著者
真部 真里子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.295-305, 2008-05-15
被引用文献数
2

Several kinds of stock made from dried bonito, sea tangle and other ingredients are used daily in Japanese cooking. The effects of traditional Japanese stock on the preference for food were examined by a sensory evaluation of steamed egg custard (tamagodoufu) and stewed Japanese radish (daikon-fukumeni). Four kinds of tamagodoufu and daikon-fukumeni were individually prepared with different stock, and the preferences for aroma and taste, as well as the overall preference, were evaluated. The results indicated that the overall preference was mainly attributable to the taste rather than the aroma, although the samples prepared with a specific stock could not always gain a high assessment. In fact, accumulated experience with a particular dish tended to raise the preference for that dish. However, the flavor of dried bonito stock was inclined to enhance the preference for a food.
著者
真部 真里子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.191-192, 2011 (Released:2014-07-25)
参考文献数
2
被引用文献数
2
著者
的場 輝佳 真部 真里子 原 知子 坂本 宏司
出版者
関西福祉科学大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

京都の老舗料亭の料理人、管理栄養士・医師とコラボして、高齢者が好む“おいしい”嚥下食を設計し、高齢者が好む調理法(レシピ)を提言するとともに、嚥下食のおいしさの原理を以下のように明らかにした。そのポイントは、「変化を持たせる」ことで、複数の食材を同時に調理するのでなく、個々の食材ごとにその特徴を生かして“五色、五味”のバランスにも配慮して、飽きない料理に仕上げることである。
著者
真部 真里子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.21-29, 2006 (Released:2007-10-12)
参考文献数
13
被引用文献数
5

We examined the correlation between the odour desirability and the overall desirability by a sensory evaluation of four kinds of soybean paste (miso), differing in the food material and/or fermentation period. Compared with the three other kinds of miso, soy miso was particularly disliked for both its odour and overall attributes. The results of the sensory evaluation also suggested that familiarity with the food contributed to its overall desirability. Most subjects seemed to be unfamiliar with soy miso and barley miso, although barley miso was acceptable as well as the two kinds of rice miso. The aromas of these four kinds of miso were then investigated by headspace solid-phase microextraction (HS-SPME) and gas chromatographic-olfactometric (GC-O) analysis. The results showed that soy miso had a characteristic odour which was undesirable and resulted in a low evaluation. The results of this survey of miso for food preference suggest that an unpleasant odour induced an overall dislike for it.
著者
山下 満智子 松原 秀樹 正田 一貴 宮藤 章 石木 達也 市川 恵 廣田 一弘 高倉 美香 山本 一恵 大槻 馨 北村 芳久 鵜飼 智代 村上 恵 真部 真里子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成22年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.152, 2010 (Released:2010-08-27)

【目的】 加熱調理機器(IHクッキングヒーター[IH]・ガスコンロ[ガス])による調理特性の相異を究明する目的で、煮物調理に着目し、鍋の昇温特性について検討した。 【方法】 IH・ガス兼用ステンレス鍋に、鍋肌測定用として鍋胴部の鍋肌(鍋底より25、40、55mm)にシート熱電対、水温測定用として鍋中央部(鍋底より6mm)にシース熱電対を設置した。煮物を想定した火力として、IHは電圧203-204Vにて1.45kw(強火弱)および1.0kw(中火強)とし、ガスは沸騰までの時間がIHと同じになるように、ガス圧を1.5kpa(強火弱)と0.55kpa(中火強)に調圧した。水道水800ccを入れ、IHならびにガスを用いて加熱し、鍋肌温度と水温とを連続的に計測した。また、鍋底より25、40、55mmの高さにて、鍋肌より外側に1-20mmの周辺温度を熱電対により測定した。水温が100℃到達10分後の鍋の状態を赤外線サーモグラフィ装置で撮影した。なお、この時、放射率の低い金属光沢面の計測精度を高めるため、鍋内面に放射率0.94の黒塗装を施した。 【結果】 IHとガスの沸騰開始10分後の鍋肌温度は、強火弱で94℃(IH)、128℃(ガス)、中火強で94℃(IH)、107℃(ガス)となった。鍋周辺の温度は、IH では鍋肌温度より低く鍋肌から放熱し、ガスでは鍋肌温度より高く鍋肌からも加熱していることが確認できた。サーモグラフィ画像からも、IHでは鍋肌温度が上昇せず、加熱中鍋肌が水温を超えないことが確認できた。これらの相異が煮物調理のおいしさに及ぼす影響は今後の検討課題である。
著者
真部 真里子 高山 悠 竹内 実子 小川 有紀 笹原 由雅 青木 仁史
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 70回大会
巻号頁・発行日
pp.157, 2018 (Released:2018-07-28)

