著者
小澤 実奈 村田 伸 窓場 勝之 小西 佑磨 阪本 昌志 高橋 萌 吉田 安香音 安彦 鉄平 白岩 加代子 阿波 邦彦 堀江 淳 甲斐 義浩
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.179-183, 2016-01-31 (Released:2016-03-17)
参考文献数
18
被引用文献数
4 7

要旨:本研究の目的は,最適歩行と最速歩行の歩行パラメーターと下肢筋活動を比較し,それぞれの特徴を明らかにすることである。方法は,健常成人女性15名を対象に,歩行中の大腿直筋,大腿二頭筋長頭,前脛骨筋,腓腹筋内側頭の筋活動量を,表面筋電計を用いて測定した。なお,歩行パラメーターは歩行分析装置を用いて評価した。その結果,歩行パラメーター,筋活動においてすべて有意差を示した。さらに,最適歩行に比べ最速歩行の歩行率は歩幅よりも有意に増加し,立脚時間・両脚支持時間は有意に減少した。下肢の筋活動においては,最速歩行ですべての筋活動が2倍前後増加し,遊脚期の大腿直筋のみ約3倍増加した。以上のことから,歩行速度の増大には,歩行率の増加,立脚期の短縮が大きく関与し,また筋活動では前方への推進力としての役割が強い大腿直筋が大きく影響していることが示唆された。
著者
中島 彩 村田 伸 飯田 康平 井内 敏揮 鈴木 景太 中嶋 大喜 中村 葵 白岩 加代子 安彦 鉄平 阿波 邦彦 窓場 勝之 堀江 淳
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.133-137, 2016-09-30 (Released:2016-10-22)
参考文献数
18
被引用文献数
1

本研究は健常成人女性14名を対象に,ヒールの高さの違いが歩行パラメータと下肢筋活動に及ぼす影響について検討した。ヒールなしおよびヒール高3cm と7cm 靴を着用した歩行中の歩行パラメータと下肢筋活動を計測した結果,歩行速度および歩幅とストライド長はヒールなし歩行に比べて,ヒール高7cm 歩行で有意に低下した。ヒールなし歩行とヒール高3cm 歩行のそれらの歩行パラメータには,有意差は認められなかった。両脚支持時間は,ヒールなし歩行に比べてヒール高3cm と7cm 歩行で有意に短縮したが,遊脚時間は後者が有意に増大した。下肢筋活動においては,測定した4筋すべてにおいて有意差が認められなかった。以上のことから,ヒール高3cm 以上で歩行中の立脚時間や遊脚時間に影響を与えるが,ヒール高3cm までであれば,歩行速度および歩幅やストライド長には影響が少ないことが示唆された。
著者
白岩 加代子 村田 伸 安彦 鉄平 堀江 淳
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.121-126, 2017-10-06 (Released:2017-10-05)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

本研究は,地域在住の女性高齢者を対象に運動頻度と実施時間について検証した。日常生活における運動頻度と実施時間を基に,「運動なし」,「毎日30分未満」,「ときどき30分以上」,「毎日30分以上」の群に分け,身体機能と身体組成に差異がみられるか比較した。その結果,身体機能に関しては,毎日30分以上の運動を行っている高齢者では,他の群より,下肢筋力,バランス能力の評価が有意に良好な値を示した。また,毎日運動は実施していても実施時間が30分未満の場合には,日頃運動を行っていない高齢者と身体機能に有意差は認められなかった。運動を行っていない高齢者では,体脂肪率とBody Mass Index が運動を行っている高齢者よりも有意に高値を示した。これらのことから,高齢者の身体機能の維持・向上のためには,毎日30分以上の運動を取り入れた生活を送ることが望ましいと考える。
著者
中村 葵 村田 伸 飯田 康平 井内 敏揮 鈴木 景太 中島 彩 中嶋 大喜 白岩 加代子 安彦 鉄平 阿波 邦彦 窓場 勝之 堀江 淳
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.35-39, 2016-04-30 (Released:2016-07-29)
参考文献数
20
被引用文献数
1 3

