著者
佐藤 智文 平野 智紀 山本 良太 石橋 純一郎 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46094, (Released:2022-09-27)
参考文献数
7

本研究の目的は,GIGA スクール構想による1人1台端末整備直後におけるICT 活用の促進要因を明らかにすることである.川崎市内の小学校教員(N=997)を対象として,教員の年代,GIGAスクール構想推進講師(GSL)担当,ICT 活用歴,GIGA 以前からICT を活用していたこと,ICT活用に対する自信,がGIGA 後のICT 活用に対する認識に及ぼす影響を検討した.分析の結果から,GIGA 後のICT 活用には,「年次の若さ」「GIGA 以前のICT 活用」「自信」が有効であること,ICT 活用歴の長さだけではGIGA 後のICT 活用には寄与しないこと,年代の高い教員においてICT活用への自信を持つことの効果が高いこと,が示唆された.
著者
中屋 晴恵 武内 章記 石橋 純一郎
出版者
大阪市立大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本研究はフィリピン海プレート収束域を対象として,有害元素である水銀の循環過程とプレートテクトニクスとの関連を明らかにすることを目的として行った。結果は以下の通りであった。1)水銀はマグマ性流体を含む深部流体を起源とする。火山のない地域では水銀は深部流体から気液分離した後に気体として上昇する。2)地下水の水銀汚染はプルーム状に出現する。出現地点は大阪平野とその周辺部では複数の活断層が交差するか,密集する地点である。地殻を切る活断層はマントルから上昇する気体の経路となっている。3)水銀は沈み込むスラブからの脱水に由来するかもしれないが,ウェッジマントルから流体に付加されている可能性は高い。
著者
堤 彩紀 石橋 純一郎 今野 祐多 横瀬 久芳
雑誌
日本地球惑星科学連合2014年大会
巻号頁・発行日
2014-04-07

【はじめに】 カルデラ地形は,熱源・帯水層・不透水層等がそろっており,熱水循環系が発達しやすい地質環境である.横瀬ほか(2010)は,九州の火山フロントの南方延長線上のトカラ列島近傍の海底に,第四紀の火山活動で形成された巨大カルデラが存在することを提唱している.そのうちの一つである宝島カルデラでは,その外輪山に位置する小宝島で,90℃以上の高温の温泉が海岸沿いに噴出していることが知られている.この小宝島の温泉水を採取・分析した結果を報告し,その熱水形成機構を考察する.【試料の採取と分析方法】 温泉水試料の採取は、2013年5月に行われた。温泉水の温度・pH・電気伝導度・酸化還元電位を現地で測定した.温泉水試料は,0.45μmフィルターでろ過してポリびんに入れて持ち帰り,実験室にて主要溶存成分の分析を行った.主要陽イオン濃度はICP‐AES法,陰イオン濃度はイオンクロマトグラフィーを用いて分析した.アルカリ度はグラン法に基づく滴定法,ケイ素濃度は比色分析によって定量した.【結果と考察】 温泉水の化学組成の特徴として,Cl-濃度が高いこと,Na/Cl比が0.75と海水とほぼ一致すること,酸素・水素同位体比が海水の値に近いこと,があげられ,熱水が海水を起源としていると考えられる.また,海水に比べてMg2+,SO42-濃度が低く,K+,Ca2+濃度が高かった.これは海水と岩石の熱水反応において見られる特徴と一致している.地化学温度計を適用すると,熱水貯留層内の温度は250℃~300℃とかなりの高い温度であると推定できる.また,これまでに宝島カルデラ周辺で行われた海底ドレッジでは,玄武岩質安山岩,安山岩,デイサイト,流紋岩からなる溶岩片などが多量に採取されており,最近のマグマ活動が示唆される. これらの結果から,宝島カルデラに規制された熱水循環系があり,その一端が小宝島の海岸で高温の温泉水としてあらわれている可能性が高い.
著者
石橋 純一郎
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.103-118, 2017-09-25 (Released:2017-09-28)
参考文献数
90

