大栄養素の摂取割合は、遊牧民には、脂肪が約35%、タンパク質が14%、糖質が51%;農民はそれぞれに10%、10%、80%であった。その結果が出る次第に、さらに遊牧民および農民の食生活と高血圧と糖尿病の関連について分析する。つまり、遊牧民の食事は高脂肪/低糖質なものに対し、農民には、低脂肪/高糖質の食事を取っている。本調査の結果から、モンゴル族遊牧民と農民の生活習慣病の現状は、糖尿病の有病率が遊牧民と農民のいずれも2%という低い水準であったが、高血圧に関しては、遊牧民の有病率が著しく高かった(やく50%)。その原因は食塩の多量摂取にあると考えられる。
著者
前島 伸一郎 大沢 愛子 山根 文孝 栗田 浩樹 石原 正一郎 佐藤 章 棚橋 紀夫
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.98-105, 2011-01-25 (Released:2011-01-26)
参考文献数
25
被引用文献数
2

【目的】小脳出血急性期の臨床像と機能予後や転帰に及ぼす要因について検討した.【対象と方法】小脳出血45名(男性28,女性17)を対象に,初回評価時の神経症状に加え,嘔気・眩暈などの自覚症状,認知機能,嚥下機能,血腫量と退院時の日常生活活動,転帰先について検討した.なお,入院期間は平均24.6日であった.【結果】意識障害は11名に認めたが,いずれも血腫量が大きく,機能予後が不良で,自宅退院に至ったものはなかった.意識障害のない34名中,嘔気・眩暈を22名,四肢失調を19名,体幹失調を16名,嚥下障害を19名,構音障害を8名,認知機能障害を24名に認めた.自宅退院は12名で,日常生活活動が良好であると同時に認知機能と嚥下機能が保たれていた.【結語】急性期病院において,小脳出血の退院先を決定する要因には,意識障害や日常生活活動だけでなく,認知機能や嚥下機能も念頭におく必要がある.
著者
佐藤 章悟 谷端 淳 今泉 和彦
出版者
金原一郎記念医学医療振興財団
雑誌
生体の科学 (ISSN:03709531)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.426-427, 2009-10-15

[用いられた物質/研究対象となった受容体] クレンブテロール,デキサメタゾン/β-アドレナリン受容体 骨格筋のβ-アドレナリン受容体(AR)を介した情報伝達は筋タンパク質合成と分解,グリコーゲン代謝,脂質代謝など様々な生理機能に関与する。骨格筋に分布するβ-ARサブタイプはβ2-ARが80-95%,β1-ARが5-10%を占め,β3-ARは殆んどない。また,β2-ARの密度は収縮速度の低い筋(slow-twitch muscle:ST筋)(ヒラメ筋)では収縮速度の高い筋(fast-twitch muscle:FT筋)(長指伸筋・足底筋)より2-3倍高い。一方,心筋のβ-ARを介した情報伝達は心収縮力や心拍数などの生理機能に関与する。心筋に分布するβ-ARサブタイプはβ1-ARが60-70%,β2-ARが20-30%を占め,β3-ARは殆んどない。特に左心室筋(left ventricle muscle:LV筋)ではβ1とβ2-ARの密度が高い。このような骨格筋と心筋のβ1とβ2-AR発現は,カテコールアミンやグルココルチコイドなどの生体内情報伝達物質によって影響を受ける。また,各種作動薬によっても骨格筋と心筋のβ1とβ2-AR発現は変動するが,遺伝子発現に着目した研究は比較的少ない。
著者
佐藤 章 Sato Akira
出版者
日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アフリカレポート
巻号頁・発行日
vol.51, pp.1-15, 2013

本稿は、アフリカ開発にとって不可避の課題として認識されている紛争解決と平和構築の問題に関して、とくに国連や欧米諸国などのアフリカ域外の主体によって行われてきた軍事的取り組みの歴史と現状を考察しようとするものである。紛争解決・平和構築を目的として域外主体によって行われてきた軍事的取り組みは、1990年代のソマリアとルワンダでの経験を踏まえて試行錯誤が積み重ねられてきた。これを経て近年では、域外主体がアフリカ諸国の平和構築能力の強化を支援しつつ、国連PKOに代表される域外の軍事要員がアフリカ側と連携する体制が確立されてきている。本稿ではこのような歴史を整理したのち、アフリカの紛争解決・平和構築に深く関わる新しい考え方として注目されている「保護する責任」をめぐる問題を論ずる。具体的には、「保護する責任」に依拠して2011年4月にコートジボワールで行われた国連PKOによる軍事行動を取り上げ、「保護する責任」をめぐり提起されてきた諸論点が、この現実の軍事行動においてどのように現れていたかを検討したい。
著者
滑川 光裕 塩野 康徳 佐藤 章
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.34, no.133, pp.26-30, 2014
被引用文献数
1

ファジィグラフは、人間関係のようなファジィな情報を質的に分析することを可能とする。ファジィグラフのもつ特徴を明確にするためには、ファジィグラフの近似的な表現や、ファジィグラフの類似性や連結状態のような特徴の抽出が役に立つ。そのためには、ファジィグラフの構造に関する情報を可視化することが必要となる。また、解析には対象となるファジィグラフの構造に関する多種多様の情報を処理して、素早く、解析者に分り易く表示する表示する必要がある。 <br>  我々は、コンピュータを用いてファジィグラフを解析するシステムを開発している。そのシステムは、ファジィグラフを格子状の交点にノードを配置する図形化、分割樹形図、類似度別に分類されたクラスタや近似的なグラフの表現などを用いて、ファジィグラフの分析できる機能をもたせている。本稿では、この解析システム、さらにそれらを使用した事例研究を記述している。