著者
古後 晴基 村田 潤 東 登志夫
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.189-193, 2015-01-30 (Released:2015-03-04)
参考文献数
17
被引用文献数
3 4

[目的]本研究は,身体柔軟性と関節弛緩性において性差および関係性について検証した。[対象と方法]大学2年生の健常人42名(男性28名,女性14名)を対象とした。身体柔軟性および関節弛緩性スコアを評価した。身体柔軟性の評価は,指足尖間距離,指床間距離,膝床間距離,および中指-中指間距離の測定とした。[結果]身体柔軟性および関節弛緩性スコアの測定値を性別間で比較したところ,関節弛緩性スコアにおいて性差を認めた。身体柔軟性の測定値と関節弛緩性スコアとの関連を分析したところ,関節弛緩性スコアと有意な相関を示した身体柔軟性の測定項目はなかった。身体柔軟性の各測定項目間において,指足尖間距離と指床間距離に極めて強い相関関係が示され,指床間距離と膝床間距離に弱い相関関係が示された。[結語]女性は男性に比べ関節弛緩性が高いことが示唆された。本研究における身体柔軟性評価の指標と関節弛緩性評価の指標は関連がないことが示唆された。
著者
藤枝 重治 坂下 雅文 徳永 貴広 岡野 光博 春名 威範 吉川 衛 鴻 信義 浅香 大也 春名 眞一 中山 次久 石戸谷 淳一 佐久間 康徳 平川 勝洋 竹野 幸夫 氷見 徹夫 関 伸彦 飯野 ゆき子 吉田 尚弘 小林 正佳 坂井田 寛 近藤 健二 山岨 達也 三輪 高喜 山田 奏子 河田 了 寺田 哲也 川内 秀之 森倉 一朗 池田 勝久 村田 潤子 池田 浩己 野口 恵美子 玉利 真由美 広田 朝光 意元 義政 高林 哲司 富田 かおり 二之宮 貴裕 森川 太洋 浦島 充佳
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.118, no.6, pp.728-735, 2015-06-20 (Released:2015-07-18)
参考文献数
21
被引用文献数
2 9

これまで本邦における慢性副鼻腔炎は好中球浸潤が主体で, 内視鏡鼻副鼻腔手術とマクロライド少量長期投与にてかなり治療成績が向上してきた. しかし2000年頃からそれらの治療に抵抗性を示し, 易再発性の難治性副鼻腔炎が増加してきた. この副鼻腔炎は, 成人発症で, 嗅覚障害を伴い, 両側に鼻茸があり, 篩骨洞優位の陰影があった. 末梢好酸球も多く, 気管支喘息やアスピリン不耐症の合併もあった. このような副鼻腔炎の粘膜には多数の好酸球浸潤が認められていたため, 好酸球性副鼻腔炎と命名された. 好酸球性副鼻腔炎は, 徐々に増加傾向を示してきたが, 好酸球性副鼻腔炎の概念, 診断基準はあまり明確に普及していかなかった. そこで全国規模の疫学調査と診断ガイドライン作成を目的に多施設共同大規模疫学研究 (Japanese Epidemiological Survey of Refractory Eosinophilic Chronic Rhinosinusitis Study: JESREC Study) を行った. その結果, 両側病変, 鼻茸あり, CT 所見, 血中好酸球比率からなる臨床スコアによる簡便な診断基準を作成した. さらに臨床スコア, アスピリン不耐症, NSAIDs アレルギー, 気管支喘息の合併症, CT 所見, 血中好酸球比率による重症度分類も決定した. 4つに分類した重症度分類は, 術後の鼻茸再発と有意に相関し, 最も易再発性かつ難治性の重症好酸球性副鼻腔炎はおよそ全国に2万人いることが判明した. 治療法については経口コルチコステロイド以外まだ確立されておらず, 早急なる対応が急務と考えている.
著者
仲村 匡平 村田 伸 村田 潤 古後 晴基 松尾 奈々
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.AbPI1121, 2011

