著者
田柳 恵美子
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.459-473, 2010 (Released:2011-03-08)
参考文献数
39
被引用文献数
4

This paper discusses musical activities as constructive process of cognition and presents a new approach to grasp whole phenomena crossing individual-organizational-social level of it. Musical performances can be understood as constructive process of cognition. In the creative process of music, musicians generate deviations which raise information quantity of musical communication to maximum level. Such deviations give non-referential musical meaning to musicians and audiences. During musical performance, especially in jazz improvisation, a generated deviation continually repeats cognitive negotiation with dominant schema, and renews the schema if the deviation can be recognized as a newly expanded variation. Modern jazz musicians construct their improvisations depending on the jazz musical theory of scale and chord progressions in analytical technique, on the other hand they construct deviations without any theoretical method and analytical technique. Such deviations are the essence of musical creation process, which can be generated only with constructive technique. Turning attention to upper structure, organizational and social level of musical activities also can be understood as constructive process of cognition. Leaders ingeniously coordinate heterogeneous talented members, strongly present future visions and concepts as well. Innovators strategically conduct cognitive negotiations between radicalism and contemporaneous to succeed in innovating style and mode of music and diffusing them all over the society. Therefore musical activities, not only individual or collective level but also organizational and social level, can be seen as constructive design process in which different levels are deeply intertwined.
著者
石川 一稀 中村 祥吾 宇田 朗子 斉藤 勇璃 根本 さくら 長野 恭介 山内 拓真 白石 智誠 太田 和宏 稲垣 武 村井 源 平田 圭二 迎山 和司 田柳 恵美子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.256-262, 2020-05-23 (Released:2020-06-26)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

本研究はコンピュータゲームの中でRole Playing Gameと呼ばれるジャンル(以降、RPG)の物語構造を分析した.対象としては「ドラゴンクエスト」シリーズ,「ファイナルファンタジー」シリーズの二作品を選出した.頻出が想定される物語の要素に基づいてタグを作成し,対象作品を分析した.その結果,基本的なRPGのシナリオはクエストと呼ばれる物語の単位の連続・入れ子構造で成り立っており,そのクエスト自体は「発生」「経過」「結末」の三つの要素で書き表せることが明らかになった.
著者
根本 さくら 石川 一稀 宇田 朗子 白石 智誠 中村 祥吾 長野 恭介 山内 拓真 村井 源 平田 圭二 迎山 和司 田柳 恵美子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.263-269, 2020-05-23 (Released:2020-06-26)
参考文献数
13

物語のシーンにおける登場人物の感情状態と,BGM の関係性は未だ明らかではない.しかし,この関係性が明らかになれば,物語のシーンに適したBGM の自動選択システムやBGM の自動生成システムの構築に活用できると考えられる.そこで本研究では,AI による自動生成が特に進んでいるゲームを題材とし,その中でも物語性が強くかつ人気を博しているという理由からRPG を対象とし,BGM 自動選曲システムの構築を目標としたデータ作成を行った.具体的には,あるシーンの登場人物の感情状態への評価付けと, BGM に対する音響特徴量の抽出行うことで477 シーンをデータ化し対応関係を分析した.
著者
斉藤 勇璃 白石 智誠 太田 和宏 根本 さくら 石川 一稀 宇田 朗子 小川 卓也 友広 純々野 中村 祥吾 山内 拓真 西川 和真 宍戸 建元 長野 恭介 蓬畑 旺周 稲垣 武 村井 源 迎山 和司 田柳 恵美子 平田 圭二 角 薫 松原 仁
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4C2GS1303, 2020 (Released:2020-06-19)

シナリオライターの負担軽減と物語多様性の担保という観点から,ゲーム自動生成システムの開発の必要性が指摘されてきている.これまでに固有名の組みあわせによるシナリオ自動生成やダンジョン自動生成など,いくつかの挑戦は行われてきたが,ゲーム全体において一貫した世界観やストーリー展開を実現するのは困難だった.そこで本研究ではロールプレイングゲームを対象として,シナリオ自動生成,ダンジョン自動生成,BGM自動選択を統合したシステムの開発を行った.シナリオ自動生成においては,既存のゲーム作品のシナリオ分析結果に基づき,クエスト単位でのシナリオ自動生成を行った.次に生成された複数のクエストを統合してストーリーの破綻がない複合的なシナリオの自動生成を実現した.また,ダンジョンは自動生成を実現し,マップやキャラクターは生成されたシナリオに沿ったものを作成した.さらに,シナリオの各場面の機能や登場人物の感情状態に合わせたBGMの自動選択を実現した.これらのゲームの各種要素を自動的に生成して統合することで,ロールプレイングゲーム自動生成システムの構築を行った.
著者
中島 秀之 野田 五十樹 松原 仁 平田 圭二 田柳 恵美子 白石 陽 佐野 渉二 小柴 等 金森 亮
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_875-I_888, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
22
被引用文献数
4 5

