著者
小野 道之 竹内 薫 北村 豊 森川 一也 保富 康宏
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

Human Hepatitis E Virus (HEV)のカプシドタンパク質が自己会合したVirus-like particle (VLP)は、消化耐性と腸管免疫誘導活性を持つ、食べるワクチンとして注目されている。インフルエンザの共通抗原であるM2エピトープを融合したHEVのカプシドを、果実特異的なE8プロモーターの制御下で発現する遺伝子組換え栽培トマト(Solanum lycopersicum cv. マイクロトム x 愛知ファースト)を作出した。遺伝子組換え植物用の特定網室で栽培することにより、各種の動物実験に資するに十分量の果実を収穫した。
著者
田川 彰男 村松 良樹 北村 豊 村田 敏
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.21-27, 1997-03-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
11
被引用文献数
2

大豆の吸水特性を5段階の浸漬温度 (10, 20, 30, 40, 50℃) に関して測定した。その結果, 大豆の吸水では, 恒率吸水期間と減率吸水期間が存在し, 限界含水率は85% (d. b.) 近傍にあることが分かった。片対数グラフに減率期間における相対含水率と時間の関係をプロットしたところ, 各温度で直線関係を示した。減率吸水期間の測定データを拡散方程式の近似解に非線形最小二乗法を適用し当てはめたところ, 測定値と計算値は良く一致し, パラメータB1の値はほぼ1となった。吸水速度定数Kと浸漬温度との関係は, Arrhenius 型の式に良く従った。さらに, 吸水時の大豆の体積変化は, 所定の含水率における密度の測定結果を利用することにより把握することができた。
著者
平松 祐司 北村 豊 長谷川 雄一 堀米 仁志
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

「ビタミンKを含まない納豆風味食品」の開発試験を実施した。発酵納豆から粘性物質を溶出し、この水溶液に紫外線照射を加えてビタミンKの分解および納豆菌の殺滅を図った。これを粉末化したものを別途蒸煮した大豆に還元し、納豆風味の煮大豆を得た。1)納豆粘性物質中のビタミンKの分解特性の解明、2)納豆粘性物質中の納豆菌の熱死滅特性の解明、3)納豆粘性物質の乾燥特性の解明のための評価を実施し、紫外線照射や加熱操作の適用性の向上、粘性物質の保存性や加工性の向上、および高い次元での納豆風味の再現を目指した。
著者
平松 祐司 北村 豊 長谷川 雄一 堀米 仁志
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

「ビタミンK低含有納豆様大豆食品」の開発を実施した。従来の研究のような納豆の発酵プロセスの改質にこだわらず、納豆粘性物質水溶液を利用して納豆風味を保持し、この水溶液に紫外線を加えてビタミンKおよび納豆菌を低減した大豆食品の加工を目指した。並行してビタミンK低産生納豆菌株の同定を実施した。粘性物質を粉末化したものを蒸煮大豆に還元し、納豆風味の大豆加工食品を作成した。1)粘性物質水溶液中のビタミンKの分解特性の解明、2)粘性物質水溶液中の納豆菌の熱特性の解明、3)粘性物質の乾燥特性の解明のための評価、さらにボランティアによる摂食試験を実施した。
著者
鎌谷 直之 川本 学 北村 豊 針谷 正祥 奥本 武城 隅野 靖弘
出版者
日本組織培養学会
雑誌
組織培養研究 (ISSN:09123636)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.71-80, 2004

日本のヒト遺伝子解析研究に関する倫理指針を遵守して、研究計画について倫理審査委員会の事前承認を得た後、日本人ボランティアに十分な説明をし、自由意志による同意を得て末梢血液試料を収集した。血液試料は細胞株化研究に使用する前に新しく開発した匿名化プログラムを用いて連結不可能匿名化した後、Epstein-Barr virus処理して996人のB細胞株を樹立した。樹立した全細胞株を公的な国立医薬品食品衛生研究所と(財)ヒューマンサイエンス振興財団の細胞バンクに寄託し、2003年に細胞株の分譲が開始された。ヒト遺伝子解析研究に利用できるこれらの細胞株の分譲は、ヒト遺伝子解析研究の進展に貢献すると期待される。
著者
小川 夏美 Chau Bui Thi Bao 小林 誠 草野 都 粉川 美踏 北村 豊
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-23-00044, (Released:2023-08-08)