本研究の目的は,歩行中のスマートフォンの操作が歩行に及ぼす影響を明らかにすることである。対象は,健常成人28名(男性16名,女性12名)とした。方法は,通常歩行と歩きスマホの2条件下にて,屋内で約20m の歩行路を歩いてもらい,そのうちの2.4mを測定区間とした。なお,測定機器には,歩行分析装置ウォークWay を用い,歩行パラメータ(歩行速度,歩幅,重複歩長,立脚時間,両脚支持時間,歩隔,足角)を比較した。その結果,歩きスマホは通常歩行に比べて,歩行速度,歩幅,重複歩長が有意に減少,立脚時間と両脚支持時間は有意に増加,歩隔は増加傾向を示した。以上のことから,歩きスマホでは,歩幅や重複歩長が短縮し,立脚時間や両脚支持時間は延長することで,歩行速度が低下することが明らかとなった。
著者
古居 俊一 白岩 加代子 川勝 修就 長谷 いずみ 金井 秀作 田中 聡 大塚 彰
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H4P3264, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】踏み台昇降運動は、臨床場面において、糖尿病や呼吸器・循環器不全の患者の運動療法の1つとして用いられている。また、臨床場面以外でも高齢者に対して転倒予防や健康増進を目的として用いられている。しかし、踏み台昇降に関しての、台の高さや昇降速度の設定については、疾患や対象者によって異なり、それぞれに対応して運動強度を決定している。わが国における運動強度は、一般にAmerican College of Sports Medicine(ACSM)の基準を参照していることが多い。しかしながら、ACSMで示されている運動強度は昇降用計算式によって求められた概算値である。本研究では、踏み台昇降運動について、日本人健常者を対象に実測値による運動強度とACSMで示されている運動強度が一致するか検討した。【方法】対象は心肺機能及び身体機能に特に問題の無い大学生14名(男性10名:平均年齢21.4±0.5歳、平均身長169.0±2.5cm、平均体重68.6±4.9kg、女性4名:平均年齢21.0±0.8歳、平均身長158.1±2.8cm、平均体重48.5±.1.7kg)である。運動課題は、15cm、25cmの各高さの踏み台を120歩/分の速さで昇降運動を行った。踏み台昇降運動を行う際には、呼吸代謝測定装置VO2000(S&ME社製)を用いて酸素摂取量の測定を行った。踏み台昇降運動は9分間行い、測定開始後2分と測定終了前2分間を除いた5分間を踏み台昇降運動の代謝量として解析に用いた。また、安静時酸素摂取量については、運動負荷を与えず、椅子座位姿勢にて3分間測定した。測定開始後30秒と測定終了前30秒を除いた2分間を安静時代謝量として解析に用いた。解析方法は、VO2000より得られた記録を呼吸代謝解析ソフトM-graphを用いて解析した。各高さにおける運動強度について、安静時酸素摂取量を基に算出した実測値運動強度と1MET=3.5ml/kg/minを基に推測値運動強度を算出した。ACSMが提示する昇降用計算式から求められた運動強度と比較するとともに、実測値運動強度と推測値運動強度においては、対応のあるt検定を用いて統計学的処理を行った。測定値は平均値±標準偏差で示し、危険率5%未満を有意とした。【説明と同意】予め、被験者には本研究の目的および内容について説明を行い、文書にて同意が得られた者を対象とした。【結果】安静時酸素摂取量は、4.1±0.8ml/kg/minであった。踏み台昇降運動の運動強度は、高さ15cmでは、ACSMが提示する運動強度は5.8METsであるのに対し、実測値運動強度は4.7±1.1METs、推測値運動強度は5.3±0.5METsであった。高さ25cmでは、ACSMが提示する運動強度は7.9METsであるのに対し、実測値運動強度は6.4±1.4METs、推測値運動強度は7.1±0.5METsであった。実測値運動強度と推測値運動強度には統計学的な有意差は認められなかったものの、実測値運動強度は推測値運動強度やACSMの概算値よりも低い傾向を示した。【考察】日本人健常者において、実測値運動強度は、推測値運動強度とACSMで示す運動強度より強度が低い結果となった。この結果から、ACSMを指標として運動処方を行った場合、あるいは1MET =3.5 ml/kg/minで運動強度を求めた場合は、実際には目標とする運動強度に達していない可能性が示唆される。高齢者を対象としたエネルギー消費量の計測を行った研究では、1MET=3.5ml/kg/minで計算した強度と実測による強度で比較した場合、実測による強度の方が低い結果を示し、高齢者の運動処方には十分注意が必要であると述べられている。また、女性を対象とし、肥満者と非肥満者の歩行時のエネルギー消費を比較した研究では、肥満者のほうが歩行速度に関わらず、非肥満者よりも有意にエネルギー消費が大きいとの報告もみられる。酸素摂取量に関しては、体格や心理的状態なども影響することから、1MET=3.5ml/kg/minやACSMで示す概算値を日本人健常者にそのまま適応するのは適切ではないと考えられた。したがって、日本人を対象とした運動強度の概算値を作成する必要があると思われる。【理学療法学研究としての意義】ACSMで提示している運動強度と実測値から求めた運動強度に違いが認められたことは、今後運動処方する際の注意事項として有意義な基礎情報になると考えられる。