【目的】一般にホットパック(Hot pack:HP)療法は湿熱法で利用するが,臨床の現場では衣類が湿ることやタオルの枚数が増え手間がかかることからビニール等でHPを包み乾熱法として使用することが多い.HP療法の作用には,温度上昇作用,血管拡張作用,筋緊張軽減作用,軟部組織の伸張性向上作用,鎮痛作用などがある.篠原らは,湿熱法でタオル10枚目の皮膚表面温度は乾熱法のタオル3枚目の皮膚表面温度にほぼ近似したと述べている.また,Lehmannらは,皮膚表面温度は8分後に42.5&deg;Cまで達するが,1cm以上の深部においては38&deg;C以上には達しないと報告している.先行研究では皮下血流を指標にした報告はあるが,筋血流量を指標とした報告は見当たらず、またこの皮下血流量に関する結果は,深部血流量に該当するとは限らない.そこで本研究では,HP表面温度と皮膚表面温をそれぞれ同じ値になるように調整し,湿熱法と乾熱法での下腿の筋血流量を比較検討した.<BR>【方法】健常成人5名(男性3名,女性2名)10脚.平均年齢は25.8±9.8歳,平均身長159.9±8.4cm,平均体重55.0±8.8kg.室温25&deg;C前後の室内にて実施した.測定姿位は治療用ベッドに腹臥位にて,下腿部後面とした.HPの実施時間は20分間とした.湿熱法はHPを直接タオルで巻き身体にあてる側を8枚,身体にあてない側は熱が放射しないようタオルを何層にも重ねた.乾熱法はHPをビニール袋で包んだ後,タオルで巻き身体にあてる側を3枚,湿熱法と同様に身体にあてない側は熱が放射しないようタオルを何層にも重ね実施した.対象者の左右の下腿部後面のうち一側を湿熱法,他側を乾熱法となるようそれぞれで設定したが,対象者にはHPの使用方法を伝えないよう留意した.なお,施行直前のHPの表面温度を赤外線温度計で測定し,HPの表面温度が40~45&deg;Cになったのを確認して実験を開始した.筋血流の測定はストレンゲージプレチスモグラフを使用してHP施行前後に実施した.大腿部に専用のカフを装着し,下腿周径の最も大きい部分にラバーストレンゲージを巻き付け,大腿部を50mmHgで10秒間駆血,5秒間解除を1分間測定した. 下腿の皮膚表面温はサーモグラフィーを使用してHP施行前後に行った.下腿部を専用カメラにて撮影した.HP施行前の値を基準として湿熱法施行後と乾熱施行後の下腿皮膚表面温,下腿の筋血流のそれぞれの変化率を算出し,HP施行前と湿熱法施行後・乾熱法施行後,湿熱法施行後と乾熱法施行後の変化率について比較した.統計処理は湿熱法と乾熱法における施行直前のHP表面温度の比較について,対応のないt検定を用いて比較した.下腿皮膚表面温の変化率および下腿の筋血流量の変化率について反復測定分散分析およびFisherのPLSDによる多重比較検定を実施した.解析には,SPSSを用い統計的有意水準を5%とした.<BR>【説明と同意】研究の趣旨と内容,得られたデータは研究目的以外には使用しないこと,および個人情報の取り扱いには十分に配慮することを説明し,参加は自由意志とした.<BR>【結果】湿熱法と乾熱法における施行直前のHP表面温度の平均値は,湿熱法HP表面温度が平均42.6±2.6&deg;C,乾熱法HP表面温度が平均42.8±2.6&deg;Cであり,2群間に有意差は認められなかった.下腿の皮膚表面温はHP施行前と比較し,湿熱法施行後および乾熱法施行後で有意な増加が認められた(P<0.01).一方,湿熱法施行後と乾熱法施行後の2群間に有意差は認められなかった.また,下腿の筋血流量はHP施行前と比較し,湿熱法施行後で有意な増加が認められた(F=4.8,P<0.05).<BR>【考察】温熱刺激によって身体は治療として意義のある生理的反応を起こし,その生理的反応の1つに血管拡張作用が挙げられる.温熱そのものの刺激は,軽い炎症と同様の変化をもたらす.温熱刺激によりヒスタミン様物質を放出する細胞を刺激することで血管拡張が起こる.また,温熱刺激により皮膚温度受容器を反応させ,求心性神経を介して軸索反射が起こることによって血管拡張がみられる.HP療法は皮膚と加熱媒体間の水分(湿気)の有無により湿性加温と乾性加温に分類されており,HPから出る水分は熱伝導性に関係する.篠原らは熱伝導性について空気および綿織物の熱伝導性はそれぞれ0.0092w/m&deg;C,0.0796 w/m&deg;Cに対して,蒸気0.251 w/m&deg;C,水0.595 w/m&deg;Cであり,湿熱法の熱伝導が乾熱法により遥かに良いと述べている.以上から,本研究では湿熱法を実施することで,より大きい熱伝導性により血管拡張に作用し,下腿の筋血流量の増加を生じさせたと推察された.<BR>【理学療法学研究としての意義】HPは下腿の筋血流量を増加させる手段として有効であり,特にその効果は湿熱法の方が乾熱法より高いことが示された.
著者
村田 潤 村田 伸 甲斐 義浩
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.195-198, 2007 (Released:2007-07-11)
参考文献数
10
被引用文献数
8 1

