著者
辻中 猛 三宅 久美子 橋本 啓子 小川 真 猪原 秀典
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.Suppl.2, pp.S185-S192, 2009 (Released:2010-12-01)
参考文献数
13

この研究の目的は、指示従命スコアの信頼性および妥当性を検証することである。当院介護病床入院症例 138 名 (男性 35 名、女性 103 名、平均年齢 82.4 ± 9.7) を対象に、上気道運動の 1 )発声、2 )咳払い、3 )舌運動、4 )空嚥下、さらに 5 )開閉眼、6 )掌握の指示への応答をそれぞれ 0 - 3 点で評価し、上気道に関する運動のスコア 1 ) - 4 )、その他の運動のスコア 5)、6 )のそれぞれの和を求めた。信頼性に関しては、内部一貫性について上気道運動に関するスコアの和と他の運動のスコアの和の間の相関性およびクロンバックの α 係数を用いて評価し、評価者間および評価者内信頼性については kappa 値を算出して評価した。妥当性については、病床勤務の看護師による主観的印象による評価と指示従命スコアとの相関性、または指示が入ることを予測するスコアの cut-off 値を求めた。結果として、( 1 )上気道運動に関するスコアの和と他の運動のスコアの和との間に高い相関性が得られた (r = 0.86、p < 0.0001)。また、クロンバックの α 係数は 0.94 と高い値を示した。( 2 )評価者間一致率の kappa 値は空嚥下を除き 0.8 以上と良好であった。( 3 )評価者内一致率の kappa 値は評価者間のものよりも低い値であった。( 4 )「指示が入る」と主観的に判断された症例と「指示が入らない」と判断された症例との間に明確なスコアの差が認められた。 ( 5 ) 「指示が入る」ことを予測するためのスコアの cut-off 値を 1 あるいは 2 にしたときに、感度と特異度の最良のバランスが得られた。以上のことから、指示従命スコアの高い内部一貫性、評価者間信頼性および妥当性が示された。また、当スコアの評価者は単独でも十分であるが、評価時については患者の状態が良好な時間を選ぶべきであることが示唆された。
著者
藤田 治彦 井口 壽乃 近藤 存志 川島 洋一 池上 英洋 加須屋 明子 井田 靖子 橋本 啓子 天貝 義教 高木 陽子 高安 啓介 加嶋 章博 朝倉 三枝 三木 順子 永田 靖 塚田 耕一
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

美術、建築も含めた広い意味でのデザイン教育の歴史をおもなテーマにした国際会議、第1回ACDHT(Asian Conference of Design History and Theory)を本研究開始の平成27年10月に大阪大学で開催、平成29年9月には第2回ACDHTを東京の津田塾大学で開催した。その研究内容は同国際会議での発表論文を査読して掲載する ACDHT Journal の”Design Education beyond Boundaries”に掲載され、同国際会議ウェブサイトでも閲覧可能にしている。研究代表者と13名の研究分担者は、全員、積極的に調査研究を進めている。平成29年度は、特にインド、スペイン、ドイツ、中欧、イギリス(スコットランド)の研究成果が注目された。第2回ACDHTでは、第1回ACDHT以上に、本科研プロジェクト以外の研究発表者も国内外から参加し、このデザイン教育史研究を通じての国際交流を高めている。本研究は、各国のデザイン史、美術史、建築史等を専門とする日本の代表的研究者が研究分担者となり関連国、関連地域の独自の調査研究を進め、国際会議での発表でも高く評価されているているが、全世界を視野に入れれば専門の研究分担者のいない国や地域も多く、それが「デザイン教育史の国際的比較研究」の目的を達成するには唯一の欠点でもあった。研究代表者は、その欠点を十分に補って研究を総括する立場にあり、第1、第2年度には、担当する研究分担者のいない中国、東南アジア、インド等の調査を行い、平成29年度にはオランダと北米(アメリカ東部とカナダ)および南米(アルゼンチンとチリ)等で調査研究を行った。調査のために訪問した各国の主要教育機関からは多くの場合、重要な関連資料を提供され、旅費は必要だが、図書購入費は節約可能で、順調に調査研究を進めている。