著者
甲斐 太陽 永井 宏達 阪本 昌志 山本 愛 山本 ちさと 白岩 加代子 宮﨑 純弥
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0792, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】運動場面におけるアイシングを用いた寒冷療法は,これまで広く行われており,運動後の疼痛の制御や,疲労の軽減,その他急性外傷による炎症や腫脹の軽減などが目的となっている。運動後のアイシングについては,オーバーユーズによる急性炎症反応の抑制や,組織治癒の際に伴う熱,発赤などを減少させる効果が確認されている。具体例としては,投球後の投手が肩をアイシングすることがあげられる。一方で,筋力トレーニング実施後に生じる副次的作用として遅発性筋痛があるが,トレーニングした筋そのものに対してのアイシングは,その効果に関する報告が少なく,また統一した見解が得ているわけではない。アイシングによる遅発性筋痛への影響を明らかにすることは,運動療法を効率よく行う上でも重要な知見となる。本研究では,アイシングによる寒冷療法は,遅発性筋痛の軽減に関与するのかを検証することを目的とした。【方法】対象は健常若年者29名(男14名,女15名18.6±0.9歳)とした。層化ブロックランダム割り付けにより,対象者を介入群14名,対照群15名に分類した。研究デザインは無作為化比較対照試験とし,両群に対して遅発性筋痛が生じうる負荷を加えた後に,介入群にのみアイシングを施行した。対象者の非利き手側の上腕二頭筋に遅発性筋痛を生じさせるため,ダンベル(男性5kg,女性3kg)を用いた肘関節屈曲運動を動作が継続できなくなるまで実施した。運動速度は屈伸運動が4秒に1回のペースになるように行い,メトロノームを用いて統制した。運動中止の判断は,肘関節屈曲角度が90°未満なる施行が2回連続で生じた時点とした。3分間の休憩の後,再度同様の運動を実施し,この過程を3セット繰りかえした。その後,介入群には軽度肘関節屈曲位で上腕二頭筋に氷嚢を用いてアイシングを20分間実施した。対照群には,介入群と同様の姿勢で20分間安静をとるよう指示した。評価項目はMMT(Manual Muscle Test)3レベル運動時のVAS(Visual Analog Scale),および上腕二頭筋の圧痛を評価した。圧痛の評価には徒手筋力計(μ-tas)を使用した。圧痛の測定部位は肩峰と肘窩を結んだ線の遠位3分の1を基準とし,徒手筋力計を介して上腕二頭筋に検者が圧追を加え,対象者が痛みを感じた時の数値を測定,記録した。VASは介入群,対照群ともに課題前,課題直後,アイシング直後,その後一週間毎日各個人で評価した。圧痛は課題前,課題直後,アイシング直後,実験一日後,二日後,五日後,六日後,七日後に評価した。圧痛の評価は同一の検者が実施し,評価は同一時間帯に行った。実験期間中は介入群,対照群ともに筋力トレーニング等を行わず,通常通りの生活を送るよう指導した。統計解析には,VAS,圧痛に関して,群,時間を要因とした分割プロットデザイン分散解析を用いた。交互作用のみられた項目については事後検定を行った。なお,圧痛の評価は,級内相関係数(ICC)を算出し信頼性の評価を検討した。【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に沿って,対象者には研究の内容,身体に関わる影響を紙面上にて説明した上,書面にて同意を得た。【結果】今回の研究では,最終評価まで脱落者はおらず,全参加者が解析対象となった。圧痛検査のICC(1,1)は0.83であり,良好な信頼性を有していた。VASに関しては,介入群において,疼痛が有意に抑制されていた(交互作用:p<0.05)。VASにおける群間の差が最も大きかったのは,トレーニング三日後であり,介入群4.8±3.1cm,対照群6.8±1.7cmであった。圧痛に関しては,有意ではないものの中程度の効果量がみられた(交互作用:p<0.088,偏η2=0.07)。圧痛における群間の差が最も大きかったのはトレーニング二日後であり,介入群76±55N,対照群39±28Nであった。【考察】本研究の結果,筋力トレーニング後にアイシングを用いることによって,その後の遅発性筋痛の抑制に影響を与えることが明らかになった。遅発性筋痛が生じる原因としては,筋原線維の配列の乱れや筋疲労によって毛細血管拡張が生じることによる細胞間隙の浮腫および炎症反応などが述べられている。一方,アイシングの効果としては血管が収縮され血流量が減少し,炎症反応を抑えることができるとされている。今回の遅発性筋痛の抑制には,アイシングにより血流量が減少され,浮腫が軽減されたことが関与している可能性が考えられた。【理学療法学研究としての意義】運動療法後のアイシングにより遅発性筋痛を抑制することができれば,その後のパフォーマンス低下の予防や,よりスムーズなリハビリテーション介入につながる可能性がある。今後,これらの関係性を明らかにしていくことで,理学療法研究としての意義がさらに高くなると考える。
著者
葛迫 剛 村田 伸 合田 明生 中野 英樹 白岩 加代子 堀江 淳 野中 紘士
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.122-128, 2023-08-20 (Released:2023-08-20)
参考文献数
30

