著者
若槻 壮市 山田 悠介 Leonard M. G. CHAVAS 五十嵐 教之 川崎 政人 加藤 龍一 平木 雅彦 松垣 直宏
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.130, no.5, pp.631-640, 2010-05-01 (Released:2010-05-01)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

The Targeted Protein Research Program (TPRP) started in 2007 as a sequel of the Protein 3000 Project which lasted from 2002 to 2007. In the new project, four cores, Protein Production, Structure Analysis, Control of Protein Functions with Compounds, and Informatics, have been established as focus of methodology developments critical for functional and structural studies by the target protein research teams. Within the “Analysis Core” synchrotron radiation plays a pivotal role providing X-ray beams for structural analyses of the target proteins. The two large Japanese synchrotron radiation facilities, SPring-8 and Photon Factory (PF), along with three protein crystallography groups from Hokkaido, Kyoto and Osaka Universities have teamed up to develop two complementary micro-beam beamlines, one on each synchrotron site, and associated technologies for cutting edge structural biology research. At the PF, there are 5 operational beamlines which are equipped with state-of-the-art instrumentation for high-throughput protein crystallography experiments. Within the TPRP framework, the PF is developing a micro-focus beamline optimized for a lower energy single anomalous diffraction (SAD) experiment. This will be particularly useful for structure determination of difficult protein targets for which heavy atom derivatives or selenomethionine substitution does not work and other standard phasing methods fail to give structure solutions. This will augment the capabilities of the PF structural biology beamlines with similar look-and-feel experimental environments.
著者
松垣 直宏 山田 悠介 引田 理英 平木 雅彦 千田 美紀 千田 俊哉
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.56-61, 2020-02-29 (Released:2020-03-06)
参考文献数
21

Applying long wavelength X-ray (ca. longer than 2 Å) in macromolecular crystallography has been limited due to the lack of dedicated measurement environment. Photon Factory BL-1A, as an MX beamline optimized for diffraction experiment using the wavelength from 2.7 to 3.3 Å, offers the opportunity to routinely perform data collection for Native SAD phasing or light atoms identification with much sophisticated manner. Sample optimization is another key for successful experiment at the wavelength where severe absorption is inevitable. We describe how the difficulties in use of long wavelength X-ray were overcome at the beamline and the auxiliary facility, as well as the current results of Native SAD phasing.
著者
岸本 大輝 杉浦 巧 山田 悠司 栗原 聡
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:2188885X)
巻号頁・発行日
vol.2023-ICS-210, no.11, pp.1-7, 2023-03-03

コミュニケーションがオンライン中心となるリモートワーク環境では,意思疎通を通じたストレスの把握が行いにくい.そのため,業務を継続しながら実施できるリモートワーカーのストレス検知が重要となる.今回,この問題へのアプローチとして PC 操作ログ分析と表情分析に着目した.本研究では,リモートワークにおける PC 操作特徴量・表情分析による感情推定値とストレスの関係を明らかにすることを目的としている.まず,心拍センサ・PC 操作ログ取得プログラム・Web カメラからデータを取得して加工・統合の処理を行う環境を構築した.PC 操作ログに関しては,キーボード,マウス,ウインドウの操作ログを取得する.PC 上で行うタスクを設定した上で,疑似的にオフィスワーク及びリモートワークを実施し,データの取得を行った.実験で得られたデータの分析結果として,左クリックの回数や嫌気,悲しみの感情推定値がストレスの変化に関係していることが示唆されたが,どれも弱い相関であった.しかし,業務に慣れるまではリモートワークではなくオフィスワークを実施することでストレスが軽減するという,リモートワークを実施する上で重要となりうる知見が示唆された.
著者
三冨 敬太 佐藤 優介 阿部 菜々子 佐藤 尋宣 藤井 賢二 安藤 昭太 山田 悠平
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第68回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.276, 2021 (Released:2022-02-23)