A seafloor hydrothermal fluid circulation system develops beneath the seafloor where a magma as heat source and fault systems as fluid conduits are equipped. Seafloor hydrothermal systems act as important intermedia among the lithosphere, hydrosphere and biosphere. Seawater entrained into the seafloor evolves to the vent fluid that exit smokers or chimneys, through the processes during the fluid circulation such as elemental exchanges by water-rock interactions and involvement of magmatic volatiles. These interactions cause hydrothermal alteration of the lithosphere, looking from the opposite perspective. Chemical species dissolved in the vent fluids provide energy sources for biosphere around and beneath the seafloor of hydrothermal fields. Geochemical flux transported into the deep ocean by hydrothermal plumes affects chemical and biological processes in the hydrosphere. Formation of mineral deposits from the hydrothermal fluids leads concentration of specific metal elements resulting from long duration of hydrothermal activity. As hydrothermal vent sites have been discovered ubiquitously in various geologic settings, their diversity especially in geochemical aspects becomes more noticeable and interesting.
著者
河本 夏雄 行弘 研司 木内 信 阪口 洋樹 和田 旭紘 伊藤 雅信 小瀬川 英一 中村 匡利 池田 真琴 木内 彩絵 桑原 伸夫 金児 雄 比留間 潔 水谷 信夫 浅野 眞一郎 石橋 純 飯塚 哲也 神村 学 志村 幸子 瀬筒 秀樹 冨田 秀一郎
出版者
社団法人 日本蚕糸学会
雑誌
蚕糸・昆虫バイオテック (ISSN:18810551)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.1_053-1_063, 2019 (Released:2019-05-16)
参考文献数
24

We surveyed the distribution of the wild mulberry silkmoth, Bombyx mandarina, using pheromone traps. Male moths were captured in all the prefectures of Japan except Okinawa Prefecture. In Tokara Islands, B. mandarina inhabits Nakanoshima and Akusekijima Islands while it is absent in Takarajima Island, which lies to the south of the Watase line. No Bombyx moths were captured in Iki, Amami, and Okinawa Islands. In addition, we collected B. mandarina in Hachijo Island for the first time. 1) Institute of Agrobiological Sciences, National Agriculture and Food Research Organization, 1-2 Owashi, Tsukuba, Ibaraki 305-8634, Japan; 2) Department of Applied Biology, Kyoto Institute of Technology, Matsugasaki, Sakyoku, Kyoto, 606-8585, Japan; 3) Genetic Resource Center, National Agriculture and Food Research Organization, 6585 Kobuchisawa, Hokuto, Yamanashi, 408-0044, Japan; 4) Gunma Sericultural Technology Center, 2326-2 Soja, Soja-machi, Maebashi, 371-0852, Japan; 5) Faculty of Agriculture and Life Sciences, Hirosaki University, Hirosaki 036-8561, Japan; 6) Kyushu Okinawa Agricultural Research Center, National Agriculture and Food Research Organization, 2321 Suya, Koshi, Kumamoto 861-1192, Japan; 7) Graduate School of Agriculture, Hokkaido University, Sapporo, Hokkaido, 060-8589, Japan.
著者
佐藤 智文 吉中 貴信 平野 智紀 山本 良太 石橋 純一郎 杉本 昌崇 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.1, pp.112-118, 2023-05-05 (Released:2023-05-05)

川崎市教育委員会により行われた教員調査に基づき,GIGAスクール構想におけるICT活用の小学校・中学校比較を行った.その結果,端末整備後のICT活用は両校種ともに向上していること,授業での活用場面においては小学校の方が進んでいること,ICT利用の指導は小学校と中学校で力点が異なることが分かった.またICT活用高低群の比較では,実験や観察等の手順説明や発表場面は小学校で活用されやすいこと,教師の課題提示や学習理解の深化,子ども同士の相互学習に関しては,小中で同程度であることが分かった.
著者
益田 晴恵 武内 章記 石橋 純一郎 松島 健
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2019年度日本地球化学会第66回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.122, 2019 (Released:2019-11-20)