【目的】本研究は,1年後に骨量が低下した高齢女性における身体機能および生活機能の影響要因を明らかにすることを目的とした。【方法】骨量低下はTスコアが−2.5以下とし,ベースライン時点で骨量が低下していない高齢女性85名を対象とした。1年後に骨量が低下した者を骨量低下群,骨量を維持していた者を対照群として群分けし,ベースライン時点の基本属性,身体機能,基本チェックリストを比較した。【結果】骨量低下の影響要因として,Body Mass Index(以下,BMI)(オッズ比0.761, 95%信頼区間0.612–0.945),基本チェックリストの「運動器の機能」(オッズ比1.995, 95%信頼区間1.020–3.901)が抽出された。【結論】1年後に骨量が低下する高齢者は,ベースライン時点でBMIが低いこと,「運動器の機能」が低下していることに影響を受けることが示唆された。
著者
葛迫 剛 村田 伸 合田 明生 中野 英樹 白岩 加代子 堀江 淳 野中 紘士
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12382, (Released:2023-06-30)
参考文献数
30

【目的】本研究は,1年後に骨量が低下した高齢女性における身体機能および生活機能の影響要因を明らかにすることを目的とした。【方法】骨量低下はTスコアが−2.5以下とし,ベースライン時点で骨量が低下していない高齢女性85名を対象とした。1年後に骨量が低下した者を骨量低下群,骨量を維持していた者を対照群として群分けし,ベースライン時点の基本属性,身体機能,基本チェックリストを比較した。【結果】骨量低下の影響要因として,Body Mass Index(以下,BMI)(オッズ比0.761, 95%信頼区間0.612–0.945),基本チェックリストの「運動器の機能」(オッズ比1.995, 95%信頼区間1.020–3.901)が抽出された。【結論】1年後に骨量が低下する高齢者は,ベースライン時点でBMIが低いこと,「運動器の機能」が低下していることに影響を受けることが示唆された。
著者
白岩 加代子 村田 伸 堀江 淳 大田尾 浩 村田 潤 宮崎 純弥
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.103-107, 2013-10-01 (Released:2014-03-18)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2