本研究は,簡易下肢機能評価法として紹介された下肢荷重力測定について,大腿部筋の筋電図および下肢荷重量をリアルタイムで測定し,それぞれの動的変動の関連性から,下肢荷重力に対する大腿筋の役割について検討した。対象は健常成人男性9名であり,下肢荷重力測定時の荷重量と大腿四頭筋および大腿二頭筋の筋電図を測定した。下肢荷重力測定時に大腿四頭筋および大腿二頭筋の筋放電量はともに増加するが,その増加量は大腿四頭筋でより大きく,荷重力発揮に対する大腿四頭筋活動の貢献が大きいことが示唆された。また,筋放電量と荷重量のピーク値までの到達時間は異なることら,下肢荷重力に対して下肢筋力以外の要因の関与が考えられた。
著者
溝田 勝彦 村田 伸 堀江 淳 村田 潤 大田尾 浩
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.E3O1193, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】わが国では世界に類を見ない速さで高齢化が進んでいるが,高齢者の自殺や閉じこもり,介護者による高齢者の虐待など,必ずしも長生きしている高齢者が幸福に暮らしているとはいえない状況にあり,高齢者のQOL(Quality of life)の向上は大きな課題といえる. これまで,主観的幸福感や日常生活満足度など,QOLの一領域に影響を与える要因分析の報告は多く,その要因の一つとして経済状態や経済状態への満足感が挙げられている.しかし,QOLを多面的に捉え,経済状態の主観的評価が,QOLの各領域にどの程度影響を与えるかについての報告はほとんど見あたらない.そこで今回,福岡県の地域在住高齢者を対象として,実際の収入の程度とは関わりなく,現在の自分の暮らし向きについてどのように感じているかという主観的経済状況感とQOLの各領域(活動能力,主観的健康感,生活満足度,生きがい感,人間関係の満足度)との関係について検討することを目的として調査を実施した.【方法】F町のミニデイサービス事業に登録している高齢者の内,331名(男性66名,女性265名)から調査協力が得られた.調査は2008年8月から9月にかけて実施した.しかし,男性の対象者数が女性の約4分の1と少なかったため,今回は女性高齢者265名(平均年齢は73.5±6.5歳)のみを対象とした.なお,重度の認知症を疑わせる者(Mini-Mental State Examination;MMSEで19点以下)はいなかった. 方法は,個人の基本的属性(氏名,年齢,性別,家族人数,教育年数)に関する情報の収集とMMSEを実施した後,主観的経済状況感として暮らし向きの主観的評価,健康関連QOLの評価として老研式活動能力指標,主観的QOLの評価として主観的健康感,生活満足度,生きがい感,人間関係に関する満足度を質問紙にて評価した.主観的経済状況感の評価は,「ゆとりがあり,まったく心配なく暮らしている」「ゆとりはないが,それほど心配なく暮らしている」「ゆとりがなく,多少心配である」「生活が苦しく,非常に心配である」の4件法で求めた.主観的QOLの評価にはVisual Analogue Scale用いた.統計処理は対応のないt-検定を用いて行った.なお,統計解析ソフトはStatView5.0を用い,有意水準を5%とした.【説明と同意】参加者に対し,研究の趣旨と内容について十分に説明をした後,書面で同意が得られた高齢者のみを対象者とした.また,調査の途中いつでも自由に拒否できることも伝えた.【結果】暮らし向きについては,「ゆとりがあり,まったく心配なく暮らしている」が57名,「ゆとりはないが,それほど心配なく暮らしている」が171名,「ゆとりがなく,多少心配である」が37名で,「生活が苦しく,非常に心配である」と回答した者はいなかった.