著者
清水 太一 田島 貴文 善家 雄吉 大隈 佳世子 岡田 祥明 山中 芳亮 酒井 昭典
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.152-155, 2021-03-25 (Released:2021-04-30)
参考文献数
18

我々は,過去に当大学同門会員に対して,抜釘に関する意識調査を行い,その結果を報告した.今回,さらに解析を追加し,部位別の抜釘の傾向を検討した.質問内容は抜釘を行う部位や理由など計65項目とした.229名のうち81名(男性79名,女性2名,平均年齢41.7歳)より回答を得た(回答率35.4%).「必ず行う(100%)」および「だいたい行う(80%)」の頻度で抜釘を行う部位は,小児における髄内ピン(97.5%),肘頭TBW(tension band wiring)(72.8%),鎖骨プレート(71.6%),膝蓋骨TBW(66.7%)であった.逆に「決して行わない(0%)」および「めったに行わない(20%)」部位は,上腕骨髄内釘(77.8%),上腕骨骨幹部プレート(74.1%),大腿骨髄内釘(67.9%)などであった.また,術者の年齢が高くなるほど橈骨遠位端プレートを抜釘する傾向が有意に高く,前腕骨骨幹部プレートを抜釘する傾向は有意に低かった.
著者
服部 雅史 舘石 和雄 判治 剛 清水 優
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00231, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
48

本論文は,鋼床版のUリブとデッキプレートの溶接ルートからデッキプレートまたは溶接ビードに進展する疲労き裂に対して,交通規制が不要であり,かつ死荷重が増加しない対策方法を検討したものである.具体的には,Uリブの下フランジを切断・撤去し,Uリブ・デッキプレート溶接部をUリブ内側からも溶接する対策を提案した.まず,構造改変を伴う本対策の実現性の確認として,耐荷性能,溶接の施工性や出来形,アスファルト舗装への影響を検証した.次に,対策前後での着目溶接部周辺の局部応力やき裂先端の応力性状の変化,および他の部位への影響を有限要素解析により確認した.最後に,本対策の疲労耐久性を定点疲労試験により明らかにした.
著者
三浦 崇寛 浅谷 公威 宮本 由美 清水 愛織 坂田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3K4GS1002, 2022 (Released:2022-07-11)

持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて、環境や人体に危険性のある物質をいち早く検知し対応への取り組みに繋げることは、規制の整備を行う国だけでなく化学物質を利用する企業や研究者にとっても求められている。これまで化学物質のリスクはQSARなどを用いた物性が着目されていたが、環境問題に繋がる環境蓄積性などはマイクロプラスチックを筆頭として物性から推定することが難しい。そこで本研究では、規制内容が近い物質は学術コミュニティにおいて類似の文脈で議論されているという仮定に基づき、有害性のある化学物質に関する論文の引用情報と文書情報を機械学習により分類することで危険度の高い物質について議論している論文とその物質名を抽出する手法を提案する。4つの有害性/環境対応に関するカテゴリに対して実験を行った結果、書誌情報を用いることで有害性に関する論文を網羅的に取得することが可能であり、特に引用表現が物質の危険性予測に有効であることを示した。評価実験では抽出された論文を目視により評価を分類精度の検証を行なった上で、有害性関連論文の数から有害性のある物質推定を行い提案手法が有効であることを示した。
著者
鈴木 政登 清水 桃子 河辺 典子 高尾 匡 町田 勝彦 川上 憲司
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.329-344, 1996-04-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
48
被引用文献数
5 1