本研究では電動石臼を用いた湿式微粉砕機により調製したスパイスペーストの特性と香気成分放出挙動を明らかにした. コリアンダーシードからペーストを調製し, 粉砕回数および固形分比が粒子径や分離率に及ぼす影響を調べたところ, 粉砕回数を増やすことで粒子径は小さくなり, 分離率も減少することがわかった. 固形分比は粒子径に対して有意な影響を及ぼさなかったが, 固形分が増えることで分離率が減少し, ペーストの安定性が向上した. ペーストの蛍光顕微鏡画像からは, ペースト中に油滴が分散していることがわかり, 湿式粉砕によりコリアンダーシード中の油分が放出されていることが明らかになった. コリアンダーシードペーストの香気成分放出挙動を明らかにするために, ペーストを加熱した際にヘッドスペースに放出されたβリナロールおよびカンファーを定量し, 乾式粉砕したコリアンダー粉末と水を混合した粉末液と比較した. ペーストからの香気成分放出量は粉末液と比べて少なく, また分離率が低く, 安定性の高いペーストほど香気成分の放出量が少なかった. これらの結果から固形分や油滴の分散性やペースト特性が香気成分の放出挙動に影響を与える可能性が示された.
著者
中野 明日香 粉川 美踏 北村 豊
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.124-129, 2018
被引用文献数
4

<p>本実験では,比容積とテクスチャー改善を目的にグルテンフリー米粉パンへの米ゲルの添加を検討した.米ゲルには高アミロース品種であるモミロマンを使用し,白米と玄米それぞれを5つの水分条件で炊飯し,高速せん断撹拌したものを調製した.米ゲル,米粉,水および副材料を混合し,ホームベーカリーを用いてパンを調製し,硬さ·硬さ変化率·比容積·断面写真で評価をした.</p><p></p><p>製パンの原料配合において,水は大きな割合を占めており,加水量は製パン性やその後のパン品質に大きく影響を与えるため,本実験では,加水量,白米と玄米の違いが製パン性に与える影響を検討した.得られた知見を以下に示す.</p><p>·米ゲルは白米,玄米それぞれから調製したものを使用したが,硬さや比容積の点ではほとんど有意差はみられなかった.</p><p>·水分量が少ない硬めの米ゲルを使用し,かつ,製パン段階での加水量が多いほど,硬さは小さく,比容積は大きい傾向がみられた.</p><p>·硬さ変化率(製造後3日間のパンの硬さの増加率)では,有意差がみられなかった.</p><p>·本研究で硬さや比容積の点において,最適水分量だと考えられた全体水分量100%パンについて,断面写真を観察すると気泡が大きく形状が悪いといった問題がみられた.</p>
著者
山岸 眞弓美 北村 豊 矢ケ崎 崇 中嶌 哲 千野 武廣 安東 基善 枝 重夫
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.1886-1889, 1989
被引用文献数
1

A pigmented nevus is defined as a harnartomatous proliferation of the melaninproducing cells (nevus cells). It is a relatively rare disease, especially in the oral mucosa. In this report, the authors present a case of a pigmented nevus of the gingiva, and review 18 cases of pigmented nevus in the region of mucous membrane or lip as previously reported in Japanese medical literature.<BR>The patient, a 63-year-old woman, was referred by her dentist complaining of denture instability due to swelling of the gingiva. About six months ago, she first noted the swelling on the left mandibular gingiva, in the area of the cuspid. The swelling gradually enlarged. At the time of oral examination, a well-defined pigmented swelling about the size of a red bean was noticed.<BR>Having been clinically diagnosed as fibroma, the lesion was surgically excised with little difficulty.<BR>A histopathological study revealed it to be an intramucosal pigmented nevus.<BR>Postoperative healing was uneventful and there has been no evidence of recurrence after a lapse of 1 year and 8 months.
著者
北村 豊 杉山 純一 佐竹 隆顕
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.91-98, 2007 (Released:2007-10-19)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

