著者
上原 星奈 清水 裕子
出版者
国立大学法人 香川大学医学部看護学科
雑誌
香川大学看護学雑誌 (ISSN:13498673)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.23-32, 2021-03-30 (Released:2021-04-03)
参考文献数
25

本研究は,認知意味論の理論的枠組みにおいて,記述的に英語の“spirit”という言葉のもつ内容や情報量を検討し,“spirit”の意味体系を明らかにすることを目的とする.研究方法は,3種類の中型英語辞典から英語の“spirit”の意味を抽出し,カテゴリー分類を行い,語義に定義づけを行った.また,皆島が作成した多義語放射状カテゴリーモデルの形態を引用して“spirit”の放射状カテゴリーのモデルを作成した.さらに,“spirit”の認知意味論的分析の結果と日本語の「霊性」との比較を試み,日本人が宗教性と混同しないためのカタカナのスピリチュアルというの語が示す内容や物事を検討した.結果と考察は,“spirit”が身体や物体とは区別される精神の部位を表す語義であることが明らかであった.さらに,言語の概念構造のメタファー(隠喩)による意味の派生には「霊」が分類され,メトニミー(換喩)による意味の派生には「熱」「アルコール」,「姿勢」「団結精神」,「真意」,「特質」,「超自然的存在」「秘密裏」が分類された.さらに「霊性」との意味を比較した結果,本来の性質として,肉眼的に捉えることのできない精神的実態であるという共通点はみられた.しかし,「霊性」は,“spirit”のメトニミー(換喩)による意味の派生にみられた「熱」「姿勢」「団結精神」「真意」などの語義は見いだせなかった.結論として,“spirit”の意味は多様に派生しているため,「霊性」と異なった意味があった.したがって,日本の看護分野で用いられているカタカナのスピリチュアリティ,あるいはスピリチュアルは,英語の“spirit”の意味を理解することにより,英語圏諸国の人々が理解するスピリチュアルケアを共通理解できるものと考えられた.
著者
岩清水 晃
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.479-480, 2017-09-10 (Released:2017-09-20)

南部鉄器の「南部」の名称は約四〇〇年前,南部信直公が盛岡に城を構え,藩主としてこの地を持っていたことにはじまる。南部藩主が京都から盛岡に釜師を招き茶の湯釜を作らせたといわれる。盛岡には古くから砂鉄,岩鉄などの良質な鉄資源や,川砂,粘土,漆,木炭などの原料がすべて地元で産出され,鋳物産業にはもってこいの立地条件にありそのころから鉄器が製造されてきた。守るべき伝統は守りつつ新しいことへも挑戦していく南部鉄器を紹介いたします。
著者
清水 啓佑 宇佐美 将誉 溝口 郁朗 藤田 祥子 川野 竜司
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.271-275, 2022 (Released:2022-11-25)
参考文献数
16

近年ナノポア計測技術の進展はめざましく,DNAナノポアシーケンサが実用化された.原理的には,この方法でタンパク質のアミノ酸シーケンスも可能であるため,ポリアミノ酸鎖の検出に最適なナノポアが探索されている.我々は最近,アミノ酸配列を人工設計したペプチドにより脂質膜中でβバレルナノポアを構築しポリアミノ酸鎖の検出に成功した.本稿では,その詳細について紹介したい.
著者
野口 岩男 森 有永 清水 弘一 松永 昂
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.326-330, 1965-11-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
9

1.膜電位を細胞内電極を用いて測つた正常Krebs液での平均値は-55mVで-65~-45mVの拡りを示した.2.KCI濃度の変化に伴い高濃度域ではNernstの理論式にしたがいKCI濃度の対数と膜電位との間には直接関係が成立し直線部分では濃度が10倍となると膜電位は32mVだけ低下した.3.Krebs液中のNaClを等張sucrose, cholineなどで置換すると膜電位は前者ではあまり変化せず, 後者では過分極が起こつた.4.NaClをsucrose置換したKrebs液内でCaC12増加は多少の過分極がみられた.5.CaCl2減少では膜電位は1/7倍ではあまり変化がなかつたがCaCl2を全く除くと多少過分極を示した.この場合1/7倍CaCl2環境では40mVの自発性の活動電位を発生し, 無CaCl2環境では10mVの自発性の活動電位を発生した.6.Achによつて著しい脱分極をみた.稿を終るに臨み, 御懇篤なる御指導を賜つた井上清恒教授に深く感謝の意を表します.
著者
那須野 洋 清水 信行
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.72, no.724, pp.3728-3735, 2006-12-25 (Released:2011-08-16)
参考文献数
21