加齢およびlife styleに起因した有酸素性作業能 (VO2max) の低下, 高血圧, 血清脂質の上昇および筋量や骨密度 (BMD) の低下は「寝たきり, 痴呆性老人」発症の危険因子とされる.本研究は, 年齢やlife styleおよび運動の習慣化の動機などそれぞれが異なる20~76歳の健康女性165名を対象とした横断的研究であり, これらの危険因子が習慣的運動によって改善または除去されるか否かを調べる目的でなされた.1回30分間以上, 週2回以上の頻度で水泳, ジョギング, エアロビックダンス等の運動を2年間以上継続している者を運動群 (Ex群, n=82) , Ex群としての条件を満たさない者および運動習慣がない者を対照群 (Cont群, n=83) とし, 40~60歳までは5歳刻みで, それ以下およびそれ以上の年齢の者は一括して比較した.運動習慣の有無のみならず閉経年齢や嗜好品および就業状況などlife styleの調査も行い, 次のような研究結果を得た.1) 本被検者165名のうち閉経者は89名 (54%) おり, 閉経年齢の平均は49.7±3.1歳 (閉経期間1~23年間) であった.2) 常習的喫煙者は35名, 週1回以上の頻度の飲酒習慣を有する者は100名みられた.3) 加齢にともなって体重あたりVO2max (n=165, r=-0.590) およびHRmax (r=-0.722) は有意 (p<0.001) に減少した.Ex群のVO2maxはCont群に比し有意な高値を維持しつつ加齢にともない減少したが, HRmaxには2群間の差はなかった.4) 安静時血圧は40歳未満の群が有意な低値を示した他は隣合う年齢間に有意差こそなかったが, 明らかに加齢にともないSBP (r=0.391) , DBP (r=0.315) ともに有意 (P<0.001) な上昇を示した.しかし, 本被検者165名の中には160/95mmHg以上の者はいなかった.安静血圧にはEx, Cont群間に有意差はなかったが, 運動前後の差 (ΔSBP, ΔDBP) はEx群がやや高い傾向であった.5) 血液成分のうち, 明かな年齢変化が認められたのは血清TC (r=0.346, p<0.001) およびLDL-C濃度 (r=0.339, p<0.001) であった.HDL-Cには年齢変化はみられなかった.Ex, Cont群間の比較では, TC, HDL-CいずれもEx群が高値傾向を示し, HDL-C/TC比には差がなかった.しかし, 本被検者のうち10, 30kmおよびフルマラソンなど公式試合出場者 (n=11, 49.7±7.7歳) では同年代の者に比し血清TCは低く (189.2±23.3mg/dl) , HDL-Cは有意に高値 (72.2±10.9mg/dl) であった.さらに, 飲酒と運動習慣を併用している者 (n=26) のHDL-C (75.8±15.8mg/dl) およびHDL-C/TC比が高かった.6) 体重や肥満度には年齢変化も2群間の差もみられなかったが, 加齢にともない%FTMが増加し, %LTMが減少する傾向であった.2群間の比較ではEx群の%LTMが高く, %FTMは低値傾向を示した.7) 閉経前にはEx群のTBMDおよびLegBMDが有意に高値であったが閉経後では2群間に有意差はなかった.しかし, 閉経後の者でもフルマラソン等公式大会に出場している者 (n=5, 52.6±1.5歳) のTBMDおよびLegBMDはCont群 (51~55歳) のそれに比し有意に高値であった.8) VO2max, 体組成, 骨密度および血清脂質濃度相互の関連を調べた結果, VO2max総量はLTM (kg) と高い相関 (r=0.669) を示し, VO2max/LTMは加齢にともなって減少したが, いずれの年齢でも常にEx群が有意な高値であった.体重あたりVO2maxは%FTMとは逆相関 (r=-0.442) , %LTMとは正相関 (r=0.422) を示した.しかし, 血清TC, HDL-C濃度とは関連がなく, 安静時SBP (r=-0.232, p<0.01) およびDBP (r=-0.192, p<0.05) とは低い相関係数しか示されなかった.一方, BMDは年齢の他に体重, それもLTMの影響を強く受けた.しかし, TBMDと体重あたりVO2maxとの相関は必ずしも高くはなかった (r=0.354, p<0.001) .骨密度およびVO2maxにおよぼす諸要因の重回帰分析を行った結果, 次のような回帰式を得た.全身骨密度 (TBMD; g・cm-2)=0.9525-0.0045×Age+0.0059×FTM (kg) +0.0072×LTM (kg)(n=165, R=0.669, p<0.001)VO2max (ml・kg-1・min-1)=47.97-0.391×Age+0.175×Leg BMD (g・cm-2) -0.531×%FTM (%)(n=165, R=0.715, p<0.001)尚, 上記二式の偏回帰係数はすべて0.1%水準で有意であった.以上の研究結果から, 習慣的運動によって全身持久性能力 (VO2max) や筋の最大酸化能 (VO2max/LTM) は高く維持されるが, 加齢による骨密度の減少や血清脂質の改善を期待することは困難であり, これらの改善にはより厳密な運動処方が必要であることがわかった.しかし, 体重あたりVO2maxは骨密度 (例えば, 脚骨密度; r=0.395) や筋量指標 (%LTM; r=0.422) と有意 (p<0.001) な正相関を示したことから,
著者
小出 裕之 浅井 知浩 畑中 剣太朗 清水 広介 横山 昌幸 石田 竜弘 際田 弘志 奥 直人
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.129, no.12, pp.1445-1451, 2009-12-01 (Released:2009-12-01)
参考文献数
21
被引用文献数
10 12

