著者
白鳥 成彦 田尻 慎太郎 宇田川 拓雄
出版者
嘉悦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、大学における学生の退学を防止する為に行う教育施策の意思決定を支援することを目的として、日々変化し蓄積していく学生データと共に学内外で学生と接している人々 (保護者、友人等)に関するデータを組み込んだ中退予測モデルを構築する。これまでの中退予測研究では学生データの活用に主がおかれ、保護者や友人といった学内外者との関係やその影響をいれることは少なかった。本研究では学内外の学生をとりまく環境や人間関係の影響を考慮にいれた中退予測モデルを作成し、学生の人間関係が中退するまでの学生行動にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることで、大学が行う中退防止施策に客観的な示唆を与えることを試みる。
著者
白鳥 成彦 大石 哲也 田尻 慎太郎 森 雅生 室田 真男
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.11-22, 2020-07-10 (Released:2020-07-10)
参考文献数
21
被引用文献数
1

本研究では過去のデータを用いて中退をした大学生の状態を学期ごとに遷移する中退確率を用いて表現し,その中退確率を用いて中退までの学生の動きを類型化する手法を提示する.大学における中退は,大学にとっても,学生にとっても負の影響が大きい.本研究では過去のデータを用いて中退をした大学生の状態を学期ごとに遷移する中退確率を用いて表現し,その中退確率を用いて中退までの学生の動きを類型化する手法を提示する.大学における中退は,大学にとっても,学生にとっても負の影響が大きいため,中退を予測し,介入することで未然に防止する研究は広くなされてきた.しかし,中退予測の研究では中退を一時点のみで予測することが多く,実際に中退をする学期までに予測がどのような変遷を経るのかといった研究は少なかった.本研究ではロジスティック回帰モデルを用いて学期ごとに中退確率を算出し,X-means 法を用いて類型化することで,実際に中退をする学期までにどのような途中過程を経るのかを表現する手法を提示する.本手法を用いることで,大学において実際に中退をした学生がどのような過程を経て中退をしたのかを量的に知ることができるため,全学的な学生支援の方向性を検討し,効率的な中退防止施策につなげることができる.
著者
白鳥 成彦 大石 哲也 田尻 慎太郎 森 雅生 室田 真男
出版者
教育システム情報学会
雑誌
教育システム情報学会誌 (ISSN:13414135)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.440-451, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)
参考文献数
16

First-year spring semester grades are an important factor in whether or not a student will graduate within the standard academic year. It has been mentioned that the GPA in the spring semester of the first year is related to variables known before admission, placement tests, absence rate, etc. However, it is late in the process of determining grades and it is difficult to determine which students should be intervened upon and how many students should be intervened upon because the status of students within the semester is unknown. There have been few studies to clarify how many students and how their status transitions during the spring semester of the first year. In this study, we propose a method to predict how students' GPA changes week by week during the semester, capture it as a time series vector, and use the transition results of the predicted GPA to classify students. By identifying the differences between the typed groups, we can clarify how much and from which times students decline during the semester, and where and when interventions should be made.
著者
白鳥 成彦
出版者
日本インスティテューショナル・リサーチ協会
雑誌
大学情報・機関調査研究集会 論文集 第11回大学情報・機関調査研究集会 論文集 (ISSN:24363065)
巻号頁・発行日
pp.86-89, 2022-11-11 (Released:2022-12-27)

