著者
森本 康彦 稲垣 忠
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.42030, (Released:2017-12-18)
参考文献数
38

2020年から順次実施される新学習指導要領では,小・中・高等学校を通して「主体的・対話的で深い学び」を実現することの意義や授業改善の重要性が強調され,それに合わせるように,高大接続改革の中で,多面的・総合的に評価,判定する大学入学者選抜への転換が図られようとしている.この継続的に行われる主体的・対話的で深い学びと,その先にある高大接続を成功に導くためには,児童生徒の学習や活動の過程において学習記録データ(eポートフォリオ)を密に収集し,それらデータを用いて分析,見える化する「ラーニング・アナリティクス」による支援が有効であると考えられる.そこで,本論文では,主体的・対話的で深い学びと,高大接続改革に注目し,初等中等教育におけるラーニング・アナリティクスの現状と課題について整理し,その展望について述べる.
著者
稲垣 忠 佐藤 靖泰
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.97-105, 2015-11-20 (Released:2015-12-16)
参考文献数
13
被引用文献数
14

家庭で事前に学習内容に関するビデオを視聴し,授業では学習事項の確認の後,発展的な問題に取り組む「反転授業」の試みが広まりつつある.本研究では,小学校6年算数科「比例と反比例」の単元において反転授業を実施した.家庭における児童の視聴ログ,作成されたノート,事前・事後テストの結果をもとに家庭学習の影響を分析した.その結果,以下の4点が明らかになった.1)反転授業を実施した結果,下位群の児童にも一定の知識の定着が確認された.2)家庭におけるビデオ視聴の際,上位群は視聴時間で下位群を上回り,小刻みに停止しながら視聴する割合が高い.下位群は十分な視聴ができていない.3)上位群は十分なノートを作成していた一方,下位群は解き方や自己評価に関する記述が少ない.4)下位群の児童の中で学習後に上位に改善された児童は,家庭・授業時間ともノートの記述内容が充実していた.
著者
亀井 美穂子 稲垣 忠
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.5, pp.85-88, 2007-12-22
参考文献数
4
著者
稲垣 忠 平井 聡一郎 佐藤 雄太
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2024, no.1, pp.201-208, 2024-05-11 (Released:2024-05-14)

児童生徒に共通したゴール設定のもとで個別あるいはグループで探究に従事するプロジェクト型学習を対象に,生成AIと対話しながら授業構想を検討するシミュレーターを開発した.プロンプトとしてPBLをデザインするIDプロセスを組み込むことで対話的に順を追って授業設計ができるよう支援した.探究学習をテーマとした教員対象のワークショップにおいて本シミュレーターを試用する機会を設定した結果,授業アイデアを広げること,PBLに対する実践意欲の高まりとともに,生成AIを利用することに対しても意欲的になったとの評価を得ることができた.
著者
稲垣 忠 嶺岸 正勝 佐藤 靖泰
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.Suppl., pp.109-112, 2008-12-20 (Released:2016-08-05)
参考文献数
7
被引用文献数
5

児童が自分の考えを説明する場面において,電子黒板はどのような影響を与えるのだろうか.本研究では,小学校高学年算数科「分数の掛け算と割り算」単元の授業実践において,電子黒板を利用した説明場面を対象に,質問紙調査,ビデオ記録,児童・教師へのインタビュー調査を実施した.その結果,電子黒板を用いることで書きながら説明する行動が観察され,聞き手は口頭での説明と比べ,より話者の考えを理解し,自分の考えと比較しやすいこと,また,手立てとして,画面上に配布資料と同じものを提示することが,書きこみや説明のしやすさをもたらすことが明らかになった.
著者
稲垣 忠
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.69-81, 2017 (Released:2017-05-29)
参考文献数
13
被引用文献数
2

学習活動に明確なゴールを設定し,児童が探究的な学習に従事するプロジェクト学習は,アクティブ・ラーニングを促す指導法の1つであり,その学習過程にはタブレット端末の活用場面が含まれると考えられる。本研究では,端末を活用したプロジェクト学習の実践可能性と留意点を明らかにするため,教師が単元設計に用いたデザインシートの分析,教師対象の質問紙調査,11名の教師を対象にしたインタビュー調査を実施した。その結果,ペアやグループによる端末の活用場面が明らかになり,児童が端末を授業で活用する機会が増加した。教師は探究や協働学習の実施とそこでのICT活用に対する自信が高まり,意識の変容が確認された。単元設計の留意点は,ゴール設定,多様な協働場面の設定,操作スキルへの配慮が確認された。
著者
稲垣 忠 内垣戸 貴之 黒上 晴夫
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.103-111, 2006-09-20 (Released:2016-08-03)
参考文献数
22
被引用文献数
3

遠隔地の学校間で電子メール,電子掲示板,テレビ会議システムなどを用いて交流する学校間交流学習は,インターネットを用いた授業実践として広く取り組まれている.筆者らは,学校間交流学習における,学習者の活動プロセスと教師の学習環境設計に着目した授業設計モデルの開発を試みた.モデル開発の方法として,1)先行研究および構成主義の学習観に基づくモデル構築,2)実践経験者への調査によるモデルの精緻化,を行った.その結果,学習の活動プロセスを明確にする「枠組みモデル」と,設計の順序を示す「手順モデル」から構成した授業設計モデルを,学習論と実践経験者の知見を反映したものとして開発することができた.
著者
稲垣 忠彦
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1964

博士論文
著者
柏木 貴雄 稲垣 忠洋 来住 稔 日下 聡 鈴木 琢真 平田 珠希 岩井 正秀 吉岡 直樹 三橋 隆夫 山村 博平
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.7, pp.2045-2047, 2012 (Released:2013-07-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

症例は73歳,男性.昼食で自家栽培していた椎茸,人参,ゴボウ等の煮物を食べ,興奮,幻視,瞳孔散大等の抗コリン症状を認めた.同じ食事をした妻と長女も軽度興奮,口周囲の痺れ等の症状を認めたことより食中毒による抗コリン症状と考えた.経過観察にて翌日には症状は軽快した.患者と妻の血清,調理残品,原材料からアトロピン,スコポラミンを検出し,ゴボウとチョウセンアサガオの根との誤食によるチョウセンアサガオ食中毒と診断した.