Liposomes modified with polyethylene glycol (PEG) can stably exist in the bloodstream because the PEG on the liposomes attracts a water shell to the liposomal surface. Since these liposomes are long circulating nanocarriers, they are used as drug and gene delivery tools. Repeat injection of PEGylated liposomes, however, is known to induce the accelerated blood clearance (ABC) phenomenon. In the ABC phenomenon, PEGylated liposomes that are injected subsequent to the first injection are cleared rapidly from the bloodstream and accumulate in the liver, resulting in loss of their long-circulating characteristics. The induction of ABC phenomenon is related to the production of anti-PEG IgM from splenic B cells. To elucidate the mechanism of the phenomenon, we firstly examined the relationship between the induction of ABC phenomenon and the concentration of PEGylated liposomes, and observed that the high dose of those did not induce the phenomenon. Next, we investigated whether polymeric micelles trigger ABC phenomenon or not. Finally, the size-dependency of ABC phenomenon was investigated by use of variously sized PEGylated liposomes and polymeric micelles having PEG chains. Our data suggest that the initiation of ABC phenomenon would be size-dependent, and particles smaller than 30 nm did not induce ABC phenomenon. We anticipate that the elucidation of the ABC phenomenon will be helpful for the development of DDS formulations.
著者
中崎 公隆 諸橋 環 清水 翔一 河村 研吾 高橋 昌里 森岡 一朗
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
pp.cr.2019.0164, (Released:2020-07-17)
参考文献数
11

症例は 9 歳男子.腹痛発作を主訴に受診し,左腎に高度の水腎症を認めた.当初無機能腎として腎摘出術も検討されたが,腎実質障害は可逆性と判断し腎盂形成術を実施したところ,著明な腎機能の改善が得られた.高度な水腎症で検査上無機能と判断される場合でも,不可逆性の組織変化を来す病態以外では腎温存術を検討する必要がある.
著者
清水 由紀 内田 伸子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.314-325, 2001-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
16
被引用文献数
5 2

本研究では, 小学校に入学した児童が, 一対多のコミュニケーションにおける言語形態 (二次的ことば) やきまりの習得を含む教室ディスコースへとどのように適応していくのかについて検討した。1年生の4月と7月の朝の会において観察された相互作用を, カテゴリー分析と事例分析により比較した。その結果, 入学直後の教師による発話の指導は, 発話形態によって異なっていた。入学直後, 言い方や発話形式が完全に決まっている発話は, 教師が丁寧に説明や指示を行い, 児童がそれをそのまま繰り返していた。一方, 考えを伝える発話は, 教師が発話形式のモデルを示し, 児童がそれを積極的に取り込むという習得過程が見られた。そして7月になると, きまりに沿いながらも内容豊かで活発な児童主導の活動が行われるようになっていた。また仲間関係調査, 親に対するアンケート, 教師に対するインタビューより, このような適応過程は, 児童を取り巻く教師, 仲間との対人関係の成立と共に, 朝の会への関心の増加や, 教師による児童の状態の適切な認知により支えられていることが示唆された。
著者
市川 裕介 林 阿希子 美原 義行 清水 健太郎 手塚 博久
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:21888744)
巻号頁・発行日
vol.2019-GN-106, no.31, pp.1-6, 2019-01-17

