著者
森田 雅也 Masaya Morita
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.1-18, 1992-12-20
著者
森田 雅也
出版者
関西大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

成果主義の進展に伴い、評価の対象が時間から仕事の結果へとシフトしてきている。この場合、時間とは、長期的には勤続年数、短期的には仕事の遂行に費やした時間の双方を含んでいる。貢献と報酬の清算期間が短期化してきており、評価における時間の重要度は相対的に低下しつつある。また、成果主義の考え方と一致した人事施策として注目が高まってきている裁量労働制のもとでは、時間のみならず仕事の場という空間への制約も弱めることが可能である。しかし、現実には裁量労働適用者の多くは通常勤務者と同様に出社しているし、フレックスタイム制を廃止する企業も出てくるなど、仕事における時間と空間の障壁を打破する動きには一定の方向が確認されない。スタッフ部門を中心にホワイトカラーの時間-行動分析を行った結果、職位が高くなるほど、対人接触時間が増大し、個人作業時間や通信時間の割合が減少しており、時間や空間を共有しなくてもよい自己完結的な仕事をしている人はほとんどみられないことが確認された。これも、対象部署が限定されているとはいえ、時間と空間を共有しない働き方の進展には反する結果である。しかし、仕事生活と仕事を離れた生活を労働者が自律的に設計し、ワーク・ファミリー・バランスを重視した働き方を構築していくことは社会全体の重要な課題でもあり、今後組織が優秀な人材を獲得するためにも必要である。そのためにも、仕事における時間と空間の障壁を克服していくことはやはり不可欠である。職場での一体感や集団討議の強みを維持し、顔を合わせることができないことから生じる仕事の非効率化を抑えながら、この障壁克服を進めるためには、仕事の進め方そのものを再編成しなければならない。再編成のあり方は業種や部門によって異なると考えられるが、それについて何らかの類型化を行うことが今後に残された課題である。
著者
森田 雅也
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Sociology, Kansai University (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.103-111, 2015-03

本研究は、JSPS 科研費(研究課題番号:26380551)の助成を受けたものである。A questionnaire survey was conducted to determine how workers employed under the discretionary working system feel about their work situation, especially in relation to their superiors. The sample comprised 154 respondents; 120 of these were employed under the discretionary working system in thetype of professional work, whereas 34 were employed under the same system in the type of planning work. In this article, the results of this survey will be presented as obtained, without any analytical commentary.裁量労働制適用者154人(専門業務型裁量労働制120人、企画業務型裁量労働制34人)を対象に、裁量労働制適用者として働くことをどう考えているかについて、特に上司の管理のあり方との関係をみるために質問票調査を行った。資料として、単純集計結果等を掲載する。
著者
森田 雅也
出版者
関西大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

当該年度は、裁量労働制を経営学的に研究するための基礎づくりとして、文献研究と実証研究を行い、その実態把握及び労働の人間化研究の中での裁量労働制の位置づけの明確化に努めた。文献研究では、国内外の労働の人間化関連の文献のサーベイ及び裁量労働制導入企業の事例に関する文献、雑誌、新聞記事等を精力的に収集、分析した。実証研究では裁量労働制を導入している企業6社に対するインタビュー調査及びアンケート調査を承諾して下さった企業への質問票調査を行い、裁量労働制の実態について定性的データ、定量的データの蓄積を行った。その結果、裁量労働制は仕事を離れた生活の確立を容易にする可能性が高いこと、成果と評価が結びつきモチベーションが高まること等、労働の人間化の視点からもホワイトカラーの新しい働き方として有効であることが確認された。しかし、実際にその制度のもとで働く労働者の勤務状況は、裁量労働制導入以前と比べてそれほど変化していないこともインタビュー調査等から確認された。しかし、それは裁量労働制の制度そのものに起因するのか、導入後それほど時間が経過していないためなのかは今後の更なる検討を要するものである。なお、阪神大震災の影響で質問票締切を3月末日に設定せざるを得なかったため、現時点では論文の形にまとめられた成果はまだない。質問票が返送され次第、可及的速やかに論文の形にまとめ公表する予定である。
著者
森田 雅也
出版者
関西大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

企画業務型裁量労働制がどのように認識されているかを数量的に把握するために、従業員規模100人以上企業の人事部長1,673名を対象に「企画業務型裁量労働制に関するアンケート調査」を2001年3月に行った(有効回答率14.9%)。その結果、次のような点が明らかになった。(1)企画業務型裁量労働制導入を考えている企業は少ない(79.9%が「導入を考えていない」)。(2)導入を考えている企業は「成果主義の徹底」や「従業員の自律性を高める」ことを導入目的としている。(3)多数の企業(70.8%)が事業所単位で設ける労使委員会は「煩雑」だと考え、それが「必要である」と考えているのは3割程度しかない。(4)3割強の企業が労基法38条によらない「裁量労働的勤務」を既に導入したり、導入の検討を行ったりしている。また、文献サーベイや聞き取り調査の結果もあわせて検討した結果、企画業務型裁量労働制が「ゆとりと時短」を創出するという本来の趣旨に沿った成果をあげているとは現時点では言い難い。裁量労働制が、その対象者に自律的な働き方を提供する可能性はきわめて高いが、そのためには次のような条件が満たされる必要がある。(1)個人の多様な働き方を認める組織風土の形成、(2)公正な評価能力をもつ管理者の存在、(3)対象者の、自分の働き方(キャリア形成)に対する意識向上、(4)経営者による導入目的の明確化(成果主義徹底だけのための手段として用いない)。これらの点を鑑みると、裁量労働制、特に企画業務型裁量労働制が労使双方にとって有益な人事労務管理施策として定着するためには、経営者も雇用者もかなりの意識変革をすることが、特にエンプロイヤビリティーに対する意識を高めることが求められる。そして、それにはさらにある程度の時間が必要であろうと考えられる。
著者
森田 雅也
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

