著者
石渡 俊江 植竹 勝治 江口 祐輔 田中 智夫
出版者
Japanese Soceity of Livestock Management
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.179-184, 2007-12-25 (Released:2017-02-06)
参考文献数
18

本研究の目的は、肉牛の屠殺時血液性状と肉質における夏季と冬季の違いを調査することであった。夏季(18.9〜28.4℃)に15頭、冬季(4.9〜7.0℃)に20頭をトラックで近くの屠場へ輸送した。牛は屠場の待機ペンで一晩休憩した後、1頭ずつ屠殺された。血漿コルチゾール濃度と血中グルコース濃度は、冬季より夏季に有意に高くなった(ともにP<0.01)。血清pHと血清総タンパク質濃度は、冬季より夏季に有意に低くなった(ともにP<0.01)。これらの結果から、夏季は牛にとってより過酷な状況であることが示唆された。その主な原因としては、屠殺前に一晩中絶水されたことが考えられた。血清遊離脂肪酸濃度は、夏季より冬季に有意に高くなった(P<0.01)。血清ASTと血清ALTの活性は、夏季より冬季に有意に高くなった(ともにP<0.05)。冬季にみられたこれらの生理反応は、屠殺前に一晩中絶食されたことによると考えられた。しかし、これらの生理反応は肉質に影響するほどではなかった。さらに、人による牛の扱いにも季節による違いがみられなかった。本研究の結果から、屠殺前に一晩、完全に絶水することは家畜福祉的見地からも避けるべきであると考えられた。
著者
石渡 俊江 植竹 勝治 安部 直重 江口 祐輔 田中 智夫
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌 (ISSN:13421131)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.149-154, 2005-02-01
被引用文献数
2

環境エンリッチメントレベルが異なる飼育ペンでの牛の舐塩行動の発現についで調査するため、黒毛和種×ホルスタイン種の去勢雄牛を2回の反復実験において合計71頭(n=35,36)を供試した。供試牛は導入2週間後から、濃厚飼料を給飼する給飼通路と乾草を給飼する飼槽、水槽、休息場所からなる通常のペンの対照群(C群:n=11,12)、通常のペンに乾草が入るように改良したドラム缶(Φ58価×H90cm)を設置したドラム缶群(D群:n=12.12)、そのドラム缶の側面に人工芝(30×120cm)を巻き付けた身繕いドラム缶群(GD群:n=12,12)に分け、3つのペン(各ペン6.0×9.5m)で飼育した。固形塩(5kg)は導入後4.5ヵ月目から給飼通路に設置し、その後、朝夕の給飼後2時間に10分間隔で3日間連続して行動観察し、採血と体重測定を合わせて行なった。観察期間中に舐塩行動が観察された牛は、対照群16頭、ドラム缶群10頭、身繕いドラム缶群11頭と処理群間に差はみられなかった。観察された舐塩行動の持続時間は、ほとんどが20分未満であった。舐塩行動の前に発現した主な行動は、乾草の採食(25.9%)、休息(22.4%)であり、後に発現した主な行動は休息(28.3%)、乾草の採食(21.7%)であった。舐塩回数の多い個体ほど、休息回数(r=0.25,P<0.05)と反側回数(r=0.28,P<0.05)が多くなった。また、舐塩回数の多い個体ほど、血清インスリン濃度が高くなった(r=0.41,P<0.05)。さらに一度でも舐塩行動を発現した個体で、未発現の個体より血漿グルコース濃度が低くなった(P<0.05)。以上の結果から、固形塩を舐めることは、いずれの環境エンリッチメントレベルにおいても必ず何頭かの牛で発現し、休息や反側行動の発現とインスリン分泌を促し、消化・代謝を促進する可能性があることが示唆された。
著者
大鳥 徹 井上 知美 細見 光一 中川 博之 高島 敬子 近藤 尚美 高田 亜美 伊藤 栄次 中山 隆志 和田 哲幸 石渡 俊二 前川 智弘 船上 仁範 中村 真也 窪田 愛恵 平出 敦 松山 賢治 西田 升三
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.94-101, 2016-12-10 (Released:2017-02-09)
参考文献数
12