大学においてデータ活用、意思決定支援のために IR 組織を設置していることがあたりまえになってきた。しかし、IR 組織は大学規模の大小・環境によって、基盤の形や運用方法も様々であり、他大学の事例をそのまま展開することは難しい。特に小規模大学にとっては予算や人材の限界があるため、利用できる基盤も限られてくる。本報告では小規模大学のための IR 基盤・データ分析基盤の構築・運用サイクルを提示し、その有用性を検討していく。実例として Excel、Google Workspace を基盤にしたデータレイク、データウェアハウス部分をあげ、小規模大学において活用可能な事例として提示する。
著者
白鳥 成彦 田島 悠史 田尻 慎太郎
出版者
嘉悦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は日々変化し蓄積していく学生データと大学における教学データを確率的に関連付けたモデルを構築し、大学生の退学を防止する為に行う教育サービスの意思決定を支援することである。平成29年度は平成28年度に作成した学生モデルの再構築と教学サービスとの統合、さらに学会等における成果の発表を行った。(1)学生モデルの再構築では平成28年度に行った一次成果の報告におけるフィードバックを経て学生モデルの再構築を行った。具体的には中退に関連する変数を2群:入学時の変数と入学後の変数に分け、その統合によって学生の状態を推測していくモデルにした。結果としてマクロ的な変数のみで動的な動きを表現できなかった前年度のモデルに対して、学期ごとの動きを表現することができるようになり、より中退までの具体的な動きを扱うことができるようになった。次に(2)学生モデルを用いて教学サービスとの統合を行った。具体的には作成した学生モデルを教職員に公開し、その学生ごとに適した形の教学サービスはどのようなものかを考えるワークショップを5回行った。学生モデルから出される中退・卒業までのパターンごとに適切な教学サービスにどのようなものがあるのかを導出した。学生パターンごとに教員が行うサービス、職員が行うサービス、カウンセラーが行うサービスに分け、それぞれのタイプごとにいつ、どのサービスを行うことが適切なのかを導出した。最後に(3)以上の学生モデル、教学サービスの統合部分を学会発表論文としてまとめ、発表を行った。
著者
古川 康一 植野 研 尾崎 知伸 神里 志穂子 川本 竜史 渋谷 恒司 白鳥 成彦 諏訪 正樹 曽我 真人 瀧 寛和 藤波 努 堀 聡 本村 陽一 森田 想平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.117-128, 2005 (Released:2005-02-04)
参考文献数
52
被引用文献数
4 4

Physical skills and language skills are both fundamental intelligent abilities of human being. In this paper, we focus our attention to such sophisticated physical skills as playing sports and playing instruments and introduce research activities aiming at elucidating and verbalizing them. This research area has been launched recently. We introduce approaches from physical modeling, measurements and data analysis, cognitive science and human interface. We also discuss such issues as skill acquisition and its support systems. Furthermore, we consider a fundamental issue of individual differences occurring in every application of skill elucidation. Finally we introduce several attempts of skill elucidation in the fields of dancing, manufacturing, playing string instruments, sports science and medical care.
著者
遠山緑生 田尻慎太郎 岩月基洋 岡本潤 木幡敬史 白鳥成彦
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.129-138, 2015-04-15

本稿では,社会科学系の小規模大学である嘉悦大学において著者らが取り組んできた「デジタルネイティブ世代の学生が,正課の内外共に大学において積極的にICTを使いこなすようになること」を目標とした教育改善の取り組みについて,ICTリテラシー教育のカリキュラム設計とICT利用環境整備の双方の観点から紹介する.ICTリテラシー教育の内容を全面的にアクティブラーニングによる問題解決型のものに刷新するとともに,これを支えるインフラとしてのICT利用環境は,BYODとクラウドサービスの徹底活用を基本方針とし,従来型のPC教室やオンプレミス型サーバを廃止・縮小した環境を整備した.
著者
白鳥 成彦
出版者
日本インスティテューショナル・リサーチ協会
雑誌
大学情報・機関調査研究集会 論文集 大学情報・機関調査研究集会 論文集 (ISSN:24363065)
巻号頁・発行日
pp.100-105, 2021 (Released:2021-12-28)

大学における中退に関連する研究は欧米中心で行われてきているが、最近になり日本においても大学間を通した連携、組織化が進んできている。一方で、当該の研究は事例ベースになりがちで、大学中退に対して、IRerがどのようなプロセスでどのように情報を入手し、中退防止施策に取り組んでいくのかは明確になっていない。本研究ではTintoの中退理論に基づいて、入学前と入学後、大学内と大学外の2つの点から分析を行い、IRerが中退防止に関連した分析するための変数を提案する。
著者
遠山緑生 田尻慎太郎 岩月基洋 岡本潤 木幡敬史 白鳥成彦
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.129-138, 2015-04-15

本稿では,社会科学系の小規模大学である嘉悦大学において著者らが取り組んできた「デジタルネイティブ世代の学生が,正課の内外共に大学において積極的にICTを使いこなすようになること」を目標とした教育改善の取り組みについて,ICTリテラシー教育のカリキュラム設計とICT利用環境整備の双方の観点から紹介する.ICTリテラシー教育の内容を全面的にアクティブラーニングによる問題解決型のものに刷新するとともに,これを支えるインフラとしてのICT利用環境は,BYODとクラウドサービスの徹底活用を基本方針とし,従来型のPC教室やオンプレミス型サーバを廃止・縮小した環境を整備した.
著者
宇田川 拓雄 松本 美奈 白鳥 成彦 田尻 慎太郎
出版者
嘉悦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