訪日外国人の増加に伴い,空港,駅,など公共施設の混雑機会も増えている.混雑状態は施設の安全性,快適性を損なうことから,施設利用者を誘導し,動きを制御することで,混雑を緩和するシステムの導入が重要となる.我々は,刻々と変化する施設内の混雑状況を計測し,空いているルートを動的に案内する動的案内サインシステムを構築し,実際に羽田空港国際線旅客ターミナルにおいて評価した.本稿では,混雑度の表示による誘導効果計測の結果について報告する.
著者
市川 裕介 林 阿希子 美原 義行 清水 健太郎 峰野 博史
雑誌
情報処理学会論文誌コンシューマ・デバイス&システム(CDS) (ISSN:21865728)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.50-57, 2020-02-26

訪日外国人の増加にともない,空港,駅,等公共施設の混雑機会も増えている.混雑状態は施設の安全性,快適性を損なうことから,施設利用者を誘導し,動きを制御することで,混雑を緩和するシステムの導入が重要となる.我々は,刻々と変化する施設内の混雑状況を計測し,空いているルートを動的に案内する動的案内サインシステムを構築し,実際に羽田空港国際線旅客ターミナルにおいて評価した.本稿では,混雑度の表示による誘導効果計測の結果について報告する.
著者
清水 祥子
出版者
長野女子短期大学出版会
雑誌
長野女子短期大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.7, pp.31-38, 1999-12-21

江戸時代の料理本にみるおから料理は実に豊かである。前菜から食後(甘味)に至る様々な料理がみられる。その料理名がまた素敵である。むろん少ないお米におからを混ぜてかさを増やすいわゆる「かて飯」として庶民の貧しい食事の様もみえるが、華やかに食卓を飾った料理もあった。時代とはいえおからも庶民の命を養う食材の一つであったこと、従っておから料理の実に豊かだったことがうかがえる。
著者
清水 嵩之 古川 慎哉 藤岡 燿祐 金本 麻友美 玉井 惇一郎 梅岡 二美 宮岡 弘明
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.672-679, 2022-12-30 (Released:2022-12-30)
参考文献数
33

症例は50歳代男性.X-9年に2型糖尿病と診断され治療中であった.X-5年8月に左尿管癌,多発リンパ節転移と診断され治療を開始し,2次化学療法としてX-1年11月から抗PD-1抗体(ペムブロリズマブ)を開始.X年2月下旬より食欲低下を認め,口渇,吐き気も出現したため3月初旬に当院を受診.血液検査で糖尿病性ケトーシスと診断し同日入院.空腹時血清Cペプチドは1.1 ng/mLから0.3 ng/mLに低下し,入院後補液とインスリン持続静脈注射を行い入院18日目に退院した.発症後2年経過したが,インスリン分泌は低下したままである.本症例は抗PD-1抗体投与後に内因性インスリン分泌が急激に低下したことから,抗PD-1抗体投与に伴う1型糖尿病と診断した.抗PD-1抗体投与中は慎重にケトーシスおよびケトアシドーシスを疑う症状の有無を確認し,高血糖を認めた場合には内因性インスリン分泌の評価を行う必要がある.
著者
清水 英雄
出版者
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

ハンチントン病(HD)は、変異型ハンチンチンが原因で引き起こされる神経変性疾患である。HDのモデルマウスでは、シナプスの機能異常が起きており、責任遺伝子であるハンチンチン遺伝子のノックアウトは胎生致死に至る。これらのことから、変異型ハンチンチンは発生期から発現して、脳発達初期からシナプス形成に対して悪影響を及ぼすことが予想される。本研究では、シナプス形成異常と興奮毒性等による神経細胞死を、HDモデルマウスと同腹仔の野生型の初代培養神経細胞をそれぞれ用いて定量的に比較する。これにより、HDにおけるシナプス形成異常と神経細胞の脆弱性を明らかにし、HD発症に至る神経発達異常のメカニズムを解明する。