インクルーシブデザインは重要度が増しているが、障害のある人とない人が共感を得ながらコミュニケーションを進めることは簡単ではない。現状のインクルーシブデザインのデザインプロセスでは、コミュニケーションの齟齬が発生する可能性を残している。そのため、本研究では、障害のある人とない人が共感を得て円滑なコミュニケーションを行うことができる介入を加えた、デザインプロセスを提示した。具体的には、インクルーシブデザインのデザインプロセスをベースに、共創型対話のアプローチを組み込んだ、Valuable Designプロセスを提示する。また、本デザインプロセスをもとにデザインしたコンセプトの提示を行いフィードバックを得た結果、本デザインプロセスを通じて、障害の有無を超えたメンバーで新規性の高い価値を顕在化できる可能性が示唆されたと考えられる。
著者
山田 悠介
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.208-211, 2021-08-31 (Released:2021-09-02)
参考文献数
13

There are five macromolecular crystallography beamlines at the Photon Factory. All beamlines support fully automated unattended data collection and remote interactive data collection, and users can select them when they submit beamtime requests. The beamlines also support browsing of results of the past experiments as well as the automated data analysis pipelines. The interactive data processing and raw data download from remote will be supported in the next autumn.
著者
中本 和岐 山田 悠 鈴木 英之進
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.144-152, 2003 (Released:2003-03-04)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

This paper proposes a fast clustering method for time-series data based on average time sequence vector. A clustering procedure based on an exhaustive search method is time-consuming although its result typically exhibits high quality. BIRCH, which reduces the number of examples by data squashing based on a data structure CF (Clustering Feature) tree, represents an effective solution for such a method when the data set consists of numerical attributes only. For time-series data, however, a straightforward application of BIRCH based on a Euclidean distance for a pair of sequences, miserably fails since such a distance typically differs from human's perception. A dissimilarity measure based on DTW (Dynamic Time Warping) is desirable, but to the best of our knowledge no methods have been proposed for time-series data in the context of data squashing. In order to circumvent this problem, we propose DTWS (Dynamic Time Warping Squashed) tree, which employs a dissimilarity measure based on DTW, and compresses time sequences to the average time sequence vector. An average time sequence vector is obtained by a novel procedure which estimates correct shrinkage of a result of DTW. Experiments using the Australian sign language data demonstrate the superiority of the proposed method in terms of correctness of clustering, while its degradation of time efficiency is negligible.
著者
松尾 篤 冷水 誠 前岡 浩 奥田 彩佳 小寺 那樹 堀 めぐみ 山田 悠莉子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに】</p><p></p><p>我々は,患者の表情から体調やリスク,また気分を察知し,医学的・心理的対応を臨機応変に修正しながら理学療法を実践する。このように,他者の表情からその心の状態を想像することは医療専門家として重要である。しかしながら,このような表情識別は意識的に実行されるわけではなく,無意識的かつ自動的に行われており,他者のことをわかろうと積極的に努力しているわけではない。よって,この無意識的な表情識別の過程を検証することで,医療コミュニケーション教育の基礎的知見になると考える。そこで,本研究では本物と偽物の表情を観察している際の視線行動を分析し,他者理解の潜在的な能力を検討する。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>研究参加者は,健常大学生99名(男性49名,女性50名),平均年齢20.5±2.1歳とした。実験1として,視線行動分析課題を実施した。笑顔と痛みの表情を本物と偽物をそれぞれペアで提示し,提示時間5秒,インターバル3秒で合計16画像を観察した。その際の視線停留時間をアイトラッカー(Tobii社)で記録した。次に実験2として,表情識別課題を実施した。実験1で使用した笑顔と痛みの画像を1枚ずつPC画面上に提示し,参加者には本物か偽物かを可能な限り早くボタンで回答するよう求めた。実験3では,共感性のテストとして,目から感情を読み取る課題(アジア版RMET)を実施した。PC画面上に目の画像を1枚ずつ合計36枚提示し,各画像の四隅に表示した感情用語から目が表す感情を選択する課題を実施した。実験2と3の正答率および反応時間をSuperLab5.0(Cedrus社)で記録した。実験1と2の統計分析はWilcoxon matched-pairs signed rank testを実施し,実験2と3の関連性検証にはSpearmanの相関分析を使用した。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>(実験1)笑顔の場合には本物の方を有意に長く注視することが示された(本物1.92±0.7秒vs偽物1.79±0.6秒,P=0.002)。しかし,痛みの画像では注視時間に有意差を認めなかった。(実験2)笑顔の本物正解率は平均74.1%であり,正解率が平均以上の参加者では,実験1の本物の笑顔に対する注視時間が有意に長かった(本物2.00±0.4秒vs偽物1.78±0.4秒,P=0.01)。(実験3)RMETの正答率が高いほど,本物の笑顔識別が有意に高かった(r=0.2,P=0.03)。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>我々は,無意識的に高い精度で本物の笑顔を識別しており,本物の笑顔をより長い時間観察することによって,その識別能力を可能にしていることが示唆された。また,共感性が高い人ほど笑顔識別能力が高いことから,他者理解と表情認知は密接な関連があることが示唆された。しかしながら,痛み表情ではこれらを認めず,笑顔と痛み表情の社会的意義の相違が表情認知に関係することが推察された。</p>
著者
幸田 仁志 甲斐 義浩 来田 宣幸 山田 悠司 三浦 雄一郎 福島 秀晃 竹島 稔 森原 徹
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.548-551, 2019 (Released:2019-09-18)
参考文献数
13