労働者の自律性を重視する「裁量労働的な働き方」は境界決定の自律性を制度的に保障しているが、その発揮のためには仕事遂行を支援する上司の行動が重要となる。また、境界決定の自律性を発揮している人はワーク・ライフ・バランスに関する満足度も高い。こうした働き方がワーク・ライフ・バランス施策として有効となり得る。裁量労働制がうまく機能している組織では、「適者適職」が徹底されており、そのために「自己規制の強い管理」が行われている。裁量労働的な働き方を組織に根付かせるためには、適用範囲をいたずらに拡大するより、適した仕事と適した人材を厳選し、「自己規制の強い管理」を行うことが重要となる。
著者
柴 健次 森田 雅也 岩﨑 千晶
出版者
関西大学教育開発支援センター
雑誌
関西大学高等教育研究 (ISSN:21856389)
巻号頁・発行日
no.3, pp.31-52, 2012-03

第一主題「高大連携」は、高大の「接続のための連携」という関係において正当に位置づけられる。この関係において、学力選抜による高大接続から非学力選抜による高大接続への傾きと、入学者の数の確保のための高大連携から入学者の質の確保のための高大連携への傾きが、同時に起きているという現状と、その方向性を確認した。第二主題「経営リテラシー」については、具体的に新設ビジネス高校でその定着を試みるテキスト『ビジネス・アイ』に一定の効果を期待すると評価する一方で、中等教育に経営リテラシーの定着を図ることすなわち部分最適が、中等教育の全体最適を損なわないように注意すべきであると指摘した。我々はビジネス教育に従事する教員に上記2 主題に関連付けた調査を実施した。その結果、経営リテラシーの定着の担い手である教員自体の困惑振りが確認できた。つまりは定着の目的、その教育内容と教育方法に課題が山積していることを指摘した。最後に中等教育に限定されずに経営に関する専門職教育に範囲を拡大して課題を確認した。その結果、高等教育機関においても経営者を専門職と位置づけた教育が普及していない現状において、この国でその教育が必要とされるなら、専門職研究と専門職に対応する教育内容と教育方法の研究が必要であると主張した。
著者
森田 雅也
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.22-30, 1996

文化年間刊行の『文苑玉露』は、国学者の交友ぶり、作歌態度などの自照性に富んだもの、消息文などの資料的価値があるもの、未見の序文など文献学的価値の高いもの等、まさに種々混交している和文集である。この作品は学統世界を越境した、一般の読者の期待にも応えるものであった。この世界は四十数年のちの嘉永年間刊行の『遺文集覧』に受け継がれるが、学際的な面白みはあっても、もはや学究的な挑発を楽しむ、越境の期待は充足されないものであった。
著者
森田 雅也
出版者
日本文芸学会
雑誌
日本文芸学 (ISSN:02869128)
巻号頁・発行日
no.22, pp.p74-83, 1985
著者
森田 雅也
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.21-29, 2003

西鶴の『本朝桜陰比事』(元禄二)巻三の七「銀遣へとは各別の書置」は、従来より目録副題などから、二十五歳までは自由に銀を遣えと遺言した親父の粋な計らいと、その親父の遺言が正しかったことを判じた御前の名裁判官ぶりがこの章の眼目として扱われてきた。しかし、裁判物という趣向をはずし、町人を素材とした、いわゆる町人物として読んだとき、違った新しい読みが提示できるのではなかろうか。本稿では、それを「相続制度」という視点から読み解いていく。
著者
森田 雅也
出版者
関西学院大学
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.1-18, 1992-12
著者
高瀬 武典 大西 正曹 与謝野 有紀 伊東 理 廣田 俊郎 森田 雅也 林 直保子
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

1.地域活性化モデルの精密化と汎用性の検討廣田は、上場企業を対象に「サービス価値向上のための戦略・組織、システムに関する質問票調査」を実施し、サービス業が地域社会・経済システムの活性化に対して果たす役割について「経済的貢献・自社へのフィードバック・問題状況への対応・社会的貢献」の類型化を行った。2.経済活性化の日英比較伊東は英国訪問調査により、1990年代以降英国における都市活性化の成功例である、各都市における小売業の「タウン・シティセンター」の動向実態と成功要因を研究し、大阪における小売業活性化に向けて、(1)地域都市圏全体での検討(2)きめ細かい土地利用計画(3)意思決定の仕方の再検討(4)計画・戦略の連携・調整の重要性などを指摘した。3.事業所統計調査結果の時系列比較高瀬は、過去の事業所組織と雇用関係の統計分析をすすめて、組織からの個人への束縛作用が、官僚制的な束縛と終身雇用的関係からの束縛という両方の点から見て軽減の傾向にあり、組織活性化を促進する背景的状況が生まれていることを明らかにした。4.経済活性化のための社会的基盤の検討与謝野と林は、全国の20歳以上を対象にした「信頼感」に関する調査結果をもとに、「信頼の解き放ち理論」の前提となる事実認識が支持を得られないものであることを示した。このことは、個人間競争を通じた経済活性化という、よく見受けられる政策的提案の妥当性に疑問を抱かせるものである。5.経済活性化の事例研究大西は、東大阪市の工場組織に関する実態調査をもとに活性化に向けた方策として中小企業の独立化、企業グループの形成、企業間ならびに官民連携による設備活用を提案した。6.活性化につながる人的資源の形成に関する研究森田は日米欧におけるエンプロイヤビリティの展開を比較し、人事制度に組み込むための条件について考察した。