著者
石丸 正 作本 真 長山 郁生
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.525-530, 1994-10-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
8

87歳女性の絞頸自殺未遂患者の耳鼻咽喉所見をとる機会を得た。顔面, 外耳道, 鼓膜, 口腔粘膜, 舌, 鼻粘膜などに溢血を認め, 喉頭蓋に浮腫を認めた。喉頭蓋の浮腫は, 2日後の, 耳を除く溢血は1週間後の再診時には消退していた。絞頸により, 頸静脈系が閉塞したにも関わらず, 頸動脈系と異なり外部からの圧迫の影響を受けにくい椎骨動脈系の血流が維持されたためと思われる。ほぼ経過観察のみで治癒したが, これは喉頭外傷の面から見た場合は, 軽症であったためと思われる。被絞頸患者を診察する場合, 外見に気をとられることなく, ファイバースコープなどを操使して喉頭所見を確認することが重要である。
著者
浜崎 学 堀元 俊明 嶋田 昭一郎 石丸 正之
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 = Journal of the Atomic Energy Society of Japan (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.503-508, 2011-07-01
参考文献数
8

<p> 我が国の原子力第一船「むつ」は,初の実験航海での放射線漏れが社会的に大きく取り上げられ,我が国の原子力界にとって永く記憶されるべき教訓を与えた。一方,その後の実験航海が成功をおさめ,外洋を8万キロにも渡って原子動力で全速航海し,貴重なデータを後世に残したことは余り知られていない。また,「むつ」の炉心,燃料は,米国からの導入技術が発電炉のものに限られ,舶用炉技術を導入できないという条件の下で確立した我が国国産技術である。</p>
著者
岸本 寛史 小島 一晃 原武 麻里 藤原 和子 岩井 真里絵 石丸 正吾 金村 誠哲
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.911-915, 2014 (Released:2014-09-02)
参考文献数
2

アブストラル®舌下錠は, フェンタニルの速放製剤と位置づけられるが, その用法・用量の調整は, 従来のオピオイド製剤と異なる点が多い. 留意点として, 本剤の増量がレスキュー・アップであることを意識した用量調整, ベース量に見合った1回投与量の上限の目安の設定, レスキュー投与と追加投与の区別, その間隔や回数についての制限の周知, コストなどが挙げられる. これらを鑑みて, 当院では, 原則として経口摂取が難しくなってきた患者で持続注射が導入されていない入院患者を適応とした. 緩和ケアチーム・薬剤部・看護部が協力して上記留意点の周知を図った. 医師向けの講習会を診療科ごとに開催し, 講習を受けた医師のみが処方できるライセンス制を導入し, 医師から看護師への指示を標準化した. また, 看護師をはじめとする医療スタッフ向けに10回の勉強会を開催した. 処方後は, 薬剤部と緩和ケアチームによるモニタリングも行う体制を整えた.
著者
石丸 正 作本 真 長山 郁生 古川 仭
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.87, no.11, pp.1489-1494, 1994-11-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
8
被引用文献数
1

We usually use 6 frequencies, 250, 500, 1000, 2000, 4000 and 8000 Hz, in conventional pure tone audiometry. When these 6 points do not show hearing loss, our clinical diagnosis is no hearing loss. If the hearing loss is not located in the clinical 6 frequencies, we cannot detect it.The authors diagnosed 6000 Hz-dip type acute hearing loss in a 43-year-old male with tinnitus. We measured the hearing levels at 6 frequencies and found no hearing loss. The pitch of his tinnitus was 6000 Hz, so we measured the hearing levels at 4 other frequencies (800, 1500, 3000 and 6000 Hz) and detected a 6000 Hz-dip.Steroid treatment cured both the tinnitus and the 6000 Hz-dip hearing loss.When hearing loss occurs at a frequency other than the conventional pure tone audiometric frequencies, a mistaken diagnosis of no hearing loss is made. If the patient complains of tinnitus, the clinician should investigate the pitch and measure the hearing level near the frequency of the tinnitus. This is a useful method of discovering narrow diptype acute hearing loss.
著者
能登谷 晶子 原田 浩美 外山 稔 山﨑 憲子 木村 聖子 諏訪 美幸 金塚 智恵子 石丸 正 三輪 高喜 吉崎 智一
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.163-170, 2019-04-28 (Released:2019-06-01)
参考文献数
15

要旨: 「金沢方式」による訓練を0歳~1 歳代より開始し, 訓練途中の2~3歳代に人工内耳を装用した小児聴覚障害児8例について, 人工内耳術前後の言語獲得経過を報告した。8例が最初に理解した言語モダリテイは手話であった。その後, 聴覚口話や文字の理解が進み, いずれの児も 1 歳代で可能となった。手話による助詞付き 2語連鎖文は 1 歳7ヵ月~2歳2ヵ月までに出現した。8例は術後 1 年を経ないうちから, 自発文での手話が少なくなり, 装用 1 年経過時には話し言葉のみで会話が可能となり, 健聴児が幼児期に習得する様々な文型の出現を認めた。以上より, 術前から文構造を意識した言語聴覚療法は, 高度聴覚障害児の言語発達を促進することが示唆された。