著者
竹内 徳男 細川 信男 吉田 政次
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醗酵工學雑誌 (ISSN:03675963)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.21-29, 1972-01-25

The characteristics of proteolysate in 1) enzyme miso (E.M.) manufactured with only the protease preparation, Biosaime A, prepared from Aspergillus oryzae and 2) ordinary miso (O.M.) prepared by the usual method using koji were compared. Both E.M. and O.M. miso were manufactured with the same procedure except koji in O.M. was replaced with Biosaime A in E.M. 1. Liberated amino acid patterns in the defatted soybean flour with Biosaime A were virtually similar to that of free amino acid in E.M. 2. Free, bound and whole amino acid patterns of E.M. were not markedly different from that of O.M. This seems to indicate that the main effect of Biosaime A closely resembles the proteolytic action of koji. However, in the E.M., pyroglutamic acid and free arginine content were greater, on the contrary, aspartic acid and glutamic acid were less than those of O.M. It was suggested from the above results that Biosaime A is deficient in some enzymes, such as glutaminase and asparaginase. 3. Distributive patterns of peptides and their bound amino acid composition were fairly similar in the three types of miso, i.e., O.M., E.M. and half koji miso, examined. These results infer that the greater part of peptides originated from soybean protein and not from enzyme protein or microorganisms. Peptide content in miso were 25-29% (calcd. as amino acid) to whole amino acid, 20.6-24.2% (as nitrogen) to the total nitrogen and 30-34% (as nitrogen) to water soluble nitrogen, respectively. 4. Forms of glutamate in O.M. and E.M. miso were as follows : insoluble type 16-17 and 18% ; bound type about 40 and 36.5% ; free type 36-38 and 29.1% ; and pyroglutamic acid 4-7 and 16.3% respectively. 5. During the process miso-making, loss of amino acids was observed. The degree of loss, in order of magnitude was whole koji>half koji>E.M.
著者
小菅 貞良 竹内 徳男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.69-73, 1962-04-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
5
被引用文献数
2

とうがらし果実の辛味成分利用に関連する基礎事項の研究および測定を行なった。すなわちカプサイシノイドの水に対する溶解度,ならびに水および弱アルカリ液による抽出率の測定,防腐,防カビ性および糸状菌による分解消失などの試験を行なった。そしてとうがらし果実よりカプサイシノイドの水による抽出率はきわめて低く,弱アルカリ溶液によりほとんど完全に抽出されるのを認めた。またカプサイシノイドは防腐,防カビ性はまったく無く,逆に糸状菌によりほとんど完全に分解されるのを認めた。
著者
竹内 徳男 稲荷 妙子 森本 仁美
出版者
全国味噌技術会
雑誌
味噌の科学と技術 (ISSN:03691047)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.211-219, 2004-06
被引用文献数
2
著者
平山 博史 竹内 徳男 福山 祐三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.93, no.478, pp.9-16, 1994-02-18

菅らが提唱した心臓可変弾性体モデルの妥当性を立証するため、心臓血管系の数学的電気的等価回路を用いて大動脈および末梢血管血流を再現した。収縮要素としてのE(t)は可変コンプライアンスとしてあらわし動脈系は慣性、コンプライアンス、抵抗で構成された。再現された大動脈波形は生理的であったが、末梢血管血流は対称であった。最大血流量は動脈血流抵抗、心筋内抵抗、特性抵抗とともに減した。また大動脈最大血流量は大動脈コンプライアンスとともに増大したが末梢血管血流は大動脈コンプライアンスとともに減少した。可変弾性体モデルは循環器系の血行動態を統合的に表現できる優れた概念である。
著者
稲荷 妙子 竹内 徳男
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.319-324, 1997-04-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
17
被引用文献数
7 12

イチゴ(宝交早生)を熟度別(未熟果,緑白果,成熟果)に分別採取して,ペクチン質とイチゴ果実の成熟との関係を把握しようと試みた.ペクチン質は,イチゴ可食部の熱エタノール不溶性成分(AIS)を収得し,さらに溶媒によりWP,PP,HP,KPに抽出分画し,次いで,それらを構成するガラクチュロン酸,全糖,中性糖,メトキシル基,無機成分含量及び分子量分布形態を比較解析した.(1) イチゴ100g当たりのAISの収量は,未熟4.06g,緑白1.87g,成熟1.45gと成熟に伴い減少した.同様にペクチンの主な構成糖であるガラクチュロン酸の総量は未熟736mgに対し,緑白359mg,成熟279mgと明らかに減少した.(2) 未熟段階におけるイチゴペクチンはヘミセルロース等と結合した水不溶性ペクチンHPが主体をなすが,完熟時では水溶性ペクチンWPとほぼ同濃度まで減少した.一方,WPは未熟16.7%,緑白28.1%,成熟34.8%と成熟するに伴って増大した.このことから,イチゴの成熟に伴う多汁化と軟化にはHPの減少とWPの増加が寄与すると考察した.(3) ガラクチュロン酸と中性糖量の比較で,いずれの成熟段階でもガラクチュロン酸量が多いペクチンはWP,PP,HPであり,逆にKPは中性糖が高かった.また,前3者はメトキシル含量が7%以上で高メトキシルペクチンと考えられた.(4) 未熟時のイチゴペクチンの分子量は,他の果実のペクチンより大きく,WP,PPは約100万,HPは30万,KPは1万と推定され,HP,WP,PPは成熟に伴って低分子化の傾向があり,特にHPは緑白時では約15万,成熟時では10万と推定され,イチゴの成熟に従って明らかに低くなった.(5) イチゴ果実,AIS,各抽出画分ペクチン中には無機成分(K,Na,Mg,Ca,Fe)が測定されたが,いずれも成熟するにつれてやや減少の傾向にあった.特に一般に金属イオンと結合して水に不溶といわれるPPにはMg,Caの含有量が高かった.
著者
南場 毅 竹内 徳男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.534-541, 1981-10-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
16

酢酸発酵における天然栄養源の促進効果と酵母エキス中の有効成分の分画と各分画の促進効果を解析した。(1) 試験した天然栄養源では酵母エキス,麹エキスの促進効果が高く,特に酵母エキスは他の栄養源ではみられない促進性を示し,その効果は有効成分の優れたバランスに基づくと考えられた。(2) 酵母エキスの塩基性区分,中性区分,酸性区分はいずれも促進効果を示し,特に酸性区分と塩基性区分との併用によって顕著な促進効果がみられた。(3) 酵母エキスは酒粕,白しょうゆと比較してアミノ酸,とくにアラニン,リジン,グルタミン酸,セリンの含量が多かった。有機酸も同様に,乳酸,ピログルタミン酸,コハク酸の含量が多かった。グリセロール含量は酒粕,白しょうゆとほぼ同じであった。また無機成分として多量のリン,カリウムが検出された。(4) 酵母エキス中の有効成分相当量の既知化合物を基本培地に添加すると,誘導期の短縮と生酸が増大し,酵母エキスと同様な効果が認められた。