著者
阪田 史郎 山田 曉 飯塚 宏之 伊藤 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.92, no.10, pp.841-846, 2009-10-01
参考文献数
28
被引用文献数
7

アクセスポイント同士をメッシュ状に接続した無線マルチホップネットワークの一形態である,無線LANメッシュネットワークについては,多くの製品の出現とともに,IEEE802.11sにおける標準化が終了し,実用化が進展しつつある.通常のシングルホップの無線LANに比べて広い範囲で利用できるだけでなく,ネットワークの負荷分散,う回路の設定による信頼性向上などが可能となり,今後の普及が期待されている.本稿では,無線LANメッシュネットワークの最新技術について,標準仕様の概要,特徴的な製品の紹介とそれらの位置付けに関する動向を述べ,今後の進展を展望する.
著者
比戸 将平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.98, no.1, pp.54-58, 2015-01

機械学習の応用とビッグデータ利活用が広まった結果として,大規模データ向けの機械学習を支える技術への注目が高まっている.そこでは単一計算機のメモリ上ではなく,並列分散環境での効率な学習が重要となる.本稿では分散環境における機械学習について,アルゴリズムだけでなくソフトウェアに焦点を当てて紹介する.特に後半では大規模リアルタイム機械学習の最新動向について詳しく述べる.
著者
伝住 周平 有村 博紀 定兼 邦彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.97, no.12, pp.1080-1085, 2014-12

大規模な文字列データの操作は,文字列処理の分野で最も重要な課題の一つである.本稿では,文字列集合をコンパクトに圧縮し様々な操作を可能とする系列二分決定グラフ(系列BDD,SeqBDD)を紹介し,関連するパターン照合技術について紹介する.この系列BDDは,文字列データに拡張したZDDの一種であるが,同時に,従来から自然言語処理や文字列処理分野で研究されてきたトライや,有限オートマトン,接尾辞グラフなどのテキスト索引のためのデータ構造とも密接な関連を持つ.これら既存のデータ構造との関係や,近年発展が著しい簡潔データ構造と関連した話題についても述べる.
著者
相澤 清晴 荒川 佳樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.93, no.5, pp.368-371, 2010-05-01

本稿では,現状のHDTVをはるかに超える精ちさで映像表現を行うことのできる超高精細映像へ期待を述べるとともに,超高精細映像である4K映像,8K映像の技術動向について触れる.更に,URCFを基盤に行った4K映像を用いたその応用実験の事例について,2009年7月の皆既日食の撮影伝送実験,同じく10月の手話講演伝送実験について紹介する.
著者
栗原 賢一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.93, no.9, pp.770-773, 2010-09-01
参考文献数
6

近年,教師なし学習の分野で無限混合分布等のノンパラメトリックベイズと呼ばれる手法が盛んに研究されている.本稿では無限混合分布のクラスタリングに対する応用を紹介する.特に有限混合分布との違いを解説し,推論方法の紹介と,画像データに対する応用を紹介する.
著者
武川 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.85, no.10, pp.756-760, 2002-10-01
参考文献数
18
被引用文献数
15

「目は口ほどにものを言い」といわれている.人と人とのコミュニケーションにおいて,視線は,言語情報のみでは伝わりにくい相手の意図,心理状態,個性を読み取ったり,相手にそれらを伝えたりするために使われている.近年,心理学,認知科学,ロボティクス,コンピュータビジョン・パターン認識など領域横断的に視線研究が注目を集めつつある.本稿では,視線を用いた人と人,人とコンピュータとのコミュニケーションに関する研究動向を紹介する.まず,これまでの研究成果として得られた知見から視線の機能を整理し,続いて,視線による意図の伝達,印象の伝達,コミュニケーションの調整についての研究動向を系統的に紹介する.最後に今後の研究の方向性についてまとめる.
著者
栗田 泰市郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.97, no.12, pp.1026-1031, 2014-12