水銀は地圏では活動的な元素であり、マグマ活動と関連する熱水活動に伴って移動する。しかし、西南日本ではマグマ活動が顕在しない地域で水銀が10mよりも浅い井戸水に観察されることがある。霧島連山硫黄山で得られたマグマ水中の水銀の挙動と比較して、大阪平野の地下水中水銀の起源について考察した。マグマ水中ではヒ素がイオウと親和的に挙動するのに対して、水銀は気体になりやすい傾向が明らかであった。大阪平野では水銀検出井戸は大部分が活断層に平野周辺の活断層に沿った3ヶ所に集中して出現する。20〜30kmの深度の深部低周波地震の発生地点と水銀検出井戸出現地域が一致することと水銀同位体比から、水銀は地殻下部の脱水現象と関係していることが推定される。
著者
藤井 鈴子 中友 千芳子 大藤 祥子 宮崎 愛 下司 洋子 興梠 直美 石橋 純子 秋山 仁美 辻 愛実
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.222, 2014

今年のファッションショーは、重度の障害があっても本人にとって機能的かつ好みのファッションを通し、「夢かなえる装い」を大きなテーマにしています。今年のファッションショーを担当させていただくことになった南京都病院の重症心身障害児者病棟では、日々の活動や行事を通してより豊かな生活を送って頂きたいという想いを大切にしています。その中でも毎月のお誕生会や季節行事の際には、職員が作った色とりどりの衣装を楽しんでもらっています。身にまとうことで「衣装」を介しておのずと会話が広がり、その場は楽しい雰囲気と笑顔に包まれるのです。装い一つで、利用者の皆さん、保護者、職員の気持ちに一体感が生まれ、「衣装」が楽しいひと時を過ごすための重要な役割を果たしています。今回のモデルは、夢多き女性3名です。一人目の女性は、おしゃれに興味がありファッション雑誌を見るのが大好き、夢はモデルさん。当日はモデルになった気分を思いっきり感じたいと思っておられます。二人目の女性は音楽大好きな女性、どんな曲でもピアノを奏でることができます。夢は大好きなピアノやオルガンを発表会で演奏することです。発表会用の衣装を着てリサイタルショーをします。みんなで一緒に歌いましょう。3人目の女性は理想のボーイフレンドと一緒にデートをするのが夢… 素敵な洋服でお出かけします。大好きな人が振り向いてくれますように、とそれぞれ夢かなえる装いをテーマにしています。ファッションショーの最後には南京都病院の利用者の皆さんがおしゃれを楽しまれているスライドを紹介いたします。テーマは「花火大会」。花火のようにきれいに輝く笑顔をお届けします。日本の古都、京都らしさを感じていただき、幸せな気持ちになっていただけたら幸いです。このように身にまとうことを大切にしている南京都病院ならではの行事の様子と衣装をブースにて展示しております。行事に参加されている重症児病棟の利用者の皆さんの輝く笑顔と共にご覧いただければ嬉しく思います。これからもファッションを通して笑顔の輪が広がりますように……。
著者
藤井 鈴子 中友 千芳子 大藤 祥子 下司 洋子 興梠 直美 石橋 純子 秋山 仁美 辻 愛実
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.113-115, 2015