そこで,「ゆとりがあり,まったく心配なく暮らしている」57名をゆとりあり群,「ゆとりがなく,多少心配である」37名をゆとりなし群として,2群を比較検討した.その結果,年齢,MMSE,健康関連QOLにおいては有意差は認められなかった.一方, 主観的QOLのすべての領域において有意差が認められ,ゆとりあり群がゆとりなし群よりも高い値を示した.また,家族人数はゆとりあり群が有意に多く,教育年数も有意に長かった.【考察】今回の結果から,経済状況の主観的評価が主観的QOLの各領域すべてに影響を与えることが示唆された.このことは,高齢者を取り巻く経済環境が厳しくなり,経済状況についての主観的評価が低下すれば,その結果として高齢者の主観的QOLの各領域(主観的健康感,生活満足度,生きがい感,人間関係の満足度)が低下する可能性があることを示している.2006年度の高齢者の経済生活に関する意識調査では,60歳以上の対象者において「現在の暮らしに経済的に心配がある」者は,5年前の調査より約1 割増加している.さらに今日の日本の経済状況を考えると,高齢者の経済状況についての主観的評価は更に低下することが予想され,高齢者の主観的QOLの低下が危惧される.最後に,今回の対象者は町からの呼びかけに対して自主的に参加した活動的な女性高齢者であることから,今回の結果が高齢者一般に適用できるか否かについては検討する必要がある.【理学療法学研究としての意義】リハビリテーションの究極の目的は,対象者やその関係者のQOLの向上であるといわれており,理学療法においても同様と考えられる.今回の結果は,客観的な経済状況(年収など)のみならず,主観的QOLに影響を与える一因子としての主観的経済状況感も把握しておくことが,理学療法を進めていく上で不可欠である事を示している.
著者
岩永 竜一郎 村田 潤
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorder ; PDD)児には感覚過敏が見られることが多い。とりわけ聴覚過敏は高頻度に見られ、それによって情動や行動の問題が生じやすい。そのため、それへの対応が急務であった。本研究の目的は、PDD児の聴覚過敏に対するノイズキャンセリング(NC)ヘッドフォンの行動の問題への使用効果について検証することであった。NCヘッドフォンは電気的に外来ノイズを打ち消す装置がついたヘッドフォンである。対象は研究への参加に同意が得られた4歳~16歳のPDD児17名(男児13名、女児4名)であった。まず、各対象の聴覚刺激に伴う問題行動に基づきゴール達成スケーリング(Goal Attainment Scaling ; GAS)スコアを設定した。そして、NCヘッドフォンを使用しないコントロール期間とNCヘッドフォン使用期間をそれぞれ2週間ずつ設けた。NCヘッドフォン使用期間は対象児が日常場面でいつでもNCヘッドフォンを装着することを許容した。それぞれの期間中に保護者にGASスコアをつけてもらった。そして、両期間でGASスコアについて比較した。その結果、聴覚刺激によって不快反応を起こすことが多かったPDD児は、NCヘッドフォン使用によってGASスコアが改善した(z=-2. 533, p=0. 011)。よって、NCヘッドフォンの使用は聴覚過敏のあるPDD児の刺激に伴う行動の改善に役立つことが明らかになった。聴覚過敏のあるPDD児のあるPDD児に対するノイズキャンセリングヘッドフォンの効果を示した研究はこれまでになかったが、本研究でその効果が実証されたため、これを多くの聴覚過敏があるPDD児に適用できると考える。
著者
村田 伸 江崎 千恵 宮崎 純弥 堀江 淳 村田 潤 大田尾 浩
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.939-942, 2010 (Released:2011-01-28)
参考文献数
21
被引用文献数
3 1

