著者
ウメルジアンウスマン 中平勝子 鈴木俊哉 植村俊亮 三上喜貴
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2013-DD-90, no.5, pp.1-8, 2013-07-19

本論文で扱うウイグル文字は,歴史的にはアラム文字を起源とし,アラム文字から派生したソグド文字を直接の祖先として形成された表音文字である.また,ウイグル文字からは,後にモンゴル文字,満州文字などが派生した.ウイグル文字は,縦書き,横書きいずれの書記方向でも書かれてきた.横書きのウイグル文字は中央アジアの西トルキスタンと東トルキスタン地方に見られる.一方,縦書きのウイグル文字は紀元 8-9 世紀頃にトルファン地方で誕生したと考えられ,西はトルファンから東はモンゴルと甘粛に至る広範囲で使われるようになった.検討にあたって,文献作品クダトクビリグと阿毘達磨倶舎論実義疏には,作成者の署名を表すような様々な図形が登場し,これをすべて符号化しようとすれば数百になる.ここで検討が必要なのは,縦書き用の文字と横書き用の文字を,符号として区別するかどうかという点である.ウイグル文字の単語中での文字の位置によって文字図形が変化する文字の場合,異なる図形ごとに異なる符号を与える方式,図形は異なっても同じ音を意味する場合には同じ符号を与える方式 (符号-グリフ分離方式) とがある.ISO/IEC 10646 では符号-グリフ分離方式が採用されていることから,本設計でも,符号-グリフ分離方式を採用した.筆者らは,このウイグル文字の文字符号を確立することによって,ウイグルの貴重な歴史的文献情報の保存と活用の基盤形成に貢献したいという目的をもって研究を行なっている.本論文ではその研究成果であるウイグル文字古文献に基づくグリフデザインの経験について述べる.
著者
長島 孝 横山 淳一 松田 信一 中平 勝子 福村 好美
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.15, pp.81-87, 2005-02-19
被引用文献数
2

日本の製造業においては,暗黙知である高度技能の伝承が注目されている.高度技能は熟練者と被伝承者との長期間にわたる体験共有により継承がなされてきた.少子高齢化の傾向の中で,伝承期間の短縮と同時に被伝承者の成長が望まれていた.ここでマルチメディアのeラーニングを応用して,新たに開発した簡易編集機能により、熟練者による技能実演収録画像にノウハウ上のポイントを抽出して形式知化して明示した.新たな技術知識を含めて製作した教材のポイントを,納得ゆく繰返再生を被伝承者の意思で簡単にでき,従来と比べて短期間で技能五輪に出場可能な選手を育成することができた.Recently, Japanese production activity is focusing for high technical skill transfer to next generation. A high technical skill has been usually transferred by collaborated work between high skill worker and follower, but it has been not so success. New multimedia contents of high technical skill are proposed, which has utilized e-learning with the multimedia like a video record consisting from actual high skill worker's technique. This multimedia as explicit knowledge has developed by new easy editing system. So, the follower was easily able to learn by review himself for the multimedia until full understanding. Employing those contents on the training for Japanese Skills Competition, members of our team are successfully gotten to short period coaching.
著者
松田 真希子 タン ・ティ・キム・テュエン ゴ ・ミン・トゥイ 金村 久美 中平 勝子 三上 喜貴 Makiko MATSUDA Thi Kim Tuyen THAN Minh Thuy NGO Kumi KANAMURA Katsuko NAKAHIRA Yoshiki MIKAMI
雑誌
世界の日本語教育. 日本語教育論集 = Japanese language education around the globe ; Japanese language education around the globe (ISSN:09172920)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.21-33, 2008-06-30