昨年のファッションショーは、重度の障害があっても本人にとって機能的かつ好みのファッションを通し、「夢かなえる装い」を大きなテーマにしました。南京都病院が中心となり日本女子大学の先生と一緒に半年以上前から試行錯誤しながら進めてきました。モデルには、おしゃれに興味がある3名の利用者の方が、出演されました。会場でその人らしく一番輝ける演出を…ということでファッション雑誌をいつも見ているMさんには雑誌から飛び出てきた女性を、大好きな人にいつも素敵な笑顔を見せてくれるUさんにはデートの演出を・・オルガンの演奏をしているときが一番幸せそうな表情をされているYさんには演奏会を・・体調などを心配していましたが、3名とも本当に素敵な笑顔で出演してくださり嬉しかったです。特にYさんは全盲のため、慣れない場所での演出が本人の負担になるのではなど、ファッションショーが終わるまでたくさんの不安を抱えていましたが、本番では輝く笑顔を見ることができ、衣装を提供して頂いた日本女子大学の先生、南京都病院のスタッフともに安心しました。南京都病院の重症心身障害児者病棟では、日々の活動や行事を通してより豊かな生活を送って頂きたいという想いを大切にしています。その中でも毎月のお誕生会や季節行事の際には、職員が作った色とりどりの衣装を楽しんでもらっています。装い一つで、利用者の皆さん、保護者、職員の気持ちに一体感が生まれ、「衣装」が楽しいひとときを過ごすための重要な役割を果たしています。このように身にまとうことを大切にしている南京都病院ならではの行事の様子と衣装をブースにて展示しました(展示ブースの写真参照)。ファッションショーでは、3名が代表として出演して頂きましたが、病院内には笑顔の素敵な利用者の方がたくさん入所しておられます。全員に出演してほしいという職員の想いから、南京都病院の利用者の方々がおしゃれを楽しまれているスライドを紹介しました。この笑顔はおしゃれをして嬉しいだけではなく「かわいいよ」「きれいだね」と周りのスタッフから愛され注目されたことにより生まれたものだと思います。また、京都らしさを…という気持ちから、甚平や浴衣を着てきれいに輝く花火の打ち上げとともに演出しました。輝く笑顔が皆さんの心に届いたでしょうか?今年も重症心身障害児者のファッションショーが開かれます。今までだと、衣装に包まれた利用者の方の笑顔や演出を楽しく拝見させていただいていただけだったのですが、ここまでの道のりには、日本女子大学の先生との何回もの打ち合わせやリハーサル、職員や、会場の方、たくさんの人たちの協力で開催されているのだと思うと、また違う熱い気持ちで拝見させていただくこととなるのだろうと思います。今回身にまとうということ、「衣装」を介して個性が光り、一人ひとりが大切にされ注目されることにより周りが笑顔に包まれ、見ている人たちに深い感動を与えることができるということを学ばせて頂きました。これからもファッションを通して笑顔の輪が広がりますように……そして人と人の優しいつながりができますように……Mさん…おしゃれに興味がありファッション雑誌を見るのが大好き、夢はモデルさん。当日は大好きな主治医の先生とモデルになった気分を思いっきり感じていただきました。スポットライトを浴び、素敵な笑顔が見られました。Uさん…理想のボーイフレンドと一緒にデートをするのが夢……素敵な洋服でお出かけします。当日は年下の男の子のBGMが流れる中、大好きな人からバラの花束を頂きました。とても幸せそうな笑顔が見られました。Yさん…音楽大好きな女性、どんな曲でもピアノを奏でることができます。夢は大好きなピアノやオルガンを発表会で演奏することです。発表会用の衣装を着てリサイタルショーをしました。大好きな『バラが咲いた』の曲を演奏し、会場のみなさんと歌うことができました。(出演者の皆様には写真掲載の承諾を頂いています。)四季折々の衣装とともに笑顔と優しさを届けます。
著者
野崎 達生 熊谷 英憲 石橋 純一郎 池原 研 山田 泰広 北田 数也 真田 佳典 正木 裕香 小森 省吾 高谷 雄太郎 山崎 徹 長瀬 敏郎 前田 玲奈 CK航海 乗船者一同
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
日本地質学会学術大会講演要旨 第125年学術大会(2018札幌-つくば) (ISSN:13483935)
巻号頁・発行日
pp.355, 2018 (Released:2019-08-16)