〔目的〕女性高齢者の周径および大腿四頭筋筋厚を測定し,大腿四頭筋筋力や歩行・バランス能力との関連について検討した。〔対象〕地域在住の女性高齢者56名(平均年齢は71.6±6.5歳)とした。〔方法〕膝蓋骨上方10 cm部,15 cm部,20 cm部の大腿周径と大腿四頭筋筋厚を測定し,大腿四頭筋筋力,歩行速度,Timed up & go test(TUG)との関係をピアソンの相関係数を求めて検討した。〔結果〕すべての大腿周径と大腿四頭筋筋厚の測定値は,大腿四頭筋筋力と有意な相関を認めたが,膝蓋骨上方15 cm部と20 cm部の筋厚との相関係数が高かった。また,15 cm部と20 cm部の筋厚のみ,歩行速度やTUGと有意な相関が認められた。〔結語〕膝蓋骨上方15 cm部と20 cm部の大腿四頭筋筋厚は,筋力のみならず歩行能力やバランス能力をも反映する有用な指標となり得ることが示唆された。
著者
古後 晴基 村田 潤
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.39-43, 2014 (Released:2014-03-26)
参考文献数
22
被引用文献数
2 1

〔目的〕利き脚や組み脚習慣が立位姿勢の骨盤前傾角に与える影響を検討することとした.〔対象〕下肢・下肢帯に既往のない男子大学生24名とした.〔方法〕質問票にて,①利き手,②利き脚,③組み脚を調査した.その後,立位姿勢での骨盤前傾角を角度計にて測定し,左右で比較した.利き脚群と軸脚群,および組み脚上群と下群に分類し,それぞれ比較した.〔結果〕右側骨盤は左側より有意に前傾していた.また,利き脚群は軸脚群より有意に前傾しており,組み脚上群は組み脚下群より有意に前傾していた.〔結語〕骨盤は立位姿勢において歪んでおり,利き脚や組み脚の影響があると考えられた.
著者
村田 伸 大田尾 浩 村田 潤 宮崎 正光 甲斐 義浩
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1O2020, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】高齢者や身体障害者の下肢・体幹機能を定量的に測定する方法は、等速性筋力測定機器やハンドヘルドダイナモメーターによる筋力測定、または立位における重心動揺の測定などが一般的である.しかしこれらの方法は、使用する測定機器が高価なものが多く、測定できる臨床現場は限られている.そこで演者らは、高齢者および脳卒中片麻痺患者の下肢・体幹機能を簡便かつ定量的に評価する方法として、市販体重計を用いた座位での下肢荷重力測定法を考案し、その測定値の有用性について検討したので紹介する.【方法】測定は座位姿勢で、足底に置いた体重計を垂直方向に最大努力下で左右別に3秒間押すのみである.測定は左右2回ずつ行い、左右の最大値を合計して下肢荷重力(kg)とし、体重比百分率(%)に換算して分析した.なお、下記に示す健常成人ならびに要介護高齢者には、研究の趣旨と内容および被験者にならなくとも不利益が生じないことを十分に説明し、同意を得て研究を開始した.【健常成人における検討】座位での下肢荷重力が、下肢や体幹の機能を反映しているのか否かを検討するため、健常成人31名(男性12名、女性19名、平均20.4±0.6歳)を対象に下肢荷重力、下肢筋力(大腿四頭筋筋力)、体幹機能(坐位保持能力)を測定し、それらの関連性を分析した.相関分析の結果、それぞれに有意な正相関(0.46~0.66)が認められ、下肢荷重力は下肢筋力および体幹機能と密接に関連していることが示唆された.【要介護高齢者における検討】座位での下肢荷重力測定法の再現性と妥当性を検討するため、介護老人保健施設に入所中の43名(84.8±6.5歳)の要介護高齢者を対象に、下肢荷重力、Barthel Index(BI)得点、歩行能力を測定し分析した.テスト-再テスト法による級内相関分析の結果、下肢荷重力はICC=0.823という良好な再現性が認められた.また、下肢荷重力とBI得点とは有意な正相関(0.75)が認められ、自力歩行が可能だった25名の下肢荷重力と歩行速度とも有意な正相関(0.53)が認められた.さらに判別分析の結果、歩行可能群(25名)と不可能群(18名)を最もよく判別する下肢荷重力体重比の判別点は42.9%であり、判別的中率は86.0%であった.なお、下肢荷重力体重比が50%以上であれば、対象とした全ての高齢者が歩行可能であった.【考察】これらのことから、本測定法は大まかな基準ではあるが、高齢者の簡易下肢・体幹機能評価法として有用であることが示唆された.とくに、坐位で測定が可能なため、立位や歩行が困難、あるいは治療上立位動作が許可されていない高齢者の予後予測に使用できる可能性が示唆された.なお学会当日は、脳卒中片麻痺患者を対象とした研究結果や本測定法の限界についても報告する予定である.
著者
古後 晴基 山滝 奈海 村田 潤
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.689-693, 2019 (Released:2019-10-28)
参考文献数
16

〔目的〕立位における片側股関節の自動屈曲過程の寛骨後傾角度を測定し,寛骨大腿リズムおよび寛骨後傾運動の左右差を検討した.〔対象と方法〕対象は健常女子大生30名(20.5 ± 0.6歳)とした.上前腸骨棘と上後腸骨棘を結ぶ線が水平線となす角度を寛骨後傾角度とし,被験者に基本的立位の姿勢から右股関節を自動屈曲させ,同側および対側の寛骨後傾角度を下げ振りの付いたゴニオメーターにて測定した.〔結果〕股関節を屈曲するに従って有意に寛骨が後傾した.また,すべての股関節屈曲角において有意な左右差は認められなかった.〔結語〕健常若年女性において,立位での片側股関節屈曲時の寛骨後傾運動の左右差はなく,支持脚側の寛骨後傾運動が主であることが明らかとなった.
著者
村田 潤 山形 茂生 古本 節子 村田 伸 大山 美智江 坂田 栄二 北谷 典丈 谷 都美子
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.59-63, 2013 (Released:2013-10-08)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

