著者
渡部 俊也 平井 祐理
出版者
総務省情報通信政策研究所
雑誌
情報通信政策研究 (ISSN:24336254)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.19-31, 2020-12-01 (Released:2021-01-07)
参考文献数
7

データ政策を検討するうえで、基礎となるのが、データの価値をどうとらえるのか、どのようなデータに経済的な価値があるのかという考え方である。一般的にデジタルデータを多量に保有しているからといって、そのデータから利益を生み出せるとは限らず、多くの条件が整って初めて企業の利益や競争力につながり、産業競争力に結び付く。その要件を踏まえたデータの保護やデータ利活用のインセンティブシステムを設計することがデータ政策として重要となる。本稿ではそのような観点から、データについての経済的価値に着目して、質問票調査に基づく実証分析による検討結果を示し、あわせて具体的な事例として、機械学習に提供されるアノテーションデータにおける価値について考察を加えた。これらの結果をもとにデータの法的保護の在り方について検討した。
著者
米山 茂美 渡部 俊也 長谷川 光一
出版者
科学技術政策研究所
巻号頁・発行日
2013-01 (Released:2013-04-17)

本報告書では、産学共同研究が大学研究者の学術的研究成果に与える影響を、過去の共同研究の経験蓄積という観点から分析した。ここでは、学術的研究成果を、論文発表件数の増加率及び論文被引用件数の増加率という量・質の両面から捉え、また研究者が属する研究分野の違いを考慮した分析を行った。 分析結果からは、(1) 産学共同研究への参加が大学研究者の研究成果に与える影響は、過去に共同研究を実施した経験があるかどうかによって異なること、(2) 過去に産学共同研究の経験がない研究者においては、全体として、共同研究への参加は必ずしもその後の研究者の研究成果にプラスの影響を与えず、むしろ論文被引用件数の増加率という質的側面においてマイナスの影響を与えうること、(3) 他方で、過去に産学共同研究の経験のある研究者においては、一定程度までの共同研究への参加が研究成果にプラスの影響を与えるが、過度の参加は逆に研究成果にマイナスの影響を与えうること、(4) そうした全体としての傾向は、研究者が所属する研究分野によって異なっていることが確認された。 こうした分析結果を踏まえ、産学連携施策の展開に当たって考慮すべき政策的な含意として、過去に産学連携を行った経験のない研究者とその経験がある研究者ごとに、産学連携への取り組みにおける異なる管理・運用方針やそれを支える支援策が求められること、また研究分野による違いを考慮したきめ細かい施策展開が求められることを提示した。
著者
大﨑 敏郎 渡部 俊也 関野 勝弘
出版者
研究・技術計画学会
雑誌
年次学術大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, pp.757-760, 2011-10-15

一般講演要旨
著者
渡部 俊也
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.27-37, 2012-12-20 (Released:2013-10-01)
参考文献数
22

最近の知財ライセンス契約の条項を詳しく検討することによって,その特徴と機能を明らかにすることを試みた.その結果,知財の共創と協働という面での共通の機能が見出された.この機能はオープンな知財マネジメントの一機能であるともいえる.このような観察結果は,オープンイノベーションの実行 における知財ライセンス契約の重要性を示している.
著者
平井 祐理 渡部 俊也 犬塚 篤
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3_4, pp.259-272, 2013-04-25 (Released:2017-10-21)
参考文献数
61

日本では「大学発ベンチャー1000社計画」以降,大学発ベンチャー数は急速に増加したが,その業績は全体として好調であるとは言い難い。そこで本研究は,日本の大学発ベンチャーを対象とし,高い業績を達成するための成功要因を明らかにすることを目的としている。本研究では,Upper echelons perspectiveの視点から,大学発ベンチャーのトップ・マネジメント・チームに注目をし,そのデモグラフィック特性とプロセス要因を取り上げた。質問票調査のデータについて回帰分析を行った結果,大学発ベンチャーの業績には,トップ・マネジメント・チームに大学外出身者の割合が高いこと,チームの異質性が高いこと,戦略的コンセンサスと個人的な親密さの交互作用項がそれぞれ正に有意に影響を及ぼしていた。これによって,大学発ベンチャーが高い業績を達成するためには,そのトップ・マネジメント・チームは異質的であることが重要であり,またビジネス上とプライベート上のどちらか一方の関係性を深めれば良いということではなく,両側面において密なコミュニケーションがとれていることが重要であるということが示唆された。さらに,企業業績に対するトップ・マネジメント・チームの影響に関しては,デモグラフィック特性とプロセス要因は別の要因として検証することができるという可能性が示唆された。