地域在住高齢者を対象に,腱板断裂,肩痛の自覚症状,他覚症状のそれぞれの有無により健康関連QOLを比較検討した.地域在住高齢者363名を対象とした.測定項目は,超音波診断による腱板断裂,アンケートによる肩痛の自覚症状,impingement signによる他覚症状の有無,SF-8の下位尺度およびサマリースコアとした.統計解析はMann-Whitney の U 検定を用い,それぞれの陽性群と陰性群で健康関連項目を比較した.肩痛の自覚症状の陽性群は,身体機能,日常役割機能(身体),体の痛み,全体的健康感,活力,身体的健康感が有意に低値を示した.他覚症状の陽性群は,身体機能,体の痛み,全体的健康感,活力,身体的健康感が有意に低値を示した.腱板断裂の有無では,いずれの項目にも有意差は認められなかった.地域在住高齢者の健康関連QOLには,腱板断裂の有無は直接的に関与せず,肩痛の自覚症状や他覚症状によって低下することが示唆された.
著者
甲斐 義浩 幸田 仁志 山田 悠司 三浦 雄一郎 福島 秀晃 竹島 稔 来田 宣幸 森原 徹
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.411-414, 2019 (Released:2019-09-18)
参考文献数
12

本研究では,肩関節の総合的な柔軟性を得点化できる肩複合柔軟性テストを考案し,そのテスト法の信頼性と妥当性について検討した.対象は,健常若年者43名,健常高齢者252名,肩病変を有する高齢者111名とした.肩複合柔軟性テストは,外転,内転,外旋,内旋,複合テストの5項目で構成される.各テストには,4段階(0, 1, 2, 3)の判定基準を設定し,5項目の合計得点を0~15点で算出した.分析の結果,本テストの判定一致度(k係数:0.81-1.00)および合計得点(ICC:0.91)ともに,優秀な検者間信頼性が確認された.また,合計得点と肩甲上腕関節可動域との間に有意な正相関が認められた.対象者の合計得点は,健常若年者:12.5 ± 1.7点,健常肩高齢者:10.4 ± 2.5点,病変肩高齢者:8.7 ± 2.8点であり,病変肩群の得点は他の2群と比べて有意に低かった(p < 0.01).これらの知見より,肩関節の総合的な柔軟性を得点化できる尺度として,本法の信頼性と妥当性が示された.
著者
幸田 仁志 甲斐 義浩 来田 宣幸 松井 知之 山田 悠司 森原 徹
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.143-146, 2019-10-15 (Released:2019-10-17)
参考文献数
15

