著者
石川 達也 戸瀨 太貴 阿部 真比古 岩尾 豊紀 森田 晃央 前川 行幸 倉島 彰
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.16-00085, (Released:2017-06-27)
参考文献数
33
被引用文献数
7

2010年からガンガゼ類除去による藻場再生が行われている三重県早田浦に10調査地点を設け,1999年,2004年,2014年の計3回,海藻植生を素潜りによって広域的に調査した。湾奥部は,1999年にはガンガゼ類が優占する磯焼け域であったが,ガンガゼ類除去後の2014年には磯焼けから藻場の再生が認められ,ホンダワラ類や小型海藻の種数が大きく増加した。一方,湾口部では調査期間を通して藻場ガラモ場や一年生コンブ目藻場が維持され,海藻種数に大きな変化は見られなかった。
著者
森田 晃司 平田 伊佐雄 津賀 一弘
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、要介護者の咀嚼能力と腸内細菌叢に着目し、咀嚼能力の向上により腸内環境叢の種類や多様性が変化し短鎖脂肪酸が増加する影響について調査することで要介護者の肥満や便秘以外にも全身状態を改善させる可能性を明らかにすることを目的とする。客観的咀嚼試験による咀嚼能力をはじめとする各種口腔機能、シーケンサーによる腸内細菌叢の測定に加えて短鎖脂肪酸、免疫グロブリン、α―アミラーゼ活性、セロトニン、特異的IgE、経皮水分蒸散量やBMI・便秘・口臭を解析することで咀嚼能力と肥満や便秘など全身状態との関連を観察研究と介入研究から明らかにする。
著者
岡野 多門 森田 晃
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.150-157, 2013-03-29 (Released:2014-04-15)
参考文献数
20
被引用文献数
2

ロープや紐は重大な海浜ごみと言われているが,その量を測ることが困難であった。ここでは直径1mm から6mm 未満を紐,6mm 以上をロープと定義し,複合的な二段階法によってロープ類と他のごみ種との漂着量の比較を行った。すなわち5m より短いロープと紐および中型以下の難分解性素材ごみの堆積量を汀線方向5m 区間で測り,長いロープとペットボトルなどの漂着量を汀線方向500m 区間で測定した。これらの調査は,日本を含めた東アジア地域からごみが漂着し,ロープの漂着量をモニターする適地である鳥取県の砂浜で,堆積量は7年間に198回,漂着量は8海岸で3年間毎月測定した。ただし,長いロープは絡まりやすく,それを解くことは困難であるため,太さと長さを測り,比重を0.67g/cm3として漂着重量を算出した。ロープの年間の平均漂着重量は35.1kg/(hm・Y)で,それに対し1L 未満のペットボトルの年間平均漂着重量は4.0kg/(hm・Y)にすぎなかった。そのうち5~0.3m のロープの年間平均漂着重量は全ロープの漂着重量の半分以下の15.1kg/(hm・Y)であるが,0.5m より短いロープの堆積重量は9.92kg/hm であり,それはレジンペレット,非発泡プラスチック破片,ガラス・金属・紙パック飲料容器の各堆積重量より多かった。この事実はロープが日本海で最も重大な漂着ごみ種であることを示す。さらにロープは劣化すると極めて微細な繊維を生じ,その表面積は同じポリオレフィン素材のレジンペレットより圧倒的に大きい。ロープは日本海だけでなく,太平洋にも流出しているため,この状態を放置すると,日本海だけでなく,将来の北太平洋の生物環境や漁業や観光産業にも深刻な影響を与える恐れがある。このため日本を含めた東アジア諸国でのロープの流出防止対策の導入が緊急の課題であり,その対策の有効性を評価する方法が必要である。ここで開発したロープ類の調査法は流出防止策の実効性を評価できる方法である。
著者
山手 利博 蜂谷 實 森田 晃康 三森 友直 遅澤 浩一郎 南雲 一郎
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.436-439, 2010-11-15 (Released:2011-04-19)
参考文献数
3
被引用文献数
1 3

建物の改修工事などにおいて,湿式消火配管・湿式スプリンクラー配管の溶断やグラインダーによる切断の際,切断部から発火する現象が報じられている.発火の原因として,配管内で発生する水素によることが指摘されている.これらの現象について検証するため,(1)ステンレスフレキ管継手と亜鉛めっき鋼管を接続したガルバニック対配管(2)ステンレス鋼板/亜鉛板のガルバニック対を浸漬させた反応容器に,それぞれ水道水を充填して密閉し,室温で長時間静置する再現実験を行った.測定項目として気体発生の確認,発生気体の成分分析,ガルバニック電流の測定,反応容器内の圧力変化の測定,試験水の分析などを行い,それらの結果を理論的に考察した.その結果,酸素のない淡水(水道水)中においても,水素イオンの還元反応をカソ-ド反応,亜鉛の酸化反応をアノード反応とする電気化学反応(腐食反応)によって,水素が発生し得ることが示唆された.本論文ではその概要について報告する.