睡眠は,脳や身体機能を健常に保つために必要不可欠であり,生活の質(QOL)を向上させるための基本的役割を担っている。本研究では,地域在住高齢者256名の睡眠状況(睡眠時間と主観的睡眠感)を調査し,QOL に及ぼす影響について検討した。その結果,睡眠時間良好群(7~8時間)142名と睡眠時間不良群(7時間未満や8時間以上)114名の主観的健康感,生活満足度,生きがい感,人間関係に対する満足度,活動能力には有意差は認められなかった。一方,主観的睡眠感良好群161名と主観的睡眠感不良群95名のQOL を比較すると,活動能力には有意差は認められなかったが,それ以外の4項目には有意差が認められ,主観的睡眠感良好群の方が良好な値を示した。これらの知見から,高齢者の睡眠状況は睡眠時間という量的な因子よりも質的な因子である主観的睡眠感の方がQOL への関与は大きい可能性が示唆された。
著者
桐野 耕太 安彦 鉄平 川添 里菜 小澤 美奈 和田 真紀 白岩加代子 堀江 淳 阿波 邦彦 窓場 勝之 村田 伸
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.65-69, 2015-07-31 (Released:2015-09-01)
参考文献数
14

本研究の目的は,登山前後における大腿四頭筋の筋疲労について,筋力および筋活動量を用いて検討することである。対象は健常成人15名であった。測定は,登山前と登山後に最大努力下(100%MVC)での等尺性膝関節伸展時の筋力および筋活動量を計測した。さらに,4種類の負荷量(10%,30%,50%,70%MVC)別の筋活動量を測定した。測定値は,ハンドヘルドダイナモメーターを用いた筋力値と,筋電図を用いた大腿直筋,内側広筋および外側広筋の筋活動量とした。その結果,登山後に大腿四頭筋,特に内側広筋と外側広筋に筋疲労が生じる可能性が示された。この要因は,単関節筋である内側広筋と外側広筋が登山において繰り返し使用されたためと考えられた。
著者
林 勇樹 窓場 勝之 村田 伸 安彦 鉄平 井上 遼一 岡本 雄輝 澤田 貴大 村山 寛和 白岩 加代子 阿波 邦彦 堀江 淳
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.13-17, 2017

<p>登山前のスクワット運動が,登山後の大腿四頭筋の筋疲労耐性に与える効果を検討した。対象は健常成人20名とした。登山2週間前に,登山と類似したスクワット運動を行う介入群(10名)と介入を行わないコントロール群(10名)に分類した。大腿四頭筋の筋活動をより強調させるため片脚にて実施した。登山前後に最大随意収縮の50%に相当する大腿四頭筋筋力を91秒間持続させたときの中間周波数を用いて筋疲労を評価した。測定筋は内側広筋,外側広筋,大腿直筋の3筋とし,コントロール群と介入群を比較した。その結果,コントロール群では,登山後に測定したすべての筋が登山前と比べ中間周波数の低下が早期に起こり,筋疲労が確認された。介入群は,単関節筋である内側広筋,外側広筋の中間周波数の低下は早期に起こらず,筋疲労は軽減された。これらのことから,登山前にスクワット運動を行うことで,筋疲労が軽減する可能性が示された。</p>
著者
中島 彩 阿波 邦彦 窓場 勝之 堀江 淳 村田 伸 飯田 康平 井内 敏揮 鈴木 景太 中嶋 大喜 中村 葵 白岩 加代子 安彦 鉄平
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.133-137, 2016

