著者
清水 美恵 相良 順子
出版者
日本応用心理学会
雑誌
応用心理学研究 (ISSN:03874605)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.105-114, 2019-11-30 (Released:2020-02-29)
参考文献数
36
被引用文献数
1

This study investigated a model in which internal working models of junior high school students are directly linked to their resilience while at the same time relationships with family members and teachers have mediating effects on the resilience of the students. Furthermore, resilience was assumed to be influenced by academic competence and sense of life satisfaction. The results of covariance structure analyses confirmed the validity of the model. Differences relating to grade level in school and gender were also examined by simultaneous analysis of multiple populations. The results revealed that positive relationships of junior high school students increase their resilience, which in turn mediates the promotion of life satisfaction and academic competence.
著者
清水 利宏
出版者
Japanese Society for Global Social and Cultural Studies
雑誌
国際情報研究 (ISSN:18842178)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.3-11, 2018-12-23 (Released:2018-12-25)
参考文献数
13

本研究は、ビジネス英語スピーチと政治スピーチの背後にある関連性について、時系列的な比喩構造をヒントにマクロ的視点から分析を試みるものである。2005~2015年に発表された110本のビジネススピーチを分析した先行研究の成果を、11年という長期的な時間軸で俯瞰的に分析することで、ビジネススピーチと政治スピーチの隠れた関連性を明らかにしていく。まず、11年間・110本のビジネススピーチを分析した先行研究の論点を整理し、メタファグラム分析によって示された「概念構造を特徴づける5つの支配性パターン」のデータを整える。そして11年間分の支配性構造のデータについて、(1)視覚的なグラフ分析、(2)相関性の統計分析、(3)時系列を反映した自己相関分析を施すことで、マクロ的かつ複眼的な観点からビジネススピーチと政治スピーチの関りを調査する。これらの分析の結果、(1)大統領選挙の時期にビジネススピーチの概念構造に特異な変化が見られること、(2)2005~2015年に大統領であったブッシュとオバマ両氏の特徴的な概念構造と、ビジネスに特徴的な概念構造に逆の相関がみられること、(3)ビジネス特有の概念構造には(大統領の2期の任期と同じ)8年間の周期性が認められることが明らかになった。
著者
清水 利宏
出版者
Japanese Society for Global Social and Cultural Studies
雑誌
国際情報研究 (ISSN:18842178)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.3-14, 2017-12-24 (Released:2017-12-24)
参考文献数
6

本研究は、ビジネス英語スピーチの比喩分析に時系列概念を取り入れた「メタファグラム分析」をさらに広範囲に展開し、その分析法の有効性を再検証するとともに、ビジネススピーチ特有の比喩構造を明らかにするものである。本稿前半では、(1)メタファの時系列分析を試みた実験研究、(2)10本のビジネススピーチを分析した基準研究、(3)50本の素材を追加したコーパス研究、(4)ビジネスと政治のスピーチを分析した比較研究の4つの先行研究から、これまでのメタファグラム分析の進展と研究成果を振り返る。そのうえで、今回の研究では新たに50本のビジネススピーチをコーパスに追加し、基準となった2010年の前5年(2005~2009年)・後5年(2011~2015年)の計11年間の傾向が分析可能な条件を整えた。これら110本、約275,000語のビジネススピーチコーパスを用いて、これまでに得られた研究結果を検証した結果、メタファグラム分析の有効性が改めて示されるとともに、時間軸上で比喩表現の山が構成されるとしたビジネススピーチ特有の性質についても、従来の示唆を裏付ける研究結果が得られた。
著者
清水 利宏
出版者
Japanese Society for Global Social and Cultural Studies
雑誌
国際情報研究 (ISSN:18842178)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.104-115, 2015-12-25 (Released:2015-12-30)
参考文献数
5

本稿は、ビジネス英語スピーチにおける概念構造の特徴を明らかにするために、通算6年間分のビジネススピーチを分析・考察するものである。2010年のビジネススピーチ10本を分析した先行研究では、「概念メタファの時系列的支配性」の存在が示された。そこで本研究では、その先行研究の結果を更に検証することを目的とし、まず2005~2009年の5年間に発表された50本のビジネススピーチ・コーパス(素材集)を新たに構築した。12万語以上から成るそのコーパスを、話者の時系列的な概念構造を数値化する「メタファグラム分析」を経て統計処理をし、さらにそのデータを先行研究の結果と照合することで、「(1)量的」「(2)分布的」「(3)時系列的」という概念構造の3つの支配性の特徴を改めて検証した。先行研究と本研究を合わせて、2005~2010年の通算6年間分、約15万語に及ぶコーパスを用いた広範的な再調査の結果、先行研究によって提起された第3の支配性(時系列的支配性)の存在と特徴、そしてスピーチの概念構造における3つの支配性の「相互の関連性」が、本研究においても改めて支持された。
著者
清水 利宏
出版者
Japanese Society for Global Social and Cultural Studies
雑誌
国際情報研究 (ISSN:18842178)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.3-14, 2016-12-25 (Released:2016-12-26)
参考文献数
13