現代では高学歴は有利な職業と豊かな生活へのパスポートである。大学に入学しても不本意に退学することは本人、家族、社会、大学に痛手である。大学の退学リスクの情報は大学ガイド(大学案内)の最重要項目である。「大学の実力」(読売新聞社)は従来、大学が公表していなかった退学率を調査し公表した。本研究ではその2008年と2018年のデータで大学を「改善」「悪化」「停滞」「順調」の4タイプに分け、タイプ別に退学率と教育改善策の関係を分析する。米国では1982年にニューヨークタイムス誌が大学ガイドを発表するなど大学情報の公開が進んでいる。日米の大学ガイドを比較し退学リスクの低い大学の特徴を明らかにする。
著者
今井 匠太朗 淺田 義和 伊藤 彰 片野坂 俊樹 白鳥 成彦 高松 邦彦 松本 清 森 雅生
出版者
日本インスティテューショナル・リサーチ協会
雑誌
大学情報・機関調査研究集会 論文集 第12回大学情報・機関調査研究集会 論文集 (ISSN:24363065)
巻号頁・発行日
pp.66-71, 2023-11-19 (Released:2023-11-24)

データの可視化や分析の知識はIR担当者に必要な素養の1つである。効果的な意思決定のためには適切に処理されたデータ分析が重要であるが、このような能力に長けた人材は不足しており、IRの普及を困難にしている。この状況を踏まえ、IRで実践的に利用するデータサンプルを提供し、IRスキルの涵養や質向上を目指すプラットフォームを立ち上げる。データサンプルは合成データを配布し利用可能とする。この合成データに基づいたデータ分析のサンプルや教材の配布、またデータそのものの改善等を集約し、 IR人材の育成とその質向上を目指す。本稿では、プラットフォーム立ち上げの背景からコンセプト、将来構想について論述する。
著者
"遠山 緑生 白鳥 成彦 大久保 成 木幡 敬史 和泉 徹彦 田尻 慎太郎" "トオヤマ ノリオ シラトリ ナルヒコ オオクボ ナル コワタ タカシ イズミ テツヒコ タジリ シンタロウ" Norio "Toyama Naruhiko Shiratori Naru Okubo Takashi Kowata Tetsuhiko Izumi Shintaro" Tajiri
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.67-88, 2012-03-20

嘉悦大学では、デジタルネイティブ世代へのICT リテラシー教育内容を再検討し、2010 年度からの新カリキュラムの主要科目としてICT スキルズ・ICT ツールズ・ICT メディア・ICTコモンズの4 科目を開講した。この4 科目は「デジタルネイティブ世代を意識した、コンピュータ<で>教えるICT 教育」をコンセプトとする。4 科目全体の目標は、いわゆる初年次教育の一環として、PC やネットの利用をきっかけとしつつ、広く知的生産において必要とされるリテラシーの育成と、知的生産を通じたコミュニケーションの経験を積んでもらうことにある。ICT を活用した情報の<入力-編集-出力>という一連のプロセスを標準形とし、これを4 科目それぞれの特色を持つ様々な形のプロジェクト課題として実践する。本論文ではこれらの科目に関して、その概要と目標を述べるとともに、現在の科目編成に至る過程で行われた議論をまとめ、紹介する。
著者
遠山 緑生 白鳥 成彦 大久保 成 木幡 敬史 和泉 徹彦 田尻 慎太郎
出版者
嘉悦大学
雑誌
嘉悦大学研究論集 (ISSN:02883376)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.67-88, 2012-03-20

嘉悦大学では、デジタルネイティブ世代へのICT リテラシー教育内容を再検討し、2010 年度からの新カリキュラムの主要科目としてICT スキルズ・ICT ツールズ・ICT メディア・ICTコモンズの4 科目を開講した。この4 科目は「デジタルネイティブ世代を意識した、コンピュータ<で>教えるICT 教育」をコンセプトとする。4 科目全体の目標は、いわゆる初年次教育の一環として、PC やネットの利用をきっかけとしつつ、広く知的生産において必要とされるリテラシーの育成と、知的生産を通じたコミュニケーションの経験を積んでもらうことにある。ICT を活用した情報の<入力-編集-出力>という一連のプロセスを標準形とし、これを4 科目それぞれの特色を持つ様々な形のプロジェクト課題として実践する。本論文ではこれらの科目に関して、その概要と目標を述べるとともに、現在の科目編成に至る過程で行われた議論をまとめ、紹介する。