本研究は,美顔器使用による顔面の機能や形態的な変化について解明することを目 的として行った。対象は,発症後1年以上経過した慢性期脳卒中片麻痺患者6名であった。 運動機能評価として口を閉じる筋力とまばたき回数を計測し,感覚機能評価として触圧覚 閾値と二点識別覚を測定した。また,同時に顔面の形態的変化を画像解析により評価した。 美顔器を使用しない期間にみられる各測定項目の変化量をコントロールデータとし,その後の美顔器介入期間にみられる変化量と比較した。美顔器プログラムは1試行9分間,朝夕1日2回行わせた。その結果,コントロール期間の変化量と比較して,介入後の触圧覚閾値や2点識別覚の間隔距離の変化量が有意に減少した。しかし,運動機能に関しては有意な変化は認められなかった。一方で,形態的な顔面の左右差は介入期間後に減少した。 本研究結果は,美顔器の刺激が顔面の感覚機能や形態の変化に影響することを示唆した。
著者
竹井 和人 村田 伸 甲斐 義浩 藤野 英己 村田 潤
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.A3P3021, 2009

【目的】転倒は多くの危険因子により発生する.転倒予防において、支持面である床と唯一の接触部である足底、とくに足趾が重要な役割をはたすことは既に多くの報告がなされている.足趾は支持機構としての働きのほか、感覚の情報入力においても重要である.足趾機能の評価指標として足把持力は多くの研究で用いられている.また、足趾に対する訓練として足趾歩行、ビー玉移動などがあるが、床上に置いたタオルを足趾でたぐりよせるタオルギャザーは、臨床で多く用いられるトレーニング方法である.そこで、本研究では、タオルギャザーによる足把持力トレーニングの効果について検討した.<BR><BR>【方法】健常成人女性19名(平均年齢20.3±0.5歳、平均身長159.6±5.5cm、平均体重52.4±7.6kg)を対象とし、6週間の足把持力トレーニングを行った.トレーニングはタオルギャザーとし、タオルの上に0.5kgから2.0kgの重りを段階的に増加させながら実施した.運動頻度は週4日で、1日あたり10回×2セットとした.トレーニング前、トレーニング3週間後、6週間後に足把持力を測定し、各測定値は反復測定ANOVA検定、およびFisherの多重比較検定を行いトレーニング効果の判定を行った.<BR><BR>【結果】足把持力値はトレーニング開始前10.1±2.6kg、トレーニング開始3週間後12.8±2.6kg、6週間後では13.0±2.6kgであった.足把持力は3週間後では有意な増加がみられ、6週間後では3週間後と比較して有意な変化はみられなかった.<BR><BR>【考察】健常成人女性を対象に足把持力トレーニングとしてタオルギャザーを実施したところ、開始3週間後には有意な増加が認められたが、3週間から6週間の間では有意な増加は認められなかった.タオルギャザーを用いた足把持力のトレーニング効果について、開始後4週間で効果がみられたとする報告や、開始後10週間で訓練の効果がみられたとする報告などがある.しかし、トレーニング種目が複数であったり、トレーニング実施が被験者の自主性にゆだねられていたり、足把持力のトレーニング効果については必ずしも明確とはいえない.本研究では、トレーニングには験者が毎回立会い、確実に実施できているかを確認しながらおこなった.筋力増強訓練の効果について、筋力訓練を開始した直後の筋力増加は神経系の促通によるもので筋肥大は伴わないと考えられている.また、筋肥大を伴う筋力増加は最低6週間程度の運動の継続が必要であるといわれていることからも、今回、開始3週間で有意に増加した足把持力は神経系の影響によるものと考えられる.タオルギャザーによる足把持力トレーニングは比較的早期に訓練効果が得られることが示唆された.
著者
村田 伸 村田 潤 大田尾 浩 松永 秀俊 大山 美智江 豊田 謙二
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.509-515, 2009 (Released:2009-09-24)
参考文献数
42
被引用文献数
3 1

〔目的〕高齢者を対象にウォーキングによる運動介入を行い,その介入が身体・認知・心理機能に及ぼす効果について,無作為割付け比較試験によって検討した。〔対象〕地域在住高齢者69名(平均年齢72.0±4.4歳)である。〔方法〕ウォーキングによる運動介入の前後に,身体・認知・心理機能を評価し,比較検討した。〔結果〕週3日,1回につき30分のウォーキングを12週間継続できた介入群25名の測定値は,介入後6分間歩行距離が延長し,主観的健康感,生活満足度,生きがい感といった心理面の向上が認められた。一方,その他の指標とした上下肢筋力や立位バランスなどの身体機能,および認知機能には有意差は認められなかった。なお,統制群29名におけるすべての測定値に有意差は認められなかった。〔結語〕ウォーキングによる運動介入は,地域在住高齢者の介護予防や健康増進に有用である可能性が示唆された。ただし,身体機能や認知機能を向上させるためには,本研究における介入の期間や頻度,および運動強度などの検討がさらに必要であることが明らかとなった。
著者
白岩 加代子 村田 伸 堀江 淳 大田尾 浩 村田 潤 宮崎 純弥
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.103-107, 2013-10-01 (Released:2014-03-18)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2