Webベースで登録された農産物・加工食品の生産情報およびレシピ情報をインターネット接続したパソコン(ICタグ端末)に転送・閲覧できる情報開示システムを構築した.ICタグ端末は,ICタグを封入した農産物や加工食品,レシピカードを付設のリーダーにかざすことにより,ICタグの固有番号にリンクされる情報を画面上に表示する.ICタグ端末をつくばみらい市のモデル住宅の台所に設置して,500名弱の男女からその試用体験に関するアンケート調査を実施した.回答結果の解析により,情報開示システムの利用可能性や情報の有用性,ICタグ端末の設置場所およびその利用形態の考え方など,今後の改良および用途開発のための基礎資料が得られた.
著者
蒋 偉忠 北村 豊 石束 宣明 リャン トン
出版者
農業施設学会
雑誌
農業施設
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.85-92, 2001

本研究では, 無希釈あるいはわずかに希釈した有機廃棄物のドライメタン発酵技術を確立するため, 回転ドラム発酵システム (RDFS) を開発し, その特性を明らかにした。RDFSの基質としてわずかに希釈した牛糞を用い, RDFSによりリアクタ内容物の混合状態が改善されるようにした。ドライメタン発酵システムの評価は有機酸とメタンの生成状況によって行い, pHやVA, メタン含有量等のパラメータを検討した。さらに, 汚泥-牛糞比(1:1, 1:2, 1:3, 1:5) や攪拌時間 (30, 60, 120, 240分/日) 等の影響を明らかにすることによってRDFS運転条件を決定した。
著者
古田 浩史 八上 公利 北村 豊 森 こず恵 落合 隆永 内田 啓一 田口 明 篠原 淳
出版者
日本口腔診断学会
雑誌
日本口腔診断学会雑誌 (ISSN:09149694)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.98-103, 2016-06-20 (Released:2016-10-12)
参考文献数
18

Denosumab is a bone antiresorptive agent for use in patients with osteoporosis or metastatic cancer of the bones. A recent meta-analysis revealed that denosumab is associated with an increased risk of developing medication-related osteonecrosis of the jaw (MRONJ) compared with bisphosphonate (BP) treatment or placebo, although the increased risk was not statistically significant between denosumab and BP treatments. This paper presents the case of an 83-year-old man with MRONJ in the left maxilla caused by the use of denosumab for prostate cancer with multiple metastases to lymph nodes, bone and lungs, which improved by minimally invasive treatment after withdrawal of denosumab. The patient was given a subcutaneous injection of denosumab every 4 weeks for a period of 17 months. He had no history of receiving bisphosphonates or radiation therapy. We performed careful examinations and treatment with antibiotics, local irrigation and removal of as many necrotic bone chips as possible every 2 weeks. Finally, the remaining sequestrum was removed 10 months after the cessation of denosumab. The affected area was epithelialized within 19 days.
著者
青山 亮介 北村 豊 山崎 和彦
出版者
日本食品工学会
雑誌
日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.127-133, 2009
被引用文献数
1 5

減圧噴霧乾燥法(VSD)は乾燥塔内を10~20 kPaに減圧することにより,40~60℃で液体試料の粉末化を可能とする方法である.本研究では,減圧された乾燥塔内の噴霧特性と粉末化特性を実験的に明らかにすることにより,VSDの設計・操作に資する基礎データを得ることを目的とした.材料に無糖練乳とヨーグルトスラリを用いて,減圧・非減圧の乾燥塔に噴霧し,その液滴径を測定したところ,噴霧圧や噴霧空気流量と液滴径の関係解析から,減圧下に噴霧されることによって液滴はより微細化し,二流体ノズルへの噴霧空気流量が小さい場合でも微細な噴霧液滴が得られることが判明した.しかし少ない噴霧空気流量でVSDを操作すると液滴の乾燥不良が生じ,逆に大きい噴霧空気流量で乾燥すると,微細粉末が乾燥塔外へ多く排出されるのでVSD乾燥特性の向上には,微細粉末を容易に回収する装置的改良が必要である.