著者
會田 萌美 武井 圭一 奥村 桃子 平澤 耕史 田口 孝行 山本 満
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.25-28, 2016 (Released:2016-03-17)
参考文献数
7

【目的】本研究では,片脚立位における非支持脚拳上方向の股関節角度の相違に着目し,支持脚筋活動に与える影響を明らかにすることを目的とした。【方法】男子大学生13名を対象に,片脚立位姿勢(非支持脚股関節中間位,外転20度・45度,屈曲30度・90度)を保持させ,支持脚の大殿筋,中殿筋,大腿筋膜張筋,腓腹筋内側頭の筋活動を測定した。4筋における股関節中間位と外転位,股関節中間位と屈曲位の肢位間の筋活動を比較した。【結果】非支持脚を外転方向へ挙上した片脚立位では,角度の増大に伴い中殿筋に有意な筋活動の増加を認めた。外転45度・屈曲90度の片脚立位では,股関節中間位の片脚立位に比べ,中殿筋・大殿筋の有意な筋活動の増加を認めた。【結論】Closed Kinetic Chainでの筋力トレーニングとしての片脚立位は,股関節外転により支持脚中殿筋の筋活動を鋭敏に増加させ,外転45度・屈曲90度では股関節周囲筋の筋活動を増加させる特徴があると考えられた。
著者
解良 武士 武井 圭一
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.153-156, 2007-08-31 (Released:2017-04-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1

健常男子大学生7名を対象に,呼吸運動出力の指標である気道閉塞圧(P0.1)と換気量を無負荷と1kgの重錘を把持した姿勢で比較した.その結果,上肢を挙上するとP0.1は増加するが,1回換気量は増加しなかった.このことは呼吸運動出力に見合う換気量が得られないと息切れを感知するというモデルと一致し,慢性閉塞性肺疾患患者が上肢挙上時に息切れが起こりやすいことと関連があると考えられる.
著者
濱田 勇志 武井 圭一 守岡 義紀 野々垣 政志 茂木 恵 石川 由樹 山本 満
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.455-458, 2017 (Released:2017-06-23)
参考文献数
10

〔目的〕無呼吸発作・周期性呼吸に対する腹臥位の効果を,超低出生体重児の1例の介入結果から検討することである.〔対象と方法〕症例は,超低出生体重児であり,修正37週以降にも周期性呼吸・無呼吸発作を示した.呼吸管理目的に腹臥位によるポジショニングを3週間実施し,経皮的動脈血酸素飽和度(以下,SpO2)を指標に,背臥位へ姿勢変換した後の腹臥位の即時的変化と24時間変化を評価した.また,介入前後3週間での呼吸異常の有無を調査した.〔結果〕SpO2は,5分間変化(即時的変化),24時間変化のどちらでも平均値の上昇,変動幅の減少を示した.呼吸異常の出現頻度は,無呼吸発作で介入前5回,介入後は消失,周期性呼吸で介入前5回,介入後1回であった.〔結語〕腹臥位による呼吸管理は,呼吸異常の頻度を減少できることが示唆された.
著者
岩田一輝 武井圭一 森本貴之 山本満
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.50, 2016 (Released:2021-03-12)

