著者
湯川 志保
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.118-121, 2017 (Released:2017-06-01)
参考文献数
8

本研究は,公益財団法人家計経済研究所が実施する「消費生活に関するパネル調査」を用いて,子どもの誕生が男性の労働時間に影響を与えるのかについて分析し,仮に影響を与えるのであれば,それは家庭内分業によるものなのかについて検証を行った.家庭内分業によるものなのかを検証する際,比較優位の指標として夫婦間の学歴差を用いた.分析の結果,子どもの誕生は男性の労働時間を増加させることが確認された.さらに,自分の学歴が妻の学歴よりも高い男性の方がその他の男性に比べて子どもの誕生による労働時間の増加が大きいことが示されたことから,子どもの誕生により家庭内分業が発生していることが示唆される.最後に,家庭内分業が男性の生産性の代理変数である賃金に影響を与えるかについて分析したが,賃金に関しては有意な影響は観察されなかった.
著者
赤林 英夫 妹尾 渉 敷島 千鶴 星野 崇宏 野崎 華世 湯川 志保 中村 亮介 直井 道生 佐野 晋平 山下 絢 田村 輝之 繁桝 算男 小林 雅之 大垣 昌夫 稲葉 昭英 竹ノ下 弘久 藤澤 啓子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2016-05-31

本研究では、経済格差と教育格差の因果関係に関するエビデンスを発見するために、親子を対象とした質の高い長期データ基盤を構築し、実証研究と実験研究を実施した。さらに、経済格差と教育格差に関する国際比較研究を実施した。具体的には、テスト理論により等化された学力データを活用し、学力格差と経済格差の相関の国際比較、親の価値観が子どもの非認知能力に与える影響の日米比較の実験研究、子ども手当が親の教育支出や子どもの学力に与える影響に関する因果分析等を実施した。
著者
湯川 志保
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.10, no.Special_issue, pp.S33-S36, 2017 (Released:2018-04-12)
参考文献数
6

本研究は,東京大学社会科学研究所が実施する「東大社研・若年パネル調査(JLPS-Y)」と「東大社研・壮年パネル調査(JLPS-M)」の2007年から2013年のデータを用いて,子どもの性別が親の政策支持や価値観に与える影響について分析を行った.分析の主な結果は以下のとおりである.娘のみを持つ親は,両方の性別の子どもを持つ親もしくは子どものいない人よりも女性の自立を支持するような考えを持つことや性別役割意識に否定的になることが確認された.また,娘のみを持つ父親は両方の性別を持つ父親や子どものいない男性よりも,日本の防衛力や日米安保の強化を支持することが明らかになった.一方,息子のみを持つ母親は,両方の性別の子どもを持つ母親や子どものいない女性よりも雇用政策や学歴といった将来の職や雇用に関わる項目を重要視することが確認された.