テレビ放送技術のこれまでの進展と今後について,オリンピックとの関連に着目しながら述べる.幻となった1940年の東京オリンピックに向けて,オリンピックテレビ放送の実現を目指して中継車など様々な機器が開発された.1964年の東京オリンピックでは,カラーカメラや国際衛星中継技術など一連の国産テレビ機器・技術が開発・実用化された.高精細テレビ「ハイビジョン」は,1988年ソウルオリンピックでの実験放送,1998年長野冬季オリンピックでの機器開発などを経て今日の発展に至っている.現在,超高精細テレビ「8Kスーパーハイビジョン」の本放送を2020年の東京オリンピックで実現すべく,機器開発や体制作りが精力的に進められている.
著者
長谷川 良平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.95, no.9, pp.834-839, 2012-09-01
参考文献数
19

近年,脳と機械を直結するBrain-Machine Interface (BMI)技術を用いた脳機能補償技術の開発が盛んになっている.なかでも頭皮上脳波に着目した非侵襲BMIは,重度の運動機能障がい者を対象にした画期的な意思伝達支援技術として注目されている.しかし,脳波BMIシステム実用化のためにはハードウェアとソフトウェアの両面において解決されなければならない課題が幾つか存在する.本稿では,脳波BMIの基本原理やその開発動向,更には筆者の研究チームで開発を進めている脳波BMI「ニューロコミュニケーター」とその臨床応用を紹介する.
著者
水野 皓司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.91, no.12, pp.1047-1053, 2008-12-01
参考文献数
12
被引用文献数
5

電磁波のスペクトルのうちミリ波の主要な応用は大容量通信の分野にあると思われるが,一方計測の分野にもユニークな応用を有している.最近,安全・安心(セキュリティ)の分野で,ミリ波を用いたイメージング計測が注目されている.ミリ波イメージングは,光に比べると分解能は落ちるが,衣服,炎などを透過して観測できるなどの利点を持っている.特に,物体自身が放射しているミリ波を観測するパッシブイメージングは完全無侵襲であり,これは計測技術として大きな特長である.更に,ミリ波帯ではこれまで通信用として多くの優れた技術が開発されており,それらを利用して常温で動作する高感度のシステムを組み上げることができる点もミリ波イメージング技術の大きな特長である.

1 0 0 0 料理を作る

著者
山肩 洋子 舩冨 卓哉 上田 博唯 辻 秀典 美濃 導彦 中内 靖 宮脇 健三郎 中村 裕一 椎尾 一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.39-47, 2010-01-01
参考文献数
16
被引用文献数
7

食材を用意して調理を始めてから,調理を終えて盛り付け作業に移る前までの一連の作業を支援するため,様々な研究がなされている.本稿では,調理の手順について情報提示を行うことで調理者を支援するシステムや,調理技術の伝達をねらいとした人と人のコミュニケーションを支援するシステムに関する研究を紹介する.
著者
浅見 徹 江崎 浩 関谷 勇司 斎藤 賢爾 山下 達也 岩浪 剛太
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.95, no.9, pp.809-814, 2012-09-01
参考文献数
5

本稿は平成23年12月に解散したネットワーク高度利用推進協議会の活動報告である.平成19年8月, Winnyに代表されるP2P (Peer to Peer)技術による著作権侵害や情報漏えいによる通信業界の混乱と,それによる商用P2Pサービスの立ち遅れが目立った日本の事情を鑑み, P2Pネットワーク実験協議会が設立され,キャッシュ技術全般に対象を拡大したネットワーク高度利用推進協議会に発展し,後述するヒントサーバ実験や標準化活動, P2Pガイドラインの制定,優良P2Pの認定等普及啓発活動を行った.第171回通常国会で著作権法が一部改正され,送信を効率的に行うために必要と認められる限度において著作権侵害にはならないことが明確になった.
著者
小田原 亨 永田 智大
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.97, no.9, pp.806-811, 2014-09

本稿では,携帯電話ネットワークの仕組みを使って,日本全国の現在人口を継続的に推計できるモバイル空間統計について述べる.モバイル空間統計は人口の地理的分布を示す人口分布,地域ごとの現在人口の時間推移を示す人口推移,性別・年齢・居住地に基づく人口構成を推計し,社会や産業の発展に寄与していく.防災計画,地域活性化,まちづくり分野などの公共分野と,大規模店舗の商圏分析,出店計画といった産業分野でのモバイル空間統計の活用例を具体的に述べつつ,その特徴を明らかにする.