バスとタクシーの区別を無くした,主として都市部を対象とした新しい公共交通システム(Smart Access Vehicle System)の概念を示す.これは,コンピューターにより全ての車輛の位置と経路を管理し,固定路線やダイヤを持たず,乗合いで,デマンドに即時対応するシステムである.これを交通サービスのクラウド化と呼ぶ.タクシーの利便性とバスの経済性を併せ持つことが可能である上に,渋滞,事故,天候変化,災害などに柔軟に対応できる.筆者らは函館市内において小規模な実験を行い,数日間の完全自動配車に成功している.
著者
田柳 恵美子 中島 秀之 松原 仁
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第27回 (2013)
巻号頁・発行日
pp.2J4OS13a1, 2013 (Released:2018-07-30)

今後の都市の在り方を見直したときに、交通網の再編成は重要課題である.現在,日本を含む世界各地でデマンド交通の試みが始まっている.しかし,これらはすべて低人口密度地域を想定した試みである.我々はコンピュータ集中制御による高人口密度都市部を想定した大規模公共交通システム(スマートアクセスビークルシステム)をデザイン中である.この仕組みと実装計画について述べる.
著者
山内 拓真 根本 さくら 長野 恭介 中村 祥吾 斉藤 勇璃 宇田 朗子 村井 源 迎山 和司 田柳 恵美子 平田 圭二
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020)
巻号頁・発行日
pp.4C2GS1304, 2020 (Released:2020-06-19)

本論文では,与えられたゲームシーンに対し自動的にBGMを選曲するシステムについて述べる.本システムは,RPG自動生成システムの一部として機能することが想定されており,自動生成されたゲームシナリオが入力されると,各ゲームシーンの感情状態に合致したBGMをデータベースから選択する.まず,既存RPGにおける各シーンにユーザが感情状態をタグ付けして訓練データを作成する.各シーンに付与されているBGMの音響特徴量を算出し,ニューラルネットワークを用いて,その音響特徴量と各シーンの感情状態の対応関係を学習する.シーンの感情状態を表す指標にはHevnerが定義した音楽心理カテゴリを用いた.予めBGM候補となる楽曲群データベースを用意し,それらの音響特徴量を算出しておく.ゲームシナリオで指定されたシーンの感情状態がニューラルネットワークに入力されると,対応する音響特徴量が得られ,音響特徴量の類似した楽曲がBGM候補群の中から選択される.現在,RPG自動生成システムに組み込んで全体動作を確認しており,被験者実験の準備を進めている.
著者
田柳 恵美子
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.459-473, 2010
被引用文献数
2

This paper discusses musical activities as constructive process of cognition and presents a new approach to grasp whole phenomena crossing individual-organizational-social level of it. Musical performances can be understood as constructive process of cognition. In the creative process of music, musicians generate deviations which raise information quantity of musical communication to maximum level. Such deviations give non-referential musical meaning to musicians and audiences. During musical performance, especially in jazz improvisation, a generated deviation continually repeats cognitive negotiation with dominant schema, and renews the schema if the deviation can be recognized as a newly expanded variation. Modern jazz musicians construct their improvisations depending on the jazz musical theory of scale and chord progressions in analytical technique, on the other hand they construct deviations without any theoretical method and analytical technique. Such deviations are the essence of musical creation process, which can be generated only with constructive technique. Turning attention to upper structure, organizational and social level of musical activities also can be understood as constructive process of cognition. Leaders ingeniously coordinate heterogeneous talented members, strongly present future visions and concepts as well. Innovators strategically conduct cognitive negotiations between radicalism and contemporaneous to succeed in innovating style and mode of music and diffusing them all over the society. Therefore musical activities, not only individual or collective level but also organizational and social level, can be seen as constructive design process in which different levels are deeply intertwined.