This paper is concerned with the development of an efficient algorithm for the numerical solution of the fractional differential equation (FDE). The numerical integration of the FDE requires significant computational cost, because the fractional convolution integral included in the fractional derivative, requires O(N2) operations for N points calculation. The kernel of the fractional integral has singularity and consequently excessive small time-step near the singularity is needed to secure the high precision in the numerical calculation. This difficulty is solved by means of a new computational procedure for fractional derivative by introducing the variable trasformation from the physical time to the power time which is newly defined in this paper. The proposed algorithm is used to solved the nonlinear FDE. Computational results are compared with those by the former method (Nasuno and Shimizu, JSME (C), 2006). The proposed method shows remarkably higher performance than the former one.
著者
那須野 洋 清水 信行 安野 拓也
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.72, no.716, pp.1041-1048, 2006-04-25 (Released:2011-03-04)
参考文献数
9
被引用文献数
3 2

The experimantal study has been conducted for several years to investigate the nonlinear psudo-statical and dynamical behaviors of a viscoelastic body described by the fractional derivative law. Pre-stress due to pre-displacement induces higer damping capacity during sinusoidal excitation. In order to understand this behavior, nonlinear statical and dynamical models are considered. The authors establish and propose the appropriate models to describe the behavior of the fractional derivative viscoelastic body. The nonlinearity having second order term with respect to pre-displacement for pseudo-statical compressive displacement and the nonlinearity having exponential term with respect to pre-displacement for sinusoidal excitation are found to be appropriate to describe the viscoelastic damping coefficients. Some discussions on the values of the viscoelastic damping coefficients and how to model a unified force-displacement relation covering from lower to higher wide frequency range are given.
著者
野田 佳江 中筋 幾子 清水 幹雄 栗田 賢一 宮澤 健 後藤 滋巳 泉 雅浩
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-4, 2009 (Released:2012-02-15)
参考文献数
6

両側の下顎頭吸収が起き,これに継発して前歯部が開咬を呈する症例に対し,Indirect Bonded Splint(IBS)を用いた顎間牽引を行い,良好な結果を得られた。 患者は42歳の女性で,1年前より右側顎関節部の軽度の疼痛と前歯部の開咬を自覚していた。開咬は除々に増悪し,来院時にはoverjet+1.0mm,overbite-3.5mmとなっていた。開口域は46mmであった。CTでは両側下顎頭の平坦化がみられ,左側下顎頭海綿骨の緻密化および関節結節部にはエロージョンを認めた。そこで,IBSを歯列に装着し,ゴムにて顎間牽引を行った。顎間牽引終了8か月後,前歯部開咬は改善し,CTでは左右下顎頭および左側関節結節の皮質骨の再生が確認できた。 IBSを用いた顎間牽引は開咬を伴う変形性顎関節症に対する保存的療法の有用な一手段である。
著者
清水 貴裕 SHIMIZU Takahiro
出版者
秋田大学教育文化学部
雑誌
秋田大学教育文化学部研究紀要 人文科学・社会科学部門 (ISSN:1348527X)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.27-31, 2009-03-01

The purpose of this study was to investigate effects of expectancy and attitude toward hypnosis onhypnotic susceptibility. Participants rated an attitude toward hypnosis questionnaire and a hypnotic stateexpectancy questionnaire. Then, they completed the Harvard Group Scale of Hypnotic Susceptibility, FormA. Factor analysis of the hypnotic state expectancy questionnaire yielded two factors: expectancy for lossof control and released potentiality. The result of two-way analysis of variance showed a significant interaction.Low expectancy for loss of control participants demonstrated increased hypnotic susceptibility fromlow to high level of attitude toward hypnosis. This finding suggest the importance to investigate effects ofexpectancy and attitude in terms of interactive these variables.
著者
清水 都 小島 美樹 井下 英二 真田 依功子 大森 智栄 倉田 秀 森崎 市治郎
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.241-250, 2022 (Released:2022-11-15)
参考文献数
30