目的 和食以外にも広く減塩食のおいしさを向上させることを目指し、チキン・ブイヨン(CB)の減塩効果について検討した結果、CBに塩味増強効果を認めたが、その効果が、どの食材中の成分に由来するかは未だ明らかではない。そこで、本研究室では、CBの基本食材から鶏・鶏がらとスパイス以外の特定の食材を除いたブイヨン(ニンジン抜き、セロリ抜き、ユリ科の食材抜き)を調整し、その塩味増強効果を検討した。その結果、いずれのブイヨンにも塩味増強効果が認められたが、ユリ科の食材に塩味増強効果が、セロリに塩味緩和効果があることが示唆された。そこで、本研究では、鶏・鶏がらに1種類の野菜(セロリ、タマネギ、リーキまたはニンニク)を加えたブイヨンを4種類調製し、鶏・鶏がらのみのブイヨンとCBを加えた6種類のブイヨンについて、その塩味増強効果を検討した。方法 各ブイヨンのうま味強度を0.15%、塩分濃度を0.62%~1.00%の5段階に調製した試料を、0.80%NaCl溶液とそれぞれ組にして60℃で提供し、被験者に、各組より塩味が強いものを回答してもらった。結果 プロビット解析の結果、鶏・鶏がらのみのブイヨンに塩味増強効果があることが示され、セロリに塩味緩和効果があることが確認された。また、鶏・鶏がらにニンニクを加えたブイヨンに対する評価は、被験者によるばらつきが大きく、ニンニクの効果については、今後の検討課題である。
著者
真部 真里子 久賀 奈央子 牧野 麻美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成18年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.16, 2006 (Released:2006-09-07)

【目的】腸管上皮細胞は、生体に必要な栄養素を取り込むだけでなく、異物の侵入を排除する物理的バリアである。タイトジャンクションと呼ばれる密着結合により互いに接着して、物質を選択的に輸送している。しかし、酸化ストレスに晒されると、種々の細胞構成成分が損傷し異物の侵入を許すことから、身体活動に悪影響を及ぼすと考えられる。そこで、本研究では、野菜による腸管上皮細胞における酸化ストレス防御能について検討した。【方法】腸管上皮細胞モデルであるヒト結腸癌由来Caco-2細胞に、過酸化水素を添加し酸化ストレス状態とした。酸化ストレスによる細胞損傷の指標として、経時的な経上皮膜電気抵抗値測定によるタイトジャンクションの密着度、LDH活性測定による細胞膜の健全性ならびに細胞内グルタチオン量を用いた。【結果】生のピーマン、ブロッコリー、アスパラガスの水抽出液を添加すると、酸化ストレスによる細胞損傷が抑制された。アスパラガスでは、茹で加熱、レンジ加熱を行ってもその効果は維持された。一方、カボチャ添加では、生では酸化ストレス防御能は認められなかったが、茹で加熱、レンジ加熱を施すと酸化ストレスによるタイトジャンクションの弛緩や細胞膜の損傷を抑制できた。また、ゴボウ添加では、生、茹で加熱品ともに酸化ストレスによる細胞損傷を抑制できなかったが、レンジ加熱では、細胞内グルタチオン量以外の測定項目においてやや酸化ストレス抑制傾向が認められた。このように、腸管での酸化ストレス防御能を期待して野菜を摂取する場合、調理方法を考慮する必要があると考えられる。また酸化ストレス防御能は、一指標ではなくいくつかの指標を用いて検討する必要性が示唆された。
著者
真部 真里子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.148-154, 2005
参考文献数
30

