著者
李 賢京 田島 忠篤
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.94, no.2, pp.3-28, 2020 (Released:2020-12-30)

本稿は、グローバル化する奄美大島の宗教と地域社会のかかわりについて、トランスナショナリズムの視点から考察することを目的とする。奄美を舞台に国際移住したカトリック信者・宗教者を手掛かりに、カトリックという宗教を軸に越境を捉え、出身地と移住過程、移住先とでトランスナショナル宗教的紐帯およびコミュニティが、どのように形成されるのかについて確認する。本稿では、具体的な事例として、奄美出身日系ブラジル人一世、日系ブラジル人二世、ブラジル帰国者のシスター、日本人女性と結婚した韓国人、中国人元留学生、ベトナム人司祭およびベトナム人たちを取り上げ、聞き取り調査および現地参与観察を通して検討した。結果として、奄美国際移住者たちは地域コミュニティを維持する人材として包摂されたため、教会を媒介とした出身国と奄美間の宗教的紐帯は見られず、トランスナショナル宗教的コミュニティとしてのディアスポラも確認できなかった。
著者
田島 忠篤
出版者
天使大学
雑誌
天使大学紀要 (ISSN:13464388)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.53-71, 2013-06-28

本稿は、日本の新宗教の出現がとくに村落-都市移動を指標とする近代化と関連しているかを検証することに焦点をあてている。農村-都市移動が新宗教への加入を説明するのに有効かを明確にするために、まず、歴史的に新宗教出現の社会的背景を示し、この成果を基に新宗教とは何かを定義する。次に、農村-都市移動と新宗教への加入を扱った先行研究をレビューし、最後に、1970年代後半から教勢を伸ばしてきた「新・新宗教」および現代の「スピリチュアリズム」(島薗氏の新霊性運動)と新宗教とを区別する際に、農村-都市移動が有効な指標となることを述べる。すなわち新宗教は都市移住経験者を対象としており、新・新宗教およびスピリチュアリズムはその下の世代を対象とした社会現象であるということである。
著者
櫻井 義秀 土屋 博 田島 忠篤
出版者
北海道大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

研究代表者の櫻井は、2008年8月1日、2日の両日、韓国釜山において開催された東アジア宗教文化学会創設大会において、韓国の共同研究者と研究打ち合わせを行い、成果報告書の方向付けについて検討した。この成果を研究報告書及び、科学研究費研究成果公開促進費の出版図書に助成申請を行い刊行する計画を進行させている。なお、研究分担者及び、協力者と共同で行った研究は下記の通りである。1)櫻井、李賢京は札幌市内の外来宗教の宣教活動を概観する調査票調査を学生・大学院生と共に実施した。また、李は韓国系教会について事例研究を実施した。2)中西尋子はオンヌリ教会の機関調査、及び統一教会渡韓日本人女性信者の現地調査を行った。3)猪瀬優理、田島は、札幌市の在日コリアン社会を、札幌の朝鮮学校から調査に入り、調査協力可能な世帯を紹介してもらい、信仰継承と家族の役割、日常的な教団活動におけるジェンダーの規制に関して調査を行い、調査対象過程を東京・大阪の在日コリアン社会に拡大して成果を収めた。4)土屋は、日本のキリスト教宣教史のなかで宣教活動の問題を考察する作業を行った。5)韓国におけるキリスト教宣教史については、基本的な韓国語文献を日本語に抄訳する作業を韓国人留学生に依頼するなどして、前年度に引き続き、基本文献の読解に務めた。日本・韓国の宗教研究者による宗教文化研究の協働作業は、2009年に研究代表者の北海道大学における研究集会へと引き継がれた。
著者
飯田 剛史 玄 善允 山口 健一 金 希姃 宮本 要太郎 小川 伸彦 片岡 千代子 石川 久仁子 李 定垠 北村 広美 田島 忠篤 金 賢仙 渡辺 毅 池田 宣弘 藤井 幸之助 稲津 秀樹
出版者
大谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

研究成果報告書『民族まつりの創造と展開』(上巻・論考編 287頁:14名の寄稿者による13編の論文と7本のコラム、 下巻・資料編 350頁:9編の資料)を作成した。学会報告を行った(研究連携者 田島忠篤「戦後北海道における民族マツリの展開」、韓国日本近代学会)。民族まつり実施団体および研究者のインフォーマルネットワークを形成し、今後の民族まつりの実施および研究上の連携にそなえた。