〔目的〕本研究の目的は,高校生野球選手における上腕近位部周径と肩関節挙上筋力との関係性を検討することとした。〔方法〕硬式野球部に所属する高校生125名を対象とした。測定項目は,投球側の上腕近位部周径と肩関節挙上筋力,および投球肩障害の有無とした。統計解析には,ピアソンの相関係数を用いて,上腕近位位部周径と肩関節挙上筋力との関係性を,健常群と投球肩障害群のそれぞれで検討した。〔結果〕健常群では,上腕近位部周径と肩関節挙上筋力との間に有意な正の相関関係が認められた。一方,投球肩障害群では,上腕近位部周径と肩関節挙上筋力との間に有意な相関関係は認められなかった。〔結語〕上肢の筋力を積極的に強化している高校生野球選手においても,上腕近位部周径は肩関節挙上筋力を反映する指標となることが示された。また,肩関節に何等かの異常がある場合では,その関係が認められない可能性が示唆された。
著者
白井 裕泰 小野 泰 林 英昭 藤田 香織 栗子 岳大 奥山 智也 大西 裕也 大関 貴史 榎本 将紀 佐々木 雄也 菊池 智也 清水 元紀 山田 悠人 谷川 弘子 齋藤 嘉一 朝光 拓也 高橋 定信 高橋 和弘 高橋 直弘 千葉 恒介
出版者
ものつくり大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

阮朝フエ王宮における昭敬殿の上部構造を以下の方法によって復原した。①昭敬殿と隆徳殿の柱間寸法の比較および基壇構造の比較によって昭敬殿が隆徳殿と同一規模、同一形式であることを明らかにした。②昭敬殿の復原は、隆徳殿の寸法計画、建築技法、細部意匠を踏襲することによって実施した。③隆徳殿と同様に復原設計に倣って原寸図を作成し、その寸法を基準に施工した。④昭敬殿の基壇は、地盤の地耐力を考慮して、隆徳殿基壇修理と同様に、各柱礎石下にレンガ積独立基礎を新設した。⑤昭敬殿の軸部および屋根の組立は、隆徳殿の施工に倣って行われた。⑥昭敬殿復原の参考資料として、復原図、基壇詳細図、原寸図、竣工写真などをまとめた。
著者
川崎 政人 若槻 壮市 加藤 龍一 五十嵐 教之 平木 雅彦 松垣 直宏 山田 悠介 鈴木 喜大 RAHIGHI Simin ROHAIM Ahmed
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

NF-κBは、免疫、炎症、抗アポトーシスなどに関わる様々な遺伝子の転写を活性化する転写因子であり、NEMOにより活性化される。NEMOはLys63結合ユビキチン鎖と結合すると報告されていたが、意外なことにユビキチンが直列につながったタンデムユビキチン鎖により強く結合してNF-κBを活性化することが判明した。タンデムユビキチンとNEMOの複合体の結晶構造解析の結果、NEMOはコイルドコイル二量体の両面で2分子のタンデムユビキチンを対称的に結合しており、NEMOによるユビキチン鎖の選択的認識機構が明らかになった。
著者
山田 悠 鈴木 英之進 横井 英人 高林 克日己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.30, pp.141-146, 2003-03-13

本論では,時系列属性を含むデータから決定木を学習する新しい方式を提案する.時系列属性は,値と時刻のペアについてのシーケンスとして表される時系列データを値にとる属性であり,種々の実応用問題に頻出するために重要であると考えられる.われわれが提案する時系列決定木は,内部ノードに時系列データを持ち,時系列データに関する距離に基づいて例集合を分割する.最初に動的時間伸縮法に基づく基準例分割テストを定義し,次にこれを用いた決定木学習法を示す.実験の結果,提案手法は他の手法に比較して理解しやすく正確な決定木を学習でき,ることが分かった.さらに医療問題への適用の結果,時系列決定僕は知識発見に有望であることが分かった.This paper proposes a novel approach for learning a decision tree from a data set with time-series attributes. A time^series attribute takes, as its value, a sequence of values each of which is associated with a time atamp, and can be considered as important since it fruquantly in real-world applications. Our time-series tree has a time sequence in its internal node, and splits examples based on similarities between a pair of time sequences. We first define our standard example split test based on dynamic time warping, then propose a decision tree induction procedure for the split test. Experimental results confirm that our induction method, unlike other methods, constructs comprehensive and accurate trees. Moreover, a medical application shows that our time-series tree is promising in knowledge discovery.