【災害のためプログラム中止】 平成30年北海道胆振東部地震により学術大会のプログラムが大幅に中止となりました.中止となったプログラムの講演要旨については,著者のプライオリティ保護の見地からJ-STAGEに公開し,引用可能とします.ただし,学術大会においては専門家による議論には供されていませんので「災害のためプログラム中止」との文言を付記します.(日本地質学会行事委員会)
著者
岩田 大吾 土岐 知弘 大森 保 石橋 純一郎 高井 研
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.137, 2008

鳩間海丘は南部沖縄トラフの水深1,500 mに位置する直径約4 kmのカルデラ火山である。沖縄トラフの海底熱水系は背弧・島弧系であり,堆積物が豊富であるという特殊な環境から世界で初めて海底面からの二酸化炭素ハイドレートの噴出が観測されるなど,日本における熱水研究に様々な科学的題材を提供してきた。鳩間海丘における熱水活動は,1999年の有人潜水探査船「しんかい2000」による潜航調査において初めて発見された。2006年8月に行われたNHKの取材時には,世界で初めて熱水が青く見える現象が観測された。過去の調査では観測されたことのない青色熱水であることから,海底熱水活動の活発化した可能性等が指摘された。本研究では,発見当時青く観測された熱水噴出孔から2007年3月及び7月に熱水試料を採取し,化学分析すると共に分光学的に解析を行い,2000年の分析結果と比較して化学組成の変化と青く観測された原因を明らかにした。
著者
岩田 大吾 土岐 知弘 大森 保 石橋 純一郎 高井 研
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2008年度日本地球化学会第55回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.137, 2008 (Released:2008-09-06)

鳩間海丘は南部沖縄トラフの水深1,500 mに位置する直径約4 kmのカルデラ火山である。沖縄トラフの海底熱水系は背弧・島弧系であり,堆積物が豊富であるという特殊な環境から世界で初めて海底面からの二酸化炭素ハイドレートの噴出が観測されるなど,日本における熱水研究に様々な科学的題材を提供してきた。鳩間海丘における熱水活動は,1999年の有人潜水探査船「しんかい2000」による潜航調査において初めて発見された。2006年8月に行われたNHKの取材時には,世界で初めて熱水が青く見える現象が観測された。過去の調査では観測されたことのない青色熱水であることから,海底熱水活動の活発化した可能性等が指摘された。本研究では,発見当時青く観測された熱水噴出孔から2007年3月及び7月に熱水試料を採取し,化学分析すると共に分光学的に解析を行い,2000年の分析結果と比較して化学組成の変化と青く観測された原因を明らかにした。
著者
山中 寿朗 石橋 純一郎 山下 徹 土居 真輔 坂本 丈明 中島 美和子 瀬口 真理子
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.103-103, 2005

鹿児島湾北部の姶良カルデラに当たる海域には、近年火山噴火予知連によって活火山と認定された若尊海底火山がある。同海域は以前より盛んな噴気活動が知られており、これまでの潜航調査から熱水性石油や熱水性沈殿物がいくつか見出され報告されている。しかし、実際の熱水湧出に関しては、これまで明瞭な証拠が得られていなかった。本報告では、熱水のゆらぎが認められ、30cmのプローブを差し込んでの温度計測で137℃の温度が得られた地点で間隙水の分析を行い、熱水端成分を推定するに足る純度の高い熱水を得ることができたのでその地球化学的特徴について報告する。
著者
土岐 知弘 大竹 翼 石橋 純一郎 松井 洋平 川口 慎介 加藤 大和 淵田 茂司 宮原 玲奈 堤 映日 中村 峻介 川喜田 竜平 宇座 大貴 上原 力 新城 竜一 野崎 達生 熊谷 英憲 前田 玲奈
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

