著者
高井 昌吏 谷本 奈穂 石田 あゆう 坂田 謙司 福間 良明 村瀬 敬子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ポピュラー・カルチャーのなかで形成される戦争の表象を、ジェンダーの視点から考察した。たとえば、男らしい戦争イメージの形成では、『男たちの大和』『連合艦隊』などの映画、さらに「大和ミュージアム」や知覧という観光、あるいはプラモデルなどが大きく絡んでいる。女らしさやこどもらしさについては、むしろ『ガラスのうさぎ』『火垂るの墓』などの児童書・アニメの影響が大きい。こうした点を考慮し、それぞれの戦争(沖縄戦、原爆、空襲など)が社会的に受容されるうえで主に寄与したポピュラー・カルチャーに着目し、それらを横断しながら構築される戦争イメージについて分析した。
著者
金田 千秋 加藤 哲弘 島本 浣 山田 俊幸 及川 智早 佐藤 守弘 石田 あゆう 岸 文和 前川 修 中谷 伸生 橋爪 節也 鈴木 廣之 太田 孝彦 石田 美紀
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、大正期に流通していた大衆的な視覚表象に関する2つの課題を、豊かな対話関係において、遂行するものである。すなわち、第1の課題は、大衆的な視覚表象が果たしていたメディア的な機能の多様性を、可能な限り広範な資料に基づいて、美術史学的に明らかにすることである。第2の課題は、「文化遺産」の概念を鍛え上げることによって、何らかの大衆的イメージが後世に継承される/るべきさいの条件・方法などを、美学的に考察することである。
著者
石田 あゆう
出版者
京都大学
雑誌
京都社会学年報 : KJS
巻号頁・発行日
vol.8, pp.31-50, 2000

The image of people usually have of the female consumer today is the one of a buying cosmetics and clothes. However, originally female consumers were associated with housewives. Both images reflect the deep relation women had their home, in addition to increasing role women played throughout the process of social modernization. The aim of this article is to examine the Japanese magazine, "Fujin Sekai" ("Women's world"), one of the first mass magazines for women. I would like to clarify the image of the housewife whose main activities are cooking and shopping as an ideal and as an active female consumer at the same time. Nowadays to go to the supermarket to buy some food every day represents an important task for housewives. But in early modern Japan, shopping was unusual activity for women in general, as it was reserved to professionals like maids or cooks. Cooking was not a daily work for some women. I examined some articles about women cooking that Murai Gensai, a famous novelist of the Meiji Era, wrote on "Fujin Sekai".
著者
石田 あゆう
出版者
桃山学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

平成19年度は、昭和30年代に起きた、女性たちを取り巻く雑誌メディアの変容について考察した。1941年、戦時の用紙統制から女性雑誌の統廃合が起き、その際形成された女性雑誌の出版体制は戦後に引き継がれた。新雑誌の創刊もあったが、女性雑誌では、戦前から続く婦入雑誌の人気は変わらず、女性雑誌の中枢を担っていた。つまり昭和45年以後の「新しい」タイプの女性誌『anan』『non-no』創刊までは、長らく四大婦人雑誌の時代として語られるのが通説であった。だが、昭和45年=1970年代以前と以後とで比較してしまうと、昭和30年代のBG(OL)を中心とする「若い女性」のための新雑誌の登場現象を見逃してしまう。それは、テレビが普及した時代でもあり、「テレビ雑誌」と呼ばれるビジュアル重視の女性誌が新しく考えられるようになった時代であった。雑誌のビジュアル重視の傾向は、「若い女性」たちを読者として意識することでより高まる。女性誌メディアは、「若さ」を意識してその情報内容のみならず形式的にも変化を遂げ、昭和20年代とは一線を画す新しい雑誌となっていった。その影響は、とくにファッション情報をめぐって顕著であり、女性の生活の一部としての「洋裁」が、ジャーナリズムへと組み込まれていくことになった。女性向け雑誌メディアの歴史では、昭和30年代はこれまであまり注目されていなかった。しかし、1970年代以降の新女性誌の傾向として指摘されるビジュアル化は、すでに昭和30年代に進んでいたのみならず、女性向け雑誌の世界が「若い女性」を想定するようになったことで、より「見た目」を重視する感性のメディアとなっていったことは、女性が牽引する公共圏を考える上で、大きな変化の時代であったといえるだろう。