睡眠は,脳や身体機能を健常に保つために必要不可欠であり,生活の質(QOL)を向上させるための基本的役割を担っている。本研究では,地域在住高齢者256名の睡眠状況(睡眠時間と主観的睡眠感)を調査し,QOL に及ぼす影響について検討した。その結果,睡眠時間良好群(7~8時間)142名と睡眠時間不良群(7時間未満や8時間以上)114名の主観的健康感,生活満足度,生きがい感,人間関係に対する満足度,活動能力には有意差は認められなかった。一方,主観的睡眠感良好群161名と主観的睡眠感不良群95名のQOL を比較すると,活動能力には有意差は認められなかったが,それ以外の4項目には有意差が認められ,主観的睡眠感良好群の方が良好な値を示した。これらの知見から,高齢者の睡眠状況は睡眠時間という量的な因子よりも質的な因子である主観的睡眠感の方がQOL への関与は大きい可能性が示唆された。
著者
相馬 正之 村田 伸 甲斐 義浩 中江 秀幸 佐藤 洋介 村田 潤
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.73-77, 2021-07-31 (Released:2021-08-11)
参考文献数
23

[目的]本研究では,体幹垂直位と体幹前傾位で測定した足趾把持力と下肢の筋活動量を比較し,体幹の肢位変化が足趾把持力に及ぼす影響を明らかにするため,測定値の再現性および最大筋力の発揮の観点から検討した。[対象・方法]健常成人男性18名を対象とした。足趾把持力の測定は,体幹垂直位と体幹前傾位の2条件で行った。測定項目は,足趾把持力および足趾把持力発揮時の大腿直筋と大腿二頭筋長頭,前脛骨筋,腓腹筋内側頭の筋活動量とした。[結果]分析の結果,級内相関係数(1,1)は,体幹垂直位がr =0.921,体幹前傾位がr=0.950であった。足趾把持力は2条件間には有意差を認めなかったものの,体幹垂直位における腓腹筋内側頭の%IEMG は体幹前傾位より有意に高値を示した。[結語]本研究結果から,体幹垂直位と体幹前傾位による体幹変化は,足趾把持力の再現性や最大筋力に影響を及ぼさないものの,腓腹筋内側頭の%IEMG に影響を及ぼすことが示された。
著者
竹井 和人 村田 伸 甲斐 義浩 村田 潤
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.79-81, 2011 (Released:2011-03-31)
参考文献数
17
被引用文献数
10 6