【目的】歩数を用いた身体活動(PA)量を継続する自信(SECPA)の評価法を開発し、その信頼性と妥当性を明らかにすることである。【方法】当院教育入院に参加した糖尿病患者30 名を対象に、退院前日にSECPA と岡らが作成したPA セルフ・エフィカシー尺度(SEPA)を評価した。SECPA は、8 日間の歩数の平均を軸に平均±2000 歩・±1000 歩の5 つの階級を設定し、「週3 日以上の頻度でその歩数を継続できる自信」を0-100%で他記式にて評価した。SEPA は、歩行や階段などのPA について時間や階数で5 つの階級を設定し、各階級を遂行できる自信を0-100%で表す評価法である。分析は、SECPA とSEPA 歩行・階段の5 階級の平均値を求め、2 群を比較した。SECPA とSEPA の5 階級平均、およびSECPA の平均歩数以上の階級とSEPA の5 階級平均について相関分析を行った。あらかじめ、健常者20 名に対してSECPA を2 週間の間隔をおいて2 回評価し、α係数と検査・再検査間の級内相関係数を求めた。本研究は、当院倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】SECPA のα係数は0.93、級内相関係数は0.63 であった。SECPA 各階級の平均は、-2000 歩から順に95%、92%、84%、77%、68%であった。5 階級平均は、SECPA が83±16%、SEPA 歩行が59±30%、階段が69±21%であり、SECPA の方が有意に高かった。SECPA の5 階級平均および平均歩数とSEPA の間に有意な相関はなかった。SECPA の+1000 歩・+2000 歩とSEPA 歩行の間に有意な相関(r=0.37・r=0.47)を認めた。【考察】SECPA の信頼性は概ね確保されたと考えた。SECPA は、過去に達成した平均歩数を軸に対象者個々に階級設定するためSEPA より高くなったと考えた。SECPA の高階級とSEPA 歩行に関連を認めたことから、SECPA が歩行というPA を遂行する自信度を反映した評価法であると考えた。また、SECPA が実際に達成できた平均歩数に対して84%程度であったことは、今後の継続性を反映していることが示唆された。
著者
會田 萌美 武井 圭一 岩田 一輝 山本 満
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.78-81, 2018 (Released:2018-04-03)
参考文献数
12

【目的】本研究では,がん患者の歩行自立度と下肢筋力の関連を明らかにし,自立歩行を維持するための下肢筋力の目標値を検討することを目的とした。【方法】がん患者48例で繰り返し測定した値を含む延べ 68例を対象とし,Barthel Indexの移動の項目から15点を自立群(49例),10点以下を非自立群(19例)とし2群に分類した。ロコモスキャンにて膝伸展筋力を測定し,2群間を比較した後に,ROC曲線からcut off値を求めた。【結果】膝伸展筋力は,自立群が0.53 ± 0.15 kgf/kg,非自立群が0.35 ± 0.10 kgf/kgであり,2群間に有意差を認めた。ROC曲線からcut off値は0.42 kgf/kgであった。【結論】全病期のがん患者を対象にした場合,自立歩行を維持するための膝伸展筋力として, 0.4 kgf/kgを一つの目安と考えられた。
著者
武井 圭一 杉本 諭 桒原 慶太 恩幣 伸子 潮見 泰蔵
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B0094, 2006 (Released:2006-04-29)

【目的】脳卒中患者は、運動機能障害や高次脳機能障害などの後遺症により、ADL自立度が低下することが多い。脳卒中患者にとって、「ベッドと車椅子間の移乗」を早期に獲得することはADLの自立度を高めるために重要であり、理学療法分野においても移乗動作の介助量軽減を目標とした介入を展開する必要があると考えられる。そこで、本研究では脳卒中患者を対象に機能障害および移乗動作を構成する各要素的動作に着目し、これらのどのような因子が移乗動作にどの程度影響しているかについて分析した。【方法】対象は、病院および老人保健施設にてリハビリテーションを受けている脳卒中者で、本研究に同意が得られた58名(平均年齢72.7±8.7歳)である。尚、両側片麻痺者と現在下肢に骨関節疾患を有する者は対象から除外した。移乗動作能力は、車椅子とプラットフォームベッド間の遂行能力により自立、介助に分けた。車椅子の操作、準備は評価に含まなかった。測定項目は、機能障害要因として麻痺側運動機能、筋緊張、感覚、関節可動域、疼痛、体幹機能、半側空間失認、言語機能(SIAS)、認知機能(MMSE)、非麻痺側筋力(握力、膝伸展筋力)。構成要素動作の要因として起き上がり、座位保持、立ち上がり(MAS)、立位保持、立位方向転換(FMS)とした。これらの評価結果をもとに、対象者を移乗動作能力により自立群、介助群の2群に分類し、各測定項目について単変量的に分析した。次に単変量分析で有意差のみられた項目を独立変数、移乗動作能力を従属変数とし、機能障害および構成要素動作要因のそれぞれについてstep wise法による判別分析を行った。尚、多重共線性を避けるため独立変数の内部相関をあらかじめ確認した。統計解析にはSPSS ver11.5を用い、危険率5%で分析した。【結果および考察】単変量解析の結果、機能障害要因では下肢近位麻痺(股)、下肢遠位麻痺(膝)、腹筋力、体幹垂直性、認知機能において自立群が介助群よりも有意に良好であった。また、構成要素動作要因では全5項目において自立群が有意に良好であった。内部相関分析より、下肢近位麻痺と遠位麻痺の間で強い相関を認めたため後者を除外して判別分析を行った。その結果、機能障害要因では「腹筋力」のみが最終選択され、判別率は79.3%であった。このことから、運動麻痺や認知障害が重度であっても体幹の動的機能がある程度残存していれば移乗動作が自力で遂行できる可能性が示唆された。構成要素動作要因では、「立ち上がり」、「立位方向転換」、「起き上がり」が最終選択され、判別率は91.4%であった。また最終選択された項目のうち、標準正準判別関数係数が高かったのは「立ち上がり」、「立位方向転換」であった。このことから、移乗動作能力の改善には、姿勢保持の影響は少なく、その一連の動作を構成する課題の獲得が重要であると考えられた。
著者
會田 萌美 武井 圭一 奥村 桃子 平澤 耕史 田口 孝行 山本 満
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.25-28, 2016

