著者
岸本 尚子 齋藤 宏昭 野中 俊宏 齊藤 孝一郎
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.26, no.64, pp.995-1000, 2020-10-20 (Released:2020-10-20)
参考文献数
8

Thermal bridges at the connections between window and wall are generally not added to evaluation of heat loss from building envelopes. This report presents evaluation method for the thermal bridge around the window. Linear thermal transmittance between window and wall in typical configurations was calculated as an evaluation index. In addition, quantities of the heat loss from the thermal bridge were compared with the total heat loss amount of a house.
著者
北沢 正清 野中 俊宏 江角 晋一
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.507-516, 2021-08-05 (Released:2021-08-05)
参考文献数
52

現在,およそ1015 g /cm3という超高密度で実現するとされる相転移の実験的探索が世界各地の実験施設で行われているのをご存じだろうか.この相転移とは,強い相互作用の基礎理論である量子色力学(QCD)が低温かつ超高密度の物質中で引き起こす一次相転移と,その一次相転移線の端点であるQCD臨界点のことである.1015 g /cm3という密度は,原子核の飽和密度ρ0≃2.5×1014 g /cm3を大きく上回り,現在の宇宙における最高密度状態の中性子星中心部に匹敵する.この相転移を,加速した重い原子核を衝突させる実験である高エネルギー重イオン衝突によって地上で実現し,その性質を調べるための実験が進められているのである.高エネルギー重イオン衝突実験では,原子核の圧縮によって衝突時に高温高密度の物質が作られるが,衝突エネルギーを変化させることによって生成物質の温度と密度を変化させることができるという特徴がある.この性質を使い,生成物質の温度・密度依存性を調べる一連の実験をビームエネルギー走査とよび,現在世界各地の加速器でこのような実験が進行している.特に米国の加速器RHICでは幅広いエネルギー領域を調べる実験プログラムRHIC-BESが進行中であり,ドイツGSIのHADES実験などでも低エネルギー領域が調べられている.さらに,GSIのFAIRやロシアJINRのNICAなどの次世代実験施設の建設も進む.これら一連の実験が目指す最重要課題が,ビームエネルギー走査による高密度領域の相構造探索である.これら一連の研究の中でも近年特に精力的に調べられてきたのが,非ガウスゆらぎを使ったQCD臨界点の実験的探索である.ゆらぎはキュムラントとよばれる量で特徴づけられるが,QCD臨界点でゆらぎが発散するのに伴い,QCD臨界点周辺では各次数のキュムラントに特徴的な発散や符号変化などの異常が現れることが理論的に指摘されている.一方,重イオン衝突実験では,衝突事象毎解析とよばれる手法で保存電荷数などの観測量のゆらぎが測定でき,109をも凌ぐ膨大な衝突事象の解析によって現在最高で6次までキュムラントが解析されている.こうして得られた最新の実験結果では,4次キュムラントの衝突エネルギー依存性に非単調な振る舞いが現れており,QCD臨界点の兆候が見えたのではないかと注目されている.水の液気相転移の臨界点から15桁隔てた密度に存在する臨界点の発見に至れば極めて興味深く重大な発見である.現状では実験データの誤差が大きく,また理論的検討も未成熟であるためQCD臨界点の存在同定にはさらなる検討が必要だが,現在RHICではRHIC-BESの第二期実験が進行中であり,この実験が間もなく提供する高統計データによって,近い将来この議論に決着がつくことが期待されている.
著者
野田 利弘 浅岡 顕 中野 正樹 中井 健太郎 澤田 義博 大塚 悟 小高 猛司 高稲 敏浩 山田 正太郎 白石 岳 竹内 秀克 河井 正 田代 むつみ 酒井 崇之 河村 精一 福武 毅芳 濁川 直寛 野中 俊宏
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

日本の重要な社会資本は,沖積平野や海上埋立人工地盤といった地震被害が懸念される軟弱地盤上に多く蓄積されている.本研究では,特に沿岸域に立地する社会基盤施設を対象に,長周期成分を含み継続時間が数分にも及ぶ海溝型巨大地震が発生した際の耐震性再評価と耐震強化技術の再検討を実施した.既往の被害予測手法は地震時安定性評価に主眼が置かれ,地震後の長期継続する地盤変状を予測することはできない.「地盤に何が起こるかを教えてくれる」本解析技術による評価を既往手法と並行して実施することで,予測精度の向上とともに,被害の見落としを防ぐ役割を果たすことを示した.
著者
野中 俊宏 久保田 博之 山中 博志 澤地 孝男 瀬戸 裕直
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.66, no.545, pp.17-22, 2001
被引用文献数
1

This research aims at clarifying the relationship between air leakage through the building envelope and indoor thermal environment in winter. Laboratory experiments were carried out by using a full-scale research house, which is built in a climatic chamber, and in which an exhaust-only ventilation system was emulated. The influence of the amount of cracks on the indoor thermal environment was quantified. On the first floor, the temperature gradient becomes larger, especially within the space lower than 1,300 mm above the floor. On the second floor, the effect of the air leakage is not so clear as on the first floor.
著者
野中 俊宏 菊地 真美 赤松 則男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.139, pp.7-12, 2000-06-16
被引用文献数
1

本稿では, 高感度の電子ペンによって得られる一次元の筆圧情報に基づく, オンライン署名照合の一手法について述べる.提案するシステムではタブレットを使用しないため, 紙の上に通常のペンで文字を書く場合とほぼ同じ条件でデータを採取することができ, 比較的安定した情報を得ることができる.照合プロセスは2段階で構成される.第1段階では, パラメータ的手法を用いて署名データをストローク単位で対応付け, 明らかな偽筆を棄却する.第2段階では, 対応付けられた領域ごとに関数的手法による照合を行う.被験者31名から得た真署名775個, 偽署名1085個について個人認証実験を行った結果, 等誤り率11.1%が得られた.