〔目的〕足把持力トレーニングの効果を足把持力の経時的な変化により検討した。〔対象〕健常成人女性19名とした。〔方法〕10分程度の足把持力トレーニング(タオルギャザー)を週4日,6週間継続して実施し,トレーニング前,3週間後,6週間後の足把持力を比較した。〔結果〕トレーニング前と比較して3週間後の足把持力は有意な増加を示した。一方,3週間後と6週間後との間に有意差は認められなかった。〔結語〕足把持力トレーニングによる筋力増強効果は,3週間で生じることが示された。また,足把持力に関与する筋群は,形態的な特徴から6週間のトレーニングでは筋肥大による筋力増強は得られない可能性が推察された。
著者
相馬 正之 村田 伸 甲斐 義浩 中江 秀幸 佐藤 洋介 村田 潤 宮崎 純弥
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0706, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】足趾把持力発揮に影響を及ぼす因子として,体重,足部柔軟性と足部アーチ高率の3つの因子を明らかになっている(村田ら 2003)。近年,新たに足趾把持力発揮に関連する諸因子が報告されていることから,再度,それらの因子を含めた上で,検証が必要と考えられる。本研究では,若年者の足趾把持力発揮に影響を及ぼす因子を明らかにするため,過去に足趾把持力に関連すると報告された項目を中心に測定し,各因子と足趾把持力との関連を検討した。【方法】対象は,健常成人女性12名(平均年齢21.2±0.4歳,身長159.6±3.7cm,体重51.5±4.8kg)とした。測定項目は,足趾把持力と足趾把持力発揮時の足関節角度,大腿直筋と大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋内側頭の筋活動量,足部柔軟性,足部アーチ高率,体重とした。統計処理は,足趾把持力と他の測定値との関係について,ピアソンの相関係数を用いて検討した。さらに,足趾把持力に影響を及ぼす因子を抽出するため,従属変数を足趾把持力とした重回帰分析のステップワイズ法(変数減少法)を行った。【結果】得られた測定値は,足趾把持力が15.9±4.3kg,足部柔軟性が2.9±0.8cm,足部アーチ高率が19.9cm,足関節背屈角度が2.9±0.8°であった。また,%IEMGは,大腿四頭筋が3.1±1.6%,大腿二頭筋が31.9±20.8%,前脛骨筋が35.3±19.3%,腓腹筋内側頭が50.9±19.2%であった。足趾把持力と有意な相関を示したのは,相関係数が高い順に,足部アーチ高率(r=0.69),前脛骨筋の%IEMG(r=0.67),足部柔軟性(r=0.66),腓腹筋内側頭の%IEMG(r=0.61),足関節背屈角度(r=0.60)であった。ステップワイズ重回帰分析の結果,足趾把持力に影響を及ぼす因子として抽出された項目は,足部アーチ高率および前脛骨筋の%IEMGの2項目であり,標準偏回帰係数は順に0.54(p<0.01),0.51(p<0.01)であった。【結論】本研究における単相関分析の結果,足趾把持力と足部柔軟性,足部アーチ高率,足関節背屈角度および前脛骨筋,腓腹筋内側頭の%IEMGの5項目と有意な相関が認められた。この5項目は,先行研究においても相関が認められており,本結果では,これを追認した。重回帰分析によって,足趾把持力に独立して影響を及ぼす因子として抽出されたのは,足部アーチ高率と前脛骨筋の%IEMGの2項目であり,足部アーチ高率とが高いほど,前脛骨筋の%IEMGが大きいほどに足趾把持力が強いことが確認された。足部アーチ高率は,内側縦アーチの指標として用いられることが多く,内側縦アーチは,骨や靭帯,前脛骨筋,後脛骨筋,長母指屈筋,長指屈筋,母指外転筋の筋群より構成される。これらの筋群には,足趾把持力の主動作筋である長母指屈筋,長指屈筋,足趾把持力発揮時に重要な前脛骨筋が含まれる。これらの知見から,足部アーチと足趾把持力は,密接な関係にあり,相互的に作用していることが示された。
著者
古後 晴基 村田 潤 東 登志夫 村田 伸 鳥山 海樹 山下 裕 今村 純平
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.29-33, 2016-04-30 (Released:2016-07-29)
参考文献数
20
被引用文献数
1

本研究の目的は,浮腫における圧痕深度計測法の妥当性と圧痕性浮腫の判別が可能な評価法であるかを明らかにすることである。22名44肢の浮腫有と診断された患者と,30名60肢の地域在住の健常高齢者を対象とした。被験者の足底を床面に付けた端座位とし,第3中足骨骨頭の足背部の圧痕深度をエデゲー?にて計測した。また,同一部位の皮下軟部組織厚を超音波画像診断装置にて計測した。統計解析には,圧痕深度値と皮下軟部組織厚値をPearson の相関係数にて分析した。また,圧痕深度値は,対応のないt 検定を用いて患者と健常者間で比較した。その結果,圧痕深度値と皮下軟部組織厚値との間に,極めて強い相関関係を示した。また,患者群は健常者群と比較して圧痕深度値が有意に高値を示した。本研究より,圧痕深度計測法は妥当性ある評価法であり,圧痕性浮腫の有無を判別可能な評価法である可能性が認められ,圧痕性浮腫における有用な評価法であることが示唆された。
著者
古後 晴基 村田 伸 村田 潤 仲村 匡平
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.631-634, 2010 (Released:2010-09-25)
参考文献数
16
被引用文献数
3

〔目的〕本研究は,乾熱法と湿熱法でホットパック(以下HP)施行後の筋硬度の変化に及ぼす効果を比較検討した。〔対象〕健常成人10名(男性7名,女性3名,平均年齢22.3±6.8歳)の両下肢(20脚)を対象とした。〔方法〕被験者は腹臥位で,下腿部後面に直接HPを20分間施行した。湿熱法ではパックを直接コットンタオル(8層)で巻き,乾熱法ではパックをビニール袋で包んだ後,コットンタオル(3層)で巻いてHPを施行した。HP施行前,乾熱法および湿熱法HP施行後の腓腹筋内側頭の筋硬度を比較した。〔結果〕HP施行前の筋硬度に比べ,湿熱法および乾熱法によるHP施行後の筋硬度はともに有意に低下した。ただし,湿熱法と乾熱法後の筋硬度にも有意差が認められ,湿熱法の方が乾熱法より有意に低下した。〔結語〕HPは筋硬度を低下させる手段として有効であり,とくにその効果は湿熱法の方が乾熱法より高いことが示唆された。