著者
深見 友紀子 佐藤 和紀 森谷 直美 中平 勝子 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.89-96, 2017-05-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
14
被引用文献数
4

小学校第5学年児童がタブレット端末を家庭に持ち帰り,約3週間にわたってリコーダー演奏に関するビデオを視聴し,卒業式での演奏に向けた練習に取り組んだ.その期間中,児童にはビデオ視聴回数の記録,3回の演奏録画が課された.実践終了後,録画された映像に対して音楽の専門家3名が総合評価(10点満点)と項目別評価(5点満点)を行った結果,児童の集団としての演奏技能が伸び,特に,実践開始時点において中位だった児童(中位群)にすべての項目で進歩が見られた.下位群には3回目に総合点で平均を上回った児童も存在したが,わずかしか伸びない児童もいた.上位群も全般的に伸びが小さかった.技能が伸びにくい児童に対する個別指導の必要性,ビデオ教材の改良等の課題が残ったものの,一般の音楽レッスンの形態を適用した一人1台端末を活用した家庭学習は,音楽科にとっては,授業時数不足という現状を打開する一方法であることが示された.
著者
深見 友紀子 黒田 卓 堀田 龍也
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究の目標は、コンピュータ技術や情報ネットワークを生かした学校音楽活動の事例を調査、実践し、今後の在り方を展望することである。2年間で実施したことは以下の通り。・現在のシーケンサーソフトの分類と音楽授業、「総合的な学習の時間」、学校行事での活用状況の把握・申請代表者によるDTMソフトウェアを使った実践報告(「授業に密着したソフト」と「遊び的要素を含んだ作曲・編曲支援ソフト」)・DTMソフトウェアの今後の課題・エデュテイメントソフトウェアの「総合的な学習の時間」での活用事例報告・マルチメディアを活用した、音楽会でのクラスプレゼンテーション(富山大学附属小学校での実践)・マルチメディア総合活動「呉羽山からのメッセージ〜五百羅漢の語るもの」(同小学校での実践)・MIDI鍵盤レッスンの現状調査と研究代表者自身の実践報告・音楽(音楽教育)関連Webサイトの調査・Web上の音楽室(オンライン音楽室)の創設・コンピュータ・ネットワークを使った音楽活動交流についての調査特にWeb上の音楽室の創設は、この2年間のDTM、音楽(音楽教育)関連Webサイトなどについての研究の集大成である。コンピュータ・ネットワークを使った音楽活動交流についての調査は、日本音楽教育学会全国大会(2000年10月)において、プロジェクト研究「マルチメディアを活用した音楽活動の可能性」としてまとめた。それ以外の研究は、「音楽×コンピュータで大変身!〜授業・総合的な学習の時間・学校活動で使える〜」(明治図書、2001年2月刊行)に記載した。
著者
深見 友紀子 中平 勝子 赤羽 美希 NAKAHIRA Katsuko T. 赤羽 美希 AKAHANE Miki
出版者
京都女子大学発達教育学部
雑誌
京都女子大学発達教育学部紀要 (ISSN:13495992)
巻号頁・発行日
no.8, pp.97-105, 2012-02

2011年度の児童学科「児童音楽Ⅰ」の授業において, 非対面指導の一環として約100名の履修者が各自の携帯端末を使って自身のピアノ演奏を録画し, インターネット上の指定サイトにアップロード提出する試みを実施した。この実践中に生じた幾つかの問題は受信側 (指導者, サーバ管理者) と送信側 (履修者) 双方に起因するが, 受信側が解決すべき点は, アップロードサイトが扱う文字コードを変更すること, アップロード中の表示をよりわかりやすくすること, 履修者の使用メディア, データ容量やアップロードの方法に標準的なガイドラインを示すことなどであった。また, 履修者も, 携帯端末とパーソナルコンピュータ (以下, PC) 間のデータ転送の方法を習得し, マルチメディアを取り扱うことへの"抵抗感"を取り払う努力をすべきである。
著者
深見 友紀子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.333-341, 2013

子どもにとって主な音楽学習の場は,学校の音楽室と,一般的に"習い事"と称されている企業の音楽教室や街の音楽教室である.本資料では,筆者の音楽教室で取り入れている情報通信技術,情報通信技術を活用したインフォーマルラーニングの事例を紹介した.具体的には,(1)ピアノ教育雑誌に掲載された情報通信技術に関連する記事,筆者の音楽教室,学校音楽教育における情報通信技術の活用状況を提示した.(2)情報通信技術による音楽聴取機会の増加,情報通信機器の操作スキルの向上等により,子どもたちが音楽演奏へのアプローチの仕方を変化させていること,とりわけ保守的なピアノ教育の現場で,このような動きが子どもたちから自然に生まれてきていることを示した.(3)子どもの音楽学習でインフォーマルラーニングが発展する背景や要件,身につけたスキルを認定することの難しさ等,今後の課題について言及した.
著者
深見 友紀子 齊藤 忠彦 黒田 卓
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、平成11〜12年度科学研究費助成金「パソコン、ネットワークによる音楽活動支援システムの構築」、平成12年度文部科学省Web学習コンテンツ開発事業などの研究の延長線として、すべての教室がブロードバンドに接続された際のモデルとなるウェブサイト『音楽室』の運営と改良、検証実践の実施と、その発展的ポータルサイトの構築を目的としている.2年間で実施したことは以下の通りである。1.ウェブサイト「音楽室」『オンライン音楽室』の実験授業の実施(富山市蜷川小学校 東京都世田谷区上北沢小学校、等) 2.同「音楽室」の調査(活用状況の把握、掲示板の運営補佐) 3.同「音楽室」の教育効果の実証(より効率的な授業展開の実現、教材作成にかかる歓員の負担の軽減、音楽の基礎基本の効率的な習得、音楽への興味関心の向上、メディア活用能力の育成、等)、問題点や今後の課題の抽出(技術面の課題と内容面の課題)、4.同「音楽室」を補完する音楽科担当教員のためのポータルサイト『音楽教育ドットコム』の開設(サイトナビゲーション、音楽の授業に役立つウェブサイト一覧、掲示板、コラムコーナーの作成) 5.同サイトの管理・運営 6.音楽科担当教員に対して、コンピュータ・ネットワークリテラシーに関するアンケートの実施 7.韓国の音楽教育用コンテンツの視察研究成果は、以下に挙げた論文等に記載した他、第17回日本教育工学会全国大会(2001)、第18回日本教育工学会全国大会(2002)、日木音楽教育学会第32回全国大会(2001)等で口頭発表した。また「音楽×ネットワークで大活躍!」(仮題、2003)にて一般に公開する予定である。