本稿は、先行研究で示された「ビジネス英語スピーチにおける概念メタファの時系列的構造」をさらに明確にするために、アメリカ大統領の政治スピーチを新たに比較検証することで、ビジネススピーチ特有の概念構造とは何かを明からにするものである。まずは先行研究で分析された2005年~2010年のビジネススピーチ60本に、同じく2005年~2010年に発表されたブッシュ/オバマ両大統領による20本の政治スピーチを加え、合計で20万語を超えるコーパスを独自に構築した。それらを先行研究と同じ手法で分析・比較検証した結果、概念メタファの「(1)量的」「(2)分布的」支配性に加えて、先行研究で新たに立証された「(3)時系列的」支配性の存在が、政治スピーチにおいても確認された。さらに、メタファグラムによる比較分析では、「メタファの量的変化」が、政治スピーチでは「均等な分散」と関連する一方、ビジネススピーチでは「(3)時系列的支配性」と高い相関を示すという違いが判明した。メタファの「量的推移」と「時系列的な起伏」が相関関係にあるのがビジネススピーチ特有の概念構造であるという発見をふまえ、ビジネススピーチのメタファ分析における時系列的概念の重要性が、改めて支持される結果となった。
著者
清水 利宏
出版者
日本国際情報学会
雑誌
国際情報研究 (ISSN:18842178)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.56-67, 2014-12-19 (Released:2014-12-19)
参考文献数
11

本稿は、ビジネス英語スピーチにおける「主要な概念メタファ」を定義するための新たな指標として、「時系列的支配性」を提起し、その意義を検証するものである。時系列的支配性は、従来の量的支配性・分布的支配性に続く第3の要素として、「スピーチの時間的推移」と「主要な概念メタファ」の関連を示す指標である。その提起および検証にあたり、本研究では、まず2010 年に発表された10 本のビジネススピーチを手作業で分析し、概念メタファの検索語リストを構築する。続いて、その検索語をもとに、コーパス分析による機械的処理と、手作業の確認作業を経て、全スピーチをメタファグラム分析によって時系列的に解析する。その上で、量的・分布的・時系列的の各分析データから、各スピーチの「主要な概念メタファ」を求め、それらを比較検証することで、時系列的支配性の存在意義を考察していく。検証研究の結果、「時系列的」という第3の支配性は、従来から実績のある量的支配性と一定の関連性を維持しつつも、分布的支配性からは独立した指標として機能することが明らかとなり、時系列的支配性の重要性が示された。
著者
清水 利宏
出版者
日本国際情報学会
雑誌
国際情報研究 (ISSN:18842178)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.14-25, 2011-11-18 (Released:2014-12-24)
参考文献数
25

本稿は、スピーチコミュニケーションのメタファ分析における「メタファグラム」(造語)に関連し、話者やスピーチを特定するための技術となる「比喩紋」の可能性を考察するものである。スピーチにおける概念メタファの時系列的な表出傾向の推移は、メンタルディスタンス分析によって描写できることが分かっている。ここでの議論は次の2点に絞られる。まず、(1)時系列的な推移状況を、視覚性に富む「メタファグラム」でとらえたとき、その特徴が、話者を特定しうるほどの有意性を持つのかということ。そして、(2)メタファグラムが時系列的特徴を示すとすれば、それは具体的にどのようなものなのかという疑問である。本稿では、先行研究で考察された2人の発表者による6本のスピーチを再検証の素材とし、メタファグラムを構成する個々の要素について、より詳細な統計分析を施して考察を進めた。援用したのは、相関分析、時系列分析、定常化、自己相関分析、そして交差相関分析である。その結果、得られたメタファグラムには、それだけで人物の特定を実証しうるほど統計的に有意な相関性はみられなかった。しかしその一方、メタファグラムによって記録される各メタファ要素の関連性に、隠された「時系列的周期性」が存在することが明らかになった。