著者
吉田 由美 高木 廣文 稲葉 裕
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.69-77, 1995-02-15
参考文献数
32
被引用文献数
11
著者
村上 真基 荒井 進 稲葉 裕
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.57-62, 2018 (Released:2018-02-20)
参考文献数
20

【目的】血液検査のみで構成されたがん患者用生物学的予後スコア(Biological Prognostic Score第2版)を終末期非がん患者の予後予測に応用することの適応と限界を検討した.【方法】後ろ向きに非がん入院患者のコリンエステラーゼ,血中尿素窒素,白血球数より予後スコアを算出し,カットオフ値で3群に分け,予測精度分析,生存解析,回帰分析を行った.【結果】がんと同じカットオフ値・予測生存期間における非がん患者204名の予後予測精度は,生存期間3週で正診率79%,9週で63%であった.特異度,陰性的中率は精度が高く,感度,陽性的中率は低かった.生存解析では3群間の識別は有意(p<0.05)であったが,回帰分析における回帰係数は有意ではなかった(p=0.43).【結論】非がんに対する本スコアを用いた予後予測では,予後良好の場合の予測精度は高く,慎重に用いれば臨床使用も可能であると示唆された.
著者
星 秋夫 稲葉 裕 村山 貢司
出版者
Japanese Society of Biometeorology
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.3-11, 2007-06-01
被引用文献数
7

東京都と千葉市における 2000~2004 年の熱中症発生について解析した.熱中症発生率は東京都(人口 10 万対:4.4 人)よりも千葉市(9.4 人)で高かった.年齢階級別熱中症の発生は両都市共,5~19 歳と 65 歳以上とに,発生のピークを示す二峰性を示した.5~19 歳における熱中症発生は東京都,千葉市共に平日よりも日曜日,祭日で多かった.千葉市において,スポーツ時の発生は大部分が 5~19 歳であった.高齢者(65 歳以上)では大部分が生活活動時に発生した.熱中症の発生した日の日最高気温分布は東京都よりも千葉市で低温域にあった.日最高気温と日平均発生率との間に東京都と千葉市にそれぞれ異なる有意な相関関係を認め,千葉市で急勾配であった.日最高気温時 WBGT 分布は東京都と千葉市で同様であり,東京都と千葉市における日最高気温時 WBGT と日平均発生率との間に有意な相関関係を認めた.多重ロジスティックモデルの結果,日最高気温時 WBGT,日平均海面気圧,日照時間,降水量の因子について有意性を認めた.<br>
著者
劉 雲宝 千葉 百子 稲葉 裕 近藤 雅雄
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.641-648, 2002-01-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
48
被引用文献数
6 23

Objective: Keshan disease is an endemic cardiomyopathy found in Keshan, north-east China. The first patient was identified in 1935. This disease is characterized by a blood circulation disorder, endocardium abnormality and myocardium necrosis. Selenium (Se) deficiency is thought to be a major factor by Chinese scientists. However, the exact etiology has not been clarified up to now. The government decided to apply sodium selenite to growing crops, and the incidence of the disease decreased dramatically. However, a few cases still occur as chronic or latent types. This paper reviews Keshan disease from a historical aspect and also the present situation.Methods: We made a reference survey and summarised the etiology, pathological changes, clinical manifestation, and other views of Keshan disease.Result: So far, epidemiological surveys have shown that Keshan disease occurs in large areas in 14 provinces in China, mainly in the countryside. It has been confirmed by clinical and pathological studies that Keshan disease is an independent endemic myocardial disease caused by biological and geological factors. The largest prevalence age rates are boys under 15 years old and women of childbearing age. There are several hypotheses; acute carbon monoxide poisoning, virus infection, malnutrition, or selenium deficiency. The first is not currently believed to be the cause. The following was pointed out; studies on the relationship between diet and the endemic areas of Keshan disease in 1961, where the food custom of the local residents was relatively simple and a so-called “one-sided diet” (eating a limited variety of food) might be related to the incidence of Keshan disease. In 1973, large-scale investigations on the natural environments were performed in the endemic areas of Keshan disease in the whole country. As a result, it was reported that there was a relationship between the incidence of Keshan disease and the special natural environment in the endemic areas and the cause of Keshan disease was strongly supported by nutritional, biological, geological and chemical (selenium deficiency) factors. In 1981, on the other hand, it was found that the levels of antibodies against Coxsackie virus were higher in the serum of Keshan disease patients than of normal subjects. This fact supposed that the cause of Keshan disease was related to a virus infection. However, it is difficult to explain why the clinical and pathological manifestations of Keshan disease are similar to those of other diseases, e. g. idiopathic dilatational myocardial disease. Further research should be performed on Keshan disease to clarify the etiology.
著者
菊地 正悟 稲葉 裕 和田 攻 黒沢 美智子 山城 雄一郎
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