効率のよいカルシウム摂取のためには, 日々の食事を有効に活用することが重要である。そのために, 食材中のカルシウム(Ca)含量だけでなく, 調理によるカルシウム吸収効率の変化を明らかにする必要である。本報では, 未調理ならびに調理済みの牛乳の人工消化処理液をCaco-2細胞単一層に添加し, 調理によるCa吸収への影響を検討した。未調理の牛乳中のCaは, 他のCa源よりも吸収量が多かった。しかし, きなこや抹茶粉末を添加すると, 無添加の牛乳と比較して有意にCa吸収量が低下した。また, 65℃の加熱したホットミルクやベシャメルソースに調理しても, Ca吸収は低下した。また, これらのCa吸収量の変化は, 抹茶粉末添加の場合は細胞間経路の阻害により, 他の試料の場合は, Caの溶解度変化など細胞間経路に対する間接的な影響によることが示唆された。このように, 食事からの効率的なCa吸収のためには, 調理によるCa吸収の変化について考慮する必要がある。
著者
山下 満智子 松原 秀樹 中島 貴志 上田 奈穂 山本 一恵 大槻 馨 梅岡 俊二 正田 一貴 宮藤 章 市川 恵 鵜飼 智代 村上 恵 真部 真里子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成21年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.2118, 2009 (Released:2009-08-28)

【目的】 加熱調理機器(IHクッキングヒーター[IH]・ガスコンロ[ガス])による調理特性の相異を究明する目的で、本研究では鍋物調理に着目し、加熱調理機器の違いによる土鍋の昇温特性について検討した。 【方法】 IH・ガス兼用土鍋[兼用土鍋]に、鍋肌測定用として鍋胴部の鍋肌最高温到達部(鍋底よりIH 39mm、ガス49mm)にシート熱電対、水温測定用として鍋中央部で鍋底より17.5mmにシース熱電対をあらかじめ設置した。IHは、定格出力が得られるように電圧はコンセント電圧のまま(強使用時 99.5~100.6V)、ガスはガス圧をガスガバナで3段階に調圧(強使用時 0.78kPa、1.44kPa、2kPa)した。1400ccの水道水を入れ、IHならびにガスを用いて加熱し水温と鍋肌温度を連続的に20分間計測した。同条件で、加熱開始15分後の土鍋の状態(水温100℃に到達)を赤外線サーモグラフィ装置で撮影した。 【結果】 IHとガスの加熱開始20分後の鍋肌温度は、それぞれ84℃、125℃(ガス圧0.78kPa)、 156℃(ガス圧1.44kPa)、170℃(ガス圧2kPa)となり、IHとほぼ同じ時間で水が100℃に昇温したガス圧0.78kPaでも、ガスはIHより41℃高くなった。サーモグラフィ画像からも、IHでは鍋肌温度が上昇せず、加熱中鍋肌が水温を超えないことが確認できた。別種の兼用土鍋でも同様の傾向であった。また、ガス専用土鍋を用いて、ガス圧1kPa(ガス専用土鍋中の水温上昇が兼用土鍋とほぼ同様になる条件)にて実験したところ、兼用土鍋と比べ鍋肌温度上昇が抑えられたが、常に水温より高く加熱開始20分後115℃に到達した。このような昇温特性の相違が鍋物調理のおいしさに及ぼす影響は今後の検討課題である。
著者
真部 真里子 陳 倪熏 陳 姿秀
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.96, 2016 (Released:2016-08-28)

