著者
古川 康一 植野 研 尾崎 知伸 神里 志穂子 川本 竜史 渋谷 恒司 白鳥 成彦 諏訪 正樹 曽我 真人 瀧 寛和 藤波 努 堀 聡 本村 陽一 森田 想平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.117-128, 2005 (Released:2005-02-04)
参考文献数
52
被引用文献数
4 4

Physical skills and language skills are both fundamental intelligent abilities of human being. In this paper, we focus our attention to such sophisticated physical skills as playing sports and playing instruments and introduce research activities aiming at elucidating and verbalizing them. This research area has been launched recently. We introduce approaches from physical modeling, measurements and data analysis, cognitive science and human interface. We also discuss such issues as skill acquisition and its support systems. Furthermore, we consider a fundamental issue of individual differences occurring in every application of skill elucidation. Finally we introduce several attempts of skill elucidation in the fields of dancing, manufacturing, playing string instruments, sports science and medical care.
著者
五十嵐 創 植野 研 尾崎 知伸 森田 想平 古川 康一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.30, pp.1-6, 2003-03-13
被引用文献数
1

チェロ演奏スキルは,訓練によって獲得される,筋骨格系の整合的な一連の動作を行う能力であり,、身体知の一種である.身体知の獲得の目的は,演奏,踊り,各種のスポーツなどのスキルを向上させることである.身体知のもんだいは,それが暗黙的であり,職業演奏家や,プロスポーツプレイヤーが自身で何をおこなっているのかを把握できない点である.本研究の目的は,身体知をモデル化し,その暗黙知を言語化することである.本論文では,特に基本的なチェロ演奏スキルのひとつとして,しなやかな弓の返し動作を取り上げ,そのモデル化にベイジアンネットワークを用いることを検討した.ここでは,その基本構想を明らかにする.In this paper, we discuss the problem of modeling human skill in Bayesian network. The purpose of skill modeling is to use the model to improve performances in such activities as playing instruments, dancing, and playing various kinds of sports. The difficulty of human skill analysis comes from its tacitness: even professional viloinists or cellists do not know how they are playing. This paper defines a basic framesork of the research by proposing possible representations and structures of the Bayesian networks for human skill, and by defining the purpose of model usage. We furthermore discuss how to assign conditional probability tables in each node of the proposed Bayesian networks by accumulating obserbational data by a motion capturing system as well as by a surface electromyogram. We also discuss how to compare profeessional players with amateurs using Bayesian network representations.
著者
植野 研
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 = Journal of Japanese Society for Artificial Intelligence (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, 2006-01-01

演奏家や体操選手などの技芸実践者は, 長い年月をかけて高度な運動スキルを獲得し, 通常は成し遂げることのできない技を実演することができる.しかしながら, 多大な労力と時間をかけて磨き上げた技芸スキルは, 一般に, 個人差や筋骨格の冗長性・流派などの違いから, 言葉で説明することが困難であり, これを正しく理解することが困難であることが知られている.本研究では, このような身体知の構築問題に対し, 身体制御のタイミングに着目し, 高度なスキルをピークタイングシナジー(PTS)としてモデル化する方法を提案する.PTSとは, 身体各部のタイミングの協調制御に関する動作一貫性制約で, 運動タスクにおいて遵守すべき身体知のことである.次に, このPTSを, 身体計測データから自動構築するアルゴリズムPRESTO (Phasic Relation Extraction for Skill Training and Optimization)を提案する.PRESTOは, 多角形近似を用いて波形の変化ピークとその時間ずれを特徴点とし, 時系列マイニングによりタイミングの法則性を導き出す.本方法により, 多変量時系列波形から身体各部の連鎖動作を点と線で捉えるPTSのモデル化が可能となる.本論文では, チェロ演奏における運弓動作をとりあげ, 計測データからPTSを構築する検証実験を行った.この検証実験により, 熟練者に共通する共通スキル, 特定の熟練者に特化した個性スキルをモデル化でき, 解釈可能な身体知を構築することを確認した.技芸スキル教育におけるスキル解析の一つの道具立てを提供することができ, 技芸スキル理解における足がかりをつけることができた点で, 本研究は大きな意義をもっていると考えられる.
著者
古川 康一 植野 研 五十嵐 創 森田 想平 尾崎 知伸 玉川 直世
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第17回全国大会(2003)
巻号頁・発行日
pp.217, 2003 (Released:2004-02-03)

楽器の演奏を例として、暗黙的な身体知を言語化するために、熟達者の演奏をモーションキャプチャリングシステム、筋電図などで測定し、データから法則性を抽出するための方法論を展開してきたが、その過程で、幾つかの有用な知見が明らかになり、今後の発展の可能性が見えてきた。具体的には、運動学と運動力学の両面からのアプローチにより、見かけはほぼ同じでも異なる筋肉の使い方によって、技巧的な動きとそうでない動きが区別できることが明らかとなった。また、スキルを競合する動きでの制約充足問題として捉えることにより、その解明の可能性が示された。その過程で、たとえば弓の返しや弓の弦移動をスムーズに行う方法、左手のポジションチェンジをすばやく正確に行う方法などを発見できた。これまでに得られた新たな発見は、必ずしもデータマイニングによる自動発見ではないが、その枠組み、実験手法、モデル化手法、制約充足による形式化、筋骨格系の役割、筋肉の利用の種々のモードの重要性の発見、柔軟な運動を実現するための視点、重心の役割、メンタルモデルの重要性などが明らかになった結果として、われわれ自身の洞察によって得られたものである。しかし、その過程を通して得られた知見は、今後のスキルの自動発見につながる、背景知識の整備を行ったことになると考えられる。本テーマは、認知科学、人工知能、生体力学、脳科学などが深く関わったテーマであり、それ自体興味深いが、さらに時系列データマイニングなどの技術を使うことによって、身体知の解明が進むものと期待できる。本テーマは、楽器の演奏に限らず、ゴルフなどのスポーツにも広く応用できると期待される。身体知の解明は、今後の新たなビジネスの創造にも貢献できると期待される。
著者
真矢 滋 山口 晃広 稲木 達哉 植野 研
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1I4J205, 2019 (Released:2019-06-01)

IoTの発展に伴い、大量の時系列データが取得可能になりつつある。このような時系列データから有用な知見を発見するために、多変量時系列データを特徴的なパターンに分割するセグメンテーション方法が注目を集めている。しかしながら、既存手法では分割位置が変数に関わらず同一であり、変数間の特徴を捉えることが困難であった。この問題に対応するために、各変数で適切な分割位置を求める手法を提案する。そして、人工データと実データを用いて提案手法の有効性を検証する。