本研究は、ベトナム人日本語学習者のための日本語の漢語とベトナム語の漢越語の対照分析である。現代ベトナム語は漢字を使用しないが、語彙には漢語からの借用語(漢越語)が多いため、韓国語・日本語と同様に漢字文化圏に属する。そのため、ベトナム語母語話者は、日本語を学ぶ際に学習ストラテジーとして漢越語知識を活性化させていることが明らかになっている(Tuyen 2003)。しかし、実際に漢越語知識がどの程度日本語学習に効果があるかはまだ明らかにされていない。そこで本研究では、ベトナム人学習者が日本語を学ぶ際、漢越語の知識がどの程度日本語学習に役立つかを明らかにすることを目的に、日本語能力試験出題語彙全約8,000語に占める二字漢字語約4,000語における漢越語との意味の一致状況を調査した。その結果、 (1)二字漢字語においては全体の5割が一致語や類似語である。 (2)1級と2級の二字漢字語については日越漢語の一致や類似が6割近くに達し、更に語彙全体に占める二字漢字語の比率も1級56%、2級46%と高くなっている。 (3)4級語彙については日越の漢字語彙の一致度は多くとも2割以下である。3級も同様に一致度は低い。 (4)和製漢語と漢越語の一致率は6割以上であり、学術専門用語であれば更に一致する可能性がある。ということを明らかにした。これにより、漢越語知識は日本語の習得に役に立つが、特に効果が発揮されるのは中級以降であること、また学術専門用語の学習には漢越語知識が役に立つ可能性が高いことが明らかになった。ただし日本語学習における漢越語の効果については個々の意味の対応の調査だけでなく、書字や音との関係性も踏まえて漢字語彙の認知処理の状況を調べる必要がある。今後の課題である。
著者
深見 友紀子 佐藤 和紀 森谷 直美 中平 勝子 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.89-96, 2017-05-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
14
被引用文献数
4

小学校第5学年児童がタブレット端末を家庭に持ち帰り,約3週間にわたってリコーダー演奏に関するビデオを視聴し,卒業式での演奏に向けた練習に取り組んだ.その期間中,児童にはビデオ視聴回数の記録,3回の演奏録画が課された.実践終了後,録画された映像に対して音楽の専門家3名が総合評価(10点満点)と項目別評価(5点満点)を行った結果,児童の集団としての演奏技能が伸び,特に,実践開始時点において中位だった児童(中位群)にすべての項目で進歩が見られた.下位群には3回目に総合点で平均を上回った児童も存在したが,わずかしか伸びない児童もいた.上位群も全般的に伸びが小さかった.技能が伸びにくい児童に対する個別指導の必要性,ビデオ教材の改良等の課題が残ったものの,一般の音楽レッスンの形態を適用した一人1台端末を活用した家庭学習は,音楽科にとっては,授業時数不足という現状を打開する一方法であることが示された.
著者
深見 友紀子 中平 勝子 赤羽 美希 NAKAHIRA Katsuko T. 赤羽 美希 AKAHANE Miki
出版者
京都女子大学発達教育学部
雑誌
京都女子大学発達教育学部紀要 (ISSN:13495992)
巻号頁・発行日
no.8, pp.97-105, 2012-02

2011年度の児童学科「児童音楽Ⅰ」の授業において, 非対面指導の一環として約100名の履修者が各自の携帯端末を使って自身のピアノ演奏を録画し, インターネット上の指定サイトにアップロード提出する試みを実施した。この実践中に生じた幾つかの問題は受信側 (指導者, サーバ管理者) と送信側 (履修者) 双方に起因するが, 受信側が解決すべき点は, アップロードサイトが扱う文字コードを変更すること, アップロード中の表示をよりわかりやすくすること, 履修者の使用メディア, データ容量やアップロードの方法に標準的なガイドラインを示すことなどであった。また, 履修者も, 携帯端末とパーソナルコンピュータ (以下, PC) 間のデータ転送の方法を習得し, マルチメディアを取り扱うことへの"抵抗感"を取り払う努力をすべきである。
著者
中平 勝子
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田教育評論 (ISSN:09145680)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.109-124, 2002-03-31

