著者
久田 真 小林 孝一 丸屋 剛 河井 正
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.863-870, 2014 (Released:2015-10-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

土木学会は,平成24年度・重点研究課題として「震災がれきの処分と有効利用に関する調査研究」を採択した。この課題を掌理する委員会は,コンクリート工学ならびに地盤工学の専門家で構成され,約1年間をかけて両分野を横断する柔軟な議論を行った。その後,本活動を継承するために,土木学会コンクリート委員会に「震災がれきの処分と有効利用に関する調査研究小委員会(第223委員会)」を設置した。本稿は,東日本大震災で発生した多様な震災廃棄物の処理ならびに有効利用技術に関する知見を集約するために約3年間の調査研究活動を行った本委員会の成果を取りまとめたものである。
著者
立崎 理久 樊 柚岑 山川 優樹 河井 正 溝江 弘樹 室井 亮
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.22-00228, 2023 (Released:2023-05-20)
参考文献数
29

強風等の過大荷重による部材変形や,地盤変状に起因する基礎の変位(脚部不同変位)により,送電鉄塔に損傷が生じる事例が確認されている.本研究では有限要素解析により,こうした外的作用による鉄塔の損傷挙動と損傷後の耐荷力低下程度を評価した.さらに,損傷を受けた鉄塔について部材交換や脚部不同変位除去等の修繕を模擬した解析を行い,修繕による耐荷力の回復程度を評価した.その結果,損傷形態や修繕方法によって修繕効果に顕著な相違が確認された.このことから,効果的な修繕を行うためには,損傷形態に応じて適切な修繕方法を選択することの重要性が示唆された.異なる方法で修繕を行った鉄塔に対して再載荷したときの部材力の発生様態を比較することにより,損傷形態や修繕方法によって修繕効果に違いがみられる要因を考察した.
著者
長尾 和之 澤野 幸輝 松崎 孝汰 風間 基樹 河井 正 加村 晃良
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集C(地圏工学) (ISSN:21856516)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.198-215, 2019 (Released:2019-05-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

近年,異常降雨や大規模地震に起因して高速道路の切土および盛土のり面が被災し,物流や日常生活に影響を与える事象が顕在化している.一方,高速道路の延長は約4割が供用30年以上を経過し,経年劣化のリスクの高まりが懸念される.本報告では,NEXCO東日本の最近の降雨等によるのり面の災害事例とその「素因」および「誘因」を紹介するとともに東北地方の高速道路ののり面で発生した213箇所ののり面の災害事例から,東北地方ののり面災害に大きく影響を与える地形,地質および盛土材料などの「素因」を抽出した.さらには,降雨による切土および盛土ののり面災害の規模と「素因」の関係やのり面災害の規模と頻度の関係など,のり面の「予防保全」のシステム作りに資する分析を試みたものである.
著者
河井 正 金谷 守 田中 幸久 石川 博之 武田 智吉
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.705-708, 1997
被引用文献数
2

外洋に面した人工島を保護するケーソン式防波護岸の地震時挙動を検討するため、遠心力載荷模型実験を実施した。実験ではケーソン式防波護岸が異なる地盤条件のもとで建造されることを想定し、岩盤上に設置された場合と砂層上に設置された場合の両方の場合について検討した。また一方でケーソン式防波護岸の一部である消波工部分の地震時挙動を把握するため、消波工のみからなる堤体の加振実験も実施した。その結果、岩盤設置型の防波護岸では水平震度1.0で加振してもケーソンの変位があまり生じないこと、消波ブロックのような異形材料の集合体でも、動的変形特性にひずみ依存性が認められる結果が得られた。
著者
河井 正隆
出版者
The Japan Society of Acupuncture and Moxibustion
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.500-506, 2001

鍼灸臨床教育における評価法の一つに、丹澤らの組織的な取り組みで行われたOSCE (Objective Structured Clinical Examination) 研究がある。この研究を発端に、近年、鍼灸教育の場でOSCEの導入が注目されはじめている。<BR>本稿では鍼灸臨床教育における教育方法について検討を行った。そのための、一つの試みとして、本校で平成5年から取り組んでいる実技科目「シミュレーション実習」を取り上げ、カリキュラム開発における教授・学習課程と評価における方法論の一つ「羅生門的モデル」を援用し論及した。併せて学生授業評価から、本授業の有用性の検討を行った。<BR>対象とした「シミュレーション実習」の概要は次の通りである。一般目標には「鍼灸臨床に必要な臨床技能を修得し、鍼灸師としての態度と問題解決能力を養う」をかかげており、教授方略としてロール・プレイングや学生と教員、学生同士の検討会などを導入している。授業では、学生との相互作用のなか、教員の即興的で創造的な教授活動が求められることになる。そこでは予定外の授業展開があり、羅生門的モデルの特徴の一つである「専門家としての教師の力量」が重視される。また、本授業の教員による学生評価は、授業への関わりの度合い (貢献度) や討論会の場面での積極性などの観察・記録と、授業課題に対する小レポートを用いて、一般目標に照らし合わせて総合的に行われている。<BR>学生の授業評価では、授業に「興味がもてた」、授業方法について「有益である」などの肯定的意見が7割以上を占め、羅生門的モデルによる「シミュレーション実習」の有用性が示された。今後、学生の内的変化を加味しながら、さらなる検討を行いたい。
著者
野田 利弘 浅岡 顕 中野 正樹 中井 健太郎 澤田 義博 大塚 悟 小高 猛司 高稲 敏浩 山田 正太郎 白石 岳 竹内 秀克 河井 正 田代 むつみ 酒井 崇之 河村 精一 福武 毅芳 濁川 直寛 野中 俊宏
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

日本の重要な社会資本は,沖積平野や海上埋立人工地盤といった地震被害が懸念される軟弱地盤上に多く蓄積されている.本研究では,特に沿岸域に立地する社会基盤施設を対象に,長周期成分を含み継続時間が数分にも及ぶ海溝型巨大地震が発生した際の耐震性再評価と耐震強化技術の再検討を実施した.既往の被害予測手法は地震時安定性評価に主眼が置かれ,地震後の長期継続する地盤変状を予測することはできない.「地盤に何が起こるかを教えてくれる」本解析技術による評価を既往手法と並行して実施することで,予測精度の向上とともに,被害の見落としを防ぐ役割を果たすことを示した.