<p>2016年11月16日~12月15日にかけて、SIP「海のジパング計画」の一環として沖縄トラフの伊是名海穴HAKUREIサイトにおいて、地球深部探査船「ちきゅう」を用いて海底熱水域を掘削した。掘削は、HAKUREIサイトの北部マウンドの頂上から、東側に約500 mの測線上において5本、またリファレンスサイトとしてマウンドから北西500 mほど離れた地点において1本を掘削した。採取したコアから、船上でヘッドスペースガス測定用および間隙水抽出用の試料を採取した。試料から抽出した間隙水について、船上でpH、アルカリ度、栄養塩および硫化水素濃度を、陸上で主成分および微量元素濃度、並びにホウ素同位体比を測定した。また、ガス測定用の試料については、船上で炭化水素および水素濃度を、陸上においてメタンの炭素同位体比を測定した。</p>
著者
大嶋 将吾 土岐 知弘 堤 映日 石橋 純一郎
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

<p>竹富島の北東沖約1 kmの海底の数箇所から30°C以上の温泉水がガスを伴って湧出しており(大森ほか,1993; Hirayama et al., 2007)、そのガス成分にはマグマ由来と考えられるHeガスが混入していることが知られている(Toki et al., 2017)。竹富島沖で湧出する海底温泉および竹富島で湧出する井戸水の試料を採取、分析した。竹富海底温泉のNa濃度、Mg濃度、Cl‒濃度およびSO42‒濃度は周辺海水より低く、Ca濃度、B濃度などの一部の成分濃度は海水よりわずかに高い値を示しており、周辺岩石と反応した可能性が考えられる。また、竹富海底温泉および周辺海水の水素および酸素の同位体比は同程度の値を示すことから、起源は周辺海水と考えられる。よって、竹富海底温泉は、周辺海水が海底下に浸透し、温められることで海底面から湧出していると考えられ、地下深部において水と岩石が反応して生成された熱水やマグマ水の供給はほとんどないと考えられる。</p>
著者
浦辺 徹郎 沖野 郷子 砂村 倫成 石橋 純一郎 高井 研 鈴木 勝彦
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.118, no.6, pp.1027-1036, 2009-12-25
被引用文献数
4 1

Since the discovery of rich microbial communities at and around seafloor hydrothermal sites, their extension towards the oceanic crust beneath the seafloor is of great interest not only for microbial physiology/ecology but also for a wide range of Earth and planetary sciences. How can the communities survive in such an extreme environment? What kinds of metabolism are in action? It is proposed that the sub-seafloor ecosystems are characterized by different kinds of chemosynthetic primary production (carbon fixation), all of which are supported by chemical energy supplied from the sub-seafloor aquifers. We designate the unseen aquifers as sub-seafloor TAIGAs (great rivers) which are responsible for a geochemical flux equivalent to or even larger than that of terrestrial river runoff (<i>e.g.</i> Wheat and Mottl, 2000). Besides, they are responsible for supplying nutrients to microbes beneath the seafloor. We hypothesize that there are four representative TAIGAs based on the chemical energy of compounds of sulfur, carbon (methane), iron, and hydrogen, all of which are supported by the TAIGAs. It is important to note that the sub-seafloor ecosystems are controlled extensively by or are mutually related to the types of TAIGA that flow at the site. The hypothesis can be tested through cooperative research among microbiologists, geochemists, geophysicists, and geologists.
著者
浦辺 徹郎 沖野 郷子 砂村 倫成 石橋 純一郎 高井 研 鈴木 勝彦
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008-11-13

地下・海底下に存在する大量の水は、流域の岩石との反応により、海洋を含む地球表層環境や生命活動に大きな影響を与えると考えられてきた。本研究では、海底下の水の流れを地質学的背景から4種類に分類し(4つの大河仮説)、鉱床形成を含めた物質循環システムと微生物生態系システムが4つの大河に対応して制御されていることを、期間中に実施した33の研究航海と物理・化学・生物・地質の分野横断的手法を通じて明らかにした。