【目的】これまで、鰹だしのうま味以外の呈味物質に塩味増強効果があり、鰹だしのにおいとうま味には、塩味が弱くてもおいしく感じさせるおいしさ向上効果があることを明らかにしてきた。しかし、鰹だしは万人に好まれるわけではなく、中国では、魚臭く感じられ好まれないことが報告されている。そこで、本研究では、中国料理を食文化の基盤としつつ日本食も浸透している台湾において官能評価を実施し、鰹だしによる減塩効果が日本人にのみ有効なのかを検討した。【方法】台南市にある嘉南藥科大學保健栄養学科に所属する学生男女82名(男22名,女59名)を被験者とした。うま味強度を0.12%にそろえたMSG溶液、2%鰹だし、0.88%昆布-1.76%鰹節混合だしの3種類の試料について、塩分濃度を0.62、0.70、0.80、0.90、1.00%に調整したものを比較試料とし、それぞれ標準試料(0.80%NaCl溶液)と組にして提供して、被験者に、各組、より塩味が強いもの、塩味が好ましいものを回答してもらった。また、対照として、比較試料にもNaCl溶液を用いた条件でも同様に検査した。結果はプロビット分析と二項検定にて解析した。【結果】対照では、0.80%NaCl溶液に対する塩味等価濃度が0.81%となり、このパネルは塩味強度を適切判別できることが確認された。また、比較試料にMSG溶液を用いた場合は、塩味増強効果は認められなかった。しかし、鰹だしには顕著な塩味増強効果が認められ、混合だしもそれに準じる結果が得られた。すなわち、台湾人においても鰹だしは塩味増強効果を示すことが明らかになった。また、鰹だしと混合だしには、低塩味領域でおいしさ向上効果も認められた。この被験者は、全員が鰹節を知っており78%に摂食経験があった。このことが、本官能評価で鰹だしの減塩効果が認められた一因と考えられた。
著者
真部 真里子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.148-154, 2005

調理効率のよいカルシウム摂取のためには,日々の食事を有効に活用することが重要である。そのために,食材中のカルシウム(Ca)含量だけでなく,調理によるカルシウム吸収効率の変化を明らかにする必要である。本報では,未調理ならびに調理済みの牛乳の人工消化処理液をCaco-2細胞単一層に添加し,調理によるCa吸収への影響を検討した。未調理の牛乳中のCaは,他のCa源よりも吸収量が多かった。しかし,きなこや抹茶粉末を添加すると,無添加の牛乳と比較して有意にCa吸収量が低下した。また,65℃ の加熱したホットミルクやベシャメルソースに調理しても,Ca吸収は低下した。また,これらのCa吸収量の変化は,抹茶粉末添加の場合は細胞間経路の阻害により,他の試料の場合は,Caの溶解度変化など細胞間経路に対する間接的な影響によることが示唆された。このように,食事からの効率的なCa吸収のためには,調理によるCa吸収の変化について考慮する必要がある。
著者
真部 真里子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.21-29, 2006-01-15
被引用文献数
2

We examined the correlation between the odour desirability and the overall desirability by a sensory evaluation of four kinds of soybean paste (miso), differing in the food material and/or fermentation period. Compared with the three other kinds of miso, soy miso was particularly disliked for both its odour and overall attributes. The results of the sensory evaluation also suggested that familiarity with the food contributed to its overall desirability. Most subjects seemed to be unfamiliar with soy miso and barley miso, although barley miso was acceptable as well as the two kinds of rice miso. The aromas of these four kinds of miso were then investigated by headspace solid-phase microextraction (HS-SPME) and gas chromatographic-olfactometric (GC-O) analysis. The results showed that soy miso had a characteristic odour which was undesirable and resulted in a low evaluation. The results of this survey of miso for food preference suggest that an unpleasant odour induced an overall dislike for it.
著者
真部 真里子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.163-170, 2003-02-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
16
被引用文献数
4 4

We examined the correlation between the intensity of saltiness of soybean paste (Miso) soup prepared at home and the personal preference for saltiness to clarify the role of home cooking in the formation of preference for that taste. Samples of miso soup prepared in the home were collected from 75 women volunteers in their early twenties. The concentrations of salt, sodium glutamate and inosine 5'-monophosphate in each sample were determined. According to the personal preference for saltiness, the volunteers were classified into 3 groups as follows : preference for strong saltiness, intermediate saltiness and weak saltiness. The results of a principle component analysis indicate that the samples collected from the group which preferred weak saltiness were distinguishable from those collected from the other groups with regard to taste. The results also exhibited a lower intensity of both saltiness and umami, but a higher flavor of stock (dashi) than those for the other groups. These results suggest that the taste of home cooking influenced the formation of personal preference for saltiness, especially the preference for weak saltiness.