著者
上田 真由子 和田 一成 臼井 伸之介
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.103-109, 2015-03-01 (Released:2015-07-07)
参考文献数
23
被引用文献数
1

We investigated the effects of a special breathing technique, the “Breathing Retraining technique,” on performance in emergency situations. Participants were divided into three groups: breathing method group, visual task group, and the control group. Participants in the breathing method group performed the breathing retraining technique; those in the visual task group performed a simple visual task, whereas the control group performed any task, before the main task. The main task was the water-pipe game, in which participants clicked a computer mouse in various situations to complete the game using the minimum number of clicks. Results indicated that the breathing method group accomplished the most difficult main tasks faster and more efficiently than the other groups in simulated emergency situations. These results suggest that people can work comparatively fast and efficiently, even in emergency situations, by practicing the breathing retraining technique in advance. Additionally, there were no significant differences between the visual task group and the control group. This result indicates that it is not important that putting merely interval, but practicing the right breathing method improves behavior in emergencies.
著者
和田 一成 臼井 伸之介 篠原 一光 神田 幸治 中村 隆宏 村上 幸史 太刀掛 俊之 山田 尚子
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.1-12, 2012-02-10 (Released:2013-09-25)
参考文献数
15
被引用文献数
3

実験では,実験参加者(44名)が知覚判断課題を行うたびに常に試行数を確認するように言われ,半分の参加者には確認を省略すると10個の追加課題が課されるリスクが,もう半分には,省略により1個の追加課題が課されるリスクがあることが教示された。全8ブロック中4ブロックにおいて,半分の試行で試行数のメッセージが5秒遅れ(コスト大条件),残りの4ブロックでは半分の試行で2秒遅れた(コスト小条件)。実験参加者は,遅れて出るメッセージを確認しなくても次の試行に進むことができ,この行動を違反行動とした。結果は,コスト小条件よりもコスト大条件で確認の省略が多かった。この結果は,ルール違反における課題遂行コストの強い効果を示している。(表2,図7)
著者
紀ノ定 保礼 臼井 伸之介
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.28-28, 2011

本研究の目的は、高齢自転車利用者が自動車接近中の道路を横断する際において、横断可能と判断する接近自動車までの時間的かつ距離的な間隔を決定する、ギャップアクセプタンス行動に影響を及ぼす心理的要因を解明することであった。高齢者の参加者は自転車にまたがった状態で、右方から接近する自動車を見つめた。自動車の接近速度は20km/hと30km/hの2通りであった。参加者は、「これ以上自動車が接近すると横断できなくなる」と判断した時点で反応をした。日常的に「自動車側が道を譲ってくれる」と期待している高齢者ほど、道路横断時により近くまで自動車の接近を許容し、不安全な判断を行う傾向があった。また、予想と実際の横断所要時間の乖離も、高齢者の不安全な自転車運転行動の原因である可能性が示された。教育的介入によりこれらの要因の影響を低減させることで、高齢者の自転車事故を抑止できる可能性があると考えられる。
著者
渕 真輝 臼井 伸之介 藤本 昌志
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.71-80, 2012

護衛艦「あたご」事件のように重大な船舶衝突事故が発生すると,両船の海上交通ルール履行の有無が注目される。海上交通ルールでは両船の位置関係が重要で,小さい船舶の方が衝突を回避しやすいものの,船舶の大きさ(船型)は関係がない。本研究では,1977年から2008年までの海難審判庁裁決録から,基本的な海上交通ルールが適用された衝突事件を抽出し,両船の船型を調査した。その結果,「横切り船の航法」が適用される状況において異船型間の衝突が多いことが示唆された。このことから衝突回避には,海上交通ルールの知識に加えて操船経験や判断時機等を考慮する必要があり,操船者のヒューマンファクター研究の必要性を指摘した。(表8,図2)
著者
安達 悠子 臼井 伸之介 篠原 一光 松本 友一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.177, pp.13-16, 2009-08-17

本研究では,155名の看護師を対象に,業務中にしたあるいは見た違反内容とその違反理由の記述を求めた質問紙調査を行った。また同時に,その違反をどの程度しているあるいは見かけるという主観的な違反頻度と,違反の生起に関与していると考えられるリスク評価等の心理的要因に関する4件法の質問への回答を求め,違反頻度と心理的要因との関連を検討した。記述された違反内容と違反理由はKJ法により分類し,違反頻度と心理的要因については得点化ののち相関係数を算出した。その結果,違反内容21項目,違反理由13項目が得られた。心理的要因は,リスク評価よりもベネフィットや抵抗感が違反頻度に関与していることが示唆された。