<p>本研究は健常成人女性14名を対象に,ヒールの高さの違いが歩行パラメータと下肢筋活動に及ぼす影響について検討した。ヒールなしおよびヒール高3cm と7cm 靴を着用した歩行中の歩行パラメータと下肢筋活動を計測した結果,歩行速度および歩幅とストライド長はヒールなし歩行に比べて,ヒール高7cm 歩行で有意に低下した。ヒールなし歩行とヒール高3cm 歩行のそれらの歩行パラメータには,有意差は認められなかった。両脚支持時間は,ヒールなし歩行に比べてヒール高3cm と7cm 歩行で有意に短縮したが,遊脚時間は後者が有意に増大した。下肢筋活動においては,測定した4筋すべてにおいて有意差が認められなかった。以上のことから,ヒール高3cm 以上で歩行中の立脚時間や遊脚時間に影響を与えるが,ヒール高3cm までであれば,歩行速度および歩幅やストライド長には影響が少ないことが示唆された。</p>
著者
弓岡 まみ 村田 伸 岩瀬 弘明 内藤 紘一 安彦 鉄平 白岩 加代子 野中 紘士 堀江 淳
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.165-169, 2018-01-31 (Released:2018-02-23)
参考文献数
20
被引用文献数
1

〔目的〕本研究の目的は,女性高齢者の外反母趾に影響を及ぼす因子について,足部の形態に着目して検討することである。[対象と方法]高齢者健康サークルに所属し,体力測定会に参加した地域在住女性高齢者176名(平均年齢73.8±5.7歳)を対象とした。測定は,外反母趾に影響を及ぼす因子を抽出するため,対象者の年齢,身長,体重,Body Mass Index,および足部・足趾の形態(足長,足幅,母趾角,小趾角,開帳角,足底・足趾の接地状態)について足底圧分布測定器を用いて測定した。さらに,外反母趾と浮き趾の有無を判定した。〔結果〕ステップワイズ重回帰分析の結果,外反母趾に影響を及ぼす因子として抽出されたのは足幅のみであった。〔結語〕足部・足趾の健康を考える場合,足長のみならず足幅も考慮した靴のサイズ選びが重要であることが示唆された。
著者
小西 佑磨 村田 伸 窓場 勝之 阪本 昌志 杉森 信吾 山川 瑠奈 白岩 加代子 安彦 鉄平 阿波 邦彦 堀江 淳
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.19-24, 2015-04-30 (Released:2015-06-18)
参考文献数
16

本研究の目的は,安静時の血圧や脈拍を測定する際の適切な安静時間を明らかにすることである。対象は,K大学理学療法学科に所属する健常者27名であり,30秒椅子立ち上がりテスト後の脈拍や血圧の変化を終了直後から30秒ごとに5分間計測した。その結果,脈拍は2分後まで有意な低下を示し,それ以降は有意差を認めなかった。拡張期血圧は,5分間にわたり有意な変動は認められなかった。収縮期血圧は,運動負荷後一旦上昇し下降するパターン(以下,下降パターン:17名)と,運動負荷後一旦下降し上昇するパターン(以下,上昇パターン:10名)に分類された。下降パターンは,直後から2分後までに有意に低下し,それ以降有意差はなくなった。上昇パターンは,直後から30秒後まで有意に上昇し,その後4分30秒後までは有意な変動は認められなかった。5分後有意に低下し,運動負荷直後の数値に近づいた。以上のことから,血圧や脈拍の測定において,開始前の安静時間を設定する際は個々の変動パターンに合わせて安静時間を設定する必要性が示唆された。
著者
白岩 加代子 田中 聡
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.201-205, 2015-01-30 (Released:2015-03-04)
参考文献数
9

我々は,中高年女性38名の日常生活活動量についてライフコーダと運動日誌を用いて調査した。運動日誌には,「運動」と「生活活動」に分けて記録し,活動内容と活動時間を記録した。ライフコーダによって記録された身体活動量と運動日誌に記録した主観的活動量を比較した。その結果,身体活動量よりも主観的活動量の方が多い評価となり,主観的活動量の中では「運動」より「生活活動」が多かった(p<0.01)。さらにBMI で肥満と判断されたものは主観的活動量を多く評価することが明らかとなった(p<0.05)。運動日誌は達成感や満足感を感じさせ,記録が継続できるような工夫が必要と考えられた。