平成7年12月から平成8年3月の間に、1.5歳児検診を受診した95人と3歳児検診を受診した113人の唾液中Helicobactor pylori抗体を測定した。また、平成7年度に小学校1年生であった310人と中学2年生であった300人から、平成7年6月と平成8年6月の2回唾液を採取し、唾液中H.pylori抗体を測定した。同意に保護者に、既往症、家族歴、ペットなどに関する質問票の記入を依頼した。さらに、平成8年に小児科受診者85人の血清Helicobactor pylori抗体と唾液中H.pylori抗体を測定した。唾液の測定は、英国Cortecs社製のキット、Helisalによって、血清の測定は米国Biomerica社製のキット、Pilika Plate G Helicobactorによって行った。小児科受診者85人の血清Helicobactor pylori抗体と唾液中H.pylori抗体を測定したところ血清陽性者は4人で、その唾液中抗体価は1.5以上が3人、0.5未満が1人であった。こうしたデータに基づき、1.5歳児では唾液中抗体価1.0以上を陽性、1.0未満を陰性とし、3歳児では1.5以上を陽性、1.0未満を陰性とし、1.0-1.49の児は分析から除いた。小学生と中学生については、平成7年8年とも唾液中抗体価1.0以上を陽性、2回とも1.0未満を陽性とし、2回の結果が1.0にまたがる例は分析から除いた。同胞がいる小児は1.5歳と3歳で唾液中抗体陽性率はそれぞれ8.6%、24.1%で、同胞のいない小児の0.6%、7.7%より大きく、3歳児では有意であったが、小中学生では唾液中抗体と関連を認めなかった。1.5歳児では、同室で同胞と寝ていた期間が唾液中抗体陽性者で有意に長かった。3歳児では、親が添い寝していた期間が唾液中抗体陽性者で有意に短かった。小中学生では、唾液中抗体陽性者で、小学校入学以前の共同生活の期間が有意に長かった。乳幼児の栄養や、親が噛んだ食べ物を与えたか否か、出生児や健康受診時の体格、両親の胃疾患の既往、ペットの有無は、いずれの年齢でも唾液中抗体と関連を認めなかった。
著者
王 美華 片山 佳代子 町田 和彦 黒沢 美智子 稲葉 裕
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.166-175, 2008-06
被引用文献数
1

目的:中国都市部高齢者のメタボリックシンドローム(MS)の実態と日常生活歩数との関連を明らかにすることを目的とした.対象:2004年3月の研究開始時点に中国天津市南開区にあるコミュニティ病院に登録された65歳以上の地域住民高齢者9,167人のうち,200名が健診と質問票調査に参加した.2005年2月に同じ健診を実施した.質問票調査と2回の健診を受け,かつ1年間の平均歩数を測定できた90名を解析対象とした.方法:質問票調査と健診を受けた対象者全員(200名)に万歩計を配布し,1週のうち任意の3日間,起床から就寝までの1日の歩数を1年間継続して記入するよう依頼した.この総歩数を記録日数で割った1年間の1日平均歩数を今回の日常生活歩数とした.MSの診断基準は中国のCDS(Chinese Diabetes Society 2004)に従い,構成因子5因子中3因子以上該当する者をMSとした.2004年と2005年の健診で2回ともMSと診断されなかった高齢者40名を非MS群とし,2回あるいは1回MSと診断された50名をMS群とした.解析には統計ソフトSPSS11.0Jを使用した.結果:対象90名は,男性49名,女性41名,平均年齢(±SD)70.2(±4.6歳,年間の1日平均歩数(以下歩数)(±SD)は5509(±3480であった.MS群(歩数4811±2580)と非MS群(歩数6380±4226)の歩数には有意な差が認められた(p=0.043).MS構成因子に全く該当しないグループの歩数は該当数1〜4のグループより有意に多かった(p=0.004).また,肥満群(BMI≧25.0)の歩数は正常群(BMI<25.0)より有意に少なく(p=0.004),拡張期血圧(DBP)≧90mmHg群の歩数はDBP<90mmHg群より有意に少なかった(p=0.045).歩数のカットポイントを各々5000歩,6000歩,7000歩,8000歩として2カテゴリ化し,MS構成因子との関連を見たところ,6000歩以上では肥満と,8000歩では肥満および拡張期高血圧が有意な関連が認められた.性,年齢を調整した多重ロジスティック解析の結果,歩数5000以上で肥満のリスク,歩数8000以上で肥満と拡張期高血圧のリスクが有意に低かった.結論:中国高齢者で日常身体活動量の客観的指標である日常生活歩数はMSと関連があることが示された.特に1日平均歩数5000以上で肥満,8000歩以上で肥満と拡張期高血圧のリスクが低いことが示された.