著者
香川 涼亮 小倉 利仁 太田 充 牛島 光一
出版者
公益社団法人 都市住宅学会
雑誌
都市住宅学 (ISSN:13418157)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.97, pp.126-135, 2017 (Released:2018-06-07)
参考文献数
15

The purpose of this study is to investigate the impact of the Tokyo 2020 Olympic and Paralympic Games announcement on residential land prices. Using the data of official land prices from 2010 to 2015, the degree of the rise of the land prices was measured around the area in which the Olympic Village is built. Just after the announcement of September, 2013 the degree of the rise in land prices was measured around the area in which the Olympic Village is to be built. A rise in land prices of 8.0% around the Olympic Village and an average of approximately 3.0% within 12km of radius was confirmed in 2015 as a result of the estimation. When a proxy indicator of the urban redevelopments was added as a variable, a rise in land prices of an average of approximately 1.6% within the radius 12km from the Olympic Village was confirmed. In other words, these estimated results suggest the possibility that about half of rise in land prices was due to the influence of urban development.
著者
野口 晴子 田中 隆一 川村 顕 牛島 光一 別所 俊一郎
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は,2015年を「子どもの貧困対策元年」として,現場でのさまざまな取り組みが行われている足立区との協働の下,(1)足立区教育委員会・学力定着対策室・学力定着推進課によって,平成21~29年度に足立区の公立小・中学校に通学していた児童生徒全員を対象とした学力・体力・就学支援等に関する情報をパネルデータ化すること;(2)当該データに基づき,足立区における学力向上を目的とする多様な支援策の効果,並びに,教員の固定効果に対する実証分析を行うこと;(3)就学支援の状況から,子どもの人的資本の蓄積過程に対する,家計の経済状況の影響を定量的に詳らかにする.当該自治体において,首長や行政担当者,子どもの人的資本の蓄積の場である家庭や学校等とのネットワークを構築し,本研究が得た実証的知見の実行可能性について現場での検証を行うことであった.本研究により,足立区教育委員会が保有する子どもに関する様々な情報を統合し,異時点間での推移を観察・追跡することが可能な,2009-2018年における延べ約50万人のlongitudinal/panel dataを構築した.結果,就学援助状況と学力や肥満,及び,学力と体力や生活習慣との間には相関があること,学校や教師の学力に対する寄与度にはばらつきがあること,小学生基礎学習教室などによる早期の介入が学力向上につながること,さらには,小学校から中学校への進級に際し成績上位20%の児童の約30%強が区外の私立中学校へ進学すること,などが明らかにされた.こうした成果は,2018年9月学習院大学で開催された日本経済学会2018年度秋季大学特別セッション「東京都足立区公立小中学校全児童のパネルデータを用いた分析」をはじめとする国内外のセミナーやワークショップにおいて報告された.また,本成果は,政策に資するエビデンスとして議会等の政策決定の場でも議論された.
著者
野口 晴子 田中 隆一 川村 顕 牛島 光一 別所 俊一郎
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究の目的は,子どものHCの蓄積過程に焦点を当て,因果推論に裏打ちされた政策評価手法を応用する同時に,実装プロセスを開発することで,官学協働による実効性のあるEBPMの実現を目指すことにある.東京都足立区との協働の下,公的な保育・教育サービスを利用する子どもたちの「全数」を対象に,同一の子どもを10年間以上悉皆で追跡することの出来るパネルデータを独自に構築・整備する.本研究により,世界的に主流となっている計量経済学の分析手法の活用可能性が広がり,これまで日本では困難であった,子どものHCの蓄積過程に関わる様々な要因間での相関メカニズムを解明することが可能となる.
著者
牛島 光一
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本研究プロジェクトの目的は健康と教育間の因果関係を明らかにすることである。平成24年度は本研究フロジェクトの第二年目であり、教育が健康に与える影響について研究を進めた。この研究では、親の教育水準が高いほど子供の病気を正確に評価できるという仮説を、二つの自然実験的状況((1)医療保障制度改革、(2)教育制度改革)を利用することで検証する。現在、親の教育水準と子供の健康間の除外変数(遺伝的な健康状態、時間選好など)を考慮した研究の蓄積は進んでおらず僅かに、母親の教育水準と乳幼児の健康の因果関係が明らかになりつつある状況である。本研究の分析方法を用いることで、これまで因果関係が明らかになっていない、母親の教育水準と小児の健康の因果関係を明らかにすることができる。本年度は、前年度にタイの家計調査データ(Health and Welfare Survey、2000、2003、2004、2005)から構築したデータセットを用いて分析を行った。このデータセットを用いて、観察された子供の入院率の医療保障制度改革前後の変化と親の教育水準の関係について分析を行った。分析の結果、以下の4点が明らかになった。(1)就学前の子供は、母親の教育水準が低い場合のみ制度導入によって、他のグループよりも入院率が有意に高くなった。(2)この入院率の上昇によって、就学前の子供の入院率は、就学後の入院率と同程度なったので、就学前の子供が過剰な医療サービスを受けたわけではない。(3)父親の教育水準は子供の入院率の変化とは、有意な関係ではなかった。(4)全国レベルの死亡統計によると、制度改革によって、就学前の子供の死亡率のみが減少していた(約43%減少)。従って、分析の結果より母親の教育水準が低いほど子供の健康評価能力が低く、その結果として、子供の健康資本の蓄積が阻まれることが示唆される。
著者
牛島 光一
出版者
筑波大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

本研究プロジェクトでは人的資本の蓄積に関する3件の研究を進めた。①子供の健康の評価と母親の教育水準の関係:教育水準の高い母親ほど子供の健康を評価する能力が高いかを調べた。教育水準の低い母親ほど病院に入院するような病気であっても子供を病院に連れて行っていなかったことを示した。②医療制度の導入が家計の予備的貯蓄に与えた影響:新たに導入された医療保障制度が家計の医療支出の不確実性を減少させることを通じて貯蓄行動を変化させることを示した。③健康投資としての居住地選択:環境政策が人々の健康投資行動に与える影響について研究を行った。持ち家率の高い地域ほど大気環境への限界支払意志額が高くなることが分かった。