歯科疾患や口腔の不健康とメタボリックシンドロームとの関連が,多くの疫学研究で報告されている.本研究では,壮年期男性における口腔の自覚症状とメタボリックシンドロームおよびそのリスク因子との関連を調べることを目的とした.歯科・医科健診データを用いて,4年間の後ろ向きコホート研究を行った.42歳時点で,メタボリックシンドロームがない者3,519人,肥満(高BMI)をもたない2,574人,高血圧症(高収縮期血圧かつ/または高拡張期血圧)をもたない者2,785人,脂質異常症(高中性脂肪かつ/または低HDLコレステロール)をもたない者2,879人,高血糖症(高空腹時血糖)をもたない者3,604人を解析対象とした.これらの項目別に,46歳時点で各項目を有する者の割合を,42歳時点における口腔の自覚症状の有無で比較した.ロジスティック回帰モデルを用いて交絡要因を調整したオッズ比と95% 信頼区間を算出した.その結果,生活習慣調整モデルでは「う蝕あり」と「歯肉出血」は高血圧症と,「歯肉出血」と「歯肉腫脹・疼痛」は高血糖症と有意に関連していた.生活習慣に加えて全身状態を調整したモデルにおいても,「歯肉出血」と高血圧症,「歯肉腫脹・疼痛」と高血糖症との関連は有意であった.以上の結果より,壮年期男性において,特に歯周病に関係する症状の自覚が,メタボリックシンドロームのリスクとなる状態の発症と関連することが示唆された.
著者
清水 美保 和田 隆志
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.5, pp.907-915, 2019-05-10 (Released:2020-05-10)
参考文献数
21

「糖尿病性腎症」の病理分類が提唱され,病理所見と予後との関連が報告されている.一方,「糖尿病性腎臓病(diabetic kidney disease:DKD)」に包括される病態として,顕性アルブミン尿を伴わない糸球体濾過量(glomerular filtration rate:GFR)低下例では,軽微な糖尿病性糸球体病変とは対照的に,尿細管間質病変及び血管病変が進展した“腎硬化症”の特徴も認められる.さらに,糖尿病例には,糖尿病と直接関連しない腎疾患の合併も認められる.糖尿病に伴う腎障害の早期診断,予後診断ならびに特異的診断において,病理所見による層別化が有用と考えられる.
著者
清水 長正 宮原 育子 八木 浩司 瀬戸 真之 池田 明彦 山川 信之
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2016年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100044, 2016 (Released:2016-11-09)

東北地方では福島県と並んで山形県に風穴が多い。天然記念物にも指定された著名な風穴がある。これまでに確認された風穴から山形の風穴マップを作成した。県内の風穴は、自然風穴(地すべり地形・崖錐斜面などで自然状態にある風穴)、人工坑道の風穴、明治・大正期の蚕種貯蔵風穴跡(石垣囲)などに大別され、それらを2.5万分の1地形図索引図に示した。あわせて、各風穴の概要なども展示する。
著者
三浦 要一 北村 眞一 花岡 利幸 清水 浩志郎 木村 一裕
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.499-504, 1990-10-25 (Released:2020-07-01)
参考文献数
13

THE STUDY DEALS WITH THE CASE OF THE COMPREHENSIVE DEVELOPMENT PLAN FOR THE CITY OF AKITA. THIS MASTER PLAN WAS MADE ORIGINALLY AND SYSTEMATICALLY IN 1954 FROM THE SURVEY OF THE ACTUAL CONDITION OF CITY WITHOUT USING STANDARDS OF THE CITY PLAN. THE PLANNING WAS SUCCEEDED IN REMOVING GOVERNMENT OFFICES FROM CENTRE TO SURBURBIA AND STRUCTURING THE CITY AXIS. BUT THE HOUSING AREAS HAS SPREAD OVER THE SURBURBIA OF AKITA.

1 0 0 0 入門日本刀

著者
清水澄 著
出版者
徳間書店
巻号頁・発行日
1963