今後社会を担うことになる学生に対してしかるべき情報処理教育を行い, 情報弱者にならないよう, また, 情報の正誤を判断できるための能力を育成することは重要である。本報告では, 文系女子大生に対して実習の各工程に電子化・電子教材を導入した情報処理教育を行い, 学生の実習における各工程での「電子化」が学生に与える学習効率を追跡調査した。情報表現のツールには, 一般的な表計算ソフトであるMicrosoftエクセルを用い, 数値情報の加工(素データ入力と簡単な計算処理による情報抽出)・表現(表・グラフによる表現, 数値による重要な情報抽出)技術を養うことをその目標とした。訓練を伴う授業展開を行うには, 履修している学生の実習結果をチェックしながら学生が理解し得なかった部分のフィードバックを常に教材や授業で取り上げる項目に反映させなければならない。ここでは, 学生が各テーマ実習時間内に理解し得なかったことを次週の実習時間内に再度取り上げるという工夫をこらすことによりフィードバックを常時心がけた。また, 講師が作成した電子教材に対する学生の実習内容や理解状況を蓄積・解析することにより教材に反映させた。
著者
伊藤公 三上喜貴 中平勝子
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.805-807, 2015-03-17

インターネット空間における社会活動が人に与える影響が重要視される一方,その空間を自由に利用できず恩恵を受けられないデジタル・デバイド(情報格差)が存在する.情報格差問題の実態把握分析には,各種統計データと研究者が蓄積してきた分析データの利用が不可欠であると同時にデータの利用・流通環境の整備が必要となる.本稿では,これまで開発してきたデータ流通に適したファイルフォーマット(ITHF)を用い,観測データの収集、ITHFの作成、ITHFを用いた分析、ITHF/分析結果の提供,から構成されるプロビジョンスキームの内,ITHFの読み書きに関わるITHFの作成/分析ツールの設計・構築を行った.
著者
中平 勝子 マーラシンハ アーシュボーダ
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

本研究は、技術者の業績と人物像を生き生きと物語る史料としての「追悼文」に注目し、これを系統的に収集し、技術革新経験に関する知識基盤として技術者教育に活用する可能性と方策について研究を行うものである.平成21年度は,以下のことを行った.● 所在源調査に関しては、本年度は学協会機関紙、業界紙、新聞などから,計350件超の追悼文を抽出し,そのデータベース化を行った.また,それのWeb利用のための検索エンジンを構築した.● 追悼文の教育利用を検討するにあたり,実際に技術者教育を行っている高専,および,社会の世情(総務省調査)の双方のデータを用いて分析を行った.その結果,現在の教育システムは、大きく学校教育と家庭・社会教育から成り立つこと,学校教育は相応に調節された技術者向け教育プログラムを提供できる毅階にあるが,家庭・社会教育においては製品・技術のブラックボックス化により,物が動く仕組みを知る機会が減っていること,情報過多・読書体験の不足・現実世界との相互作用の不足が技術者ロールモデルの欠如を生み,「生きる力」の育成を削ぐ形になっている可能性が高いことを示唆し,技術者ロールモデルとしての技術者人物史料の必要性を提言した.
著者
高橋 由紀子 中平 勝子 三上 喜貴
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.123, pp.65-72, 2007-12-08

現在の日本語学習Webサイトは文法の学習に特化したものが多いが,本研究ではひらがな・カタカナの文字学習を目的とした外国人学習者向けの支援ツールを作成した.本ツールは文字の形・ストローク順・発音などに関するマルチメディアデータベースを有し,外国人学習者が陥りやすい間違いを意識させる工夫を織り込んだ.Though many web-based learning system for Japanese language are focusing on study of grammars, authors have developed the one focused on Hiragana and Katakana learning. The developed system, consisting of multimedia database containing shapes, strokes and pronunciation of each characters, can assist learners through its mechanism of reminding users of common-mistakes characteristic to foreign learners.