【目的】本研究では,片脚立位における非支持脚拳上方向の股関節角度の相違に着目し,支持脚筋活動に与える影響を明らかにすることを目的とした。【方法】男子大学生13名を対象に,片脚立位姿勢(非支持脚股関節中間位,外転20度・45度,屈曲30度・90度)を保持させ,支持脚の大殿筋,中殿筋,大腿筋膜張筋,腓腹筋内側頭の筋活動を測定した。4筋における股関節中間位と外転位,股関節中間位と屈曲位の肢位間の筋活動を比較した。【結果】非支持脚を外転方向へ挙上した片脚立位では,角度の増大に伴い中殿筋に有意な筋活動の増加を認めた。外転45度・屈曲90度の片脚立位では,股関節中間位の片脚立位に比べ,中殿筋・大殿筋の有意な筋活動の増加を認めた。【結論】Closed Kinetic Chainでの筋力トレーニングとしての片脚立位は,股関節外転により支持脚中殿筋の筋活動を鋭敏に増加させ,外転45度・屈曲90度では股関節周囲筋の筋活動を増加させる特徴があると考えられた。<br>
著者
國澤 洋介 高倉 保幸 國澤 佳恵 武井 圭一
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.8-11, 2014 (Released:2014-02-05)
参考文献数
7

臨床場面での気づきや疑問点を整理し,客観的に捉えて分析していく能力を高めることは,臨床家である我々理学療法士の責務である。症例検討は,この職責を全うするための手段として有用であり,日々の理学療法業務の中から意識的に実践していく必要がある。より有意義な症例検討を行い,理学療法士としてステップアップするためには,臨床活動で生じた興味や疑問にどのように着目していくのか,着目した症例を通して得られた知見をどのように整理するのか,より良い診療を実践していくための手段として臨床研究や症例検討をどのように提示し他者の意見を得るのかが重要と考える。
著者
武井 圭一 國澤 洋介 森本 貴之 岩﨑 寛之 高畑 朱理 山本 満
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.35-38, 2015 (Released:2015-01-09)
参考文献数
8

【目的】本研究は,糖尿病教育入院中の運動療法に対する行動変化の指標として用いた行動変容ステージ(ステージ)の特徴を明らかにすることを目的とした。【方法】糖尿病教育入院中に理学療法(Physical Therapy: PT)を施行した30名を対象に,ステージと身体活動量(Physical Activity: PA,歩数計による1日の歩数)を後方視的に調査し,初回・最終でのステージ変化率,歩数計によるPA記録実行者の割合,PAの経時的変化について分析した。【結果】ステージ変化率は,熟考期から準備期への変化が75%,準備期から行動期への変化が50%,その他は変化を認めなかった。歩数計によるPA記録実行者の割合は,前熟考期0%,熟考期50%,準備期92%,行動期67%,維持期67%であった。PAの平均値±標準偏差(PT1日目から5日目)は,4,608±2,461,5,905±3,288,5,395±2,288,6,840±3,206,7,981±4,218歩/日であり,PT1日目に比べて4・5日目で有意に増加した。【結論】ステージは,熟考期から準備期への変化は捉えやすいが,準備期に対してはPAが増加していても短期間では行動期へ移行しにくい特徴があると考えられた。