In the areas of home medical care and self-medication, the role of the pharmacist is growing, partly as a result of Japan’s aging society and the need to reduce medical costs. In response, the Kinki University Faculty of Pharmacy implemented a physical assessment practical training seminar in order to improve the physical assessment skills of practicing pharmacists. A series of questionnaires were conducted among pharmacists to investigate their perceptions of physical assessment practical training seminars. The results of the questionnaires were analyzed using Customer Satisfaction (CS) analysis and text mining. Based on a 5-point scale (1-low∼5-high), questionnaires revealed satisfaction for physical assessment practical training seminars was 4.6±0.6 (Ave.±S.D.). CS analysis revealed that the items “lectures” and “case seminars” had the highest level of satisfaction. However, items showing low levels of satisfaction were “auscultation of respiratory sounds” and “SBAR (Situation, Background, Assessment, Recommendation).” Results of text mining suggested a relationship between “physical assessment” and “difficult”. Analysis of the questionnaires showed a high level satisfaction with physical assessment practical training seminars, notably physical assessment practice methods. However, CS analysis and text mining indicate the finer techniques of physical assessment were difficult to acquire.
著者
井上 知美 八重樫 柊穂 久川 隆造 石渡 俊二 野々木 宏 小竹 武
出版者
Japan Disaster Medicine Education and Training association
雑誌
Journal of Clinical Simulation Research (ISSN:2433054X)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.19-24, 2017 (Released:2022-11-18)
参考文献数
7

1人1体のマネキンを使用した「アメリカ心臓協会(AHA)ファミリー&フレンズコース」を実施し,心肺蘇生(CPR)手技測定システムにより胸骨圧迫手技を評価した。胸骨圧迫について実習後有意に手技が向上した(平均深さ 前:43.22±10.8mm,後:50.5±7.2 mm,p<0.05)。実習前後ともに,「適切な手の位置」および「完全な圧迫解除」の実施率は,女性において有意に実施率が高かった(p<O.05)。「適切な深さ」での実施率,胸骨圧迫の平均深さおよび平均テンポについては実習前後ともに男性の実施率が高く,深さ,テンポについても女性より有意に深く,早いことが認められた(p<O.05)。胸骨圧迫の平均テンポと平均深さを3群に分類した割合を検討した結果,実習前の女性についてのみ有意差が認められ(p<O.05),胸骨圧迫のテンポが早い群が,深さが深い傾向となった。実習実施により手技の向上が示されたが,胸骨圧迫において平均深さが50mm未満である女性が57.1%認められたことから,体力的な要因も考慮した圧迫手技の習得可能な実習内容の検討が必要と考えられた。今後,ガイドラインの変更点を強調した実習内容での手技の習得の検討をするとともに,手技の評価検証方法や,手技の維持について再トレーニングの時期の検証をする必要があると考える。
著者
小竹 武 松本 優里香 塚本 あゆみ 井上 知美 石渡 俊二 草薙 みか 坂野 千賀 大里 恭章 伊藤 吉將 長井 紀章
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.786-792, 2015-11-10 (Released:2016-11-10)
参考文献数
6

We investigated whether the component in cataplasm transmitted into hemorrhoid ointment in the combined storage of hemorrhoid ointment and non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) cataplasm. The NSAIDs cataplasm was used as a commercially available methyl salicylate (MS reishippu “TAIHO”, MS cataplasm) and indomethacin (Catlep®, IMC cataplasm) cataplasm. In addition, the hemorrhoid ointment was in a polyethylene container with (Neriproct® ointment, DFV-L ointment) or without aluminum laminate (Posterisan® forte, HC ointment). As for the methyl salicylate, 5.68 mg / pieces in HC ointment were detected at 40 weeks of combined storage with MS cataplasm. The methyl salicylate concentration in DFV-L ointment was lower than that in HC ointment under the same conditions. On the other hand, no contamination of indomethacin in HC and DFV-L ointment was observed in the combined storage with IMC cataplasm. These results show that the methyl salicylate in cataplasm passed the polyethylene container, and provide significant information on the risk of contamination by the combined storage of cataplasm and hemorrhoid ointment.
著者
矢川 元基 渡辺 隆之 石渡 俊
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.46, no.401, pp.87-96, 1980-01-25
被引用文献数
1 1

本論文では, EPAS プログラムの開発と応用について論じたものである. 有限要素法による三次元連続体の非弾性解析は, 極めて多くの計算時間を要するため実用性の点で問題があった. 著者らは, 三次元構造の局部的な非弾性挙動の解析を効率よく行うためラグランジュ乗数法に基づく結合要素を EPAS プログラムに導入し, 計算時間と容量の短縮化を行った. この結合要素は, プログラム内で通常の要素と同様に取扱うことができる.